クルルカンでふっ……先輩の得意技 さーしーえー
「おぬし、今のはいった……」
「クルルカンですから」
「いや、ものすごくとん……」
「クルルカンですから」
「なんで着地して無事……」
「クルルカンでふっ……」
「…………」
「…………」
……噛みましたぁ……。
いひゃい。
「……あぁ、わかったわかった! 詮索すまぃ! 全く、どえらい娘っ子じゃ!」
おおっ……!
わかってくれましたか、エンマさん……!
私がもう、"クルルカンですから"としか、
言えないことにぃいっ……!
「で、どじゃった!?」
「バッチリです。めっちゃ綺麗でした」
「そんなに美しい魔力の光なのか!?」
あ……レエン湖の風景の感想言ってもた……。
「……行きましょう。よく見えたのは二箇所ですね」
「おお! 行こう行こう!」
『────……。』
>>>…………。
エンマさんによると、
この緑の原石は、街の中で、
たまたま落ちた地下で、
手に入れたものなんだって。
……それって滑落してんじゃないのよ……。
私にくれた……(のか?)やつとは別に、
も一つ、同じようなモノを見つけていて、
私にも見せてくれた。
「……ホントだ。同じような質感の原石ですね」
「そじゃろ!! 地下の空間に、安置されておったんじゃ!」
「……それ、盗賊くさくないですか?」
「盗賊の代表みたいなカッコしおる娘が、なぁにを言っとるのじゃ!」
「もうそれはいいんですよぅ」
何度も言われてるんですからぁ。
「──もぅ! ほんとにちょっとだけですよ! 私、はやくレエン湖に行きたいんですからねっ!?」
「いやぁ、ワクワクするのぅ! まだ、あんな地下の大空洞みたいな所が、他にもあるんじゃろか!?」
「えっ、そんな大空洞だったんですか……」
ううう、そんな地下への入り口が、
街の遺跡に隠されているの?
めんどくさそぅ……。
(クラウン、見つけられる?)
『────不可能判定。空洞振動音を計測するには、障害物が多数。スキャニングも範囲が広すぎます。視覚情報が有効。』
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>>>おかしいなぁ……
前に来た時 あんな光なかったよ?
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も〜〜、先輩も頼りになんないっ!
とりあえず、マーカーのとこまで、
行ってみるか……。
『────仮面がショボンとしています。』
「石碑、ですかね……」
「石碑じゃな」
私の身長よりちょっと高い、
四角い板状の、石っぽいのでできた、
石碑がある。
150セルチくらいかな?
「ここなのか?」
「ええ……ポヤポヤ、泡みたいな緑の光が出てますよ」
ここの下に、地下空洞があるのかな……。
(クラウン、アナライズカードでスキャンできる?)
『────試行します。トライ:1。出射。』
──ヴォォォォ───オン!!
──ッパァァアン!!
「うわっ!」
「うおっ、なんじゃ!?」
かなり大きめの透明のカードが、
地面に触れた、その瞬間!
緑の光が、一瞬、ピカッ!
となって、思いっきり弾かれたわ!
エンマさんには、
アナライズカードは見えなくしてるから、
風が起こっただけに感じてるはずだわ。
『────トライ失敗。魔術防御機構発生。』
「マジか……うーん、思いっくそ、蹴ってみるか……?」
『────広範囲による地盤沈下の可能性:大。』
あ、そすか……。
もし、下に空洞があって、
そのフタになってる地面が、
一気に崩落したら……。
……うん、そりゃダメだわな。
「蹴り壊すのは、やめとこう……」
「な、何やら物騒なことを呟いとるが、何か方法があるはずじゃ! この前は、崩れた穴から入れたしのぅ!」
「そんな都合よく、綻びてる穴がありますかねぇ……」
うーん、わからん。
この光の石碑が絶対怪しいけど、
どうやって下に行けばいいんだろう……。
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>>>アンティ ちょっと
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(うん? なぁに……?)
なんかわかりました? 先輩……
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>>>いや これからだよ
試してほしいことが
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た、ためす……?
(えと……どうするの?)
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>>>石碑をね ノックしていって
上の方から順に 下の方まで
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???
えと……
上から、ノックしていく?
こ、こうかな……??
「? 娘っ子?」
キィんと。一歩、前に踏み出し、
目の前の石碑の、上の部分に、
黄金のナックルを近づける。
殴るためではない。
イメージするのは、まぁ、ドアよね。
上から……。
きんきんきんきん……
きんきんきんきん……
きんきんきんきん……
(こ、これでいいの……?)
─────────────────────────────
>>>バッチリ! そのまま下にゆっくりね
─────────────────────────────
(う、うん……)
きんきん、
きんきん、
きんきん、
きんきん。
「…………」
きん
きん
きん
きん
きん
きん
コツ。
きん
きん
「ん!」
あれっ!
いまの……!
ちょっと戻って……。
きん
きん
コツ。
「あっ!」
コツ。
コツ。
「ここ、音が違う!」
「おお?」
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>>>クラウンちゃん そこ分析
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『────む。トライ:2。出射。』
───ヴォォ、パァン。
『────トライ失敗。ですが、周囲と材質が違う模様。』
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>>>ここにも魔術流路とおってんの!
古代の技術ってすごいな!
アンティ も一つの原石 かりれる?
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(え? えと……)
…………。
「あ、あの、エンマさん。そちらの原石も借りれますか?」
「? ほぅ、何かわかったんじゃな?」
「え! ええ、多分……」
私がじゃないけど……ドキドキ。
(どうすんの──! せんぱぁ──い!!) ─────────────────────────────
>>>さっきの 音が違う場所で
二つの原石を、打ち鳴らして!
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う、打ち鳴らす!?
…………?
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>>>あーっと……火打ち石って わかる?
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(わからん……とりあえず! ぶつけてみるよ?)
せーの……!
────かちん!!
──びょわわわわわわ──!!
「おわぁっ!!」
二つの原石が、ぶつかった瞬間!
出ている光が、球体になって膨らんでいった!
私の身体より大きくなって、消えたわ!
魔力の衝突による、力の膨張なんだろうか。
それに、一瞬だけど、確かに見たわ!
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>>>みえた? 今の!
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(う、うん! 魔力の膨らみが当たった石碑の場所に……)
横一文字の、光の模様が、浮き出てたわ!
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>>>その横長の場所の
右か左に 強めにデコピンしてみ!
─────────────────────────────
で、デコピン……?
強めに……。
「まずは、左から……」
「?」
グッ……!
────キャァァアン!!
…………。
……何も、変化がない。
「な、んという……恐ろしいデコピンじゃぁ……」
「次は、右ね」
よっ……と!
────キャァァアン!!
ぐるんっっ!!
────こぉぉおおん!!
「────!!」
「おおっ、それはっ!!」
横一文字の場所が回転して、
半円状の石が出てきたわ!
これって……!
─────────────────────────────
>>>はい 大当たり〜〜!
にぎりが ついてるね
アンティ?
もう3パターンしかないんだ
つまり……
─────────────────────────────
ふふふ……オッケー!!
ここまできたら、わっかるわよ!
「──ひねるか、おすか、ひくか、ね?」
石碑からでた、にぎりを、左手のグローブで、しっかり握る!
よし、さいしょは────
「──おす!」
────────ガコン!
────ド、ド、ド、
ドドドドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ドドガガガドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ドドドドドドド
ド ド
ド ド
ドドドドドドドドドドドドド
────────────ガコォォん。
…………………………。
「おぬし……。さすがは、盗賊代表じゃのう……!」
「はは、はははっはは……」
石碑は、見事に後ろにずれて、
ポッカリと、
地下へと続く入口が、姿を現している。
す……すごぉい……!
─────────────────────────────
>>>いやぁ
初ッ歩的な仕掛けだねぇ!
えっへん!
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『────……お見事、です。』
こ、今回ばかりは、先輩を尊敬するわ……!
こんの仮面サマ、
こーゆーこと、めっちゃ手馴れてるわ!
あれっ、これって、褒めていいのかな?
盗賊としての、家探しの能力だよね……。
……あれれっ?
「────しゃい!! いくぞぃ!! 盗賊の二代目よっ!!」
「!! ちょ──!! その呼び方はっ……!?」
ぬっ濡れ衣だわっ!
やったのは初代クルルカンよっ!?
わ、私は無実だっ!!
決して盗賊に、身をやつしてなんかは────!
─────────────────────────────
>>>クラウンちゃん……
たまにはぼく、
泣いていいよね……?
しくしく……
─────────────────────────────
『────……。』
先代の切ない涙に気付かず、
私はエンマさんを追っかけて、
秘密の階段を、キンキンと、かけ降りていった。
「はぐるまどらいぶ。」でググったら、
なんかわぃのヘタッピな挿し絵が
ヒットする……!((((;゜Д゜))))










