カードなおすと、人生つむ さーしーえー
長い……。
あまりにも説明回すぎるので、
カンクル、つっこみます(笑)
なるほど、このやり方でいこう……。
( ✧Д✧) カッ!!
「ど、どどどどどどどどど……!!」
「落ち着け」
「びゃわわわわぁぁああん──!!」
「泣きやめ」
いやいやいやいやいやいや……!!
ないから!!!
ありえないからッ!!!
食堂の看板ムスメが、
最高位"S"ランク冒険者扱いとか、
ありえねぇから────!!!
手元の、金色のギルドカードを、見る。
手が、ガクガクする。
……考えてみて。
「明日から、君がこの世界で、トップね?」
とか言われたら、どうする?
いみわかんないでしょうよぉぉおおぉ………。
「──ムリムリムリムリムリムリムリ……」
「ご、ごめんなさぁいアンティさぁんん!! 私が間違ったせいでぇぇええええ!!!」
「うぇ、キ、キッティが、間違えたの……?」
「だ、だってぇぇえええ!!
ランク"G"も、"Gs"も、全然見たことないカードだったんでずょおおおお!!」
「でずょおおおって……」
ど、どど、どぉなぁいせえっちゅうねん。
ピカッ!
う、うわぁ、光った!
ギルドカード光った! こわっ!
もう恐怖だわ!
あんな気に入ってたのにぃ!
このカード、呪いの仮面レベルだわ!
金色なんてキライよ!!
『────"冷静になって鏡を見て……"と仮面から申告。』
やっ、やかましい!
そんな事したら、目の前が金色になるでしょが!!
胃に穴が空くわッ!!
「ヒッ、ヒゲイドさん!! これ、バレたらどうなんの!?」
「……俺、キッティ、クビ。お前、本当に強いか、調べられる」
うわぁぁあああああああ!!
なんでちょっとカタコトなのよぉおおおお!!
つッ、強さを調べられるとか、
最悪の結果じゃないのよぉおおお!!!
色々ヤバいモンつんでるのよこっちわぁあああ!!
山火事入ってんのよよよよよよよよォぉぉお!!?
「ごッ、ごおぅ、ごおめんなざぃ……アンティざん……! わ、わたじ、アンティさんが強さを、かくじでるの、しってだのにぃ……! こ、こんな、こんな目立ちまくりしまくりやりまくりの結果になっでじまいましでぇ……!」
「いうな……いうなキッティ!! 私、今、考えないようにしてんだからぁ!!」
「いや、そこは考えろよ……やらかした側の俺が言うのもなんだが……」
「も、もうバレてる? に、逃げる? 森で暮らすか? それしか? うわぁぁあどしよ! もぐるか!? 土にもぐるかッ!?」
「落ち着けって……」
「びゃわ〜〜ぁん!! アンディざんがもぐるなら、わだしももぐるぅぅうう〜〜!!!」
「おい……」
遥か彼方の言葉、阿鼻叫喚とは、この事だわ。
「もっしゅもしゅ……くるるぁ……?」
「…………」
「…………」
「ふぅ、やれやれ……」
ちょっと、落ち着きました。
いや、違うわね。
放心、してんのよ。
ソファに、ガックリと座って、
燃え尽きたみたいに、
身体から力が抜けてるわ。
「さっき……言ってた………」
「……ん?」
「作り直せないの? ……ギルドカード」
「……作り直す事はできるが……」
「……が?」
「バレる。確実に、全てが」
「う、う……詳しく、教えて……」
少しだけ。
少しだけ、身体に力が戻り、
ヒゲイドさんに、先を促す。
ヒゲイドさんは、膝の上に肘を置き、
手を組み、話しはじめる。
「……まず、お前の狩った魔物……ソロ討伐記録は、カード移し替えの時、何人かの、お偉いさんの目に通る。その中には、何人か貴族の役人もいる」
「あうとおおおおおぉ……」
「ああ……目を付けられる可能性は、否定できん。単騎精鋭など、貴族に持ってこいの物件だ」
「いぃぃい、やぁああぁ、だあぁぁぁあ!」
ぶっ、け、ん、い、う、な、ぁあ……。
「しかも、15の少女と来たもんだ。能力を子供に継がせよう、とか考えるアホ貴族などいれば……悪い想像しか浮かばん」
「ぐわわわわわわわわぁああ…………!!」
「あ、あ、アンティさんがっ……てごめにっ……!?」
うそぉおおおお。
カードを作り替えるだけで、
そんな子作り計画がっッ……!
「次に、Gsカードを抹消する時、ある人物の許可がいる」
「だ、誰?」
「王だ」
………………。
「──はっ、ははっ、はははははは……」
自分から、こんな乾いた笑いが出たの、
初めて聞いたわ。
「……Sランクなんざ、もはや、国家の宝だ。それを無くすんだ。当然、国の王の許可なく、取り消すことはできない」
Sランクって、そんなにすごいモノなの……。
「……ねぇ、登録した時に、"Gs"だって、バレないの? それって、おかしくない?」
「……今言ったように、いざとなれば、国そのものにケンカ売る行為を、誰も不正にやろうとは思わない。もし、普通にSランクになるのなら、最初に王族に挨拶をかまし、強さを証明してから、ギルドカードを登録する」
「うん? ……てことは何。Sランク……"国家の宝"が勝手に登録されてるのに、誰も気づいていない、ってこと?」
「……アンティ。もし、悪用目的で、ギルドマスターと冒険者が組んで、わざとSランクカードを発行したら、"死刑"だ」
「………………」
「俺たちはもちろん、わざとではない。しかし、そういう事だ。国にケンカ売る行為を、誰も、敢えて、しない。よっぽどアホな悪党でなければな。だから、"そんなこと誰もしないだろ?"という意識があり、監視の目が弱いんだ。登録しただけなら、十中八九、目につかないだろう……」
「……死刑だ、って言葉、頭から離れないんだけど……」
「バレたら俺が謝る。それだけだ」
ヒゲイドさんが、自分でいれたっぽい、お茶を飲む。
今のキッティに、お茶を入れさしたら、
床一面、水びだしになりそうだ。
「……バレる可能性は?」
「……ある。王族、ギルドマスター、一部の役人や貴族は、水晶球等で、ランク別に冒険者を索引できる」
「なにそれ……」
いつでも、調べられるじゃないの……
いつ、バレてもおかしくない……。
最悪、ここから逃げ出さなきゃ。
みんなにも、迷惑がかかる。
「……わたし、ここにいないほうがいい?」
「まぁ待て」
「……?」
「はっきり言うが、バレる可能性は、常にある。アンティ、その時は、ここに残るか、逃げるか、自分で決めろ」
「……あなたは?」
「正直に謝るさ。ハラは、くくっている」
「……ヒゲイドさん」
「ぎ、ギルマスぅうう……!」
「……くっくっく! くっくっくっく!」
「な、なに笑ってんの……」
「い、いや……。逆に、笑えてこないか? ギルマスになって、まさか、こんな事になるとは、夢にも思わなかった!」
「いやいや……クビになるかも知れないのに、何をのん気な……」
「くっく、アンティ。俺は独り身だ。守るべきものは、少ない。それに、身体の丈夫さには、自信がある。今の職を辞めても、畑でも何でも、耕して暮らせるさ。だいたい、俺みたいなのに、ギルマスは向いてないんだ──」
「そっ! そんなことありませんっ! ギルマスは、誰からも一目置かれる、りっぱな、でっかいギルマスですっ!」
「ふん……少しは元気が出たじゃないか、キッティ」
「あ、う、わたし……」
キッティが、赤い目を擦り、また肩を落とす。
しかし、ちょっと泣き疲れたみたいだ。
涙はやっと、止まっていた。
「アンティ。これで俺たちは、運命共同体だ……しかしな、もしかすると、しばらくはバレないかもしれん」
「う、うぇえッ!!? ……なんでよ?」
ヒゲイドさんが、苦笑いをしながら、続ける。
「ここ数十年、Sランク冒険者なんざ、現れたことなどない」
「は、はぁ……」
「──現れない者を、わざわざ調べると思うか?」
「──!!」
ええと、つまり……
「"Gs"ランクなんて、そうそういるはずが無い、めっちゃ強いランクを、わざわざ調べる人は、いない……?」
「ふふ、そういう事だ」
「……街門の通過の時は? あそこにも水晶球があるって」
「名前と職業が、一時的に水晶に表示される。しかし、索引しなければ、ランクはバレない」
「…………」
つ、綱渡りですこと……。
「かん、くるるぁ〜〜!」