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おふろちゃっとでどうしましょ さーしーえー

( º дº)<マタオフロダト……

 

挿絵(By みてみん)

「にょっきぃぃ────」

「アンティさん、まだですかね──」

「にょんゃやぁ────!」

「あ、にくきぅ」





───────────────────────

 アンティ・キティラ

 人間(♀)15歳


 ◆装備◆

 装飾:クラウンギア

 頭部:クルルカンの仮面(かめん)

 身体:クルルスーツ・レディオル:改(かい)

 追加:白金(しろがね)の劇場幕(げきじょうまく)

 紋章:P.A."配達職(ライダーズ)"


 ◆スキリング◆

 ・歯車法(はぐるまほう):Lv.5

 ・時限結晶(アイテムストレージ)

 ・状態分析(アナライザー)

 ・反射速度(クロックダウン)

 ・眼魔(ガンマ)

 ・力量加圧(パワーアシスト)

 ・燃焼防止(フレアオフ)


 ◆特殊◆

 ・同期結合(シンクロニフト)

───────────────────────



「レベル、あがってる……」


 ────ちゃぽん。


 可愛い小さな木製の湯船。

 私の分析結果が、透明の窓になって、

 目の前に浮いていた。


 えと……

 歯車法、前に見た時、Lv.3だったよね。


「私、2つもレベル上がってる……おかしくなぁい? 仮面先輩とのおしゃべり中って、経験値? ごりごり削ってたんだよね」

『────解。歯車法は、ラクーンの里に来る直前、Lv.6になる直前でした。』

「まじでか」

『────あなたは少々、自身のコンディションに無関心だと指摘。』

「そ、そうかな」

『────レベルダウンは阻止。ですが、かなりのスキル経験値の消失を確認。』


 んと、つまり……

 Lv.5と、6の間の経験値を、

 ごっそり持ってかれた、ってことよね。

 ……ま、得たものは、大きかった。


「よっと」


 湯船のそばに、

 お皿に積まれた、

 木の玉のようなものがあった。

 香木のような役割なのかな。

 いくつか手にとり、空中に投げる。


「よっ、とっ、と」


 ぽん。ぽん。ぽん。


 お手玉。


 今、5個でやってる。

 腕の動きに合わせて、

 湯面がチャポチャポ、

 音をたてる。


 もちろん今、反射速度(クロックダウン)は発動してない。

 私の裸眼だけで、湯気の中、

 くるくると、香木の玉が、まわる。

 多分、この玉が倍の数になっても、できる。

 物の動きを先読みするチカラは、

 確かに、私に引き継がれている。


「道化師(ピエロ)一直線ね。お手玉大会があったら、優勝を狙えるわ」


 腕が、だるくて重いので、

 元のお皿に、香木の玉を戻す。


 お風呂の温かさとは別に、全身が、熱い。

 特に、右腕は、ちょっと、ギシギシする。

 ただ別に、動けないってわけじゃあない。


 目の前の、アナライズカードが、消える。

 ……あ、そーだ。


「──クラウン、先輩にたずねて欲しいんだ。さっき、アナライズカードで、何か私に伝えたか、って」

『────承。ログには記録されていませんが、確認中。』


 ──ヴォン。


─────────────

 >>>しらんよー

─────────────


「わっ」

『────む。』


 目の前のアナライズカードに、

 変な記号のついた文字列が書かれてる!

 これって……!


「あんた、仮面先輩?」


 >>>ご明察──と、返答がある。

 ちょっとあんた!

 アナライズカードでしゃべれるんじゃないの!


『────スキル経験値の減少は見受けられません。』

「ほんとに!? じゃあ、この方法でしゃべれるじゃん」


─────────────────────────────

 >>>この方法、ちょっと面倒臭いなぁ……

─────────────────────────────


 め、めんどくさいって……?

 いや、それよりも


「ねぇ、本当に朝のヤツ、あなたじゃないの?」


─────────────────────────────

 >>>ほんとにわかんない

   それと、身体、大丈夫?

─────────────────────────────


「そ……。ん、大丈夫。全身筋肉痛でだるいけど」


─────────────────────────────

 >>>……ごめん。ぼくの、配慮不足だ

─────────────────────────────


「……いや、あなたのせいじゃない。むしろ、すごく助けてもらった……2人とも、ありがとう……」

『────感謝を受理しました。』


─────────────────────────────

 >>>どたまして!

   でも、きみの身体に負担をかけるのは、

   いやだ。アレは、控えるよ……

───────────────────────────── 


 仮面先輩は、だいぶ気にしてくれてるみたいだ。


「……なんで、こんなになっちゃったんだろう。今まで、こんなことなかったのに……ヨロイのチカラ、変になっちゃったのかな」

『────"クルルスーツ・レディオル:改"のスキル、"力量加圧(パワーアシスト)"の発動が不十分であったと予測。』

「不十分……」


 ちゃぽ……


 両手をお湯からだして、

 目の前で、広げたり閉じたりする。

 うん、やっぱり、なんか、おもい。

 反応が、にぶ────い感じがして、こまるな。

 今まで、思いっきり力をふるっても、

 こんなふうな違和感が残ることはなかった。


「なんで、ちゃんと"力量加圧(パワーアシスト)"、できなかったんだろう……」


─────────────────────────────

 >>>それね、ぼくも考えてたんだけど、

   "きみの意志"が重要なんじゃ

   ないかなって

─────────────────────────────


「意志? わたしの?」


─────────────────────────────

 >>>そ

   あの時、ぼくの意志できみの身体、

   動かしちゃったでしょ

─────────────────────────────


「! ……私の意志で動かないと、パワーが加圧されない……?」

『────もしくは、加圧が不十分になると予測。』

「なるほど、そっか……」


 ありえるかも。

 実際、こうなってるわけだしなぁ……

 ふむ……。


─────────────────────────────

 >>>さっきのお手玉、見てたよ

   上手上手!

─────────────────────────────


 いや、大道芸を褒められても……

 ……ん?

 "見てた"……?


 ────パシャ!!


「ち、ちょ!? まままままさかっ!? 見えてるの? ここ、見えてるの!?」


 自分の胸を、両手で抱えて隠す!

 あわわわわわ、

 いまはだかなんだけど!?


─────────────────────────────

 >>>あ、いや!

   ち、ちがうちがう!

   面白そうなことしてたから、

   クラウンちゃん経由でちょっと

   見ただけで!

─────────────────────────────


「し、し、信じらんないぃ……」


 純情看板娘の柔肌をぉ…………!

 ゆ、ゆるすまじぃ…………!


『────最っ低です。』

「バババさんに言いつけてやるぅ……!」


───────────────────────────── 

 >>>ちょ……あの、

   ヒューガノウンに誓って

   裸は見てませんので、

   それだけは勘弁してもらっていいすか

─────────────────────────────


「クラウン……今から、私の着替え、お手洗い、入浴中、就寝時には、クルルカンの視野を全てカットなさい」

『────"レディ:オーバー(準備完了以外に無し)"。』

 ────視覚野プロトコル遮断プログラム始動。』

 ────隔離ファイヤーウォール展開。』


─────────────────────────────

 >>>わぁ──すごい

   一瞬で真っ暗だね──

   これ苦手な人は割と、

   トラウマレベルだな……


   ていうか前から思ってたけど、

   寝るとき服きなよ……

─────────────────────────────


「みたんか」


─────────────────────────────

 >>>見てない見てない!

   ほ、ホントにホント!!

   視覚で判断したんじゃないから!

─────────────────────────────


「嘘なら仮面、鍋で煮るわよ」


─────────────────────────────

 >>>食堂の一人娘って、

   怒らしちゃダメだな……

   ね、あとさ、気になってるんだけどさ

─────────────────────────────


「あ、露骨に話題かえた」

『────露骨な話題の変更を確認。』


─────────────────────────────

 >>>ほんとに勘弁して下さい……


   きみさ、

   これからどうするの

─────────────────────────────


「どうするって……」


─────────────────────────────

 >>>ドニオス、帰る?

─────────────────────────────


 ────!


─────────────────────────────

 >>>あの、ヒキハさんって人の望みは、

   一応、叶えた事になるよね

─────────────────────────────


『────……。』

「そ、れは────」


 ヒキ姉から託された、ラクーンの里の護衛。

 もちろん、これからも魔物の襲撃が、

 無くなるわけじゃあ、ないと思う。

 でも、今回の魔物の量や、種族は、

 私の目から見ても、異常だった。

 あの大群を、しのげたのは、おおきい。

 でも────。


「……まだ、終わってない」

『────。』


 ────チャパ……


 ぬるくなってしまったお湯の中、

 足を抱えて、膝に頬をのせる。



「あの魔物たち、魚……フィッシュ系だって言ってたよね」

『────肯。ドラゴンデライドは、水面を飛び回る生態の魔物です。』

「もう、あんな量はこないって信じたいけど……あれってつまり、大量の水がある住処から、追い出されて、この里まで来た感じ、だよね……」

『────従来の住処に、何らかの異常が発生したと、予測可能。』

「うん……それに、"手傷を負わせた魔物が、また襲ってくる"ってのも、気になる……」


 ポロと、コヨンが言っていた。

 あの弓で、確かに手傷を負わせた魔物が、

 短時間で傷を癒して、里にくると。


「そして、魔物が襲って来る"方角"は、最近もっぱら、"南側"からだって……」


 そう。

 ドラゴンデライドが来た方角も、

 南の見張り台の方だったはず。


「この里の南にあって、しかも、水がたくさんある所は……」



 私にとって、ある意味、いわく付きの場所。

 昔、紫の時限結晶が、暴走した場所。



「"レエン湖"……しか、ない。そこで何かが、起こった」

『────理論は……理解可能。』


 クラウンが、ちょっと、いやそうだな。

 私に、無理して欲しくないのかもしれない。


─────────────────────────────

 >>>やっぱり、いくのかい?

─────────────────────────────


『────アンティ。体調考慮を提案。』

「ん────……」


 優しいね、クラウン。

 でもね、ごめんね。

 私の相棒だから、

 ちょっと、ワガママ言っていいかな。


「──いく(・・)。私にどうこうできるか、わからない。でも、南で、何かが起きてるのは、確定だと思う。このままドニオスに帰っても、私、後悔すると思う」

『────。』

「……ごめんね、クラウン」

『────いえ。私は、知っています。最初に森を駆けた時の、あなたの魂の気高さを。』

「ふぇっ! い、いきなり何言い出すのよ……」


 それって、最初にスケスケで走った時の、

 あの時のコト言ってんでしょ……

 は、恥ずいわ……

 なんか、"非推奨の行動"ってクラウンに

 連呼されて、すごい怒鳴った記憶が……。


「う、ううえっと」

『────行動計画更新。

 ────クラウンギアは、全力でサポートに入ります。』


─────────────────────────────

 >>>よしゃ!

   ぼくも全力でサポートするよ!

   ふふ、らしくなってきたじゃないか!

─────────────────────────────


「え……らしく?」


 仮面先輩の妙な一言に、疑問を返す。


─────────────────────────────

 >>>アンティ?

   君は"郵送配達職(レター・ライダー)"だ。

   でもね、それってつまり、

   "冒険者"でもあるってことだろう?

─────────────────────────────  


 あ……。


─────────────────────────────

 >>>たまには、"冒険"も、しなきゃね?

─────────────────────────────


「は、はは、ありがと……!」


 そか、そうだね。

 お手紙を配るのも、すっごく好きだけど、

 せっかく冒険者なんだ!

 困った人のために、

 まだ知らない場所を、冒険する!

 ちょっと、ワクワクしてきたわ!


─────────────────────────────

 >>>実を言うとね

   レエン湖、行ったことがあるんだ

─────────────────────────────


「え! ほんとに!?」


─────────────────────────────

 >>>うん!

   道案内くらいは出来ると思うよ。

   ま、クラウンちゃんの地図があれば、

   あんまりイミないかもだけどね

─────────────────────────────


『────レエン湖には、このまま南下し、遺跡地帯を抜けて、更に進むと到着します。』

「2人ともありがとう! みんなで冒険だね!」


─────────────────────────────

 >>>あ、言っとくけど、

   やばそうだったら逃げてよ?

   無理はダメだかんね?

─────────────────────────────


『────同意見。手に負えない事案なら、撤退推奨。』

「え、はは……そ、そんなむちゃしないって……」


 何故だか最後に息があう王冠と義賊様に、

 ちょっと気圧され気味になったけど……


 ────いく。


 ここで帰ったら、私の生き方じゃ、なくなる。


 それに、何か、呼ばれてる気がしていた。




 さっきの、すぅっと消えてしまった、


「こっちだよ」って書かれた、アナライズカード。




 あの光の文字は、


 南の方に進みながら、


 消えていった気がしたから。






「にょんゃやぁ────!」


うさ丸、お留守番、延長(笑)

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