呼応する英雄たち ①
おまったんたんたん♪(●´ω`●)♪
アンティ・クルルと、
マイスナ・オクセンの手に、
2つの、魔核が握られていた。
スイカほどある、
鈍く光る、赤い宝石に、
黒い、エンジンのような絡繰が、
不揃いに、組み込まれている。
──2つの、"核"。
ひとつの竜から、
捻り出された、それは。
いったい、何を、意味するのか──。
「「 ── 」」
──バキャリ……!!
──グジャラ……!!
それぞれの手に掴まれた、
機械混じりの動力炉を、
ふたりの英雄は、
チカラで、握り、潰す。
先の戦闘は──、
目にも留まらぬ、
速さにて、行われている。
──パラぁぁああ・・・!
心の臓を失くした、
目から、鈍い光が、無くなった、
赤黒い竜の身体が、
黒い、桜の花のように、
散っていく──。
それを、アンティと、マイスナは、
複雑な表情で、見つめていた。
「「 …── 」」
助けられた者たちは、
彼女たちの、背中を見て──。
──だが。
やがて、くるりと。
ふたりは、ふりかえり。
こちらへと、歩いてくる。
ぃぃいン── - - - 。
ィぃいン── - - - 。
教会から、祭日に聞こえてくる、
甲高い、鐘の音のような、
足音が、かさなる。
──ぃぃいん・・。
──ィぃいン・・。
「「「「「 ・・・── 」」」」」
目の前に来た、ふたりを見て。
学友たちは、
完成された、ふたつの、
" 美 " の カタチを、見た。
しかし、腰は抜け、
見上げる形となる。
宝玉の光る、
クラウンと、ティアラ。
間違いなく、彼女たち、
なので あろう。
だが、その姿は、
あの街で見る、
見慣れた姿とは違い──、
────完璧、すぎた。
彼女たちの纏う、
真気のヨロイに、
一分の、隙もない。
黄金と、白銀。
突き詰められた、至高。
芸術のように、乙女たちの身体に、
嵌め込まれている装甲と、
所々、露出する、肌の表面には、
何故か、彼女たちの、
髪色と同じ、光の道筋が、
細く、淡く、血管のように、
全身に、流れている。
とりわけ大きく露出する、
ふたつの、下腹部には、
揃いの、紋章があった。
「「
◣◥◤◢
◥◤
」」
知る人ぞ知る、" 七番目 " の、
大クラスの、紋章である。
「「 ──… 」」
驚く、皆の前で、
しかし、アンティとマイスナが、
隠しておきたかったはずの、
学友たちに見えたのは、
つまり、治療を するためである。
しかし、見覚えのある、
女性の神官を見て。
それは、杞憂であると悟った。
蜜の神気が、漏れ出る、
アマロン・グラッセを、見て。
アンティと、マイスナは、
何故か……この人が、
" 覚醒 "していると、感じた。
"粘性の癒し" は、
確実に、若き傷を、
掻き消している。
そこには、ふたりの乙女の、
素直な、感謝があった。
「お見事です」
あの、茶目っ気のある、
神官ねえちゃんとは、
思えない、落ち着いた、
声だった。
竜の身体は、
黒い風に、消えようとしている。
「まだ、数があります」
果蜜の癒し手は、続ける。
「お力は、まだ……、
続きそうですか」
その言葉からは、初めて、
半年前に、出会った時より──、
先に、会った、彼女より、
遥かに、労りと、
尊敬の念が、感じられた。
アマロン・グラッセも、また、
この、危機の中にある王都を、
救うには、
目の前の、奇跡の二人の、
チカラが必要、不可欠だと、
存分に、理解していた。
「……やらなきゃ、ならんでしょおよ」
「みすてるなど……いたしませんよ」
ふぅ、と。
少し、わずかな、短い、
ため息と共に。
輝く、ふたつの少女は、こたえる。
「わぁぁ……☆」
すぐ、目の前にいる、
見上げる、小さなクルルカンの、
輝く目線を、受ける。
彼女の行動は、蛮勇であり、
自らの命を、脅かす、行為であった。
本来ならば…… 一喝たるや、と、
アンティも、迷う所だが──。
「──ねぇ!!☆」
「「 ──……!? 」」
「くるるかんと、きょうぎんは、
いつ、なかなおり、したの!?」
「「 …… 」」
絵本の中の、
無敵のふたりの天敵は、
いつだって、
無垢の子供である。
妙な出鼻の くじかれ方をした、
アンティとマイスナの、
ヨロイの変化を、
皆が、目の当たりにしていた。
魔核を握り潰した、
アンティ・クルルの巨大な右腕。
その、何重もの歯車の装甲は、
回転しながら、その大きさを、
縮めていく。
肘から出ていた、
3メルトルテ強は あろう、
円柱状の、黄金の構造物も。
恐らくは、
エネルギー推進器なのだろうか。
有り得ない体積が、
ツインテールの、小さな少女の、
右腕に、収束していく。
マイスナ・オクセンの、
まるで神話のグリフォンのような、
両の鉤爪は、
ガチャン、ガギン、と、
二段階に、指に、収まり。
白銀の、透き通る、
多重構造のクロウは、
水晶の結晶のような、
自然の美しささえ、感じられる。
両肘から貫通する、
天を突く、2メルトルテ強の、
日本刀のような結晶体は、
背の、浮遊する刃のような、
光翼と共に、
空気を割きながら、収納される。
散るは、金の花と、銀の花。
即ち、火花と、精霊花である。
おおきな、劇場幕のようなマントは、
黄金の義賊の少女の、
左肩を、隠し。
皆が知る、ジグザグのマフラーは、
空中で、直角のカーブを、
繰り返しながら、
彼女の首に、シュルリと、回った。
きれいな、半透明のドレスが、
白華の狂銀の少女の、
身体を伝う様に、形成されている。
おおきすぎた、光の羽根は、
再構成され。
背に浮かぶソレの灯りは、
仮面の二本ヅノに、反射している。
ヨロイが変化する度に、
少女たちの肌に、
カクカクとした、
光の流路が、伝った。
四つの目は、
疎らに、輝いている。
その点滅は、彼女たちが、
思うよりも、遥かに。
大きく、周りの者たちに、
神秘性を、感じさせた。
「──お姉様がた!」
「──おねえちゃんたち!」
まだ、呆けが残る、
皆の前で。
大きな、白い耳と、
結晶の獣が、近づく。
「えらいことに、なりましたわね……!!」
『『『 クルルルゥオオオンンン……! 』』』
「エコ、少し、強くなったよ!」
『『『 にょきっとやんなー!! 』』』
ふたつの聖女の御服と、桃髪は、
なぜか、白き色に、近づいている。
騎乗するそれは、
まさに、神獣だが、
学生の者たちは、
その姿に、実に、見覚えがあった。
「リビ……助かったわ」
「エコちゃんも、すごいね、ソレ」
「ええ……!
私も、エコープルも、
" 身体の強化 "と、触れた者への、
" 聖属性の加護 " が、
ずいぶんと、使えるように、
なりましたの……!」
「えへへ、すごいでしょ!!
うさ丸、ひかってる……!!」
「──……" リビ "……?
ま、まさか……" リビエステラ " 様、
か……!?」
「え、エコープル、と、言ったか……!」
膝を ついていた、
何人かの王兵が、反応する。
「……! 13歳で、
聖女を勤めるという、
あの……?」
「東のギルドの、
長では ないか……!」
「ぁ、悪しき、審議局が、
解体され……! 第一席、真偽官が、
聖女と共に、修行している、
という噂は、
本当であったか……!」
「幼いとはいえ、
" ふたりの聖女 " が、
今の王都にいるのは、
心強い……!!」
「せ、" 聖女 "、、、リビエステラ、
だって……!?」
「し……審議局って……!?
聖女の卵……って、コト……!?」
アンティの学友たちが、
兵士たちの会話に、
目を、白黒させる。
生徒たちは、察した。
この、大いなる獣に乗る、
ふたりの、年下の、女の子たちは。
おそらく……、
彼ら、彼女ら の学院の、
教本に載るクラスの、
偉人なのである。
「……確かに、うさ丸も、カンクルも、
強化されている、みたいね?」
「その服……ローザの纏ってる、
神聖な気配を、感じます」
「ええ……! このような時のために、
鍛錬しているような、
ものですから……!!」
「えっへん!!」
「でもね、リビエステラ。
危ないから、あんた、
隠れてなさい」
「そうだね。
エコープルも、
怪我したら、イヤだから」
「──なっ……!!?」
「なんで……!!」
「あいつ、ヤバいわよ」
「うん、とっても」
「……!!
それほど、なのですか」
「……そんなに、なの……?」
「──" 私たち寄り "、なのよ」
「言ってるイミは──わかるよね?」
「「 ……っ、!! 」」
ふたりの聖女の表情が、
明らかに、曇る。
関わらず、
アンティと、マイスナは、
続ける。
「うさ丸とカンクルは、連れていく」
「でも、ふたりは、隠れてほしい」
「「 ……、…… 」」
それは、純粋な、心配で──。
──しかし。
「……リビエステラ」
「……エコープル」
「……いやですわよ?」
「……ことわります!」
「「「「「「 ・・・ 」」」」」」
「「「「「「「「 ・・・・ 」」」」」」」」
──"聖女"と言えば。
聖女教会を初めとした、
多くの聖職者に指示され。
後に、指導者となっていくであろう、
未来を約束された、存在である。
そんな、将来、
国を動かしていくであろう、
聖なる二人と。
前に、カーディフの街で、
共に、喋っていた、
馴染みの、二人の少女と、が。
タメ口で、言い争いを、
始めている、現実に。
彼女たちの学友たちは、
周囲の、王の民たちは。
混乱を、せざるを、、、得ない。
「一緒に……共に!
戦った、仲では、
ありませんか……!」
「エコープル、みんなを、
たすけたい……!」
「「 む…… 」」
幼き、訴えに、
今度は、義賊と狂銀の二人が、
少し、押された。
その様子を、
束の間の、静寂と共に、
皆が、見守る。
( ど、どういう、事だ……?
共に、戦った、だと……? )
( 我らが、知らぬだけで……、
あの、ヨロイの御方は、
聖女 様たちと、戦場を、
駆けているのか……? )
( " 尊主 "、アンティラ……、
" 反逆花 "、マイス……、
とは、いったい……? )
( あの、四人の、言い様……!
絵本のヨロイの二人は……、
とんでもなく、強いって、
ことか……!? )
( それは……疑いの、
しようも、無いさ。
だって──たった今、
" 証明 "、して見せたじゃあ、
ないか──……! )
( ……ああ!!
そのとおりだ・・!!! )
「・・・引かんのか?」
「・・・どうしても?」
「「 ええ 」」
ふたりの聖女の声は、
よく、似ている。
「「 気持ちは、貴女たちと、
一緒です 」」
「「 ── 」」
煌びやかな、ヨロイの、
ふたりの、絵本の英傑は、
言葉を、呼吸とした。
少しだけの、空間。
『『『──!!
にょきっとなああああ!!!』』』
『『『 ──クルォオオオンン!! 』』』
「「 ──……ッ!! 」」
「「 ──……えッ……っ!? 」」
それは、獣たちの声で、
掻き消される。
うさぎの勇者の王が、
ぶっとい耳を立て、
空を、見ている。
アンティと、マイスナは、
察した。
「 まさか……!! 」
「 こっちに……!! 」
まだ、無事な、
王都の、建物の──、、、。
──屋根の、はるか、上から。
いくつもの、
くろい、かげ、が、
と び だ す 。
GUOOOOOOOOOONNNNNN!!!!
GYAOOOOOOOOONNNNNN!!!!
GULUURRUUAAAAAAAAAA!!!!
GOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!
GOOOOZZZZZIIIIIRRRAAAA!!!!
学友の、誰かが。
「かんべん、してよ……」
「さっきの、が、、、、
あんな、に・・・ 」
たくさんの、竜モドキ、が。
空から、せまっていた。
ウボォァァァアア"ア"ア"!!!?(「 ꒪ͧд꒪ͧ)「










