王都ワチャワチャ
■第三次って……、
やっぱり、むずかしいモンなの?□
「ああ! かなりのモンだぜ……」
「簡単に言うと、
当てる自分と、当てるマト──、
どちらも動いている状態での、
応用詠唱なんだ」
「ボクたちはな、止まっている状態で、
練習を、し過ぎたんだよ……」
■動きながらの試験……って、
コトなのね?□
□応用詠唱って、そんなに、
むずかしいんですか?■
■えっと、魔法の、
形状変化に、なるのよ。
丸いカタチの魔力を、
三角形の槍型に、したり……□
「その通りさ。やっぱり、
座学満点のヤツぁ、
理解が早いな!」
「当たり前のことなんだけど、
魔法を使う時なんて、
撃ち抜く対象が居るんだから、
何もかも止まっているワケは、
ないじゃない?」
「移動しながらの、
魔法の組み立てが、
オレらは……まだ、かなり、
ニガテなんだよ」
「歩いたり、走ったりする、
ってことは、
身体の流路のカタチも、
変化・動作しながら、
魔法を練り上げるってコトなの」
「ボクたちは、止まった状態での、
自分の身体の流路でなら、
魔法が練れるんだけど……、
追いかけっこ中なら、
全然さ……」
「しかも、試験用のマトは、
先生たちの魔法で、
めちゃくちゃに飛んでいるしね」
□……なる、ほど。
理論では、理解できます■
「きみだって、隣街で、
ふたりで組んで、
仕事してるんだろう?」
「移動詠唱で、
困ったりはしないの?」
□ぁ……、いや、えっ、と……■
■ぁの……、この子は、
どっちかと、言うと、
私に……事情が、近いから……□
「ぇえ!? そうなのかぃ……!?」
「だから、仲良くなったのか?
いや、それなら、すごいよ。
おんなじ壁を、
飛び越えた仲ってワケだな?」
■ぅ、う"……!? ぅ、う"ん……//////□
□そ……、そうなの、かナ……//////■
「にょんやぁぁ〜〜♪」
「くゆっくゆ!」
「はぁん、ナルホド……?
従獣と、意思疎通するスキル、
ってのは、ボクたちの練習してる、
流路体系とは、まったく、
別のモンなんだろうなぁ……!」
「前に学校で やってた、
うさ丸ちゃんが、バボん!
って、巨大化するのも、
あなたの魔法なんでしょう?」
「──にょっへん♪♪♪」
■──えっ!? いや、アレは……!
き、きひひ……なんと、いうか……///□
□き、き──、、、
企業、ヒミツです……///■
「おっ、なんだか、アヤしいなぁー♪♪」
「ははは、まぁ、オレらは、
がっつり、でっかくなってる所、
見ちゃってるしなぁー」
「めっちゃ、可愛かったわよね!
巨大化うさ丸ちゃん!
見たいけど、さすがに、
王都のド真ん中で、巨大化したら、
迷惑に、なっちゃうかー」
「いやいや! 王都のヒトたちは、
巨大化する従獣なんて、珍しくも、
ないんじゃないのかぁ!?」
「ぁー、そうかもしんないわね!
強化されたスレイプニルも、
王都の門番さん、そんなに、
荒事には なってなかったもんね!」
「デカくなっても、
大人しいもんだったよな!」
「そういう温和なコが、当然、
強い従獣としての、
適正なんでしょうね♪
ねぇ〜〜〜〜っ♪♪」
「──にょっっっへんっ!!♪♪♪」
■き、きひひ……そ、そかもね……///□
□ぇ、えへへ……、ふぅ……///■
「くーゅ、くゆくゆくゆ、
くゆっくゆくゆくゆくゆ、くゅ!」
「おぃ、また、うさ丸と、
カンクルの、ぬいぐるみ、
もってた子、いたぜ」
「いま鳴いたの、
マズかったんじゃないの?
はは、ガン見されてたわよ?」
「くゅぅお……?」
「にょんやー」
「お、王都でも、
スゴイ人気なんだな……」
「なんで、こんな事、なってんの??」
■知り合いの教会の姉ちゃんが、
勝手に商品化しやがったのよ……□
□あの女、アホです……■
「おぃおぃ、滅多なコト、
言うもんじゃないぜ……」
「ぁ、けっこう、言うトコ、
言っちゃう感じなのね♪」
「つーか、従獣のマスターが、
おめーら二人、って、ことぁ、
けっこー、有名人に、
なっちゃうんじゃねえの?」
「そーよね? 実際、
うさ丸ちゃんとカンクルちゃん、
隠しながら、歩いてるワケだし」
「ま、ぬいぐるみのフリ、
ヘタクソだけどな! ははは!」
「──に"ょっきぃぃぃいい……!?」
「──かんかぁ──ぁあん!」
■バッ、か……! おまぇ"……ッ!?///
コーフン、すんなって……!!///□
□だ……メッ……!///
しずかに、なさぃ……///■
「はっはは……♪ かっわい♡」
「従獣なら、魔法を動かさなくても、
自分で動いてくれるから、
いいよなぁー……」
「自分の体と、射抜く対象、
どちらもが動いてる状態での、
流路管理が、あんなに大変だって、
思わなかったよなぁ……」
「一発目は、なんとか、なるんだよ。
でも、二発目、三発目、ってなると、
全く制御できねぇし、
威力も落ちるし……」
■ふーん、そゅう、もんかぁ……。
私は、感覚的には、
わっかんなぃかんなぁ……。
ま、クソめんどくさいハナシよね?□
□単発で撃ち込むよりも、
高威力で、まるごと吹っ飛ばす、
というのも、アリなのでは?■
「け、けっこう、ふたりとも、
物騒な考え方なんだな……///」
「第三次試験は、できる限り長く、
小威力の魔法を連続使用しながら、
多くのマトを叩くのよ……」
「イッパツ、デカいのを撃ったら、
不合格……! 流路制御、
出来ていないと、見なされる」
「もう、みんな、魔法の軌道、
ふにゃふにゃよ……!」
「威力なんか出ねぇし、
オレは、当たりやしねぇ……!」
■な、なるほど……。
実技、たいへんそうだね□
□こまやかな技術を、
確かめるための試験なんだね■
「今回わかった事なんだけど、
ボクたちは、体術系や、
近接戦闘系は、さっぱりなんだよ」
「ジャイアー先生の授業と、
スネイオ先生の授業の成果が、
噛み合っていない感じ、ってゆーの?」
「そぅそぅ、正にソレ!
このふたつが、噛み合ったら、
最強って、みんな、
頭では、理解してんだ!」
「剣の授業もさ、みんな、
ちょっと、成績が悪いんだ!
魔法に浮かれて、本腰、
入ってなかったからなぁ……」
「私も、その口だわ……。
もっと、真面目に授業、
受けときゃ良かったのよねぇ」
「2年前の自分に、言ってやりたいぜ!
座学での理論も、勉強し直しだし……」
「それな。座学と体術、
サボったツケが、
魔法の試験結果の、
足を、引っ張りまくってんだよ」
「ちゃんと、キミみたいに、
しっかり勉強しとくんだったよな……」
■ま、まぁ……? 座学だけなら、
誰にも負けませんし……?//////□
□みんな、がんばって、
いるんだね……■
「ぉ、おお……///
敬語じゃないのも、新鮮だな……」
「つーか、私服、可愛すぎんか!?
ソレ、ドニオスの服屋さんなの!?
ちょとあの……いつか、
買ったトコロ、教えてよね!?」
■え"っ、いや、コレはなぁ……□
□けっこう、覚悟が、いるよ……■
「──そんなに高いの!?
うわぁ……」
「おいよせよ。この二人、
もう、働いて、金、稼いでんだぜ?」
「いいよなぁ……当たり前だけど、
がんばった分は、好きなモン買えて、
自分で生きていってんもんな!」
「何だかんだ、私たち、
まだ、親に、おんぶに抱っこ、
だもんね?」
「カーディフの街は、
西の端っこに、あるから、
ちょっと、オレたち世代に、
過保護な感じは、あるよな?」
「おもった!
ドニオスの学校とかだと、
15歳とか……ぜったい、
独り立ちしてる人も、多いでしょ!」
■ど、どうだ、ろぉ……??□
□わっかんない、なぁ……■
「あの露店のメシ、
美味そうすぎへんか……。
買ってこよ」
「わたし、ふたつね」
「たかんなよ……」
「寛大な心は、
魔法使いの第一歩♪」
「泣け無しの小遣いが、
王都に消えるぜ……」
「なぁ、結局、ふたりは、
どういう仕事してんの!?」
「あっ、それ、気になる!
やっぱり、うさ丸とかと、
魔物の討伐とか、すんのか!?」
■──え"っっ!? ぃ、い"……!?
ぃや、魔物の討伐、とかは……、
そ、そなに、メインじゃ、
なくって……///□
□ど、どっちかって、イウト……!?///
う、運搬、メインのほうが、
オオイカラ……///■
「あぁ、ナルホドぉ!
でっかくなった、うさ丸だと、
重い荷物とか、大ジャンプで、
運べそうだもんな!」
「……もしかして、カンクルちゃんも、
おっきく、なる……??」
「──にょっっっっ、へんッッ♪♪♪」
「………………くゆりぃぃ……」
■き、きひ、ひ……、
……こら、動くな……///□
□ぇ、えへ、へ……、
……ちょ、やめて……///■
「荷物を運ぶのが、
メインの仕事、って、コトか!」
「得意なコトで、生活、成り立つの、
素直に、スゴイと思うわ!」
「なんかさ! 有名な、
冒険者さんとかにも、
あったりする!?」
「あっー!! それ気になるわー!!
ドニオスとか、けっこう、
デカい街だから、
ふらっと、有名な冒険者とか、
来てるんじゃねぇの!?」
「ははは! デカいといったら、
ドニオスのギルドマスター、
で か か っ た な ぁ ー !!!」
「ぬははははっは!!
そうだったわね!」
「たまげたよなぁー。
やさしい人だったけど!」
■ぬぁぁ……、そっか……。
会ったん、だよね……?
うっわぁ……なんだか、
変な、感じィ……□
□あのヒゲは、とっても、
いい人ですよ。ふぅ……。
お世話には……なってます■
「……なんか、呼び方に、
トゲ、ありません……?」
「ギルドマスター、
そんな風に呼べるほど、
オレ、度胸ねぇよ……」
「そうだぞ、お前ら……。
親しき仲にも、礼儀あり、
だぞ……。オレ、親に、
ドニオスのギルマスさんには、
ぜったい失礼な真似は するな、
って、念押し されたぞ……!」
「ま、コイツがイチバン、
無礼に質問攻めに、
してたんだけどね!」
「──ぬははははは!
まぁな!!!!
つか、お前もだろ!!」
「だってー! あの人、
明らか、なんか、
隠してそうな、雰囲気、
だったんだもーん!!!」
「「「 おもったー!!! 」」」
■へ、へぇぇ……? ど、どど……?□
□な、なに、聞いたんですか……?■
「──もちろん、きみ達のコトだよ!!」
「あなた達、ふたりのコト、
なんか、スッゴイ、
教えてくれないのよ!!」
「それなんよ。少しだけ、
ハラ立っちゃったもんっ!」
「いやぁ、あんまり、
街の冒険者のコトとか、
ベラベラ話しちゃあ、
いけないんじゃないのか……?」
「んま、思ったけどねぇ……?
街を守る、ギルマスさんだし……?
ただねぇ……あんなに、
露骨に隠されると、ねぇ……!
何年の付き合いの友だちだと、
思ってんのって……!!」
■け……ケンカとか、
してない、よね……??□
□ヒゲ……耐えてくれたんかな……■
「ははは、困った顔は、
してたなぁ、ギルマスさん」
「黒いスーツで、腕、組んでさぁ。
ふわっとした答え、
ばっか、だったよなぁww」
「今、思えば、
隣街の、観光中の学生なんかと、
よく、あんなに、
しゃべってくれたモンだよ!」
「それは、そうかもしれないわね!
でっかいけど、コワイ人じゃあ、
まったく、なかったわ!」
「てか、ふたりともさ、
街で聞いてまわったけど、
結構、有名人じゃね?」
■え"っ、なにが……?□
□ど、どゆ、ことですか……?■
「あれ、多分なんだけど、
キミたちを知らない人、
ドニオスに、いなかったぞ」
「それな。いつも、
お世話になってるわ〜、とか、
言う人も、めっちゃいるから」
「おまえ、アレ、
すごいと思ったよ?
金髪と銀髪って、この国じゃあ、
珍しいから、やっぱ、
目立つのかな???」
「なんか、酒飲んでた人たちが、
知らないヤツなんか、
この街には いないぜ!
って、言ってたよな?」
■ぐぉぉぉぉ……アホぉぉぉ……///□
□ナニ、ヤッテンダァァァ……///■
「つーか、子供も、めっちゃ、
知ってたぞ……?」
「今日は、お姉ちゃんたち、
居ないの? って、
逆に、聞かれまくったんだが」
「そーだ! これも、
気に なってたんだけど、
キミら、変な あだ名、
付けられてない?」
■ふへっ──・・・!?□
□ナ・・・なに、ガっ……!?■
「なんだっけ?
くゆかん、とか??
おくさん、とか??」
「ぁあ! ソレ、わたしも、
言われたかも!!」
「ちっちゃい子供とか、
くゆゆ! おくさん!
って、連呼してたよな……?」
「おくさん、な!!
こーぎん、とかもな!!!」
「くゆゆ、って、多分、
カンクルちゃんのことよね??」
「くゆゆかんの、おねえちゃん、
とか、いってたもんね?」
■あ"ぁあ"ぁぁぁァァ"・・・□
□オシオキ、カク、テイ・・・■
「なぁーんで、2、3歳の子供まで、
お前らのコト、
知ってんだよ……はは!」
「くゆゆの、おくさんは、
おくさんだよ!
くゆゆは、はやいんだよ!
とか、言われたんだけど」
「おまえ、ソレ、
言うなって……///」
「さいってー……//////」
「へ? なにが?」
■おくさん、ねぇ……。
そりゃ、奥さん だけども……□
□ちょ!?/// チョット……!///
ば、ばかっ……!//////■
「なぁ!! さっきの話!!
有名な冒険者とか、やっぱ、
会ったコトとか、あんのっ!?///」
「この、可愛い姉妹ちゃんも、
冒険者の、お友達??
おんなじパーティ!?
めっちゃ、着せ替えしたいんだけど……///」
「つーか!! おまえさ!!
さっきの、フトコロから、
ジュース、無限に出てくるの、
アレ、どうやったんだよぉお!!」
「おぉ、そぅだぞぉお!!
アレ、教えろよお!!
ガッコーで流行らせようぜ!!
ぜったい受けるぞ……!?
大道芸レベルだろ、あんなん……!!」
「いや、あれ、タネが あんのよ!
へへーん、私、わかったわ♪
服のウラに、アイテムバッグが、
縫い込まれてんでしょっっ!?」
■あぁー……//////
うるせー、うるせー……っ///□
□い、いわんこっちゃない……///■
「てかさ、ぜんぜん話、
変わるんだけど……!
あの、アホでかい、
カフェ広場に あった、
女クルルカンと、
女オクセンフェルトの、
でっかい、像……!!
やたら、この二人に、
ソックリじゃなかった!?」
「「「「「 お も っ た ァ ァ──!!!♪♪♪ 」」」」」
「あれ、最近、復活した、
7番目の大クラスの、
冒険者のペア、らしいぜ!!!!!」
「おお、きいたな!!
二人だけの、クラン、なんだろ……!?
たしか……手紙……そうだ!!」
「「「「「 " レター・ライダーズ "・・・!!! 」」」」」
ダ ッ !!
ダ ッ !!
「──おい、なんだ!?
金さじ!? マイスナちゃんも!?
なんで急に走るんだ!
まて! 逃げるな!
さっきのマジック──教えんかいっっ!!」
「……ほほ、気苦労が、耐えませんこと……」
「リビお姉ちゃん、イカ焼き食べたい」
「──ナナナナナ──っっ!!!!」
「──あっ、おい、てめぇ!!
オレの、あらびきソーセージがああああああ!!!!!」