糖系掌握
お〜〜またんたんたんたん!(●´ω`●)+
今日もノリでカキカキです(๑•̀ㅂ•́)و✧
神に仕えし者は、皆、
狂っているというのが、
アマロン・グラッセの自論であった。
「 はっ、はっ、はっ── 」
はしる。
はしる。
はしる。
── 悲鳴の中を。
その、神官の身体は、
にぶく、光っている。
子供の頃より見る、
コガネリンゴの園の中、
9人の魔女の言葉の夢が、
いやに、思い起こされる。
『
おまえのリンゴ嫌いには、
こまったものだ。いいかね、
■■の意味というのは、反映される。
決して、無かったものには、ならない。
お前が、どう足掻こうと、
お前は、勇者を癒すんだよ 』
「 うるさい、うるさい、うるさい 」
駆ける足は、鮮やか。
神官服のスカートなど、
とうに、割き破っている。
「 はっ、はっ、はっ── 」
彼女の動きは、
旧世界で言うならば、
" パルクール " というのに、近かった。
謎の竜たちによる襲撃で、
ガレキまみれになった街を、
踊り狂う妖精のように、
駆けていく。
これは、魔法では無く、技術であった。
かつて、あの、リンゴの夢で、
9人の魔女から、逃げるための。
『
もう、いいだろう。
なにが、気に食わないのだ。
お前は、そのままでは、
初歩の治癒魔法ですら、
苦労するだろう 』
『
こまった子だ。
いつも、一目散に、逃げる。
これほど名誉なことなど、
ないと言うのに 』
「 ちがう、ちがう、わたしは──ちがう 」
跳び駆ける、大きく足を出した、
芸術のような移動法をする神官に、
皆、驚きの目線を、引っ張っていく。
怪我人を見ると、
台風のようなアマロンは、
にぶい輝きの手で、
ポン、と、タッチした。
「 あっ! 」
「 け、ケガが……! 」
「 うわっ! し……神官、さま……? 」
あの、よく分からない魔女たちの、
言う通りなのだろう。
結局、アマロン・グラッセは、
わずかな回復魔法しか使えず、
努力と研鑽により、
地位と、精度を得た。
それで、幸せだった。
あの方にも、出逢えたのだから。
────だが、、、。
『
そうら、言ったろう。
その時が来た。わかるはずだ。
お前からは、にじみ出ている。
砂糖菓子のように、
にじみ出ている 』
『
運命という物が無ければ、
このようなシステムが、
存在するものか。
お前が、正しい答えだ。
我らは、導き手なのだよ
』
「 くっ……! 」
アマロンは、気づいていた。
自分の両手から する、
艶を持つ、甘い、においに。
にぶい、光は、蜜。
栗色の髪の、
せめてもの、くせっ毛が、
じわじわと──艶を、帯びていく。
それは、リンゴ飴に似ていた。
その時が来たなどと、
自分が、一番、わかっていた。
『
なぜ、"真名"を使わん?
お前には、よく分かっているはずだ。
これは、■■からの、恩恵だ。
お前が思っているほど、
雁字搦めな、誓約ではない 』
『
それ! そこにも、傷ついた、
民がいるぞ! やれっ!
その、にぶく光る蜜の癒しで、
覆い被さる お前で、
包み込むのだ、きゃっはっは! 』
「 う、うるさい──……! 」
瓦礫を駆け、
蜜の聖気を纏いながら、
アマロンは、無差別に、癒す。
「 うわっ……! なんだ……!? 」
「 神官さま、のっ……? 」
「 いまのは……!? 」
アマロン・グラッセの癒しが、
変質している。
その、粘性の回復魔法は、
わずかに触れただけでも、
民の傷に留まり。
緩やかな、しかし、確実な治癒を、
甘い香りと共に、残留させる──。
『
ほうじゃ。それでえぇ。
やっと、その気になったか。
19年じゃぞ? 馬鹿げている。
なぜ、もっと早く、こちら側から、
引き出さなかったのか? 』
「 うるさい、うるさいっ!
これは……ちがうっ!
でも……いまは……!! 」
くるくると、舞い、ダンスのように。
崩れ行く王都を、駆ける。
もちろん、弱い回復魔法と共に、
ただ、努力で、手に入れたモノ──。
「 あ、悪夢のチカラになんて、
たよって、、、屈する、ものですか……!
ただ……今は……! 」
この、たくさんの人々は。
成り行きとは、言え──。
自分が、産み落とした、" 祀り "に、
集まって、しまった。
「 く っ ・・! 」
走っても、奔っても、
途切れない、人、ヒト、ひと。
空から堕ちる、紅黒い竜たちに、
侵された、無数の傷たち──。
アマロンは、癒す。
今まで、拒絶してきた、その名前で。
「 私が……集めた!
わたしが、あつめてしまった……!
だから、今、だけは……! 」
『
そうだ。それでいい。
いささか、時間は、かかったが。
私たちは、名前を、教えた。
旧くから、降ろされる、
その、運命の名、とろける蜜を── 』
「 だ ま れ ・・・! 」
幻聴だと、
信じ続けてきたモノたちが、
砂糖まみれの神官を、称賛する。
たしかに、今、この局地では、
必要な、チカラだ。
しかし、この" 上書き " は、つまり、
今までの、彼女の、抵抗を。
今までの、彼女の、努力と奮闘を。
すべて、自ら、踏みにじる、行為であった。
「 いまは……いま、だけは……!
こだわりを……すてるだけ……! 」
鮮やかに駆ける、" 艶の神官 " は、
すでに、数百の人々を、癒している。
粘質の"奇跡"は、
それに触れた、次の者すら、
じわじわと、癒していく──。
「 今、だけは……! わたし、が、
狂ってでも……、信念を、
曲げてでも……! これを、
しなくちゃ……いけない……ッ 」
『『『『『『『『『
そうだ、それで良い
』』』』』』』』』
過去か、未来か、分からない、
コガネリンゴの園に立つ、
9人の魔女の声が、彼女に、聞こえた。
「 ああ、ああ、
" 竜 " の声が、聞こえる── 」
若き神官は、は、すすむ。
その、艶の髪と、艶の手を以て。
ざわざわとする、
おそらく、この劇が始まる、
その場所へ──。
竜の咆哮と、
民の驚愕が、
木霊す、場所へ────。
「 わたしは、あんた達を、
神秘とは、認めない 」
溶けるは、過去。
穿つは、蜜。
「 でも、今だけは……!
わたしが、くるうっ……! 」
狂いきれない蜜が、
多く、血が流れる場所を、
塞ぎに、駆ける。
それは、本能に、似ていた。
9人の魔女が、ケタケタと、笑う。
" さあ、向かえ " と──。
むごい ことに、
彼女たちは、応援している。
そして、言うのだ。
なんども、夢のナカで、訓え。
なんども、拒絶され続けた。
彼女の、本来の、" 入力名 "を────。
『『『『『『『『『
さぁ、舞台は、整った。
紛い物のナカでも、整った。
すべからく、その、弱いチカラで、
癒すが良い。
──" アヴァロン・グラッセ " よ。
。
。
。
。
。
。
。
。
』』』』』』』』』
蜜の癒し手が、
竜の咆哮に、近づいた時。
ちょうど、黄金と、白銀の、ナニか が。
宙へと────打ち上がった。
まさかの神官ねえちゃん!!!
\\\\٩( 'ω' )و ////










