クルルカンと……? さーしーえー
前話、アンティが直でガルナットさんに届けにいった理由を修正しました!
ごめぬ。
((((;゜Д゜))))
ポストない→人がいない
勉強の息抜きに、ギルド受付横の、掲示板の依頼書を見ている。
いろいろあるなぁ。
結局、こういう普通の依頼は、全く受けてないなぁ。
薬草つみとか、やってみたかったわ。
「アンティさん? なーにしてんですか?」
「にょや……」
キッティが、仕事の合間に声をかけてくる。
今日のうさ丸は、クルルンベルの横で眠っているので、いつもより静かね。
「依頼見てるの」
「それはわかりますよぅ」
ぶしゅ、ぶしゅ。
おい、やめたげて。
うさ丸、起きるでしょ。
すごい毛に指が入るな……。
また顔に飛びついてくるわよ?
「にょわ……にょわわ……」
「なんで、依頼書なんか見てるんですか?」
「いや、私、こっちのは受けたことないから……」
◆ゴブリン15体以上の討伐
◆カンチ草20本の納品
◆鉄のインゴットの精製
◆オーク一体の狩猟
◆…………
◆……
「色々あるのねー……」
「……何か、受けてみますか?」
「え!? いや、私、郵送配達職だし」
「でも、アンティさんって、その……ですし」
「! ああ……」
もしかして、ゼルゼウルフを単騎討伐した事を言ってる?
……そいつだけじゃないけどね。
バーグベアとか。
シガラグレイルとか。
レッドハイオークとか。
ウルフなんか、もう100匹は狩ってるわ。
うわぁ、これ以上有名になるのはゴメンだわ。
「……やめとく。あんまり悪目立ちしたくないし」
「……その格好で言っても、説得力ないですよ?」
「ぐっ……! う、うるさいなぁ」
「残念です。というか、ギルマスに同情はしますよ? アンティさんが、もし違う職種で、定期的にデッカい魔物を狩ってくれたら、素材売買でギルドも潤いますし……」
う、うーん。
そんな事言われても。
自分から、危険な所には行きたくないんだよぅ……。
ただ、今もってる黒焦げの素材とかは売りたいな。
いくら無限に入る空間だとしても、たまにお掃除はしたい。
……誰か、秘密で素材を買ってくれる人いないかしら。
「あれ、アンティさん。さっき、どこかのお店によるとか言ってませんでした?」
「あ、やば」
忘れる所だった。
変態のところに、帽子を買いにいかなきゃ……。
こしょこしょこしょ……
「にょわ~……!」
「ふっ! ふっ! ふっ!」
「…………」
バタン。
お店のドアを開けると、黒いレザーマスクを被った変態が腹筋をしてた。
思わず、閉めた。
苦い感情が、浮かんでくる。
「…………帰りたい」
でも、帰れない。
そろそろ、クラウン隠蔽用の帽子を見つけなければ。
他の服屋さんにも行ったが、いいのが見つからなかったり、入店すると店員さんの顔が引きつったりと、しっくりした帽子が見つからなかった。
私は、意を決して、再び変態扉を開いた────。
「いらっしゃ……おお! 姫! 姫ではないかっ!! ご無沙汰しておりますぞぉぉおおおお!!!」
「……わかった、わかったから。あんま喋んないで……」
それとなく、変態に事情を説明した。
「ふむ! つまり姫は、隠密行動がとりたいのだな?」
「隠密……もぅ、それでいいや。そう、この王冠隠す、いい帽子あーる?」
「ふむ、しばし待たれよ……!!」
ガサゴソ……
ボコッボコッ
ガゴンガゴン……
「──これなど、いかがであろうか?」
アブノさんの手に、植物で編まれた帽子と、明るい色のシンプルなワンピースが握られている。
ぐあぁ……腹立つわぁぁ……!
普通に、可愛いじゃないの!
何が腹立つって、この変態、服のセンスがいいのよ!
なんで、そんな格好してるのよ!
身体からなんか湯気でてるじゃないのぉ!
そんななら、まだ私のほうがマシよ!
うわあああああ……!
「それくださいぃいいいい……!!」
「いや! 姫から金は受け取れん!! 持っていかれるがよい!!」
「バカやろぅ、私を本物の盗賊にする気か!! この前のもお金払ってないでしょ!! いいから受け取りなさい!!」
「な、なんと……! 気高き精神の持ち主ッ!! 我は……我はッ!! 感動しているッ!!」
……なにを言っとんのじゃコイツ。
お客からお金は貰いなさいよ……。
その後、無事にお代を払えたと思ったら、オマケに革のホルダーのウッドサンダルをプレゼントされた。
片膝ついて差し出されたので、断るに断れなくなり……結局、受け取りました。
……可愛かったです。
「ふんあ~~……疲れたわ~……」
ボフン。
現在、高度40メルトルのベッドの上です。
今日はもぅ、勉強する気にならん。
年頃の娘が変態と対峙したのだ、許してくれ。
アブノさんのお店で、クルルカンのまま、帽子を被ってみた。
クラウンを横にすると、スッポリと頭を覆えた。
そういえば、黄色いワンピースは別にいらんかったんじゃないの? とも思ったが、まぁ確かにこの帽子に似合いそうなので、良しとする。
アブノさん、やはり商売上手なのかもしれない。
「サンダルも貰ったし……まぁいいか」
ラワムギの帽子。
黄色いワンピース。
革のウッドサンダル。
この三種の神器が、月末試験の対人武装になるだろう。
ま、多分バカにはされるだろうから、逆にのんびりいこう。
予習は恐らく大丈夫だと思うし、まだ少し日程的な余裕がある。
今日は寝ちゃおうかな。
歯車を飛ばして、光の魔石を消そうとする。
────きゅるるるるる、ぎゆ、ぎゆ、
「ん? お?」
なんだ……歯車の様子がおかしいな。
空中で、止まってしまったわ。
────ぎゅぎゅ、が、ごか、が。
「────!」
歯車の穴で、淡い光が、点滅してる……?
バッグ歯車だ。
なんで勝手に、バッグ歯車になったんだろう??
私、なにもしてないよ?
どうなってんの……?
『────警告、警告、警告、警告、警告。』
「わあぁ!?」
『────警告、警告、警告、警告、警告。』
「な、なに? なに! クラウン、なんなの!?」
クラウンが、いきなり同じ言葉を繰り返し始めた!
な、なんなの! なんか怖い!!
「ク、クラウンッ!? 状況説明!」
『────告。"時限結晶"内にて、一部のアイテムが暴走しました。』
「はぁああああァァ!!?」
ぼ、暴走って……!?
"時限結晶"って、格納したアイテムごと、時間を停止するんじゃないの!?
クラウンが、狂ったように、しゃべり続ける。
『────警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください。警戒してください──』
ひぃっ! やめて~~!
こわいこわいこわいからぁ!
おなじことくりかえさないでぇぇ!










