義賊のココロ さーしーえー
☆黄金少女☆くるるん☆アンティ♡
☆前までのおはなし☆
◆ドジっ子受付嬢、キッティのほんにゃららで、私はいきなり、"ごぉるどすたいる"っていう、すごいランクを手に入れちゃったの! きャ☆ 私、ど、どうしよぅ♪♪ こ〜ま〜る〜☆
◆私のランクは、誰かに調べられると、いっぱつアウト☆ でも、あまりにスゴすぎるランクだから、誰も存在するとは思ってないんだって! わ、私って、チョ〜〜! ツイ☆てるよねッっ?
◆もし、私のランクがバレちゃったら、おとうさん、おかあさんから受け継いだ、大事な宝石、"時限石"が、悪い貴族に奪われちゃう! でも大丈夫だよっ☆ わたしには、クラウンがいるもんッ☆
◆みんなの力を借りて、今日も私は、変☆身よっ! "黄金少女"くるるん☆アンティ♡ みんな、わたしと一緒に、"いんぼりゅ〜〜とぉ〜〜〜〜☆☆☆"!!!
『────表現フィルターに致命的なエラー。
────精神的ストレスに起因する。』
────描写エンジンを再起動します。』
ぽんぽんぽんぱ──ん♪
⚙⚙⚙ しばらくお待ちください ⚙⚙⚙
「これ、カンクル、あんた食べすぎだょっ!」
「かん、くるるっ♪」
((ふるふる))
⚙⚙⚙
大いなる、白い塔が見下ろす街、"ドニオス"。
王都の西に位置する、"王凱四大都市"のひとつ。
その冒険者ギルドのトップ、
ヒゲイド・ザッパーの執務室で、
私たちは、自分たちのこれからを、
話し合っていた。
「……バレたら、終わりっすか……」
「ああ、終わりだな……いろいろ」
「びゃわわわわわわわ……」
ああああ意味わかんねぇ…………。
みんなの英雄、義賊クルルカンは、
1人がけのソファの左右のひじ掛けに、
無理やり頭と両足をはみ出させて、
とても行儀悪く、横になっておりますよ!
「あああああなしてこんなことにぃ……」
「ごめんなさいっ、ごめんさなぃっ……」
ぐうりぐぅり……。
「ちょ、キッティ……」
ソファに寝転んでいる、私のお腹に、
床にぺたんと座ったキッティが被さり、
ちょうど露出している、おへそ周りに、
顔を乗せて、ゴロゴロしている。
おい、やめろ、やめるんだ、キッティ。
こしょばいって。
「……すまない。全ては、俺の確認ミスだ……」
「いっ、いえっ、私が、私がプレートを取り違えさえしなければぁ……」
そう、取り違え。
最下位ランクの"G"と、
最高位ランクの"Gs"。
「……ねぇ、ヒゲイドさん。ギルドマスターが、水晶球で冒険者を調べる時って、どんな時?」
「む、そうだな……"興味を持った"時と、"問題がある"と思った時と、だろうか……」
「私、ドンピシャじゃないのよ……」
義賊クルルカンの格好をした冒険者。
興味ありまくり。
山火事出したり、いきなり消えたり。
問題ありまくり。
「……そうだヒゲイドさん。世界にランク"G"って、何人いるの?」
「いない」
「はぁ?」
「……昨日、いない事がわかった」
「うわ……私のことじゃないのよ」
最悪……つまり、
「……つまり、"Gs"を索引されても、ただの"G"を索引されても、私のランクがバレる可能性がある……」
「うぅ、ぅう……」
「……その通りだ」
ああ、なんて、こった。
ただの、食堂の看板娘には、荷が重いって。
もし、ランクがバレたら、
王様か、貴族かに、
私の身体を調べられる、かも。
────ああ、最悪だ。
「…………」
「アンティ、2つだ」
「……?」
「ひとつ。ギルドカードを捨て、逃げる。違うギルドで偽名で登録すれば、また冒険者を、続けられるかもしれない」
「……ギルマスが言う事じゃないわよ、ヒゲイドさん……」
「ふたつ。かくしとおす。誰にもギルドカードを見せず、あまり姿を表さず、人目を盗み、手紙を配る」
……わぁ、盗賊っぽくなってきたわね。
「夜に配達をするってこと?」
「……嫌なことをきく。お前、例えば、街門が閉まってから、違う街に忍び込んで、手紙を配れたりするか?」
「はは、はは……うん、できるね」
"反射速度"
"力量加圧"
"分析地図"
ここらへんを使えば、多分、どんな夜道、
どんな街門だって越えられる。
「できるけど、やっぱり、夜に忍び込むようなマネは、したくないよ」
「……すまん。許せ」
「はは、いいって……」
「アンティさん……」
…………。
金色の、ギルドカードを、見る。
はぐるまのカタチにあいた、パンチング。
私の、初めての冒険者の証。
…………。
このカード、私、好きだな。
やだな、白くなるの。
「──きめた!」
「「──!!」」
「かくそう! 盗賊らしく!」
「! アンティ……!」
「い、いいんですか……?」
「いいも悪いもないよ! 私、このカード、けっこう大事よ? こんなカッコしてるのに、あなた達が、認めてくれたから、生まれたカード。私にピッタリの黄金。……手放したくないのよ」
「そ、それは……ゴールドスタイルだから、ですか?」
「ん? "色"が気に入ったからよ」
「「…………」」
私への想いが詰まったカード。
とことん、持っててやろうじゃない。
女は度胸、母さんが言ってた。
ふふ、王様には、捕まらないわよ?
「……く、く、くっく」
「ぎ、ギルマスぅ……」
「……アンティ、何かあれば、すぐに言え。全力でフォローする」
「……ありがと」
「キッティ。"クルルンベル"は、目立つ所から外し、お前が持っているようにしろ。アンティに、夜に忍べ、とまでは言わんが、やはり、むやみやたらに居場所を教えるようなベルはいかん。キッティ自身が必要な時を判断し、音を鳴らすんだ」
「は、はい!!」
「きひひ……これで、みんな、悪党の一味、ってワケね?」
「やれやれ、そうなってしまうのかな……」
「あ、あはは……」
……隠れてさ、悪いことするって、ちょっと楽しいよね?
いや、人を泣かせたらダメだけどさ?
…………。
注意は、しなきゃいけない。
油断すると、私自身が危ないのと、
やはり、身元がわれたら、
私をおびき出すための人質に、
近しい人が、囲われかねない。
私は、義賊。
黄金の義賊、クルルカン。
誰にも、正体を知られてはいけない。
クルルカンは、仮面の金に、忍ぶのだ。
「……アンティ。実はな、もうひとつ、話があるのだが──」
…………いやな予感しか、しない。
(*゜∀゜*)え、なに?
どしたん?