属性って大事よ? さーしーえー
クリーム色のローブの中身は、羊でした。
「ああああ、あなたッ!! アンティ! 名前ッ! アンティ・キティラでしょう!!」
ぎあああああああ!!
本名、バレとるぅぅううううう!!!
「ちがいますぅぅぅうううう!!」
「うそおっしゃいぃぃぃ!! あ! ほら!! 王冠!! あたま! ほらぁ!!」
うわああああああ!!
まずいいいいいい!!
「えいぃ!」
左手で掴んでいた、うさ丸を、頭にセッッット!!
「にょきっとな?」
「ほおぉぉおおらぁああ王冠なんて見えません? なーに言ってるんですか??」
「な、なんですかそのラビットの魔物はっ!? か、かわいいですね…………で、は、な、く、て!! そんなぶっ飛んだ言い訳が、今さら通じるワケないでしょうがぁぁああ!!」
────ボオオゥアアアアアア!!
「「ぎぃやあああああ────!!」」
────どごぉおおおおおん!!!
ほのお、ぶっ飛ばされました。
────きゅううううん。
トットットットットッ!
とりあえず、2人で逃げてます。
「………………その足」
ひぃぃ、ヒキハさん、
"距離滑り"、めっちゃ見てるぅぅ!!
「金色の輪……あなた、やっぱり……!」
「……もぅ! ヒキハさん! あと! あと! とにかくまず、あの炎ッ!」
「……! 私の名前……!」
もおおおおおお!
なんなのよぉぉおおお!
ばれたじゃないのよぉおおお!
これもそれもあれもどれも、
こんのくっそあおい炎野郎のせいじゃあああ!!
「……あなたッ! あれくらいの魔物なら、倒せるんじゃなくて!?」
「私はスピリット系は初めて会ったのよぉおお!!」
「──ッ!? 苦手だと言う事ですかっ!?」
「わるいっ!? そっちこそ、さっき、"やっぱりいたか"みたいなこと言ってたでしょ! なんか対策ないのっ!?」
「こ、こんな上位のファイア・エレメントだとは思っていなかったのですよ!」
「どゆこと!?」
「普通のは、赤いんですのよ、炎が! でも、後ろのアレは、真っ青でしょう!?」
「やばいの!?」
「やばいです!! 青ければ青いほど、温度が高いです!」
「うわぁあん、ばかぁあああ!!」
「泣かないでくださいまし!」
「ど──すんのよ! このままだと、2人とも消し炭よ!? あんたもまだ、マトン肉にはなりたくないでしょう!?」
「引っかかる言い方ですわね!? 私はまだ10代です! せめて、ラム肉とっっ!!」
「どうでもいいぃぃいい────!!」
あんたが子羊だろうが、
年老いた羊だろうが、
んなこた、どっちでもいいのよぅ!!
後ろの火の玉をどうにかしんさいな!!
「くっ! こうして逃げてもキリがない! この技が、効くかわかりませんが……!」
「お! いけいけ! 副隊長!」
「あ、あなた……後で覚えてらっしゃい……」
あ、やべ……
また、アンティ・"クルル"しか知らない情報を……。
もういい!!
後で、だまくらかしてやる!!
いけいけ!
王都の"剣技職"部隊、副隊長なら、
必殺技くらいあるでしょう!!
ザッ────!!
「────ッ!」
ヒキハさんが、止まった!
私も、少し離れて、後ろから見る!
シュオン──!
「! 剣が……!」
剣が、抜かれた……!
ローブの中に、隠し持ってたのね!
まったく気づかなかったわ!
「…………いきますよ」
──チャキン!
ヒキハさんが、剣を、構える。
え! あれ!?
ファイア・エレメントに、
物理攻撃って、効かないんだよね!?
だいじょぶなの!?
『────魔力が発生しています。』
「!? ……魔力って、ヒキハさんから?」
オオオオオオオオオ……
「!」
これは…………"風"?
「"ウリアルの翔ける大地の風よ"
"我の剣につどい、刃とならん"」
「か、風の、魔法だ……!」
学校の教室やらで、同年代の魔法は見たことあるけど、いま、ヒキハさんがやっている魔法とは、段違いだ。
風が、剣に集まってる!!
空中のチリが、巻き込まれているのかな。
剣の側に、2つのうずが、見えるわ!
ゴオオオオオオオオ……!!
き、きた……!!
ヒキハさんが、構えを解く!
「くらいなさい──"アモンスラッシュ"!!」
「………………」
「………………」
ボオオゥアアアアアア……!!
「…………でかく、なってない?」
「…………普通のヤツは、あれで消し飛びますのよ?」
いや、だから、普通じゃないでしょ……?
青い、でしょうよ……?
『────敵対勢力、風の魔素を取り込み、巨大化しました。』
「にげましょおおおおおお!!!!」
「ばかひつじぃぃぃぃいいいい!!!!!」
ボオオゥアアアアアア────!!
最近、感想欄に、うさ丸が出没するんだ……。