おしにえのきぼう
くまおぱぁい……!!
の、イチャコラ回です<(_ _*)>。
祭の天気。
4階建ての屋上に、
バカみたいな大きさの大剣が2本、
昼寝をするように、干されている。
秋晴れの日に浮かぶ、
刃の日時計。
くま:「よォう」
オシ:「……」
座り込む 女剣士に、
盾を持ったクマが、挨拶をした。
賑わう祭り から切り離された、
秘密の、空間。
勝手にヒト様の建物に、
あがり込んだオシハのことを、
ベアマックスは、べつに、
咎めァ、しない──。
女剣士は、知らん屋上の特等席で、
安い酒と、串焼きを、キメこんでいる。
くま:「相変わらず、デカイ双剣だなァ」
オシ:「……ンだよぉ……///。。。
素行不良な剣技職を、
注意しに、きたのかよぉ……///」
くま:「ちょっと、持ってみていい?」
ベアマックスが、
1番、小振りの……といっても、
かるく、少女の背丈くらいは ある、
バケモノのような、バタァ・ナイフを、
ひょい──と、持ち上げる。
くま:「うわぁ、重ぉッッ……!」
オシ:「……アンタね。
そーいぅの、ワルい、クセよ……///」
くま:「なんだ。やっぱ、勝手に、
触るモンじゃ、ねっか!」
オシ:「ちーがーう……///」
色っぽい口に運ばれる、
揮発した、アルコール。
オシ:「……"ご機嫌取り"を、
挨拶がわりに、
カマす ことよ……///」
くま:「はっは──……とと」
盾持ちのクマは、
いつだって、ハートフルな、
あいさつをする。
……ゆっくりと、大剣は、
知らぬ屋上に、置かれた。
──ズ・・・ドン・・。
くま:「ま……なんだ。
場所が、いつでも分かる、
ってのも……考えモンだよなぁ?」
オシ:「……ふんっ……///」
すべての機能が開放された、
"プレミオム・アーツ"の捜索範囲。
その限界を、
現代のプレミオムズたちは、
まだ、探り当てる事が出来ない。
何処に居ても、
信頼する仲間たちの、
位置が、わかるなどと──。
もはや、神の、道具。
だが、クマは、
気にする、でもなく。
どっ、こい、しょ、、、と、
重そうなヨロイの尻を、
向かいの段差へと、下ろした。
くま:「ヒキハは?」
オシ:「……野暮用よ。祭りの警備連中に。
指示だけ、ね……。
すぐに、帰ってくる」
くま:「ほぉん」
ベアマックスは、
手元の包みを、ひらける。
ガザガサ──。
────どかっ。
くま:「──で?
うまく……いったのか?」
オシ:「──……ッ!」
──ふわりと、香る──。
ベアマックスが、
床に置いた包みの中には、
雑多で、だが、香ばしそうな、
揚げ物のパーティが、
ひらかれている。
デリケートな話題と、
ジャンキーな、
ポタタ。チキン。フィッシュ。
ケチャップなんて、
ついていた日にゃ、最高だ。
" うまく、いったか? "
その、問いかけは、つまり──、
" お城での、調べ事は、"
という前置きが、隠されている──。
オシ:「──・・・」
オシハは、クマの問いかけ に、
少し、ピクンと したが。
嬉しいツマミの追加と共に、
それを聞く、
ベアマックスの方が、
一枚、上手なワケで──。
オシ:「……、……はあぁ──……//////」
くま:「んだよ。ダメだったのか」
憎めないクマは、
いつだって、ずぃずぃ来るのだ……ッ♪
オシ:「……ナメてたのよ。あんむ。
モグモグ……蔵書の、量を。
一日や、二日じゃ……、
私たちだけじゃ、
とても……調べられない」
くま:「あっったりめーじゃ、ねェーか!」
オシ:「うるせーわ……!!//////」
フライ・ポタタに、
塩とケチャップを かけたヤツは、
神くらい、崇高である。
オシ:「そ、それに……//////
私たちで……読み散らかすより、
もっと──いい方法がある」
くま:「……!」
オシハは、安酒の透き通ったビンを、
タポン……と、傾け、
どこかを、見つめる。
オシ:「──あの子たちは……、
たぶん、あそこの……"ぜんぶ"を、
取り込めるのよ」
くま:「……。まァた、頼るわけか」
オシ:「そうよ……わるい?」
くま:「いーや? 別に? あんぐ──」
ベアは、鶏腿のフライを、
つまみ、口に放り込む。
くま:「んぐんぐ……そりゃあ──、
いい方法だとは、思うぜ。
ずっと、効率的だ。たぶん、
ずっと、瞬時に、終わるんだろう」
オシ:「……」
くま:「お目当ての、吸血鬼──。
"裁縫卿"……、
──"ナイロン"の、手下を……、
幽閉している場所の、手がかり」
オシ:「必ず……いるわ」
酔いを覚ます、
特別な、血の。
くま:「見つけたら?」
オシ:「愚問ね」
──バチュリ。
オシハも、シュリンプのフライを、
尻尾ごと、噛み砕く。
くま:「……。
お前たち、ふたりだけで、
北西へと、向かうのか?」
オシ:「一緒に、来て……」
くま:「お?」
オシ:「……くれないので、あれば」
くま:「あのなァ──」
バリバリ、くま。
もぐもぐ、クマ。
くま:「──"そっち"が、大事なんじゃ、
なくね?」
オシ:「 ! 」
くま:「ホントは、わかってんだろう」
オシ:「……」
くま:「……ん」
オシ:「……は?///」
ベアマックスは、
何処からか出した、グラスを、
オシハに、向ける。
オシ:「……飲むなよ……///
アンタ、からだ、
デカイんだから……//////」
くま:「おまえだって、デケーとこ、
デケーだろーが!」
オシ:「あたし以外に、
ぜってー、言うなよ、
ソレ……!!//////
チッ──……」
……トポ、トポポポ……!
女騎士より、質素な酒は、
ふるまわれる。
安い酒には、それの、
いい所が、いつだって、ある。
くま:「──ぷぁは。ま、アレだ」
オシ:「──……///」
くま:「オレらが付いていくのは、
ある意味、決定事項だろ。
今日、どうやって、
お前を、見つけ出したと思うよ?」
オシ:「……っ、……」
くま:「もう、勝手に死地に行くことすら、
今の おれ達には、できねぇさ」
オシ:「……くそ。やれやれ。この脚、
引きちぎってやろうかしら」
くま:「はっはっは。半分、
吸血鬼の血が入ってっから、
繋がったりして?」
オシ:「……なによ。
言いたいコト……///
はやく、言えよ……──」
くま:「──理由は、大切だ、オシハ。 」
今まで通りに、
ベアは、紡ぐ──。
いつだって、血剣と盾熊は、
そうだったのだ。
くま:「なぜ、ナイロンを、殺す」
オシ:「……意味が──?」
くま:「わかるはずだ」
オシハは、目を……見開いた。
他の奴が、そう、言えば、
彼女はブチ切れ、
斬りかかっていた かも、しれない。
オシ:「 ──……、…… 」
き づ か れ る 、
も の な の か 。
ベアだから、驚きに、変わった。
目を、背けたかったのだ。
くま:「恨みで……殺すのか?」
オシハは、暗さに溺れる、
フリをした。
オシ:「……私たちが、
どんな目に遭いながら、
育ってきたか……。
本当には……、
アンタも……理解してない」
くま:「おれは、クマだ。
そりゃあ、わからんさ。
それに、おれが人間でも、
それは、わからん」
オシ:「……」
くま:「でもな、オシハ。
お前はな……楽しそうに、
見えるんだよ」
オシ:「……」
くま:「けっこう、……そんなの、
どうでもいい、くらいに」
油は甘く、
天気は、優しい。
くま:「誰かを、本当に、
恨んでいるのか……、
分からないくらい、
楽しそうに、見えンだけどな。
これって、オレが、
くまった目ぇ、してっから?」
オシ:「……何故、こんな……、
明るい内から、
こんな話を、しなきゃあ、
なんないッッ……」
くま:「恨みで殺しに行くなら、
別に、それでもいいんだ」
これを聞いて。
オシハは、睨み返した。
少し、涙を堪えているような、
まるで、困ったような、瞳だった。
オシ:「……私の、母親は、ぜったいに、
殺されたんだ。
それは……間違いない」
くま:「……それは、分からねぇさ。
誰にだって」
オシ:「わかるヤツは居る」
くま:「お前はな……まず、
殺したいんじゃあ、ないんだ。
それが……アブねぇって、
言ってんだよ」
オシ:「……!!!//////」
オシハは、バレている事を、
確信した。
オシ:「それ以上、言うな……///」
くま:「お前は……まず、
"質問"、したいんだ。
"裁縫卿"によ──」
オシ:「 く、ま……ッ、、、!!!////// 」
クマは、いつだって。
やさしい、ぼうりょく だ。
くま:「そう、言えよ──。
だったら、みんな、納得して、
付いてく、だろーが」
オシ:「……ッ!!」
くま:「それによ……。それは、
隠すと、危ねぇぜ」
オシ:「──バカげてるとッッ、
思わないのッッ……!?!?」
ガタリ・・・と、オシハが、立つ。
感情的な、脈動が、血が、波打つ。
目は、血の色に染まり、
タテに、裂けつつある。
陽の光に、祝福された、
血の姫である──。
クマは、久しぶりの、
呼び方をする。
くま:「……落ち着け、嬢ちゃん」
オシ:「ハ・ハ・じゃあ、なに……?
ぜんぶ、アンタの、
言った通りだとしてッッ……!?
私は、私たちは、なに……?
滑稽、だわ……!!///
剣、振りかざして、
血みどろに、なりながら、
答えを貰うためだけに、
命を、、賭けに行くの……!?」
くま:「何が、いけねぇんだ。
人生、1回きりじゃねぇか」
オシ:「だから……!!
私とヒキハだけで、
行こうって……決めてたのよ!!
なのに……バカげてるわ……、
この、金色の輪っかの、
せいで……」
くま:「はっはっは。おれも、
神サマと知り合いになるたァ、
思ってなかったわ」
オシ:「くそ……///
そんな事は、ぜったい に、
ないのに……」
くま:「誤魔化すなって、おれは、
言いたいんだがな……」
安酒の葛藤と、
トマトの、豊かな酸味。
くま:「ヒキハは、
気づいてるのか……?
そうかも、しれんって」
オシ:「……」
もうすぐ、ビンは、
からっぽ である。
オシ:「……、……直接は、
話したこと、ない……。
でも……1つの、可能性として、
気づいてるとは、思う……」
くま:「そりゃあ、よ……。
話し合いとか、なかったのか」
オシ:「言える、もんですか……。
姉妹で、ぜんぶ仲良しー、
ってワケじゃ、ないのよ……?
それに……」
くま:「……。まぁ、自分の手で、
殺したい、
ってのは、わかるぜ……?」
オシ:「……ふんっ……。
拾われた、
くまさん、なのに……?」
くま:「オヤジは、オヤジさ……。
そうだろう?」
安い酒を、毛むくじゃらは、飲む。
不思議と──場違いな ほど、
馴染む、酒だ。
くま:「お前の……絶望の中には、
希望が、混じってる」
オシ:「……、……」
くま:「それは、ちゃんと、
認めねえと……、
剣に……出ると、思う」
オシ:「……うるせっ……//////」
くま:「そこが、イチバン、
よくねぇと、おれは、
思ってる」
オシ:「……、……///」
ここまで、ちゃんと伝えて。
今度は、クマの、
歯切れが、まずい。
くま:「ぁー……、ナンだ……。
金ピカの嬢ちゃんたちに、
頼むなら……できたら、言えよ?
まぁ、任すけど、よ……??」
オシ:「ぅ、うるせぇ///
うっせ……!///
私、もう……///
いくつだと、
思ってんだ!
おせっかい、クマが……///」
くま:「……ケッケッケ……♪♪
なァーんの否定も、
する気に、なンねぇなぁー!」
オシ:「ああぁ……///
サイアクの、午後だ……。
クマなんて、この世から、
滅んじまえ……!!//////」
くま:「あ! もうケチャップ、
ねェじゃねぇか……!!
おま、付けすぎなんだよ……!!」
オシ:「やかましいっ……!!///
多めに、もらっとけ……!!///」
くま:「ハァー……やれやれだ」
ベアが、脱力すると、
ギリギリと、床が軋む。
その、盾のヨロイは、
力強く、美しい──。
くま:「──もし、そん時に、
なったら、よ?」
オシ:「……はい?」
くま:「オレが、時間、稼いで、
やっから──。
ちゃんと、聞くんだぞ」
オシ:「 」
いっぱく。
オシ:「──ばぁか……///」
オシハは、項垂れながら、
くまの頭部を、殴った。
──ズゴンッッ。
くま:「──いてぇが?」
オシ:「あのね、恨んでるのは、
ホントウなのよ……!?
ぶっ殺す準備は、
2人とも、出来てる!!!」
くま:「ンなこたァ、百も承知じゃ!!
バカタレめ。だからこそ、
気持ちの整理は、
ちゃんとしとけって、
言ってんの!!!
お前ら、どっちもよォ……!!
いくつに なっても、
感情的だからよォー……!
いざと言う時に……やれやれ!
ったく、だぁれに似たんだかッ」
オシ:「あの、育ての親よ!?
だれだって、
こーなるわ……!!///」
くま:「どうだかねェー。
案外、産みの親の方に、
似てんのかもよォー??
──あんむっっ。 」
オシ:「む、むかつくッッ……///」
くま:「んぐんぐ……。マジで、
おま、剣に迷い、
生むよーな、立ち回りは、
やめろよ? マジで」
オシ:「マジで、マジで、
うるせーわ……!!///
クマの次は、
コケシになる気か、
テメーは……!!//////」
ヒキ:「うわぁ……お姉ちゃんが、
昔の しゃべり方に、なってる……」
オシ:「……!!!//////」
くま:「おーゥ、おちかりーぃ!」
瓜二つの、妹剣士の背には、
いっそう巨大な、平大剣──。
そして、肩には────。
にょきっと……!
くゆくゆ……!
くま:「……お!? あの、
まるこい、うさ公か……!?」
オシ:「あれっ、くゆくゆちゃん……!?」
ヒキ:「あはは……いえ……///
実は、コレ……///」
女騎士とて、レディの嗜み。
いや、男、ましてや、クマ とて。
可愛らしい、ぬいぐるみの、
好きたるは、心のままに──。
オシ:「──ぬいぐるみ、なのっ!?
おお……!//////
出来、良すぎじゃね……?」
ヒキ:「あはは……///
どっちが、いーです?」
オシ:「いやいや……アンタ、
ぜったい、うさ丸ちゃんの、
ほーが、いーでしょ……」
ヒキ:「ぉ……/// お姉ちゃんが、
うさ丸、えらんだら、
もう1個、買いにいくもん……///」
お姉ちゃんは、カンクルを選び。
笑顔の妹剣士の肩には、
にょきっとな、ぬいぐるみが、
のこった。
オシ:「ひえぇ〜〜〜〜ッ//////
このカンクルちゃんも、
再現度、たけぇ〜〜っ!!///」
くま:「おォ……。教会連中も、
凝ったコト、
してんだなァ……」
ヒキ:「──あ"っ、そうだ、
忘れてた……!!」
オシ&くま:
「「 ──ん?? 」」
勇者の写し身を肩に乗せた、
ヒキハが、何かを思い出したように、
焦りはじめる。
ヒキ:「実は、この、ぬいぐるみを、
売っていた教会所に……、
アンティと、マイスナさんが、
居たようなのですが……」
オシ:「……!?
会わなかったの……??」
オシハと、ベアマックスが、
プレミオム・アーツの、
地図機能を、起動する──。
──ヴぉん。
オシ:「……ほんとだ!
位置が、教会所と、
重なってる」
くま:「……つーか、この反応……?
エコープルと、
あの、ちっせー聖女サマも、
中に、いるじゃねェか!」
アンティ。
マイスナ。
エコープル。
リビエステラ。
同じ聖域に、いる、
四人の、聖女。
ヒキ:「実は……ちょっとした、
騒ぎに、なっていて、
中に、入れなかったんです」
オシ:「!」
くま:「さわぎ、だと?」
ヒキ:「ちょっと……、
マズイかも、しれませんわ」
ヒキハは、うさ丸の ぬいぐるみを、
もきゅもきゅ しながら、
冷や汗を、かいた。
なん、だ、と……!?










