呼応する英雄たち ⑤ さーしーえー
のんびり行こうと思います(●´ω`●)+
※挿し絵の 二枚目を追加!
────血風が、舞う。
穢らわしいはずの、ソレは、
しかし、決意に似て。
姉乳:「 ── フぅッ!!! 」
擬竜:『 ──GYRAAAAAAAAAAAAAAAA!!!?? 』
── ザ ガ ッ ── ザ ッ ッ ッ シ ュ ・・!!!
── グ チ ャ リ ・ ・ !!!
黒い、仮初の竜の、
肉と、キカイの 交わる身体を、
赤く揺れる、二刀の鉄剣が、貫いた。
義竜:『 NA Nn dぇ ・・── ・・ 』
姉乳:「 ── ・・ !!! 」
背後で散る、鉄肉塊のナカから、
オシハは、確かに、" 声 " を聞いた。
姉乳:「 …… ・・ ──、 」
オシハは、気づいていた。
斬り捨てる、異形のナカに、
ヒトの意思が、宿りしことを。
あれは・・ただの、魔物では ない。
なにかが、なにかを、、、
" 混ぜ込んだ "、ような ────。
姉乳:「 ── 知ったことかッ 」
──生まれながらに、汚染された、
吸血鬼のチカラで、
オシハは、王都を、駆ける。
仮に・・あれらが。
元は、ヒトだった と しても。
──解る。あれは、もう、" 元 "には、戻らない。
知ったことか。今まで、
どれだけ、斬ってきた。
慈悲の心など、
とうに、錆びついた。
あの、竜のハリボテに、
ヒトの " 魂 " が、あったとしても。
──斬る。
斬らなければ、ならない。
罪が、それが、罪だと、言うのなら。
ただ、また、少し、
積み重なる だけ────。
姉乳:「 ……胸クソわるぃったら、なぃわね ── 」
血の揺らぎは、
他の者よりは、豊か かもしれない、
胸の中の、想う心を、鈍化させる。
その鈍さとは、サカサマに。
とある、絵本の住人から贈られた、
自身の、両の手の中に 握られる、
板のような、巨大な、ふたつの鉄剣は、
溢れる、血のオーラを斬り裂くほど、
研ぎ澄まされている。
── ヒ ュ ぉ オ 、ス ら ぉ ォお ────・・!
姉乳:「……あきれたわ。これだけ、
叩き斬り続けてきたのに、、、
ふたつとも、歪み、ひとつ無い・・・!!」
人外しか、使えないであろう、
超重量の、巨大な鋼鉄剣。
── " バタァ・ナイフ " は、三振り、あった。
小剣、中剣、大剣、の、兄弟剣。
しかし、その、小剣ですら、
バケモノじみた、大きさである。
オシハが使っているのは、
" バタァ・ナイフ " の、" 小剣 "と、" 中剣 "である。
質量・度外視の双剣は、
白く照らされた、王都の夜を、反射している────。
姉乳:「 ……白く、照らし塗られた、夜。
まるで……絵本の、白紙のページ ── 」
あの絵本の、さいごの、ページ。
誰もが書き込める、白紙の続編。
それが、こんなものであって、
いいはずがない。
今は、憎むべき、
吸血鬼のチカラを、斬撃に、振るう。
両腕の、剣は、光尾。
赤い軌道を成す、血染めの対剣────。
姉乳:「 ──こわいほど、からだが、動く。 」
今、身に着けている、
下着と、軽鎧。
おそろしいほど、血に、馴染む。
オシハの身体から滲み出た、
憎悪の血液は、
誰が " 造 " った かも分からぬ、
紅の衣服と、神秘の鎧に、
まるで、最初から、そう設計されたかのように、
統合している。
血の繊維のヨロイは、
半吸血鬼の筋力と相まり、
その、バカげた、ふたつの刀身を、
いとも容易く、運用する。
姉乳:「……ポーカーで、いい目が揃うのって、
こういう気分なんでしょうね?」
オシハは、駆ける。
王都の街並み。
その、少し空を。
なぁに、簡単な仕事だ。
銀の鎖で繋がれた、
ヒトが取り込まれた、哀れな竜を、
飛び越え際に、砕き斬る。
・・・────簡単に、違いない。
姉乳:「 ・・ ─── 」
街の空を駆る、オシハの、" 影 " が、
────勝手に、動いた。
姉乳:「 ───ぁ…… 」
妹乳:『 ── フゥゥ ────── 』
─── ズ シ ュ ラ オ お ぉ ぉ ───・・・!!!!!
─── 血風が、" 断 " つ。
穢らわしいはずの、ソレは、
しかし、花吹雪に似て。
妹乳:『 ぬ る い ─── 』
ヒキハが繰る、たった、ひと振りの大剣。
" バタァ・ナイフ " 、最大の超剣、" アイアン・ギガント "。
姉乳:「 ・・・、・・── 」
オシハでさえ、思う。
あれは───" 剣 "、、、なのか?
妹乳:『 ─── お し と お る !!! 』
─── し ュ ラ ぁ ァ ァ ア ア ・・・!!!!!
──身長の、さらに上。
まるで、建材の鉄のような ソレを、
ヒキハは、風のように、" 通" し斬る── 。
それは、贄のドレス。贄の業剣────。
妹乳:『 ふん ───・・・!!!!! 』
姉乳:「 ・・・、・・─── 」
オシハは、思わず、息を飲んだ。
私と、妹の装備は、
恐らく、今までで、イチバン、充実している。
───双子の、我ら。
まったく、おなじ防具。
兄弟剣は、大きさは違えど、同じ、意匠。
だが、、、ここまでの、" 差 "は、なんだ?
──いま。
ヒキハ・シナインズは、
紛い竜を、三匹、
同時に、討ち斬ったのだ。
た た き 斬 る の で は 、 な く 。
あ れ は 、 バ タ ァ 。
破片すらなく、敵は、固ですら、ない。
姉は、痛感した。
姉乳:「 ・・・やっぱり、ね 」
オシハの血は、贄のヨロイ。
ヒキハの血は、贄のドレス。
果たして、どちらが、保身で。
どちらが、優美で、あったのか────。
姉乳:「 ・・・" 上位互換 "、だよなぁ・・・ 」
オシハは、自分の血のオーラが、炎のように見え、
しかし、妹の、血の輝きが、花のように見えた。
オシハは、受け入れていたが、
今、確信した。
姉乳:「 フ、ふ、、─── 」
姉は、自らの左足の、
プレミオム・アーツに、語りかける。
姉乳:「 ──おまえ、なんで、私を選んだ?
双子だから、間違えたのか? 」
乳神:『 ──姉さま!! おはやく!!! 』
姉乳:「 ふふ、はやとちりだこと♪ 」
オシハは、近くない未来。
この、謎めいた黄金の証が、
妹に渡ることを、予言する。
なぜか、にやけてしまう。
自信をもって、言える。
愛すべき、自慢の、妹に────。
乳神:『 は、はや・・? 姉さま??? 』
姉乳:「 ──なんでもない! 行くわよ、ヒキハ! 」
乳神:『 ・・・!!! ──は い ッ ッ !!!! 』
──任せられる者が、いることの、
なんと、気楽なことか。
姉乳:「 ──っ、ヒキハ!! いたわっ、ピエロちゃんよ!! 」
乳神:『 ──ッ!!! 』
光る、血のドレスと、鉄の超剣を繰る、
ヒキハの目に、黄金と、白銀の、少女たちが、映る。
まだ、遠いが、分かる。
見間違える、ものか────。
ヒキハは、気づく。
乳神:『 ──っ、 あれは──……!? 』
建物を蹴り、白空から、見下ろす。
アンティ・クルル と、マイスナ・オクセン。
その、周りの、" 同年代の、子供 " たち ── 。
義賊と狂銀の少女たちが守る、
その、子供たちの顔に、
ヒキハは、見覚えが あった。
乳神:『 ま、まさか・・、
ぁ、、あの、街の・・・? 』
姉乳:「 ──ヒキハ!!
クマたちも、来た!!! 」
乳神:『 ・・・!! 』
──近づく、気配。
姉と同じ、" 至高 " の、" 雰囲気 " ──。
──まずい。
ヒキハは、あせった。
あの・・・アンティたちの、
まわりにいる、こどもたちが。
カーディフの学生だということを、
おそらく、自分しか、気づいていない。
アンティ・クルル。
アンティ・キティラ。
" アンティ " 。
この、名前を、呼んでは、いけない。
そう、ヒキハは、思ってしまった。
そう、それは、姉と同じく、
深い、やさしさを持つからの ──" は や と ち り " 。
もちろん、そんな必要は、なかった。
カーディフの学友には、すべて、バレた後だ。
きっちり、バッチリ、明かしてしまった。
そこにいる、みんなが、理解していた。
それを、ヒキハは、知らなくって。
でも、この、緊急事態を、収拾するには、
" アンティ・クルル " の チカラが必要な ことは、
確信していた。
騎士として、恥ずべきことだが、
一刻、一ビョウを、争う。
すぐに、指示を────あおがなければ。
他の、" 至高の冒険者 " よりも、
自分と、姉が、少しだけ、早く着く。
この差が、重要だ。
皆、姉さえも、文句は、言うまい。
" 黄金の義賊 " の、指揮下に入る。
これを、真っ先に、促す発言を、
自分が、伝えなければならない。
" 今から来る、戦力を、部下として使え。"
その、明確な、" 意思 " を ────・・!!!
" アンティ " の、名を、使わずに────・・!!!
乳神:『 アンティの、正体を隠しながらッッ、
アンティに、伝えなければっっ・・・!!! 』
空から降り立とうと する、赤の騎士たちに。
竜の残骸の そばに居る、
子供たちも、気づきはじめる・・・!
すでに、アンティとマイスナの
輝く眼は、
ヒキハたちを、捉えている。
乳神:『 ── 』
ヒキハは、一瞬、迷った。
宣言せねば、ならない。
ヘタに、有名人である自分に、
なにも知らない、騎士たちが、
指示を求めにくる時間は、
かなりの、ロスになる。
トップは、誰なのか。
だれの、指示に、耳を傾けるべきか。
ここに、視界の、すべてに見える、
言葉を使う者たちに、示さなければ ならない。
だから────……!!
乳神:『 ──── 』
金聖:「 ──── 」
ヒキハは、アンティと、目が合い。
────頭の、" 王冠 " に、目がいく。
そして ────、、
乳神:『
" 指示 " を よ こ せ !!
───" 女 王 " ッ ッ !!!!!
』
金聖:「 ・ ・ ・ ん" っ !? 」
── すんげえ、誤解まねく 言い方した。










