勇敢なる者たち
お〜またんたんたん♪(●´ω`●)+
はじめ。
あまりにも──。
突然のこと、だったから──。
祭りの──余興なのでは?
と、思う人々さえ、いたほど だ。
──その怪物の、うねるような、
咆哮を、聞くまでは──。
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ ぐ
ΣΣ お お お
ΣΣ お お お
ΣΣ お お ぉ ぉ お
ΣΣ お !!!! ぉ お
ΣΣ お お ぉ お
ΣΣ お お
ΣΣ お
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
「 な…… 」
──みな、目を見開き。
これが、" 本物 " だと、理解する。
それは、未曾有の……、
真の、──" 脅威 "だった。
ズシン……
ズシン……
ズシン・・・!!!
「「「 ぁ──…… 」」」
振動と、視覚と。
削り取られた、建物の、
土煙の匂いが、
またたくまに、波紋のように──
恐怖を、伝達した──……!!!
「「「「「「 うわああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 ああああああああああ 」」」」」」
「「「「「「 !!!!!!!!!! 」」」」」」
にげまどうもの。
こしをぬかすもの。
けがをわすれるもの。
──だが、それだけでは ……!
「──をっ、王立守護隊っっ、
かかれぇーっ!!!」
「「「「「 ぅ、うぉぉおおおおぉ──っ!!! 」」」」
王都を護る、槍斧の騎士たち……!
銀色のヨロイと、金色の装飾……!
それは、決して、
見栄だけの意匠では ない。
「まっ、まずは、人々を遠ざけろ……!!!
まだ、攻防は、するなっ……!!?」
「「「「「「 りょ、りょうかいッッ!!! 」」」」」」
未だ、体験したことの、
無いであろう恐怖に、しかし、
部隊長は、正しい判断をする。
「こんな……こんな!
素晴らしい、祭りの中で……!!
ひ、人死になど……!!
だして、なるものか……!!
──っうおぉおおおおおおおお!!!」
王銀の騎士たちが、勇敢にも、
いきなり空から湧いた、
赤黒い、" 謎の竜 " から逃げ遅れた、
王民たちに──駆け寄っていく・・・!!
「ひ、引きずってでも、距離を稼ぐんだ!!!
"アレ"……から、少しでも……!!
皆を、離せ……!!!!!」
「「「「「「「 ──了解!!!! 」」」」」」」
「「「「「「「 ぅっおおおおおおお!!! 」」」」」」」
王都の騎士たちの行動は、
決して、遅くは無かったと言えよう。
──しかし。
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ グルルルルルル・・・!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
──現実、とは。
そんなには──甘く、ないものである。
赤黒の竜は、
大きな前脚を開き、
──そして、構えた。
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ グオおおおおおおお!!!
ΣΣ おおおおおおおおおおお!!!
ΣΣ おおおおおおおおおおおおお!!!
ΣΣ おおおおおおおおおおおおお!!!
ΣΣ おおおおおおおおおお!!!!
ΣΣ おおおおおおおおお!!!
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
「「「 ──〜〜・・・ッッっ、!?!? 」」」
「「「「「 ──ぅ、、!? うわぁぁあっ・・! 」」」」」
──ガチャぁぁんん・・!
──ガチゃああん・・・!!
騎士たちは、一瞬、
何をされたのか、理解できなかった。
「な、なん、だ……?」
「いったい、何を、されたんだ……!?」
「な、何故……俺たちは、
寝転んで、いるんだ……!?!?」
クラクラと、する頭で。
数人の騎士が、なんとか、立ち上がる。
「……!? なぜ、こんなにも、
離れた、所に……!?」
「そんな、確かに、俺たちは……、
前へと、駆けて・・・!」
「ま、まさか・・・?」
騎士の部隊長をはじめ、
数人の騎士が、その事実に、気づく──。
「ほ……"咆哮"、だけで……?
"叫び声"、だけで……、
"雄叫び"、だけで、
押し戻されたのか……?」
「こ、"声"、だけで……?」
よく見ると、彼らの鎧の胸元には、
細かな、釘や、
硝子などの破片が、
複数、突き刺さっている……!
「 な…… 」
彼らは、戦慄した。
本来、彼らの纏う、銀の鎧に、
このような……" やわらかい " 素材が、
突き刺さる……わけが、ないのだ。
それは、つまり。
この、ガレキの破片たちが、
物凄いパワーで、知らぬ間に、
吹き飛んで来た事を、
物語っている──。
「こ、声、だけで──……」
「俺たちの鎧に……」
「穴を、あける……って、いうのか 」
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ グルル・・・グォルルルル・・・!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ
「ぁ……アイツは……」
「アイツ、は……」
アイツは、まずい 。
厳しい訓練を耐え、
王の騎士まで登りつめた、
者たち、だからこそ理解る、
────圧倒的な、理不尽。
「あ、あんなのが……」
「ま……街中に……落ちた……っ、てのか……?」
頭が、考えたくないと、
騎士たちの表情を……青ざめさせる。
あんな、バケモノ が……複数も……?
勇敢な、騎士たち、とて。
その、恐怖に。
身を、奮い立たせ、
なくては、ならない──……!
「た、立てっ……立つんだ……!」
「く、くそ……なんだ、この、震え、は……!?」
「ち、ちくしょう……!」
本能が……理解、する。
たぶん、死ぬ。
アレに……自分たちが、立ち向かえば、
まちがいなく、死ぬのだ。
「う、うおおおおおおおおおおおお……!!」
「「「「「「 ・・・・・ッッ!! 」」」」」」
震える、騎士たちの、中で。
だが、部隊長の男が、立つ。
その、誇り高き、斧槍を以て。
・・・グラっ……。
「ぐぉ、お……!?」
「……あっ!? た、隊長、足、が……!!」
勇敢にも、立ち上がった騎士の長。
その足が……鉄の杭のような物に、
──……貫かれている。
「ば、バカな……っ……!」
「たっ、隊長が、負傷されたぞ!!?」
ドク……ドク……、と。
銀の装甲から漏れる、赤黒い血──。
「──た、隊長を、抱えろ!!」
「──両脇から、持ち上げるんだ!!」
「──ば、バカものおおお!!!?
私は、後で、いい !!!!!」
もだえる隊長を、
しかし、親愛なる部下たちは、
見捨てることは できない。
「し、しかし!!」
「は、はやく、いけ!!!
民を、助けるのだ……!!!」
「く……!」
騎士の中に、恐怖の色が、うずまいている。
部隊長は、あせりの中、
あの、赤黒い竜の方を、向く。
「……!! あぁ、そんな……、
こども、たちが……」
先の咆哮で、
粉煙が、晴れ──。
そして、竜の前には、
たくさんの、子供が、いた。
「 ぁ、ああぁ…… 」
「 ぅ、うわぁぁ…… 」
「ぃ、いかん・・・!!
腰を、抜かしているのか……!?」
なんという、ことだろう。
おそらく、14、15歳くらいの、
子供たちの、集団が、
その竜の、、、、、かなり、近くで、
地面に、倒れ込んでいる。
・・・20人は、いるだろう。
みな……竜の顔を、見上げ……。
何人かは、チビっているに、違いない。
「な、なんという、ことだ……!」
さらに、部隊長を驚かせたのは、
その、腰を抜かす子供たちの、
さらに、前の、
ふたりの、少女である。
「あの……金色と、銀色の……、
髪の……女子たちは……、
なにを……」
騎士は、理解が、できない。
「なにを……やっているのだ」
────突っ立っていた。
だれよりも、その。
ふたりの、少女は。
竜の前で。
真ん前で。
その竜を、見上げていた。
金と、銀の、
後ろ姿しか、見えない。
しかし、なんなら……、
その二人は。
まるで──竜に。
──ガン飛ばしてるまで、あった。
「ぉ……おかしい、のか……?
怖くは、ないのか……?」
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ グルルルルルル・・・??
ΣΣ
ΣΣ
「「 ────…… 」」
あまりに、その、ふたりの少女が、
竜の、目の前すぎる、目の前で、
ぼっ立ってる、モンだから──。
騎士たちを含め、それを見た、
者たちの心を、刹那、
理解不能にさせ、思考を、止める──。
──その、停止の、中で──。
また、予想だに しない事が、
起きてしまった。
たたたたたた・・・──トト!!
「 ぁ…… 、バカな…… 」
こどもだ。
とんでもない……子供だ。
アレは、3歳、くらいでは、ないか……?
おろかにも、
竜の前に立つ、ふたりの少女の、
さらに、前──。
ちいさな、ちいさな、
3歳くらいの子供が。
駆けつけ、台詞を、謳った。
「
われは……おうごんのぎぞく、
くゆゆかん・・・!
」
黄金の……仮装を、している、
祭りを、楽しんでいたのだろう。
竜を、ガン見していた、
ふたりの少女も。
さすがに、いきなり現れた、
ちいさな義賊に、
目を、うばわれた。
あきらかに、露店の仮面を着け。
木で出来た、安物の双剣の おもちゃを、
持っている。
「 わたしが、きたからには、
もう、だいじょうぶだ……! 」
どうやら、女の子のようだ。
「 」
あまりの事に、皆、
言葉を、失った。
血を流す、部隊長の横で、
倒れている婦人が、
子供を見て、言った。
「あぁ…………、マーガレット……、
ダメよ……、まーがれっと……!」
──それは、"蛮勇"である。
怖さを、まったく、知らないが故の。
純粋で……無垢な、
ちいさな……"勇気"。
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ ガルルルルルルォ・・・
ΣΣ
ΣΣ
「 こいっ、わたしが、あいてだ 」
ふたりの少女の前で、
かまえる、ちいさき、いのち。
──それは……" おろか " で、あったか?
「ダメよ……! に、げて……!
マーガレット……!」
「ぅ、うぉぉおおお……!!!」
母親の涙を聞き、
部隊長は、叫んだ……!!
「
──に、にげろぉおおおお……!!!
なぜだっ、こんなっぁああ……!?
──そっっ、そこのッッ!!!
ふたりの、少女よっっ・・・!!?
にげっ、にげるんだ……!!!
その、ちいさな子を抱えて・・・!!
こちらに、はしれえええええ!!!!!
お前たちも、なにを、している!?!?
あの、ふたりの少女の後ろの、
子供たちを・・・はやく、
引きずって、でも……!!!???
ぁ、な……?」
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ ゴフルルルルぁぁあ・・・!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
竜の表皮に……変化が、ある。
「た、たいちょう……」
「竜が……」
赤黒い、それは……、
まるで──……" 血潮 "
「ひかってる……」
明らかに、いけなかった。
竜は、ドス黒く、燃えている。
炎だ。アレは、黒い、炎だ。
オーラで、雰囲気で、理解る。
今日、何人も、死ぬ。
きっと、何人も、死ぬのだ。
気づけば、部隊長は、泣き叫んでいた。
もう、誰も死なせないという理想は、
崩れているのだろう、
と、彼は、悟った。
それでも、騎士は、さけぶ。
最後まで、さけぶ。
だって、その理想を、貫くことが、
彼らが、騎士たる、意味なのだから──。
「た、たのむ、にげてくれ……!!
立ち上がってくれ……!!!
おれは……いやだ……!!!!
あんな、モノに……あんな、モノに……!!
たのむ、動いてくれ……!!
はやく、はやく……!!!
かみさま……── 」
ふたりの少女の、目の前で、
ちいさな、ちいさな、クルルカンが、
竜に、立ち向かっている。
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ グゴルごアアアアア・・・ッッ!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
「 ぜんぜん、こわくなんか、ないぞっ 」
鉄骨で、編まれたような。
巨大な、竜の、尻尾が。
ちいさな勇気に、振り下ろされる。
「 ぅ わ ぁ ぁ …… 」
騎士は、涙で、にじんだ。
────。
──────。
──────────。
ぎゅっ──。
ぎゅぃぃぃぃィィィィ──。
ぎゅぅいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいい
んんんんんんんんんんんんんんんんん
んんんんんんんんんんんんんんんんん
んんんんんんんんんんんんんんんんん
!!!!!!!!!!!!!!!!!
「 え・・・? 」
──何が、、、起こったのだろうか。
──ギャル、
──ブチィィぃいいんんん・・・!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ ──ギゃごアァアアアア"ァァ!!?!!?
ΣΣ
ΣΣ
──何かが、ふっとんだ。
「・・・ し、 」
──尻尾だ。
竜の、しっぽが、ふっとんでいる。
空を、舞っている。
くるくる。
くるくる。
くるくる、と──。
ズどぉおおおおおンンンン・・・!!!
金属のような、竜の尻尾は、
まわりながら、すごい音で、
地面に、落ちた。
「 な、にが・・・起きた? 」
・・・。
ち ぎ れ た 。
涙目の騎士は、理解する。
竜の尻尾は── ち ぎ れ た の だ 。
ねじれ、飛んだのだ。
ぎゅぅうういいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんん!!!!!!!
──こおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
ちいさな、3歳の、
女の子の、クルルカン。
つっ立っていた。
あっけに、とられている。
竜の尻尾を切ったのは、
もちろん、彼女では ない。
ちっちゃな義賊は、
すぐ、目の前に立つ、
──黄金の髪の、少女を、見た。
ぎゅういいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんん!!!!!!!
すっげぇ、うるさかった。
めたんこ、けたたましかった。
騎士の、誰かが、言った。
「 " 光 "が・・・、" まわっ "、てる……? 」
黄金の少女の、"右腕"が、
──かがやいていた。
騎士の、たとえは、正しい。
──その、みぎうでは、" 光 "で ある。
金色の、少女の右腕は──、
黄金の輝きを、まとっていた。
鮮烈で。豪快で。キマっていて。
そうだ。
私たちの。
よく知る、かがやきだ。
──ぎゅういいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんんんんん!!!!!!!!
ΣΣ
ΣΣ
ΣΣ ゴ、ごアアアアア・・・!?!!?
ΣΣ
ΣΣ
ちいさな、クルルカンの 頭を、
右腕が、光に包まれた少女が、
もう片方の手で、
ポンポン、と、労る。
「あの子は、なんだ……」
騎士の瞳に、希望の輝きが、戻る。
ちいさな勇気は、
その、カッコイイ金パツの姉ちゃんの、
頭に、王冠が あるのに気づいた。
あたまの上に浮き、
クルクルと、回り、
赤い、宝石が、ついている。
「 きんいろの、じょうおうさまだ! 」
その黄金の少女は、
ちいさき分身の頭を撫でると、
前へと、進み出した。
歩き、はじめる。
すぐ、となりを、
白銀の髪の少女が、
ついていく。
──竜へと、立ち向かっていく──。
なぜか、誰も、止めなかった。
そして、だれかが、言った。
「 金さじの……髪の毛、が──…… 」
風に流れる、金色の髪は。
いつの間にか、
" ツインテール " に、なっていた。