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現在、縦書きアプリ用に「…」を修正中……。
ただ、皆さんわかってるように、
この小説、がっつり横向き推奨です。
(●´ω`●)にょきっとなぁ─!!
「あわわわわわわ……」
……ん?
「あわわわわわわわわ……」
…………んん?
「うさ丸、どこいったぁぁあああん!」
「……ちょっと、ヒキ姉……何してんのよこんなトコで」
「──げっ! あ、アンティ……」
「え、今、"げっ"、って言った?」
試験終わりの下校中に、
狼狽している羊さんを捕獲した。
羊なのになぁ……。
「あ、アンティ。今さいしょに、私の事を、なんと?」
「え、あ! ヒ、"ヒキ姉"って……ごめん」
「……ヒキ姉……」
あ、やば、なんか自然にでちゃった。
……いきなり、馴れ馴れしかったかな?
羊でも、王都"剣技職"部隊の副隊長さんだもんな……。
「ありですわね……」
「ええっ、意外……なんか、"ひき肉"みたいじゃない?」
「人が気に入ってるのに、なぁんて事をいいますの? この金ぴか娘は!」
「きひひ……あ!! ちょっと! このカッコだけどさ!」
「おお、どうでしたか?」
「散々だったわよ! 周りから腫れ物扱いだったわ!」
『……────。』
「腫れ物……? アンティ、具体的には、どんなふうだったんですの?」
「全員敬語だったわ」
「…………」
「あと、殴ると、お礼を言われたわ」
「! …………」
「後ろを振り返ると、全員、机か、天井を見てるのよ……」
「…………──ああ……」
「あによ、なんか、言いたい事あんの」
「アンティ。あなた、"トータル・コーディネィト"という言葉の意味を、存じてらして?」
「と、とたる? なに?」
「いえ……アンティ、簡単に言うとですね……」
「?」
「あなたの今の姿は、"破壊力"がすごいんですよ……」
「はぁ……?」
「砂糖の中に、シロップを入れたらどうなります?」
「へ? あ、あまあま……?」
「おそらく、あなたのご学友は、そこにさらに、蒸した金ポタタを突っ込んだ感じですわ……」
「……なに言ってんのあんた……?」
「はぁ……まさか、無自覚とは……お姉さんは心配です……」
「……なに言っとるかわからんが……奇遇ね? 私も心配なコトが、ひとつあるのよ」
「な、なんですか?」
「ねぇヒキ姉⋯⋯、────うさ丸、どこいった?」
「う、う、ううううううううううう────!!」
あによ。
あなた、羊さんでしょ?
せめて、メェメェ鳴きなさいよ……。
⚙⚙⚙
「…………」
「…………」
「は〜〜い、にょきちゃん、あ〜〜ん!」
「にょ、にょきっと……」
───ゴッ。
ダイコンは、杭のように、
うさぎの魔物に刺さっている、ように見える。
「あ、アナ……大きすぎるよ……」
「おまえ、自分がやられたときのことをかんがえろよ……」
「なに言ってるの! 自分がやられないように、たべさせてるのよ!?」
「お前、やさいたべろよ……」
「うん……そうだね」
「に、にょ、にょきっとぉおおおおお!!!」
──しゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃく!!!
「わ────!! すごいすごい!」
「ユータ……どうするよ」
「うーん、この"まもの"……金ポタタは、たべないみたいだしなぁ……」
「でも、"まもの"だぜ?」
「そ、そうだね。"ラビット"ってやつだと思う……こんな手をしてないはずだけど……」
「あ──!! アナ知ってるよ! "白たま肉のシチュー"だ!」
「「え?」」
「さむいときにね、アン姉ちゃんの家で出るんだよ!」
「え! 白たま肉って、あの?」
「お、おいしいよな……アレ……!」
(((チラッ……)))
「にょ、にょにょにょにょにょぉ……!」
ブルブルブルブル……!
「……かいとってくれるかな?」
「「どこで!?」」
「え? アン姉ちゃんの家!」
「にょぅおぅおぅおぅぉう……!」
ガタガタガタガタ……!
「……アナ、肉ばっかたべてちゃダメだって……」
「そうだぞ? おまえ、このやさい、たべたくないヤツ、あつめてきただろ」
「な、なによぉぉおお────!!」
「ユータ、こいつ、そんなにわるい"まもの"には見えないんだよな……」
「そうだね。やさいをたべる"まもの"みたいだし、ぼくらにたべられちゃうようなヤツのなかまみたいだし……」
「わ────みみ、やわらか──い!」
「にょんにょん!」
「……そとに、にがしてやろうか」
「……そうだね、そうしよっか」
「あ、でも、水引き門は、もうかってに、あかないんだろう?」
「ああ、そっか! ぼくがあそこから出ちゃったから、カギがついたんだ……ちぇ。あそこなら近かったんだけどな……」
「くく、あんなことするからだよ」
「うっ……」
「はは、じょうだんだ! なぁ、こいつをまちの門までつれていくやり方をかんがえようぜ」
「う、うん! そうだね!」
「うわぁ、おっきい手だねぇ〜〜!」
「にょきっとなぁい☆」
⚙⚙⚙
「もっかいいって」
「アンティ、あのですね……」
「もっかいいって」
「…………」
私の目の前に、金髪ロングストレートの、
黄色いワンピースを着た美少女が立っています。
目が黄金色にギラギラしているのは、
生まれ持ったものでしょう。
決して、激怒しているからでは、ありませんわ。
「あのですね、本屋さんで、料理の本を見ていてですね……」
「それで?」
「"今晩は、ラビットのシチューなんか美味しそうですね"、と呟いたら……」
「ふむふむ」
「ぴよ──ん! と、飛んでいっちゃいました……」
「ふぅ──ん……」
「あ、あははははははは……」
「……ねぇ、ヒキねーぇ?」
「……は、はい……」
──すぅうううううううぅ……。
「おっっ、バカあああああああああッ────!!!!」