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ひみつのじょしかい

 

「……"ドラ、ゴ、ン"……? "ソウル、シフト"……?」

「はぁ……やはり、知りませんでしたか……」


 色々、話したいことはありますが、

 と、前置いて、ヒキハさんがまず

 教えてくれたのは、

 私のヨロイの事だった。


「正直に申し上げます。あなたが、なんで(・・・)死んでいないのか(・・・・・・・・)、私は、本当に疑問ですわ……」

「な、な、な……!」



─────────────────────────────


 〇 以下の公式を、おぼえましょう 〇


【"捕食"の(ヨロイ) × 着用

        = 人生終了のお知らせ】


─────────────────────────────



「あ、あ、あ……」

「あ?」


「あんのぉへぇんとぁいいぃぃ、(ナニ)してくれとんのじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ────────ぃ!!!!!!!!」


 ──ひみつのじょしかい、はじまりました。





「アンティさん。確かに私は、色々聞きたい事があります……でも、その前に、あなたの健康が、心配ですの」

「ヒキハさん……」


 それで、あの時、

 あんなに心配してくれてたのか。

 私の手足が喰われてると思ったんだね。

 いや、口には含まれてるけんども。


「でも、私、別に異常を感じたこと、ないよ?」

「それが不思議なのです……アンティさん、申し訳ないのですが、もう一度、あのヨロイを着てみてはくれませんか?」

「う……」


 そんな風に、純粋な気持ちで見られると、断りきれん……


「……クラウン、仮面はいい」

『────レディ(準備完了)。』


 きゅいいいいん────ん!


 ────グゴォオオオオオオン……!!


 カシャカシャ、カチン。


 ほぼ、同時に喰われる手足。

 浮かび上がる、黄金の四肢。

 ナックルと、胸囲の装甲が、

 最後に構築され、とまった。


「…………」

「……感想は?」

「……まるで魔法ですよ、それは」

「何言ってんの。あなた、風の魔法使いでしょ?」

「おとぎ話の中の、という意味ですわ」


 ヒキハさんが、ベッドから立ち上がり、

 こちらに近づく。

 目の前で、立ち止まる。


「触っても?」

「お好きに」


 しゃがみこみ、少し戸惑い、手を触れる。

 両手で、包み込むように。


「冷たい所と、温かい所がありますね」

「そうなの? 気にした事なかったわ」

「この、少し露出している、赤い部分……!」

「うん、たぶん、筋肉(・・)

「……痛くは?」

「ない。全く」

「……ふむ」


 そそそ……


 ヒキハさんが、赤い部位を指でなぞる。


 このヨロイの筋肉? は、装甲の内側を、

 ことごとく、埋め尽くしている。

 私の身体中に、()(めぐ)らされているのだ。


 考えたら、このヨロイのスキルは、

 "力量加圧(パワーアシスト)"だ。

 筋肉まみれってのは、納得かも。


「……この筋組織、胴体の中心に集まっていますね」

「そりゃ、全身くまなく肉まみれだから、手足から、胴に繋がると思う、けど……」

「……! アンティ、この、胸の装甲は?」


 む……また、呼び捨てだ。

 なんか、呼び方が安定しない。

 興奮すると、なるみたいだ。


「そこが変なの?」

「ここだけ恐らく、素材となった魔物が違いますの」

「あ……そうね、白っぽいもんね。この乳、この装備の中で、一番硬いらしいよ?」

「……!! ドラゴンより硬い装甲、ということですか!?」


 ぅおう。

 いきなりビックリしないでよ。

 ビクッ、ってなったじゃないのよ……。


 ヒキハさん、乳装甲をガン見である。


「ねぇ……このヨロイ、ほんとにドラゴンでできてるの? そんなの、私からしたら、伝説の魔物みたいなもんだよ?」

「いや、あなた……手足全部、"捕食"されておいて、なにをのん気なことを……」

「でも私、さっき言ってた、"ドラゴンが取り返したい物"なんて持ってないし……ほんとにドラゴンなら、喰い尽くされてると思うんだけど……」

「ふむ……ドラゴンを凌ぐ、上位素材……なるほど……」


 ……聞いちゃいねぇ。

 な、何かを納得していらっしゃる……。


 ──さわさわ、さわさわ。


「……アンティさん、恐らくですが、この装甲があることによって、"捕食"が抑制されているんですわ」

「えええ!? ドラゴンが、乳で抑制ッ!?」

「あ、あなたさっきから乳、乳、言い過ぎですわよ! もっと表現を選んでくださいませ!」

『────同感です。』


 ぐ……!

 味方がいないじゃないのぉぉ……。 


「な、なんでこの装甲のせいで、私が喰われなくなってるの?」

「心臓を、守っているから、ですよ」

「?」

「この装甲が、何で出来ているかはわかりません。ただ、手足の"捕食"は、間違いなく、身体の中心に向かっていくんですの。そこに、この装甲がある」


 キン、と、ヒキハさんが、

 私の心臓の当たりの装甲を、指でつつく。

 ええと、つまり……。


「……"ビビって、喰えない?"」

「……的確な表現ではあります」


 な、なによ、その目は……


「でも、この装備を作った人、私のおっぱいに合わせて、この装甲、打ち直したのよ?」

「な、なんですか、その人……!? 伝説の鍛冶職人かなんかですの……?」



 いや、伝説級の変態よ……


 ていうか……

 こんな紙一重で喰われるような装備、

 乙女に着せんじゃないわよ!!


 見た目だけじゃなくて、

 やってる事もアウトじゃないの!!



 今度会ったら、うさ丸ミラクルバスターだわ!!!




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