がっつりおべんきょうかい
いいわけ回です。
さぁみんな!
ディスる用意は、いいかなぁー!?
((((;TДT))))
カリカリ……
シャリシャリ……
「にょむにょむ」
私、お勉強中です。
ヒキハさん、うさ丸との3人で、
あ、うさ丸……まぁ、3人で、
コガネリンゴをかじっております。
バッグ歯車に起因する、なんちて。
うさ丸は、なんとか父さんらに食べられずに
すんだみたいだ。
あ……リンゴ、あげて大丈夫かな。
糖質多いよね。
あ、ダメだ、半分食ってるわ。
……いいか、うさ丸だし。
一回り、丸くなるだけだろ……。
ペラ……
シャリ……。
私は机で苦手科目をしているが、
ヒキハさんはベッドに腰掛け、
例の本を読んでいる。
これも、バッグ歯車から出したヤツだ。
「"バールモンキーでもわかる宝石・鉱石辞典"……ですか。ふふ、皮肉めいた題名ですが、どうしてなかなか、わかりやすい。研修時代に、この本が欲しかったですわ」
「……その本の、あの項目を見つけた時、朝まで放心してたわ」
「……お察しします」
ボトン、という、紙の束を一気にめくる音がする。
多分、さっき、最初に読んでいた、
本の最後あたりのページを開いてる。
「"時限結晶"の項目……先ほども読みましたが、かなり詳細に綴ってある……よい本ですね」
「あんまりいい印象ないんだけどねー」
カリ、カリカリ……ボキ。
あ、鉛筆おれた……。
なんでやねん。
辞典の呪いか。
「……"時限"。ふふ、変なの」
「……なにが?」
「え? ああ……というか、勉強中でしたわね。ごめんなさい」
「え? いや、気になるから言ってよ」
「……アンティ。あなた、時限石の、"時限"の意味、おわかりになりますか?」
「へ?」
今まで机とにらめっこだったが、
唐突の質問に、横に振り返る。
「……"時"……"限"じゃないの?」
「……そうです。時限石は、物質を収納できますが、"時間は経過"します。時は、限られているんです。食べ物が、良い例ですわね。入れて、運べますが、いずれ、腐る。剣などのサビを抑えるのには、よいのですが……」
ヒキハさんが、
食べかけのリンゴを見せて、言う。
「"時限石"という言葉は、実は、けっこう皮肉めいています。"色々しまえるけど、時の流れは、ぜったいに止められない、限りがあるんだよ"ってね? ふふ、この辞典の題名といい勝負ですわ」
何を突然、当たり前のことを……。
「そんなの、学校で習ったことそのままじゃないの」
「いや、だから、アンティ……じゃあ、"時限結晶"、は?」
「え? ……あ」
「"限り"なんて、ありますか?」
「あ、あ────……!」
ほんとだ。
へんなの。
どゆこと?
「もぅ、それくらい、話の流れで、おきづきなさいな」
「ぶぅ」
「ぶ、ぶぅ? ……多分ですが、これは、"言葉が追いついていない"んだと思います」
「はいぃ? と、というと?」
「史上で、時が停止、容量も無限の結晶は、見つかって無いことになっています」
そりゃそうだ。
私がここに隠してるもの。
「歴史にでない物に、正しい名称は付きませんよ。この本の中の、紫の結晶がほんとにあったとしても、どうやら、容量のほうには、限界があったようですし」
「……名称……」
その時なぜか急に、
以前の、クラウンの言葉が、思い起こされた。
確か、"状態分析で表記される名前って、どうやって決めてるの?" みたいな話になって────……
"────解。"状態分析"で表記する名称は、第三者が受ける印象を予測変換して決定されます。大衆概念に起因する。"
「……大衆概念に、正しい能力の印象が、ひろまっていない……?」
「──! なかなかマトを射た事を言いますわね。その見解で、よいと思いますよ?」
いや、だって。
クラウンが見せてくれたスキルのリストにも、時"限"結晶って書いてあるし……。
もしかして、時限結晶に"鑑定"の魔法を使うと、正しい名前が出たり?
いや、教会に持っていくとか、そんな恐ろしい事は、できんけども……。
「それに、もう一つ気になる記述が……」
「え、何よ……」
「紫の時限結晶は、"ダンジョンの最終階層にて、"黄金の龍"を倒した後、ドロップした"……」
「ああ、書いてあったわね?」
「"黄金の龍"……"捕食"……"ドラゴンの取り返したいもの"……まさか」
「え、え? なんて? もっと大きな声で────」
──スパコ───────ン!!!
「「わっ!?」」
なんだ!
なんの音だ!?
……ん?
ゴミ箱が揺れている……?
「に、にょむ……」
………………。
「……うさ丸。あんた、リンゴの芯、投げたでしょ」
「にょむむ……」
にょむむ、じゃないわよ。
いや、捨てんのはいいのよ。
ただあんた、
そんな、おもっくそ投げたら、
汁とか、飛び散りまくるでしょうが……。
「に、にょや、にょや……!」
ごそごそ……!
うさ丸が、自分の毛の中に、
手を突っ込んでいる。
「? あんた何やってんの?」
──スポッ!
「にょや!」
毛の中から、引っ張りだした"何か"を、
……私にくれるの?
受けとる。
「…………」
「…………それは?」
────────"赤い、はぐるま"。
『────分析完了。
────アイテム名【──……』
「いや、クラウン。いい、わかる」
『────……。』
「これまでの流れから予想するに……
"ほのおどらいぶ"……でしょ?」
『……────大正解です。』
うわああああああああ!
ファイア・エレメントから、ドロップしてやがったかぁぁあああああ!!
「? アンティ、その歯車は?」
スッ、と、赤い歯車を、うさ丸に差し出す。
「うさ丸! 元の場所に捨ててきなさい!」
『────ぇ、アン、ちょ。』
──ええい!
こんなもんがあったら、
またバッグ歯車内で、
魔物が発生してしまうわぁあ!!
ポイじゃ!
ポイポイはぐるまじゃぁあああ────!!!
「え、何、なんなんですの……?」
「にょあ! ……にょあ!」
「んん……?」
─────────────────────────────
うさ丸が、赤い歯車を、ジッと見ている……
あげますか?
▼はい
いいえ
─────────────────────────────
「……持ってゆくがよい……」
「にょや〜〜♡」
うさ丸に、赤い歯車をわたすと、
自分の、まん丸ふわふわしっぽに、通していた……。
え……そこなの……?
うさ丸は、とても、ごきげんだ。
しっぽをフリフリしている。
「……私、ダンスをするラビットの魔物を、初めて見ましたわ」
「私もよ……」
「にょ♪ にょ♪ にょきっとなぁ〜〜♡」
『────分析完了。
────アイテム名【 ほのおどらいぶ 】
────装備型デバイス
────特殊能力:炎無効
────装備条件:Lv.100
────教えたほうが、よいのでしょうか……。』