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「…………」
「…………」
「ね! にょきちゃん、ブロコロたべる?」
『──にょっき? ……にょにょや……』
少年たちは、
大きなラビットの上で、絶句している。
ラビットの魔物が、一瞬のうちに、巨大化したのだ。
周りにあれだけいた、でんでんリスの大群は、
一匹残らず、姿を消していた。
それはそうだ。
こんな巨体なうさぎ、
生涯、見たことはあるまい。
「ユータ……こいつ、ラビットの王さま、なんじゃないのか?……」
「え……そ、そうなのかな……」
「ねぇ! ねぇ! 大きくなったから、もっとたべれるでしょっ!」
『に、にょにょや……』
「アナ……こんなときによく、やさいを消すことを考えられるね……」
「たいしたやつだな……」
うさぎの王は、大きくなっても、
ブロコロは苦手なようだった。
アナが、王の頭の上から、
野菜を根強く指差していると、
少し離れた所から、
妙な声が、聞こえ始める。
" てぇやんで♪ ちくしょめ♪ "
" っYEAH! っYEAH!"
" てぇやんで♪ ちくしょめ♪ "
" っYEAH! っYEAH!"
「……な、なんだ、この声……」
「う、歌? かな……ち、近づいてくるぞ!」
「あ──! この歌! ここの金ポタタ畑の人だよ──!」
「ええっ!? そうなの?!」
「うん! アナが金ポタタ食べにいっ……いらいをうけてる時にね、よこでずっぅと、あんな歌うたってたんだよぉ!」
" こちとら♪ ちくしょめ♪ "
" っYEAH! っYEAH!"
" あ おれたち 農家ァ──♪ "
" っYEAH! っYEAH!"
「なんなのあの歌……」
「……お前、よくあんなのきいてポタタ食ってたな……」
「うるさかったよ──! あの歌、きいてたら、どんどんはやくなるの──!」
「そ、それはいい! やばいぞ! こんな大きなまものを見られたら、大さわぎだ!」
「まずい! つかまって、たおされちゃうよ!」
「みんなでシチューまつりになっちゃう!」
『──にょッ!? に、にょわわわわわわわ…………!!』
大きな白い身体は、プルプル震えている。
「お、王さま! はやくにげるんだ!!」
『にょ、にょきっとぉおおい────!!!』
────ググッっ!!
大きな白き王は、子供たちを上に乗せたまま、
少し、姿勢を落とした。
「え、え?ちょっと」
「え、え?」
「あ……まさか!」
────ゴッ!!
──ビョォォォォオオオオオンン!!!!
「「う、うわぁぁぁああああ!!!」」
「きゃああああああああ!!!」
白き王は、遥か上空へと、消えていった。
「……OH……! な、なんて、こった……!」
「So cool……!!」
歌が好きな、農家の老夫婦が、
その様子を、下で見ていた。
これが、全ての始まりであった。
『 〜 空ブットびんぐビッグ白たま 〜 』
──Short.Ver.
作詞・作曲「 ビート☆エクセレント農家 」
※間奏20ビョウ
ドゥッ♪ ドゥドゥ♪
( HEY! HEY! )
ドゥッ♪ ドゥドゥ♪
( HEY! HEY! )
ドゥッ♪ ドゥドゥ♪
( HEY! HEY! )
ブルルルルルルルルルゥ……!!
( READY? ────OH─YEAH! )
ミナサマ コンチュア♪
こよいも サニディ♪
HATAKEに くりだす!
ビバ 農家ァ♪ (Oh!)
そしたら メノマエ?
なんだか シロいの♪
おそらに 飛び出す♪
Surprising☆☆☆ (YEAH!)
※
てぇやんで♪ ちくしょめ♪
( HEY! HEY! )
てぇやんで♪ ちくしょめ♪
( YEAH! YEAH! )
こちとら♪ ちくしょめ♪
( HEY! HEY! )
あ おれたち 農家ァ──♪
( WOH──♪ WOH──♪♪)
あんなに デカイの♪
おれらも めざすぜ♪
HATAKEに 根を張る♪
KINN─POTATA──☆ (YEAH!)
となりの カアチャン♪
いまでは ばあちゃん♪
それでも むかしは?
DERA─BEPPINN!! (READY?)
※くり返し
……………………。
────キキキキッ!!
──1匹の、でんでんリスが、
キラキラとした目で、
農具を持った老夫婦を、
見つめていた。
「OH……YOU──……!!」
──キキッ……!
「……ユーハーに、オレ達のBEAT、響いチャったかァ──イ!?」
──キ、キャ────!!!
────この時。
種族の壁を超えた確かな"KIZUNA"が、
彼らの間に、生まれたという。
この老夫婦+1匹は、
この後、カーディフを代表する、
センセーショナルなアーティストに、
のぼりつめてゆくのだ……!
──晩年、彼らは、語った。
" ──あの時、空に消えた、
白い大きなTAMAが、一体なんなのか、
未だに、何も、わからない。
でも、あの日の、神秘的な出会いは、
オレ達にとって、運命だった── "
──出版ギルド刊行「BEATを生み出した者たち」抜粋
⚙⚙⚙
カーディフの街を歩く母と、
抱き抱えられたおんなの子。
「──さてと……あとは、これを買えば、終わりだわ」
「ねぇ、ねぇ、まま──」
「なぁに、レカ? おかあさん、忙しいのよ?」
「とんでる! みみ! とんでる!」
「みみ? ……レカ、耳は飛ばないでしょう?」
「みみ──!! とんでるの────!!」
「……とんでないわ? ママのお耳も、レカのお耳も、ちゃんと付いてるわよ?」
「みみ────!! しろいみみ────!!」
⚙⚙⚙
アナ、ログ、ユータ、白い魔物は、
カーディフの街の、路地裏に隠れていた。
「い、生きてるね……」
「たかいのこわいたかいのこわいたかいのこわい…………」
「おもしろかったね────!!」
「いや、アナ……すごいさけんでたじゃない……」
「にょきちゃん、ちっちゃくなっちゃったね!」
「にょっき〜〜」
「ほんとうだね……」
なんとか無傷で着地した、
子供たちと、ラビットの魔物。
しかし、街門からは、
ずいぶんと、離れてしまっていた。
「まずいな……小さくなってくれたのは助かるけど、ここは街のまんなかあたりだ……見つからずに、外にいけるかな」
「たかいのこわいたかいのこわいたかいのこわい……」
「ちょっと、ログ! あんたしっかりしなさいよ!」
「にょやんや〜〜?」
ユータが、半泣きのログに、
声をかけようとする。
その時だった。
────トッ、トッ、トッ!
────────とん。
「「!」」
「──?」
「──にょ! にょきっと!?」
──そばに、いつの間にか、誰かが、立っていた。
「……ようやく、見つけましたわよ、"うさ丸"──」
「「!!?」」
「う、う?」
「にょああ〜〜!!!」
クリーム色のローブの、フードを被った者。
風に揺れるローブから、チラリと、
大きな鞘が、見えた。
( º дº)<……)
作者の脳ミソ、どうなってんの……?
↑おまえや
(*」゜∀゜)」HEY!HEY!
YEAH!YEAH!










