表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/1216

アンティ無自覚無双 さーしーえー

 

 ──なんだ?

 ──なんだ?

 ──なにかが、おかしいぞ?


 なんでこんなに、静かなの?

 教室に入った瞬間、バカにされると思ってたのに……。


「……あんてぃ、きてぃら、さん?」

「だからそうだっつってんでしょうよ……」


 あ、やば……。

 先生にえらい言葉使いを。

 うう、だって、何回、名前きくのよ……

 何、一ヶ月来なかっただけでこれですか。

 泣いちゃうよ、私……。


「……席、なんか前と違いますね。どこですか?」

「あ、ええ、その、あそこの空いている所に……」


 先生が、だいたい真ん中くらいの席を指さす。

 ……あそこね。


「わかりました。遅れてすみませんでした」

「はい……」


 うう……。

 いいもん、いいもん!

 忘れ去られてたって、悲しくないもん!

 ぐぐぐぐ……。


 タントン、カントン。


 座席の階段を、登る。

 ワンピース……もう慣れたわね。

 スースーするけど、動きやすいわ。

 ん? なんだ? こいつら。

 足もと見てんの?

 ん? なんか落ちてんの?

 ちょっと止まって、座席の階段を見る。

 ……? 何もないわよ?

 また前を見る。


 ──ババッ!!


 な、なんだ……?

 一瞬で、目を逸らしやがった……。

 なんで両サイド、全員反対方向に

 向いてんの?


 ウチの学校の座席は、角度がついている。

 階段の脇から、座席の間に入るのだ。

 一つの席は、5人掛けの、大きな扇型の机。

 うへぇ……ほんとにド真ん中ね……。

 2人、椅子を引いてもらわなきゃ……。


「ちょっとごめん、椅子ひいて」

「は、はい!」

「すいません!」

「はぁ?」


 あんたら、何それ……。

 バカにしてんの?

 いつも、魔無しアンティとか、金さじとか、

 さんざん言ってたでしょうよ。

 何なんだ、いったい……。


 よい、しょっと……。


 席は、左がミーハ、右がムッツだ。

 あまり物が入っていない鞄を机にしまう。


 よっこらしょっと。


 おお、ワンピースいーわね!

 涼しいな。

 ショートパンツ、これと比べると、

 けっこう、ごわごわしてたんだな。

 今度、アブノさんの店で、色の地味なやつ、

 見せてもらおう。

 あ、ヨロイの素材、言われなかったの、忘れてた。

 最初にドア、蹴破らなきゃ。


 んん?

 ……なんだ? この違和感は?

 ……うしろ?

 ────振り向く。


 ザザッ!!


「…………?」


 なんでみんな机見てんの?

 答案まだきてないでしょ?

 なんだ? イジメか……?

 私は泣いたらいいのか……?


 前を向く途中、右の席にいるムッツと目が合う。

 サッと、前を向かれた。

 おいコラ……ん?


「……ムッツ、あんた顔、けっこう赤いわよ? 風邪?」

「だ、だいじょう()です!」

「ああ? なんだそのクチのきき方……?」

「す、すみませんッ!!」

「いや、それをやめろって言ってんのよ……」


 なんか震えだしたので、とりあえず前向いた。

 いや、こいつ、だいぶ体調悪いわ……

 さっさと保健室いけよ。うつんだろが……

 回復職(ヒーラーズ)の人、誰かいるわよね……。


「うわぁ……!」

「ん? うぉっ……」


 左のミーハから声が聞こえたので振り返ると、

 こいつも顔が赤かった。

 ちょっと! 風邪、大流行してんじゃないの!


 "ふふ、今はこれが流行ってんのよ、遅れてるわね! 金さじ!"


 とか言われて、前はけっこう鬱陶しかったけど、

 ここまで顔が惚けまくってると心配になるわね……

 流行り好きでも、風邪にはなんなよ……。

 ……なんだ?

 何見てんだ、こいつ?

 肩?

 私の肩か?


 ────さらぁ


 顔の動きで髪を流し、

 自分の左肩を見る。

 ……なんもついてねぇな。

 …………?

 …………。


 ────スパァン!


「いっ」


 ずっとミーハがこちらを向いてるので、

 左手で軽くデコをはたいた。

 同性だからできる攻撃。


「おい、気をしっかりもて」

「──あ、ありがとうございます!」


 ど、どうした、こいつ……。

 デコをはたいて感謝されたのは、

 15年の人生で初だわ……!


 な、なんだ?

 私なんかしたか?

 なぜ皆、敬語っぽいの?

 怖がられてるの?

 ドニオス行ったから、

 腫れ物みたいになってんのか?

 ……ぐすん。





『────アンティ。"無問題(モウマンタイ)"という言葉を、知っていますか?』


 ……クラウン。

 あんたの言葉は、半分くらいは分かんないわ……。


挿絵(By みてみん)



 

 試験中は集中して受けていた。

 試験はかなり手応えがあった。

 怖かったのは、試験が終わってから、

 まっっったく誰も喋らなかったので、

 私は怪奇現象がおきている教室から、

 そそくさと、さよならする事にした。









「おい、なんで話しかけなかったんだよ……」

「あれはムリ、あれはムリ……」

「髪ほどいた金さじやべぇ……」

「私、あんな妹ほしい……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ