ばくたん★がるんつぁー! さーしーえー
ふにゃふにゃふにゃ……(´◉ω◉` )
「く、黒い、2つ分かれの顎……まさか、"あんこくワニのガルン"……?」
「へ? なんて?」
コヨンが、なんか変な事、言い出したわ。
「わ、私達、ラクーンの言い伝えにあるんです……。三つの眼、三つの顎、三つの尾……あんこくから這い出した、巨大なワニの化け物……」
「ば、バカ言うなコヨン……あんな言い伝えの魔物が、ホントにいるわけないだろ……」
「"凄まじきあんこくで、削り取れぬモノ"……」
「なにそれ……」
"あんこくワニのガルン"?
そんな悪の総大将みたいなヤツ、
あんな変態が仕入れてる、
ワケないで……しょ……?
「………………」
「……? なんだ?」
「ど、どうしたんですか? クルルさん。急に自分の衣装をジッと見て……」
……。
黄金のドラゴンと、あんこくのワニ……
どっちがレア度、高いんだろう……。
「ま、まぁコヨン、そんなわけないって」
「あ、いやだ……何バカなこと言ってるんだろ私……へへ。ところでクルルさん、なんでこんな物を出したんですか?」
「てか、どっから出たんだコレ……」
「元々そこにあったのよ。これね、実は馬車なの」
「「………………」」
……あによぅ。
その、うっっさん臭そうな目はァ。
おいコラ、コヨン貴様。
それは哀れみの目だ。
やめぃ。
ガチなヤツじゃないの。
ポロに関しては、
「うわぁこいつ大丈夫かよ」感がすごいわ。
わぁ。
子供達に、
こんな目で見つめられる日が来ようとは。
クルルカン、びっくりぃ!
……お姉さん、泣いちゃおうかな?
「どう見たってアゴですよ……馬車に見えたらヤバイですよ……車輪すらありませんよ……」
「元々そこにあったってなんだよ……こんなヤツうろついてたら、プレミオムズが集まんぞ……いや死んでるけど……」
「……あっ」
「「えっ」」
……ヤバ、忘れてた。
私、プレミオムズだわ。
プレミオムズ配達職だったわ。
はッは─────!
すごいわ!
ホントに忘れてたわ!
わっはっはっはっ────!
────はぁ……絶対バレたくねぇ。
「あぁ、目立ちたくないなぁ……」
「……クルルカンのカッコでアゴ落として何言ってんだ……」
「ちょ、ポロ! そんなホントの事言っちゃダメだよ……!」
「ガキんちょどもめ……」
そ、そうだ。
当初の目的を忘れる所だったわ……。
この、なんちゃってアゴ馬車を組んだ時の、
あの馬車の車輪、業者さんに返しちゃったしなぁ。
今は、ホントにアゴだけだ……。
ま、私で"車輪"つったら、アレしかないわな。
「クラウン、"歯車法"で、そのアゴを構成しなおす」
『────レディ。』
『────目的は、"攻撃に備えた高速移動"と定義。』
「安定して2人を搭乗できるよう配慮。後は任す!」
『────条件更新。スキャニングを開始します。』
ブォォ──ン!
「!」
「な、なに? この気配……」
お、この子達、流石は獣人ね。
今、上にでっかいアナライズカードが出てきて、
ゆっくりと下に向かって、
黒いアゴを通過しているところだわ。
やっぱ、感覚にするどいのねぇ。
『────分析完了。」
『────素材強度:規定値+オルバ。基準値:皆無。』
『────基礎フレーム立体ホログラム作成。流路形成。』
『────対衝撃予測プロセッサが構築完了。』
『────カスタマイズを開始します。』
きゅいいいいいん────!
「な、なんだ、この音──?」
「──! お、王冠が!?」
え? お、おうかん?
クラウンがどしたって?
「王冠が、増えてる!」
「ええっ!!? うそっ!?」
慌てて、手の装甲にクラウンを写してみる。
「ホっ、ホントだ!!?」
「……なんで、そんな驚くんだよ……」
ポロが、なんか言ってるけど、
そりゃあ驚くわよ!
もう、この王冠と、
一ヶ月ちょいの付き合いだわ!
なのに、全く気づかなかった。
……そりゃそうか。
頭の上に居るんだもんね。
「あんた……考えてる時って、そんななんのね」
『────絶対に接触禁止です。』
「マジか」
やば、触るとこだった……。
今、クラウンの周りには、
背の低い、輪の大きな王冠が、
3重くらいになって、くぅるくる、回っている。
小さなアナライズカードも、たっくさん出てる。
ひぇ〜〜、たまにこんな事になってたのか!
……いや、目立つから。
何か、新しい力を生み出す時は、
とっても気をつけないと……。
──グ、グゴォンン────……!
「わぅ!?」
「あ、アゴが、動いてる!!?」
『────臨時ホイール生成。後輪肥大。』
『────車体高度決定。駆動系形成中。』
『────前輪、後輪に"チャクラム"機構転用。』
『────下顎部位にインシュレータ機構開発。』
『────フロントホークパーツ省略。』
『────シャフト接続不可能。』
『────空間連結式トランスミッションが開発されました。』
「久しぶりだわ、"王冠呪文"……」
「「く、クラウンスペル??」」
なに言ってっかわかんない、ってイミよ。
『────ギアボックス構築。クラッチ部固定。』
『────プロペラシャフト省略。空間接続。』
『────デフギア空間内蔵型に更新。』
ギュウウウウウン──!!
カチ、カチチ、キン!
『────牙最奥部に亜空間式スロットル構築中。』
『────ギアボックス保護用装甲作成完了。』
『────空間循環式空冷機構が採用されました。』
ガッチャンガッチャン、チャキン!
ギューン、ギューン……ガンガンガン!
「うわ、うわぁ……ナニコレぇ……」
「こ、こ、怖いよう……」
「え、いや、あの、そんな怖がらなくても……?」
…………。
黒い巨大な魔物の下顎が、
勝手に動いて、
なんか金色の金属が染み出して、
ガッチャガチャ、カタチを作っていく……。
うん、ただの呪いだな。
こえぇな。
『────前後ホイールに内蔵型動力部形成。』
『────ブレーキパッド省略。』
『────スロットルに意匠構築。』
『────前面装甲に装飾構築。』
……ん?
…………装飾?
おい待てやコラ、クラウンよ……。
飾り付けして、どないすんのじゃ。
あんた、ホントに怒るわよ。
『────各連結部最終確認。』
『────衝撃予測プロセッサ同期完了。』
『────機体完成率:100パセルテルジです。』
装飾も入れてかコラ。
……て、
…………てか、コレさぁ…………。
「…………」
「「あわわわわわわ……」」
間違いなく、
絵本の英雄が、乗っちゃダメなヤツだわ……。
『────プロセス完了。』
『────搭乗型駆動二輪が開発されました。』
『────登録名が自動考案されます。』
『────"ガルンツァー:typeチェイサー"が登録されました。』
「……ガルン、ツァーって、あんたね……」
いや、だから……
"あんこくワニ"って確定させないの…………。
「「ななな、何コレぇぇえええ……!!?」」
ヾ(*´∀`*)ノわぁ〜〜い!