第四双世界考察/第三新世界倫理機構
今日も何も考えずに書きました。
( ˘꒳˘ )エッヘン
『────……☼』
箱庭フォートレスは、今も、
白みがかった、無限の空間を、進んでいる。
太陽など、無いはずの、この空間で。
どこからとも無く、
白い、光のカーテンのような閃光が、
やさしく、おそろしいエネルギーを以て、
私たちの前で、ゆらめいている。
船は、少し傾きながら、
優雅に、進んだ。
時たま、なぞの大陸が見え、
まるで、巨大な串に刺さった、
屋台の、お肉のような大地に、
しかし、呆けている間に、
通り過ぎていく。
バカデカすぎて、
串の、下の はじまりと、
上の、おわりが、見えないのだ。
私の観測機を以てしても、
それは、分析できない規模だった。
光量に気圧され、
数々の大陸は、白に消えていく。
それは、美しい光景だった──。
キカイだった私でも、そう思う。
『────よかったですね:アンティ──☼』
──その風景は、
おそらく、あたらしく、
出来つつある、四つめの世界は。
あちら側にいる、
黄金の彼女の涙を、
やさしく、眺め、祈ることに、
ひと役、買った。
この、無限の世界は、
美しいとは、思うけれど──。
──やっぱり、このフィールドの、
私たちのセカイの主人公は、
あの、黄金の、女の子なのだ。
私は、謎の巨大な、戦艦の中。
艦橋にマウントされた、
キカイ仕掛けの、操縦席で。
7基のウィンドウを展開し、
メインモニターで、それらを、見ていた。
私は、女神では無く、
ただ──彼女たちの、友人だった。
『>>>……やさしそうな顔で、
>>>見ているじゃないか──』
うしろから、カップを持った、
旦那サマが、話しかけてくる。
『────ふふ──:アンティの:
────御学友の評価を:
────また:見直さなければ:
────いけませんね……///☼』
『>>>──ふんっ、いいヤツらな気は、
>>>していたさ……。
>>>やれやれ、もうちょっと、
>>>品の無いヤツらなら、
>>>ぼくが憑依して、
>>>尻でも、ぶっ叩いて、
>>>やったんだがな?』
『────それくらいなら:
────アンティでも:やりますよ☼
────少し……☼』
『>>>ちがいない。……ん?』
『────喋り方が:ギンガ殿に:
────似てきましたか?☼』
『>>>──っはは/// よしてくれょ……』
存外、嬉しそうに、
彼は、私の隣のシートの、
肘掛の部分に、
重心を預けます。
『────"印刷機"の調子は?☼』
『>>>最悪に調子が良い。
>>>もっと失敗してくれれば良かった』
『────第一次軌道に:
────成功しましたね?☼』
『>>>……何を……燃料に動いているか、
>>>わからないんだ』
『────印刷時の:周囲の変化:
────及び:現象素材は?』
『>>>何かが消費された形跡は、
>>>観測できなかった……。
>>>ここに来たのは、
>>>癒されに来たのと、
>>>きみに──意見を聞きにきたからさ』
『────ふふ:次からは:
────私の分のミルクティーも:
────持ってくるべきですね☼』
カネトは、少し、
はにかんだように、微笑んで、
「つぎからは──」と、ジェスチャーする。
『────アップルと:
────Q3は:
────なんと言っていましたか?☼』
『>>>それがね、気になってる。
>>>ダンマリなんだ』
『────成功したのに?☼』
『>>>ああ。気まずそうな顔して、
>>>小規模な実験を、
>>>繰り返してる』
『────:・・・☼』
私は、少しだけ考え。
目の前で、進み続ける、
白い、光のカーテンの風景を、
その──おおきな、まっしろから、
創られるセカイを見ながら、
────本能で、答えた。
『────……:……"空間"、です☼』
『>>>──なんだって?』
『────直感に:近い……です。
────でも:おそらく:
────まちがい:ありません☼』
私は、目の前の風景から、
愛しい旦那さま の顔を見て、
しずかに、伝えなければ──。
『────おそらく──……。
────"空間"の概念を利用して:
────"印刷機"は:
────"構築"を行っています☼』
『>>>な……、──、 、 ……、 』
私は、また、少し。
彼の反応を、待ってみた。
突拍子も無いことを、
言っていたから。
『>>>…………、……、……── 』
『────:……わらいますか?☼』
『>>>……ぃや……、……── 』
カネトは、考えている。
その思考流路は、もはや、
ニンゲンの域を、超えている。
幾度かの、身体と、タマシイの、
破損と、修復──。
改修は、繰り返されている。
『>>>……、── 』
──……彼、は……。
……"私たち"に、近く、なってしまった。
全身が、観測機のようになってしまった、
彼の肉体の知性は、果たして、
何処に、宿るのか──。
『>>>……何かの、授業で、聞いたんだ』
ポツリと、黄金の言葉が──こぼれる。
『>>>えぇと……あれは、たしか、
>>>何かの拍子に……先生の話が、
>>>脱線したんだ』
『────:……☼』
『>>>……──あれは、
>>>……"物理学"の、
>>>話だったと、思う』
彼は、おそらく。
高校生で、"第三新世界"に、
来なければ──。
『>>>……──"時空"、だ……──』
『────:……☼』
『>>>じ、"時間"、と……"空間"、は……、
>>>たしか、、、密接な関係に、
>>>あるって……そんな、話だった──』
しっかりと、第二改世界で、
学び続けていれば────。
──もしかしたら、
だれよりも、せかいを、かえる、
わたしたち の ように──☼
まちがった、
やりかた:は────:
『>>>──……、── ── 』
彼は、見ている。
ミルクティーのデータが入った、
紙コップのような構造体を。
手で、そっと、持ちながら。
目の前の、景色を──。
幻想の船は、まっしろな空間を、
すすみ、つづけている。
『────"時空間"です:
────カネト──……☼』
私は言った。
" 時間 " と、"空間" 。
この、"白いセカイ"で──。
──ねじ曲がった、" 双つ " の、もの──。
『────その:ふたつを:
────あわせて:"時空"と:
────呼ぶんです☼』
『>>>……、 』
ひとつに、なれるモノ──。
『────ねぇ:カネト──☼』
『>>>……っ!』
むちゃくちゃ な私は、
座席から、少し、乗り出して、
うったえかけた。
私は、すでに、
だいぶん、おかしくなっている。
『────私には:原初の記憶は:
────もう:ありません……☼
────でも……☼』
『>>>……、──、 』
『────スナヌシは……☼
────かつての:"サンドマン"は☼
────こんな……☼
────何も:確証が無い中で:
────私なんかが:
────予測演算できる仮説に:
────行き着いて:いないはずが:
────無かったと……思うから……☼』
『>>>……』
カネトは、バカには、しなかった。
それが、彼の優しさなのか。
それとも──"ミルク"と、"紅茶"の混じった、
それよりも、飲み込むのが、
むずかしい、" ひとつ "の──── 。
『>>>……ぼくらは、さ』
『────はいっ☼』
いやに、白い気持ちで、
私は、彼の言葉を待った。
『>>>……言っちまえば、
>>>" 高校中退のバカたれ "と──、
>>>" 記憶喪失のカミさん "だ──。』
『────:……!☼
────ふ:ふ……☼///』
ちょっと、お似合いじゃないか、と、
思ってしまって、笑ってしまった。
『>>>ぼくたちの理論なんて、
>>>何にも、確証の無い、
>>>おとぎ話の──ようなモンさ』
『────そうだと思います☼』
『>>>……でも……──、 』
彼は、続ける。
『>>>もし……きみの、"直感"が、
>>>正しいと、したら────』
冷や汗が、伝う。
光の、ゆらめきは、
かがやいた。
『>>>……、……。
>>>あの、突然、あらわれた……、
>>>……"印刷機"の、
>>>プログラム、っての は──……』
しずかな、空間 の、中で。
ゆったりとした、時間 が、流れている。
確証のない仮説だけが、
私たちの思考の、邪魔をした。
『>>>" はぐるまどらいぶ " という、
>>>" 宇宙ステーション " は────。
>>>──"時間"と、"空間"を、消費して、
>>>"世界"を、印刷し直す、
>>>機能を、持っていた──?』
『────その機能を──……☼』
記憶なんて、いらない。
私は、もう、
充分、理解している。
『────記憶を失う前の私が……:
────使用した☼』
『>>>それは……!』
────タンッ・・・!
カネトが、
ミルクティーの入ったカップを、
肘掛の、上に置く。
『>>>……まだ、分からないさ』
『────いいえ……☼
────でも:無関係では:ない☼』
『>>>クラウン──』
『────わかっているんです:
────カネト☼』
私は、せいいっぱい、ほほえんだ。
『────私は:とめられなかった☼』
認め、受け入れる所から。
倫理の構造は、開始する。










