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 " / " ⑤

 

「…………」

「…………」

「ね! にょきちゃん、ブロコロたべる?」

『──にょっき? ……にょにょや……』


 少年たちは、

 大きなラビットの上で、絶句している。

 ラビットの魔物が、一瞬のうちに、巨大化したのだ。

 周りにあれだけいた、でんでんリスの大群は、

 一匹残らず、姿を消していた。

 それはそうだ。

 こんな巨体なうさぎ、

 生涯、見たことはあるまい。


「ユータ……こいつ、ラビットの王さま、なんじゃないのか?……」

「え……そ、そうなのかな……」

「ねぇ! ねぇ! 大きくなったから、もっとたべれるでしょっ!」

『に、にょにょや……』

「アナ……こんなときによく、やさいを消すことを考えられるね……」

「たいしたやつだな……」


 うさぎの王は、大きくなっても、

 ブロコロは苦手なようだった。

 アナが、王の頭の上から、

 野菜を根強く指差していると、

 少し離れた所から、

 妙な声が、聞こえ始める。



 " てぇやんで♪ ちくしょめ♪ "

 " っYEAH(ヤ──)! っYEAH(ヤ──)!"

 " てぇやんで♪ ちくしょめ♪ "

 " っYEAH(ヤ──)! っYEAH(ヤ──)!"



「……な、なんだ、この声……」

「う、歌? かな……ち、近づいてくるぞ!」

「あ──! この歌! ここの金ポタタ畑の人だよ──!」

「ええっ!? そうなの?!」

「うん! アナが金ポタタ食べにいっ……いらいをうけてる時にね、よこでずっぅと、あんな歌うたってたんだよぉ!」



 " こちとら♪ ちくしょめ♪ "

 " っYEAH(ヤ──)! っYEAH(ヤ──)!"

 " あ おれたち 農家ァ──♪ "

 " っYEAH(ヤ──)! っYEAH(ヤ──)!"



「なんなのあの歌……」

「……お前、よくあんなのきいてポタタ食ってたな……」

「うるさかったよ──! あの歌、きいてたら、どんどんはやくなるの──!」

「そ、それはいい! やばいぞ! こんな大きなまものを見られたら、大さわぎだ!」

「まずい! つかまって、たおされちゃうよ!」

「みんなでシチューまつりになっちゃう!」

『──にょッ!? に、にょわわわわわわわ…………!!』


 大きな白い身体は、プルプル震えている。


「お、王さま! はやくにげるんだ!!」

『にょ、にょきっとぉおおい────!!!』


 ────ググッっ!!


 大きな白き王は、子供たちを上に乗せたまま、

 少し、姿勢を落とした。


「え、え?ちょっと」

「え、え?」

「あ……まさか!」



 ────ゴッ!!


 ──ビョォォォォオオオオオンン!!!!



「「う、うわぁぁぁああああ!!!」」

「きゃああああああああ!!!」


 白き王は、遥か上空へと、消えていった。





「……OH……! な、なんて、こった……!」

「So cool……!!」



 歌が好きな、農家の老夫婦が、

 その様子を、下で見ていた。

 これが、全ての始まりであった。







 『 〜 空ブットびんぐビッグ白たま 〜 』

 ──Short.Ver.


 作詞・作曲「 ビート☆エクセレント農家 」


 ※間奏20ビョウ

 ドゥッ♪ ドゥドゥ♪ 

( HEY! HEY! )

 ドゥッ♪ ドゥドゥ♪ 

( HEY! HEY! )

 ドゥッ♪ ドゥドゥ♪ 

( HEY! HEY! )

 ブルルルルルルルルルゥ……!!

( READY? ────OH─YEAH! )


 ミナサマ コンチュア♪

 こよいも サニディ♪

 HATAKEに くりだす!

 ビバ 農家ァ♪ (Oh!)


 そしたら メノマエ?

 なんだか シロいの♪

 おそらに 飛び出す♪

 Surprising☆☆☆ (YEAH!)


 ※

 てぇやんで♪ ちくしょめ♪

( HEY! HEY! )

 てぇやんで♪ ちくしょめ♪ 

( YEAH! YEAH! )

 こちとら♪ ちくしょめ♪

( HEY! HEY! )

 あ おれたち 農家ァ──♪

( WOH──♪ WOH──♪♪)


 あんなに デカイの♪

 おれらも めざすぜ♪

 HATAKEに 根を張る♪

 KINN─POTATA──☆ (YEAH!)


 となりの カアチャン♪

 いまでは ばあちゃん♪

 それでも むかしは?

 DERA─BEPPINN!! (READY?)


 ※くり返し






 ……………………。




 ────キキキキッ!!


 ──1匹の、でんでんリスが、

 キラキラとした目で、

 農具を持った老夫婦を、

 見つめていた。


「OH……YOU──……!!」


 ──キキッ……!


「……ユーハーに、オレ達のBEAT、響いチャったかァ──イ!?」


 ──キ、キャ────!!!




 ────この時。

 種族の壁を超えた確かな"KIZUNA"が、

 彼らの間に、生まれたという。


 この老夫婦+1匹は、

 この後、カーディフを代表する、

 センセーショナルなアーティストに、

 のぼりつめてゆくのだ……!



 ──晩年、彼らは、語った。



 " ──あの時、空に消えた、

 白い大きなTAMAが、一体なんなのか、

 未だに、何も、わからない。

 でも、あの日の、神秘的な出会いは、

 オレ達にとって、運命だった── "



 ──出版ギルド刊行「BEATを生み出した者たち」抜粋





 ⚙⚙⚙




 カーディフの街を歩く母と、

 抱き抱えられたおんなの子。



「──さてと……あとは、これを買えば、終わりだわ」

「ねぇ、ねぇ、まま──」

「なぁに、レカ? おかあさん、忙しいのよ?」

「とんでる! みみ! とんでる!」

「みみ? ……レカ、耳は飛ばないでしょう?」

「みみ──!! とんでるの────!!」

「……とんでないわ? ママのお耳も、レカのお耳も、ちゃんと付いてるわよ?」

「みみ────!! しろいみみ────!!」




 ⚙⚙⚙




 アナ、ログ、ユータ、白い魔物は、

 カーディフの街の、路地裏に隠れていた。


「い、生きてるね……」

「たかいのこわいたかいのこわいたかいのこわい…………」

「おもしろかったね────!!」

「いや、アナ……すごいさけんでたじゃない……」

「にょきちゃん、ちっちゃくなっちゃったね!」

「にょっき〜〜」

「ほんとうだね……」


 なんとか無傷で着地した、

 子供たちと、ラビットの魔物。

 しかし、街門からは、

 ずいぶんと、離れてしまっていた。


「まずいな……小さくなってくれたのは助かるけど、ここは街のまんなかあたりだ……見つからずに、外にいけるかな」

「たかいのこわいたかいのこわいたかいのこわい……」

「ちょっと、ログ! あんたしっかりしなさいよ!」

「にょやんや〜〜?」



 ユータが、半泣きのログに、

 声をかけようとする。


 その時だった。




 ────トッ、トッ、トッ!


 ────────とん。


「「!」」

「──?」

「──にょ! にょきっと!?」



 ──そばに、いつの間にか、誰かが、立っていた。




「……ようやく、見つけましたわよ、"うさ丸"──」




「「!!?」」

「う、う?」

「にょああ〜〜!!!」






 クリーム色のローブの、フードを被った者。



 風に揺れるローブから、チラリと、



 大きな鞘(・・・・)が、見えた。














( º дº)<……)

作者の脳ミソ、どうなってんの……?

↑おまえや


(*」゜∀゜)」HEY!HEY!

YEAH!YEAH!

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― 新着の感想 ―
[一言] 初期の頃から存在に気付いていたのに積ん読していた我が身の不明よ…。
[一言] いいノリでした。 先ほどの★のことですが、じじいのある琴線に共鳴しただけです。 なのでぇ 捨ておいてください。<m(__)m>
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