表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/1216

くせもの探してピクニック さーしーえー

 

 ど、どないしよう……。


 あのローブの人、

 カーディフ街の外壁を飛び越えちゃった……。


「た、只者(ただもの)じゃないわ! あんな、ピョーンって、跳べるなんて……!」


 ランクとか強さとか、よくわかんないけど、あんな身軽な人が、普通の冒険者なワケないわよ……!


「あんな人が、私を探してるっぽいなんて……」


 あ、そうか!

 水引き門にいたのは、山火事の時に、

 ユータや私が通ったからだわ!

 山火事を調べてるってゆうのは、本当みたいね。


 アナ……あのおしゃべり娘、

 いろいろ喋っちゃったかな?

 てことは、

 山火事の跡地を見にいったのかな……。


「……クラウン、私もここ、飛び越えるわ」

『────推奨はしかねます。』

「うーん……ごめん。でもね? 問題を先送りにしたくない……あんなのがコソコソしているのに、家に帰れないわ。父さんらを巻き込んじゃうかもしれない……」


 もし、"時限結晶"を狙う悪い冒険者なら、その場にいる人を、巻き込む戦いになるかもしれない。


「私1人なら、逃げ切れると思うし、被害もでない。みんなを巻き込まず、あの人を調べられるのは、今だけだわ」

『……────。』


 クラウンは、何だかんだ言って、

 私の身を案じてくれている。

 でも、私の考えや、大切な事も考慮してくれる。


 今や、とてもかけがえのない、相棒だ。


「……お願い。やばかったら、すぐ逃げるから」

『────レディ(準備完了)

 ────行動補佐シークエンス。

 ────対象を追跡、可能な限りの情報収集。』

「そうこなくっちゃ! クラウン! とぶよ!」

『────受諾。反重力機構、展開。』


 きゅおおおおおおおおおおん……!


 ト────────────────ン!




 おっ……とっと。

 この壁の上って、こうなってるのね。

 さぁて、誰かに見られないうちに……。


 私は、くるりと一回転して、下に飛び降りた。












 山火事の後に、この小山に入るのは、初めてだった。


 うーん、黒いスミと、白の灰。

 木は燃えていると思ったら、

 けっこう黒い(みき)が燃え残ってる……。


 まるで、寒い時期の森みたいだ。

 魔物が住めなくなるのは、いい事だけど、

 ……なんか寂しい光景ね。

 ここには、命がないわ。


「ていうか、見失ったわね……」


 木があるって言っても、

 細い、黒いものが、ほとんどだ。

 見通しは、かなりいいと思うんだけど……。


 ここからは見えないだけで、

 けっこう段差とか、あるのかもしれないわね。

 あ、逆にこっちが見つからないようにしないと……。


「……明日、学校の試験なのに、なぁにをやっとんのや、私は……」

『────アンティの思考回路に起因する。』

「かいろ、って何よ……クラウン、近くに振動とか、感じない?」

『────近辺に、動点感知反応無。移動推奨。』

「了解。見通しはいいから、もちょっと奥まで探索する」


 あ、みんな忘れてると思うけど、

 今、頭にうさ丸、乗ってるからね?


「にょんが〜〜Zzz……」

『……────。』







 岩がゴツゴツしている所にでた。

 おお……こんな所、あったんだ。

 森が生い茂って、魔物がいる時は、

 絶対こんなトコには、こなかったわね。


 うーん、完全に見失ってしまった。

 クリーム色の、フード付きのローブ……。

 この景色の中だと、目立つと思うんだけど……。


 すぐ側の、でっかい岩の上に、座り込む。


 くきゅるるるる……


「……お昼、食べ損ねたわね」

「にょんやや……」


 あ、あんたも居たわね、忘れてたわ。

 うーん、ここで食べちゃうか。


 くるるー、

 にょき、にょきにょき、

 きゅううううん─────!


 手元に出た、バッグ歯車から、

 お手製バジルチキンサンドと、ニンジンを出す。


「はい、うさ丸」

「にょきっと!」


 コリコリコリ……。

 パリポリポリ……。


 うさ丸が、美味しそうにニンジンをかじっている。

 うん、ニンジンって、たまにナマで食べたくなるよね。

 あ、皮剥いてないわ……

 いいか、うさ丸だし……。


「にょま!」

「じゃあ私も、いただきま〜〜す!」


 ガブリ。

 モンぐモンぐ。

 おお……美味しい。

 さすが、時間停止。

 チキンのフライは、時間経つと、

 美味しさ抜けるからなぁ……。

 バジルとかのは、特にベタつくし……。


 こんだけ、サックサクでホッカホカだと、

 思わず笑みがこぼれるわね……!

 しあわせしわあせ♪

 ふふ〜〜、ピクニックじゃ〜〜い。


『────本来の目的の喪失を確認。』

「……! ご、ごほん、いや、そうゆう訳じゃないわよ!?」

『────構いません、アンティ。あなたが脅威から遠ざかるなら、それは僥倖(ぎょうこう)です。』

「! ……クラウン」


 ……うーん。

 相棒に、いらん心配をかけているわね。


 あー……今日はいい天気だし、

 なんかもぅ、どうでも良くなって来たわね。

 さっきのローブの人も、完全に見失っちゃったし。


 もぐもぐ……。

挿絵(By みてみん)

「……もうちょっとしたら、帰ろっか?」

「にょきっとな!」




( º дº)うさ丸率、たけぇぇえええ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ