〇〇さんはもっとキライです さーしーえー
キリンさんはきらいです(髪ムシャ)
……………。
……………?
────消え、た!?
音が、しない。
なぜ。
静かな巨躯の木々の中。
───どっ、どっ、どっ。
自身の鼓動の音。
相棒に、問う。
「クラ、ウン」
『────震音:反応無。』
なわけないでしょ。
明らか、こっちきてたわ。
どこ。
「──ふぅっ……!」
無意識に息を止めていらしい。
短く、はき出す。
首を緩慢に動かし、
周囲を探る。
緊張で、一歩も、動けない。
巨大な、静寂の森の美しさが、逆に、こわい。
私は今から、"何か"に、襲われるはずだった。
「なんで……」
自然にとった構えが緩み、
手を、ゆっくりと、おろす。
それが、いけなかったのか。
────ゴォ……!
『────後ほ──。』
「え」
後ろから衝撃があり、
私の身体が、
持ち上げられた。
即座に、反射速度を発動する。
なんで、反応できなかった!!?
時が、重さを持ち、
音は、鈍くなる。
私の身体が、宙に、浮いている。
体を見る。
「────!」
でか。
これ、手か?
"力量加圧"で力を込め、
逃れようとする────……!
おそかった。
────ぐぉおおお!!
空気が唸る音がのびて、
多分、私が投げられた。
どっ、
しっ、
よっ。
空中で、力を込めても、意味がない。
横へ、横へ、横へ飛ぶ!!
横なのか?
どっちがうえなのっ!?
景色が飛ぶ中、半透明の小窓が、
目の前に、浮かぶ。
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>>>あt
─────────────────────────────
─────────────────────────────
>>>あたま まm
─────────────────────────────
─────────────────────────────
>>>あたま まも カ いれ
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「──っく」
両手で、頭を守り、力んだ。
進行方向に、巨木が見える。
ああ、サイアクだわ。
────ゴバキィィイイイイン──!!!!!
一回目の衝撃で、右手のガードが、はずれた。
枝の破片が、舞う。
もう、枝って太さじゃない。
そのまま、後ろに流される。
────ギギゴゴゴゴガリィッッ!!!!!
二回目の衝撃。
たぶん、木の幹に引っかかって、
身体が、回転した。
円心力と風の抵抗で、
右手が、うまく、動かない。
頭を守ってる左手に、集中する。
────ガァァアアアアアアアンンン!!!!!
「っっっくふぅううっ」
三度目。
壁みたいな木に、
右肩後ろから、突っ込んだ。
勢いが急にころされた衝撃で、
息が、強制的に吐き出される。
こんなの、はじめて。
身体が、木の表面に、めり込んでる。
バッキバキに割れた白い木片が、
周りに逆だっている。
────ズズゥン──……!!
「……──!」
『────離脱推奨。動体接近。』
「んで……だよ……」
さっきまで、なんも聞こえなかったでしょ……。
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>>>右手! 肘打ち!
─────────────────────────────
「! ん!」
左手と頭、背中は木にめり込んでる。
比較的自由な右手で、
後ろの木の壁に、思いっきり、くらわす。
「───らァ!!」
──ガぁあああん!!
──バキバキバキッっ!!
「ぐっ!?」
ハデな音がして、でも、
そんなに威力はでなかった。
せいぜい、めり込んだ私の身体を、
木の繊維をへし折りながら、
空中に逃がしたくらいだ。
重力にしたがい、地におちる。
────キィィィィイイン。
「いった……」
右肩に、痛みが走る。
なんで!?
ヨロイを着てるのに!?
『────右腕部に軽度の筋組織ダメージ。』
「な、んで……」
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>>>力を抜いた時に、
ヨロイの可動域内でひねったんだ!
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「えっ、えっ?」
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>>>あとで!! くるよ!!
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「くそっ、なんなのよっ!」
『────捉えました。前方です。』
────ズズゥン──……!!
────ズズゥン──……!!
────ズズゥン──……!!
「おあ……」
うしさん、だった。
(;゜Д゜)ミノたんきたよ










