悪約御礼、手の成るほうへ。晰 さーしーえー
わぁ、えがいっぱい!( ´∀` )
「……ねぇ。さっきから、
なんで、何度も、
チカラを使っているの?」
エコープルに、そう、言われて。
「「 ──ッ…… 」」
アンティとマイスナは、
本当に、驚いた。
「あんた、何を、言って──……、、
──え……?」
リビエステラは、
さいしょは、訝しんだが、
エコープルに問いかけられた、
金と、銀の、少女を見て。
それが、見当違いでは無いと察する。
とくに、アンティは、絶句していた。
なので、マイスナが、答えた。
「…… 」
「……ょく、わかったね……?」
「……ぉ、ねえさま?」
エコープルは、しずかに答える。
「……時々、グワっと、チカラが、
ひろがる感じがするの。
もう、覚えたよ。
私だって……みんなと、
一緒に、たたかったもん……!
うさ丸の、おっきな耳のあいだに、
乗って・・・!」
「にょきっとな?」
──ぽむぽむ。
エコープルは、
小さな うさぎの勇者を、
おなかの前で、大事そうに、抱えている。
「エコープル、あなた……、
まさか、そのチカラ……?」
「くゆう~~っ?」
──しゅたっ……!
おおかみの賢者は、リビエステラの肩で、
可愛らしく、そっと、周囲を窺っている。
リビエステラは、思う。
エコープルは、真実を見抜くために、
作られた、ヒト型の道具だ。
無理矢理、ねじ曲げられていた、
多くの感性、能力、未来。
あの組織の悪は、もう、無い。
「薬で、押さえつけられていた、、、
"聖女"としての、本来の、
あなたの──……、、、 」
「エコ、かんじるよ」
抑制する薬が、消し去られた今。
審議官、第一席では、なく。
──エコープル・デラ・ベリタ と、しての。
彼女の、本来の能力が、
花、開きはじめて──……!
「" 空間使い " の、チカラの感じは、
もう、わかった。
ねぇ。さっきから……、
なにを、しているの──?」
「「 ……、……──、、 」」
幼い問いかけ。
銀色の瞳は、愛する人を見て。
金色の、二代目の瞳は、
まっすぐな少女の質問を、受け止める──。
「 …… 」
……アンティは、淡く、放心していたが、、。
やがて、観念するかのように、
黄金の苦笑い と共に、返礼した。
「きひ、ひ……。はじめて、気づかれたわね」
「お姉さま……、?」
リビエステラは、
その、少し、寂しげな煌きに、
戸惑いを覚える。
「アンティ。リビっちは、気づいてないみたい」
「う? ぅ、う~~ん……」
アンティは、どう、説明しようか、
迷っているようである。
その様子を見た、銀の代弁者が、
代わりに、返礼する。
「……あの、ね、エコたん。
この、いっぱいの、ヒトたちの、中には──、
少しだけ……ワルいヒトが、
たくさん、いるの」
「──ああ、わかった!」
見守っていた、リビエステラは、
小さな妹の才能の、片鱗を見る。
その、最も幼き聖女の、
察する力は、やはり、異常なのだ──。
「スリが盗んだモノを、
スリ返して……いるんだね?」
「 ……──っっ!! 」
「ぁ、えと……うん」
「きひひ、せーかぃ」
「そんな……ことを……。」
──これを聞いて。
リビエステラは……悲しくなった。
この……どこまでも明るい、
笑顔の あふれる、祭りの中で。
この、たくさんの、しあわせそうな、
人々の、なかにも。
・・・確かに、" 悪意 " は、存在する。
たぶん・・・無数に・・・存在するのだ。
「お姉さ、ま・・・」
「・・・・・」
黄金の少女は、知っている。
知っているのだ。
かがやきの中の──、"悪" を。
きれいなモノに混ざる、
悲しい、現実を。
たぶん、いつだって、
だれよりも────……。
「おねえさまはっ」
リビエステラは、たまらなく、
黄金に、聞き返す・・・!
「いつも……そんなっ、、
されて、、、いるんですか。
その……このような、ヒトの、多い、
所で──、、、」
「いつもじゃねーわ」
アンティは、
ぶっきらぼうに、こたえる。
「それに、ほぼ、自動化してあるのよ。
……。ほら、そんな顔、しないで。
私の視界には、件数が、表示されるだけ。
それで、オシマイよ」
「……、、、」
それは──、ウソだと、思った。
アンティの不思議なチカラのことを、
リビエステラだって、体感している。
だが、それでも。。。
──盗んだ者と、盗まれた者。
それぞれを、知覚するのに・・・、
そのような、"自動判別"が、
本人の心労を煩わずに──……、
完全に、機能するだろうか……?
「……ムリが、ありますわよ。
お姉さま── 」
「 …… 」
つまり……アンティは、
少なからず、" 心を痛めて "、
この、"善行"を、行っている。
この世が、きれいごと、だけではないと、
絵本の・・・セカイのような場所が無いと、
彼女が、イチバン、知っている。
「……お姉さまは」
「ん?」
聖女は、慰めの言葉を、
探し始めた。
「……やっぱり、すごい方です。
もしかしたら、ドラゴンを倒したという、
おとぎ話の英雄なんかより、
ずっと──……! 」
「リビ、ありがと。
でもね──ちがうわ」
「 ・・! 」
「わたしは──…… 」
アンティは、キラキラ笑いながら──。
「わたしは── " ドロボウの王サマ " よ。
誰よりも……盗み続けている。
誰よりも、誰よりも、盗んでいるわ。
ただ──……、それだけ。 」
「お姉さま・・・」
「ぁ・・」
これを聞くと、今度は、
エコープルの ほうが、言葉に、
詰まった。
たぶん、自分は、
かるい気持ちで、踏み込んだ。
それが、エコープルにも、わかった。
幼さが、ひとつ、消えた。
だからこそ、の。
そこは、リビエステラだった。
「ふふ……、当然ですわよ♪」
「……あん?」
「天下の大義賊たる、二代目クルルカン・・・!!
半年前に、突如として、現れた・・・!
神出鬼没の、黄金の仮面のレディ・・・!!
一夜にして、あらゆる街を駆け。
人と人を繋ぎ、想いを届けるモノ──・・・!」
帽子の中の、王冠と、
異空間の仮面が、笑った気がした。
「ふふ……♪
お姉さまに、盗めないモノなど、
ありませんわ♪」
「ふん……/// 皮肉ぅ?」
アンティは、軽く、笑っている。
なので、リビエステラも、
軽く、かえした。
「私が、お姉さまと同じ能力を、
持っていたら──みんなの財布から、
100イェル硬貨ずつ、抜き取ります」
「「 ! 」」
「リ、リビお姉ちゃん……?」
肩に、カンクルを乗せながら。
聖なる ギルドマスターは、
黄金の義賊に聞かせる・・・!
「ぜーーーーったいに気づかれませんし、
あっという間に、お金持ちですわ♪」
「ぃ、リビお姉ちゃん……!?
なに、言ってるの……!?」
エコープルが、あわあわ、しだす。
大丈夫、心配ない。
「──でも、貴女方は、それを──しません。
私は、断言します」
「「 ……! 」」
「だから、素晴らしいのでしょう?」
「・・・フフフ///」
その聖女の言葉を聞いて、
前を歩くマイスナは、
振り返りつつ、フッ、と、苦笑し。
「・・・ゃりゃり////」
アンティは、先を見つめて。
年下に慰められた、という事実に、
仄かに、紅潮した。
彼女は、今も、盗み続けている。
──そうだ。
" 義賊の悪 "だ。
だが、それでも。
それでも、だ。
「心から、よかったと、思います」
リビエステラは、宣言する。
「貴女方で、よかった」
眼前、通るは、"ふたりの王"だ。
この世に舞い戻りし、最強の義賊と。
その、ライバルたる、最強の敵役だ。
踏みつぶされろと、聖女は、思う。
色々な訳が、あるのだろう。
だが、このふたつの悪意の前に。
邪悪な罪が、赦されるものか。
こざかしい盗人は、すべてを失敗し。
おろかな盗人には、屈辱を与え。
本当に、まずしい盗人には、
コガネ色のリンゴが、
ポケットに入っているに、ちがいない。
聖女は、正しく理解した。
「それに──」
リビエステラは、続ける。
「あなたがたは、ふたりで、
ひとり! ですから・・・♪」
リビは、エコの肩に、
そっと、手を乗せる。
「り、リビ、お姉ちゃん・・・?///」
「最近、その心強さが、私にも……わかりました」
そんなに、多くなくても、
いいのだと、思う。
でも、もし……幸運にも。
そのような人が、
そばに、いるのなら。
そして、それが。
たまたま──"愛する人"と、
なったのなら──。
「だから、どこまでへも、
いけるのでしょうね?」
それは、ちいさな。
聖なる──"挑発"のような。
マイスナは。
──……ニカリ……!
と、笑って。
「にしし~~~~っ♪////」
それは、つまり、
" ま か せ て お け " と、いう、意味で──。
「──ふ、ふんっ・・♪////」
前を行く、アンティも、
少し、恥ずかしそうに しながら、
そっぽを、向いている。
心を支える者は、いつだって、そばにいる。
「えっ・・・と……???」
「にょきっと?」
これには、エコープルの幼さが、
素直に、出た。
小さな元・審議官の おこちゃまは、
よく、解っていない。
「リビお姉ちゃん・・・??」
「ふぅ、やれやれですわねぇー」
聖なる お姉ちゃんは、
愛しい妹分に、小声で、
ちゃんと、おしえてあげる。
「ふふ・・♪
金色の偽善の"悪"を癒せるのは──、
いつも、そばにいる、
銀色の本物の"悪"、だけだと、
いうこと、ですわっ・・・♪」
リビは、楽しそうに言う。
「・・???
よく、わかんない……?」
「ぁ、あのなァ……/////
あたしの、聞こえてないトコォで、
そぉいうの、言えや・・・/////」
「えへへ……♪////
アンティ、いつでも、たよってね……♪♪////」
「ぐ、ぐゥ……////」
「あら♪ お可愛いらしぃ・・・っっ♪♪♪」
アンティが、照れに耐えられず、
軽く八つ当たり気味に、
聖女に、突っかかる。
「て、テメぇー……!?////////
さっきから、ナマイキ/////
なんだよぉー・・・っ/////
トシシタの、くせして、よォー……っ!?//////」
「おほほほ・・・♪
これでも、聖女で、
ギルドマスターですからっ・・・♪♪♪///」
それは、目上の者に対して、
敬意も、へったくれも無い態度だったが、
リビエステラは、それが、とても嬉しかった。
肩に乗る、小さな、花オオカミの毛並みが、
やさしく、頬に触れ、実に心地が良い。
だからこそ、聖女は、
丁寧に、指摘する。
「──ソレ。
ずっと、続ける必要は、
無いと、思いますわよ?」
「 ! 」
「ただ── 」
「・・・ただ?」
アンティが、聖女に、聞き返す。
「剣だけを振るう、英雄には、
とても出来ない、行いかと、存じます」
「──! うんっ、うんっ♪♪
そぉだねっっ♪♪♪」
エコープルが、ウンウン、頷いた。
リビが、続ける。
「さすが──" 二代目クルルカン "。
結構な、お手前に、ございます」
聖女は、わざと、ゆっくりと、
芝居がかった口調で、賛辞を述べる。
それは、軽い、一礼と、共に。
しかし、奥底からの、本心だった。
彼女は、ほこらしい。
どうだ、どうだ・・・!
これが。
これが──今世に、蘇りし・・、
黄金の義戦たる悪を駆る・・・!
──輝かしき、義賊王なのだと・・・!
姉が、一礼したので、
エコープルも、一礼した。
ちょっと、カンクルが肩から落ちかけ、
うさ丸の おミミが、ペコリと垂れた。
「ぃ……!?///
ぃ、言ぅてろ! アホたれめ……!//////」
「ぁ。アンティ、まだ照れてるぅー////」
やがて、義賊と狂銀の、
微笑ましい口論が、はじまった。
礼を終えた、東のギルドマスターが、
クギを刺す──。
「まぁ、ただ──。
"義務"だと思って、
あんまり、続けないで、
くださいましね?
ヒドイ盗みを、無かったことにすると、
犯罪者を、野放しに することにも、
なっちゃいますし?」
「あっ、そうだよー! わるいやつは、
ちゃんと、さばかないとーっ!」
至極、当然の聖なる指摘に、
ふたりの悪は、ドギマギする。
「「 う"っ・・・!?
す、スミマセン・・・ 」」
年下聖女姉妹の、もっともな ため息の前に。
義賊と狂銀は、シロクロした。
──そして、着信だった。
──PiPiPiPiPi・・・!
「「「「 ! 」」」」
全員が、気づいた。
アンティの、首元の、
はぐるま で こしらえたチョーカー。
その下に隠す、
プレミオム・アーツが、反応しているようだ。
リビが聞く。
「あら……着信、ですわね?」
「っぽいね。・・・あっ!
ヒゲイドさんからだ……!」
アンティは、戸惑っている。
ここで……応答しても、よいものか……??
聖女が助言する。
「この人混みです。大丈夫かと」
「アンティ。わたしも、そう思う」
マイスナが、リビに同意した。
「そ、そぉう……? じゃあ・・・」
アンティは、応答した。
「も、、、もしもし?」
『──おぅ、アンティか。
む……随分と、周りが、騒がしいな。
今、外か? 平気か? 』
「ぇ、ええ……! 大丈夫ですよ。
その、逆に……、
騒がしいって、いうか……?」
通話の音声は、
周囲の祭りの賑わいが、
上手く、溶かしてくれるのだろう。
『──ふむ。なるほど、な。
それで──だ。
今朝の、連絡は、見たか?』
「あぃやー……っ!」
「あらまぁー……っ」
これを聞いて、
アンティとマイスナは、顔を見合わせた。
だが、焦ったと同時に、
半分くらい、安心も した。
今日の朝、ベッドで、寝ぼけて、
消してしまった メッセージは、
ヒゲイドさんの、ものだったのだ・・・!!!
「ヒゲイドさん、だったかぁぁ・・・!!」
「でも、あえての・・・セーフ、かも・・・??」
もし、消したメッセージが・・・、
北の、ギルドマスターの、
ブレイクおじいちゃんの、モノ、、、
だったりしたなら。
今すぐ、パートリッジの街に行って、
土下座も あり得るよなぁ・・・、などと、
考えていた、アンマイである。
『──なんだぁ?
話が見えんぞ。どういうことだ?』
ふたりは、偉大な、西のギルドマスターに、
簡単に、やっちまったコトを、説明した。
『──間違って、消した、だぁ・・・!?
バカヤロぉー! なーに、やってんだぁ、
お前らはァー……!』
「すッ、スんマセンっ・・・!////////」
「ごッ、ごめんなさい・・・!////////」
『──ったく。しょうがねぇなァ。
まったく』
おおきな溜息が聞こえたが、
どうも、そこまでは、深刻そうで無い。
そんな、雰囲気である。
──カラン、カラン。
トポポ──・・。。
通話越しに、なにか・・・、
グラスに、飲み物を注いでいる、
水音が聞こえる。
ヒゲイドは、
明らかに、休憩時間などを利用して、
連絡して きているのだろう。
アンティが続ける。
「……本当に、すみませんでした。
以後……無いようにします。
その……急ぎ、でしたか??」
『──ふぅー……!
……ん?
まぁ、正直なところ、
急ぎ・・・って、ほどでも、
無かったんだがな。
本当に急ぎなら、
お前たちが応答するまで、
通話を、かけ続けるだろうし』
「ぁ、あぁー……」
「そ、ソデスネ……」
内心、その通りだと思っていて、
そんなに火急の事態では無いだろうと予測し、
放置しちゃっていた、アンマイである。
まぁ、もちろん。
アンマイは、この行いのコトを。
3分後に、アホみたいに、後悔 するのだが。
き、きになるぅ・・(((´ー`)))










