暴走羊 vs 黄金少女
どうしよう。
"時限"と"次元"を取り違えてたなんて、
今さら言えない(笑)
感想で、さりげなく教えてくれてた人たち、
ありがとごめぬな。
よし、このふたつの意味が、
超ひっくり返る事を祈ろう!←え
((((;゜Д゜))))
私の装備しているヨロイスーツは、
予想以上に、ぶっ飛んだ物だった。
まじまじと自分の足や、腕を見る。
ヒキハさんは、力が抜けたように、
ベッドに腰掛けている。
「はぁ……まぁ、ありがと、ヒキハさん。自分の身につけている物が、どんなものか……よぉく、わかったわ」
「…………」
「? ヒキハさん?」
ん……?
なんだ?
膝の上で手をプルプルしてらっしゃる。
ど、どないしたん……。
「あの……? ヒキハさん?」
「な、な、なんて……」
「んん……?」
「なんて……むごいことを……」
「へぇ?」
「あなたッっ!あなたは!! ……こんな危険なものを、何も知らされずに、着せられていたのですか!」
「ふぁっ?」
……おっと?
これは、まさか。
ま〜さ〜か〜の〜〜??
……きたか? "かんちがい羊"。
「え、え〜〜っと、落ち着いてヒキハさん?」
「これが落ち着いていられますか!! あなた、まだ学生の身分なのでしょう!? 確かに、このヨロイは、絶妙な技術で組み上げられています! この世の尊い物を、陰から守るために、このチカラは必要だったのでしょう!」
いや……このヨロイは、変態が、己の欲望と情熱をかけて、稼ぎ溶かして作ったキワモノ装備だって……。
「しかぁし、このような、いつ暴走するかもしれない物を、何も知らさずに、あなたのような少女に託すなど……あまりにも、非人道的ではありませんか!!」
「あ、それは同意」
──あの変態、次にあった時、おぼえとれよ?
「あなたのような、……あなたのような子どもが、様々な任務をこなすなど、しなくてもよい苦労ではありませんか!」
「ムッ!!」
子ども言うたな。
改めて言われるとな!
ちょっとムッときたで!
この人の頭の中では、
私は、秘密の組織の一員だったわね。
なにそれこわい。
え〜〜っと……
「……アンタねぇ、私の裏の仕事には、口出さないって言ったでしょうよ! こっちも、色々やるべき事をやるのに、このヨロイはいるのよ!」
「しかし、それを、わざわざあなたがする事はないでしょう! 学校があるといいましたね! 試験があると! わかりますよ! 卒業するためだけに、試験のみを受けるつもりでしょう!」
はぁぁああああああ!!?
ムッかぁぁぁ────!!!
こんの羊、人の事情も知らないで……!!!
私みたいな魔無しは、あそこに居場所ないのよ!?
どんな思いで試験だけ受けると思ってんの!!?
「ッんなことアンタには関係ないでしょうよ! ほっといていただきたいわね!! 私は私の人生を真剣に考えてるわ!!」
「本分の学業を疎かにして、危険な任務にいどみ、生命の危険をおかして、それがあなたの人生ですか!」
「おまえッ! 何も知らずにッ!!」
勝手に勘違いして盛り上がりやがって〜〜!!!
「──あなたのその姿、ご両親は存じ上げてらして?」
「──は? いま、何つった?」
「その姿、知っているのですか?」
「────────」
「……そうですわよね……」
ガバッ────!!
お、おい羊よ、いきなり立って、
どうするつもりだ。
「ちょっと……!」
「教えて差し上げます」
「──はあぁ??」
スタスタスタ……
横、通り過ぎる。
えっ、えっ!?
「教えるって、なにを!!」
「ご両親に、全て」
「────はぁぁああああああ!!?」
ヒキハさんがドアに近づく!!
ちょ、ちょ! ふざけんなッ!!
ガッ────!!
「な!? 離しなさい!?」
「離すかっ!? アンタなんのつもりよ!!?」
「娘さんが、クルルカンのカッコして、英雄を気どっていると、言ってやりますわ!!」
「おまえッ、ふざ、けんなって、この!!」
後ろから、羽交い締めにして、
ヒキハさんをドアから遠ざける。
背は私の方がひくいから、持ち上げられない。
でも、今はクルルスーツを着ているから、
力では負けない。
「こらっ! あっ!」
「わととあッ!!」
ドスンっ!!
後ろのベッドの上に、
2人で後ろ向きに倒れる。
ヒキハさんの髪の下敷きになった。
ぷぁっ! モワモワする。
「ちょっと、離して!」
「なんなのよっ! やめてってば!」
──グイッっ!
また立とうとするので、
片手を持って、少し強く引っ張ってしまった。
うわ、やば、ちょっと力強すぎたか……!
ヒキハさんが、バランスを崩し、
今度は覆い被さるように、私に被さる。
ゴッ。
頭同士、あたった。
「いっ、たぁあああ〜〜!!」
こんの羊、マジで、勘弁して……。
ヒキハさんは、まだ、覆い被さっている。
「ちょっと、アンタほんとにいいかげ──────」
「………ぐっ、うぅ、グス……」
「────え……?」
肩を、震わせている。
肩を、掴まれている。
顔を私の右肩に埋め、
小刻みに震えている。
泣いていると気づくのに、けっこうかかった。
あっはっはっはっは!
なんか笑えてきた(*´罒`*)