帰ってきた看板娘!
朝起きて、なんだこのクッション! と思ったら、うさ丸だった。
どうやら、カンクルは、ラララとロロロと一緒に寝たみたいだ。
預けようと思っていた身としては、ホッとする。
カンクルは、ウルフ系の魔物だけど、どうやら徹底的に、まったく肉は食べないみたいだ。
昨日、一応安全を確かめるために、オーク肉で実験を行ったところ、案の定、ひっくり返ってジタバタした。
オーク肉は、バスリーさんを中心に、美味しくいただきました。
……あの人、まだしばらく生きると思う。
お歳の割に、めっちゃ食う。
朝食は、野菜のスープで、とても好きな味だった。
「そうかい。うさ丸もカーディフって街に連れて行くのかい?」
「はい。流石に今からドニオスに連れて戻るには、時間が足りないから……」
「まぁ、そのコも草食だろぅ? 大丈夫じゃないかい?」
「うーん、そうだといいんですが……」
こんな丸っこいウサギとは言え、魔物を街に入れる訳だからなぁ。
門番のおっちゃんにも、なんて言ったらいいのか……。
「え〜〜! うさ丸いっちゃうの〜〜!」
「もっとモフモフする〜〜!」
ああ、やっぱりごねるのね……。
「これ! あんまりアンティを困らせるんじゃないよ!」
「「ええ〜〜!」」
「はは、ごめんね。うさ丸好きの人は、ドニオスにもいっぱいいるからね。連れていかないと、私がボコボコにされるのよ……」
「「ぼ、ぼこぼこにされるの……?」」
ええ。モフラーの、女性冒険者の皆さんにね……。
「にょきっと〜……」
「かんくるっ!」
話込むと、ついつい長居しそうだ。
早めに発つことにする。
「ほれ、仮面だ。あんた、流石に故郷に帰るのに、コイツはつけないだろう?」
「は、はは、そうですね……大事にしまっておきます!」
(クラウン、勝手に出てこないように、抵抗してね)
『────受諾。隔離封印格納します。』
きゅいいいん……!
ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ───……きゅん。
「……なんだか今、しまう前に震えてなかったかぃ?」
「──え? いや、ははは、目の錯覚ですよ!」
「…………」
「アンティ、次、いつくるの!?」
「うーん、そうだね……一応1ヶ月後にはまた帰って来るんだけど、その時よれるかな?」
「これこれ、無理強いするんじゃないよ。ただでさえ、ここは森の奥で、ちらほら魔物もでるんだ……まぁ、あんたなら心配いらないかもしれないが。気が向いたらでいいんだよぅ!」
「「えぇ〜〜!?」」
「はは、ありがと、そんな残念がってくれて。そうだね、これそうなら、またくるよ!」
「うう〜〜約束だよ!」
「やくそく!」
「アンティ、あんま気にしなくていいよ! 次も、これそうだったらで、いいよ! 忙しい時は、自分を大事にすりゃあいい!」
「はい、ありがとうございます」
ふふ、時間が作れたら、また来たいなぁ。
「かんくるるぅ〜〜!」
「カンクル……ごめんね? ここに置いていって。でも、私といるより、たくさんご飯食べれるから」
「くるるぅ〜〜!」
「かっかっか。まぁ、ここいら一面に生えてるからねぇ!」
「ぼく、ちゃんとお世話するよ!」
「わたしも!」
「ありがと、じゃあ、お願いします」
ラララとロロロから、また精霊花の花束をもらった。
うわぁ、前のより大きい……。
バチが当たっちゃいそうだわ?
バスリーさんも、ラララとロロロも、見えなくなるまで、手を振ってくれていた。
光の花畑で手を振る3人は、何だかとても、心に焼きついた。
ギュルルルルルゥン────!!!
さぁて!
後は我が家に、一直線だ。
文字通り、ね?
うさ丸の耳が、風に揺れている。
もうすぐ森を抜けそうだ。
「……すぐに正義を、固めない、か……」
バスリーさんの言ってくれた事を、思い出す。
自分の考えなんて、その都度かわる。
……そういう事かな?
多分、私は、正義のルールみたいなものが欲しかった。
何も考えずに、その通りにすれば、間違えない。
そんな、説明書が欲しかった。
大きな力を持ちながら、安心するために。
でも、それは、考えるのを止める事なのかも。
正しい事を、不安だからって、すぐに決めてはダメだ。
そういう事を言われた気がした。
「その場で、考える……か」
うーん、自信がない。
確かなのは、私は、正義でも、悪でもないんだよね。
だから、自分で考えなきゃいけないな……。
「ひとりで考えるのは、やっぱり、ちょっと、不安だなぁ……」
『────ひとりでは、ありませんよ、アンティ。』
「!!」
『────あなたは、喋るスキルを保有しています。』
「……ふふ、ふふふ、そうね!」
────ありがとね、クラウン。
「にょや! にょきにょき!」
「あによ……あんたも考えてくれるの?」
「にょきっとおお!」
「……でも、言葉わかんないわよ?」
「にょやや〜〜……!」
しまった。
馬車も、使わずに爆走してしまった。
そろそろ人目につく。
ここからは、歩いていこう。
ていうか、うさ丸の事、なんにも考えてないわ。
なんにも思いつかないわ。
その場で考えるとか、ムリだわ。
ある程度の計画性って、大事よね?
「こまった……。非常にこまった……」
「にょやや……」
うーん、家畜……ではないし。
ペット……いや、この見てくれは、流石に魔物ってバレる。
だって、お手手あるもの、このウサギ。
「非常食……」
「にょやややややぁ……!」
「冗談よ」
ていうか、前から思ってたんだけど。
あんたまさか、
言葉……完全に理解してるんじゃないの……?
いやいや……
まさかまさか……。
あ! あれは!
おっちゃんだわ!
すごい手ェ振ってるわ!
ちょ、やめて! 恥ずかしいから!
「お〜〜〜〜い! 嬢ちゃ〜〜〜〜ん!!」
うわあああやめてええええええ!!
思わず、うさ丸の入った鞄を胸に抱えて、
私は、カーディフの街門へ、走り出していた。
カンクルとのお別れが、
更新されてなかったので
書き足しました⋯⋯ごめぬ(;´Д`)
おっかしいなぁ、上書きしたんやけんども⋯⋯。
ていうか今日⋯⋯
PVアクセスがろくまんって⋯⋯
何が起きとんの?
とりあえず、みんな大好きです。