王の依頼……うらまる??
死婆:「私は怒っているのよ、エルミー」
王婆:「今、私は王では無いのよ、ハテナ。
あの子が、決めたことだもの」
死婆:「だからって……。
何故、あの子たちに、
直接、あんなもの の、
捜索を……」
王婆:「貴女だって、あの子たちの事を、
事前に、打ち明けてくれていれば……」
死婆:「……くそ……。私だって……!
マイスナが、生きているなんて……!
つい、この間よ……!?
まさか……、……。
そんな、幸せな、ことが……。
アンティだって、あの、
小さな街で、普通に……、
幸せに、なっていれば……」
王婆:「でも、あの二人は、
出会い……共に居るわ」
死婆:「……。
……今でも、信じられないの。
ふたりで……クランを、
組んでいるのよ?
信じ、られる……?
お互いに、血が繋がっている事も、
知らないはずだわ……」
予婆:「ずずーっ! もぐもぐ……フン……。
ヌシの話が、本当なれば、
その御二人は、正確には、
従姉妹 同士、とも、
少し、違う関係じゃろうて……」
死婆:「あっ、おまえ……!?
ケーキ、盗んなよぉ!!」
予婆:「──うるひゃい! この前の、
シチューのうらみ、忘れたか!」
王婆:「どういう事です? ヨゲンナ」
予婆:「ムシャムシャ……、ごくん。
つまり、"ソーラ"、という者が、
"男"である時の子が、銀の君。
"女"である時の子が、金の君、
そういう事であろう。
──ごくごくごくごく……!」
死婆:「あっ、てェめーっ! それぁあ!!
あたしの紅茶、
だろーがよッッ……!!?
キサマ……、
何をしてくれとんのじゃァ……」
予婆:「かたィこと、言うなィ。
さて──ともなれば……。
いとこ同士、というよりは──、
"表"と、"裏"、じゃな。
"鏡合わせ"、とも、
言えるかも、しれぬ」
死婆:「 ……! 」
王婆:「……そうね。本来、同時には……」
予婆:「──うンむ。
あの御二人は……本来ならば、
同じ、時空に、時代に──、
──同時に存在しては、
ならぬ、御身、なのじゃよ。
ふたり、揃うことなど、
本当は……なかった、はずじゃ。
まるで……"本人同士"。
"もうひとりの、自分"じゃ」
死婆:「………、………」
予婆:「……数奇な、運命よにょウ。
まぁ……古くからの友の孫が、
ふたりも居る、というのは、
存外、心地よい。モグモグ……」
死婆:「……、……。
マイスナは……少し、
心を開いてくれている、
気が……するんだけど。
アンティには……まだ、
かなり、警戒されているの」
予婆:「はやく、言っちゃえば、
いいのじゃァー」
死婆:「あの子……私の前で、
絶対に、胸元を、見せないのよ?
こう……刺繍入りのマントとかで、
身体を、包んで……」
王婆:「フフフ……紅茶とケーキじゃなくて、
ワインとチーズの方が、
良かったかしら?」
予婆:「……かかっ!
オメーさんの眼圧は、
昔っから、仮面ごしでも、
ヒドぃからのゥーっ」
王婆:「でも、敵では無い ことは、
うっすらと……、
伝わって、いるのでしょう?」
死婆:「──ちょっと待って!
ああ、クソ……なんで、
こんな、話を……//////
話を、フッ飛ばさないで、
エルミー・・・!
──何故、あなたの息子が、
私の孫に、依頼をしたか、よ!!!
いまさら、"時空の書"、なんて……!」
予婆:「む……エルミナイシアよ。
まだ、話していないのじゃな?」
王婆:「……"書の遺言"、までは、
話しました」
死婆:「……! ……、
……どういう こと?」
予婆:「……そう、か……。
おヌシに とっては、
あまり、気持ちの良くない、
"お告げ"、であったの……」
死婆:「──……チッ。当たり前だわ……!
……あの二人が……戦ったことは、
……知ってる……予想が、ついてた。
ただ……"殺し合い"、までとは……。
──待って、なに?
この、"時空の書"の遺言、以外に、
なにか……懸念が、
あると、言うの──?」
王婆:「……」
予婆:「もぐもぐ……。
"次の 時空の書"への、
"ミチシルベ"は、告げられた。
それは──ひとつの事実として、
然り。
つまり……重要なのは、
その、"情報"を──、、、
"誰"が、見たか。
──と、いうことじゃ 」
死婆:「 …… な ん だ と ? 」
王婆:「……、……。
"時空歩法"の、
"巻末栞"と思われし、断片は……、
元、"審議局"の、管轄でした。
彼らの、"原初の権力の象徴"たる、
あの存在は……ずっと、
あの下卑た魔窟の中で、
保管されていたのです」
予婆:「じゃが……どこかの、イカれた、
大司教の女が……、
あらゆる法を試し、追い──、
ついに、それらを、圧壊させた」
死婆:「……まわりくどい のは、
キライだわ?」
王婆:「あの愚か共の保管していた、
太古の研究の資料は、
信頼のおける、貴族たちに、
依頼する、はず……でした」
死婆:「・・・!!
エルミー、キサマ……──・・・!!」
王婆:「……別に、殴りたければ、
殴れば、いいわ……。
いえ……、ごめんなさい」
予婆:「庇うようじゃが……、
使われたのは、何も知らぬ、
若い、バカ貴族だと、きく。
じゃが……、、、。
"完全な状態となった、巻末栞"の、
その、メッセージは……、
──"審議局"から、王城へ、
運び出される際──、
どこからか……漏れてしまった」
死婆:「……クソ……」
王婆:「秘密裏に、
審議局に出資していた貴族は、
まだ、必ず、存在しているわ……。
審議局の立ち入り調査の際……。
その、"繋がり の揉み消し" や、
あわよくば……"禁忌の回収"、を、
考えた者は、まだ、居たはず」
死婆:「私が……あれだけ、
消したの、にか……?」
王婆:「はいつくばる、虫のような者は、
見逃されている……そうでしょう?」
予婆:「……我らは、長年、
巨悪を葬り去ってきた。
そして……恐れる邪悪は、
小さな……フリをした」
死婆:「……、……、…──」
王婆:「……ごめんなさい。
私も…察知したのは、
一部の貴族たちの動きを、
把握してから、なのです……」
予婆:「エルマレント子爵が、
情報を、吐きよった。
"次の時空の書を探すために、
共に、夢を見ぬか?"──と、
唆す、文書が、
出回った、と──」
死婆:「──……!?
あの、ガキぃイ……!!!」
予婆:「──よせ!
むしろ、彼は、情報 提供者じゃ。
怪しく思い、このババアに、
相談に、来てくれよった。
エルミナイシアのやつ、
この話を聞いたら、
フンっ……思いっきり、
壁を、殴りよってな?」
王婆:「……、……」
死婆:「……、……。
では……最近、キナ臭い動きをする、
一部の貴族に、狙われているのは──」
王婆:「間違いなく……、
あなたの、大切な、宝物」
予婆:「時空の書を、私欲に、
費やそうとするもの」
王婆:「あれは……"必ず暴発する魔力"。
すべてを、時空の花と、するもの」
死婆:「……なぜなの。
やっぱり……神様なんて、
いないのね……」
王婆:「……」
予婆:「……」
死婆:「……なぜ……。あの子は、
あの子たちに、バラした」
王婆:「あの子たちの、文章記憶能力、
情報統率力は、異常よ。
アバンテ男爵には、
念押しが、済んでいる。
奇しくも……あの子たち、自身が、
"時空の書"を探し出す能力に、
いちばん……長けている」
予婆:「何も知らずに、手に入れるよりは、
予備知識が、あった方が良い。
王は……彼女たちの、
聡明さに、賭けたのじゃ」
死婆:「……、……。
クズどもが、血眼になって、
探しているモノを……、
自ら、探しに行かせる行為を、
私が……ココロよく、
感じると、思うか……?」
王婆:「そ、れは……」
死婆:「自ら……標的に……、
なるような、もんだわ……」
予婆:「わかるぞ、ハテナよ」
死婆:「うるせぇ、クソババアが」
予婆:「……分からぬはずが、ないじゃろう。
もう、70年、じゃぞ……?
深く、愛しておることなど……、
とうに、分かっておる。
じゃがな、気づいて、おろう。
おそらく、アレらは──、
────……つおいぞ。 」
死婆:「……!!」
予婆:「すべての、情報が、感覚が、
司って、おる。
この、ヨゲンナが、予言しよう……。
愛は、分かる。分かるぞよ……。
だがな、マザー・レイズよ。
愛する者に頼る時は、
必ず……おとずれるのじゃ」
王婆:「……ハテナ。誰が……、
同士を、集めようとしているのか、
まだ……分からないの。
だから……今は、
派手には、動けない」
死婆:「だから……、
あの子たちだって、言うの……」
予婆:「王とて……、バルドの坊や とて、
迷ったろうさ」
王婆:「……、……」
死婆:「……、……、…………、
ひどいよ」
予婆:「……わかって、おる。
神など……本当は、
いないのかも、しれん。
ただ……ハテナよ。
もし……時空の書が、
見つかれば。
おヌシの……その、
"ゆっくりと歳を取る呪い"も、
とけるやも……しれんじゃろう」
死婆:「・・・!!」
王婆:「……私はね、ハテナ」
死婆:「おまえら、まさか……」
王婆:「あの子たちが……、
貴女より、先に、
歳を取って死ぬのだけは……、
ぜ っ た い に 、い や な の よ 。
……ッ、だから──……」
死婆:「・・・、・・・。。。」
予婆:「我らは、友なのだ、ハテナ」
王婆:「……ごめんね」
死婆:「
……、……ひどいよ。
私は、ぜんぶを、
失ったわけじゃ、ないんだ……。
だからって……──、、、。
ひどい、よ……────。
」