おっひさ〜〜!
ちょっと短いですが、しまりがいいので。
昔懐かし、あのワザです(笑)
「ダメ元で、殴る」
「素晴らしい作戦ですわね?」
はは、隣に誰かいるって、いいな。
ま、やれる事やるしかないでしょ。
油断はしないで行こう。
『────先刻、川底に寝転んだ方とは思えません。』
「ちゃちゃ入れんじゃないの。──ふぅッ!」
──パァン!!
川底を蹴って、真上へ!!
「な!! 空はダメ! 狙い撃ちにされますよ!」
だいじょ〜う、ブイ!
クラウン、わかってるよね?
────ボオオゥアアアアアア!!
「ほら! 言わんこっちゃ……!?」
トトン、トンッ……!!
「……空中を走ってる!?」
──そ。
私は、空でも方向転換できるのだ!
"距離滑り"の応用編。
足の歯車を、空中で固定して、そこを足場とする!
私に、走れない場所はないのよ?
ボオオゥ───!!
ボオオゥ───!!
当たらない、
当たらないよ。
そんな遅い攻撃じゃ。
ま、今から、ワザと当たりに行くんだけどね?
「クラウン……久しぶりに、あれ、いこっか」
『────受諾。今のあなたなら、オーバーヒートはしません。』
お! 景気のいいこと言ってくれるじゃない。
効くかわからんけども、いっちょやったるか!
「ヒキハさんっ! ちょっと大技だす! 離れてて!!」
「!? 魔法ですか!?」
「物理!!」
「んもぅ! 知りませんわよ!!」
そう言って、パシャパシャ水を蹴り、
離れてくれるヒキハさん。
私は、空中に両足を揃え、
思いっきり、下を蹴る!
身体は反転し、私の両足は、お天道様へ!!
あら、失礼。
今だけは、足を向けてしまうのを、許してほしいわ。
『────前回ログを確認中。
────高機動装甲が構築されます。』
天空に突き上げるのは、黄金の左足。
右足は、少し曲げて、左足にそえる。
いつもは、地面を蹴るだけの車輪も、
歯車となり、仲良く噛み合っている。
────外殻50パセルテルジに展開中。』
左のつま先は、相手を削り取るようなカタチへ。
右足の全ての回転は、歯車を伝導して、左足へ。
両足の回転の力は、連動し、反復し、凝縮され、
すべての破壊力は、左足の先に、託されるのだ。
────素回転指数200/毎:ビョウ。』
この頃になると、歯車同士が噛み合う、
ギャりギャりとした摩擦音が耳に届く。
お世辞でも美しくない、下品な騒音だ。
でも、私は、この音が、嫌いじゃない。
────反重力機構が構築されました。』
いつもは上がったり下がったりしかしない、
重力を操る機構。でも、今だけは、自らを、
敵の方にブチ込むためだけに、構築される。
────慣性制御体が更新されました。』
歯車のパーティ会場となった、両足の外側。
大きな歯車が2つ、馬鹿みたいに回り出す。
内側に付いた歯は、両足の一部と噛み合い、
暴れまくる歯車どもを、内側に押し込める。
────軸動補助システマ、"値震煉異"機動しました。』
──ははっ!
こんなことを私は、
あのバッテンくまを倒した時に、
ノリと勢いでやったワケだ。
今は、あの山火事の時と違って、
変態のヨロイがある。
思いっきり、イケんな。
──ナメてっと、痛い目みんぞ、ゴラァ。
金の少女が、蒼穹に浮かぶ。
天を突く、旋回を纏う脚は。
幾重にも、閃光の渦を彩る。
────今だけは、青の炎より、
黄金の光が勝っている────!
「出し惜しみする気は、なあぁいッ!!!」
『────断、罪、執、行!!
────««インボリュート»»!!!』
────うるせぇ流れ星が、火の玉に、おちた。
「……殴ると言ったのに、蹴っているじゃないの……」