アバンテスカウト
Twitterはノリでアカってますが、
苦手ゆえ おそらく、
めたんこ放置されます ごめぬ。(笑)(;^ω^)
少し、時は戻り、
つまる所、アバンテ・シューティングスターは、
自身が、"貴き凡人"で あるという事を、
よく、理解していた。
彼は、優秀な司書官である。
コツコツと、幼少期から勉学に励み、
少しだけ、夢に浮かれ、心身を鍛え。
そして、"超人"たちを、知ったのだ。
自身は、"バランス型"であり、
彼らは・・・"突出型"なのだ。
それを、身をもって、痛感した。
「・・・いくつかのスキルを、バランス良く、
満遍なく会得した者は、
突出した才能を伸ばした者に、
到底・・・及ぶことは無いのだ・・・」
それが、彼が"冒険者"という夢をあきらめた際、
持ち得た、持論であった。
彼は、社交能力や、事務能力や、
身分関係なく、相手を労わる心を、
バランス良く、養った。
共に仕事を成した、文官や、ギルド職員からは、
すこぶる、評判が良い。
堅実さが買われ、
数は少なくとも、
あまり身分に こだわらない令嬢から、
ちょくちょく、縁談の話が来るほどである。
だが、その堅実さには────、、、。
現実を知った、
"一周まわった後の落ち着き"、の、ような、
少しだけ──、
さみしい、切なさが、あった。
彼は、ひねくれては、いない。
ただ、"超人"を、尊敬している。
畏敬、敬服と、言っても良いかも しれない。
しかし、"武"の超人は、明確な事柄だが、
・・・"配達職"の超人とは、
・・・如何なるモノか・・・???
「・・・" レター・ライダーズ "・・・。
ぅ、うーむ……?
事務書類の・・・"至高"、と、いう事か……?」
不思議なハテナが残ったが、
ただ、それでも毛頭、
バカにする気など、まるで無い。
他の"至高"からの 評価も、
凄まじく、良いと聞く。
精神崩壊しかかった、へべれけ のマリーから、
"至高の配達職"が、手伝いに来る、と聞いた時、
アバンテは、当然、
"至高が指揮し、自らは、下で動く"。
そう、なると、思っていたのである。
「・・・私が、指示を、任される、と・・?」
「ええ。それは、もちろん──。
できれば、そうして頂いた方が、
有難いのですが──」
「わたし達だけじゃあ、この、仕事の内容、
正確には、掴みかねますよ──?」
「・・・・・・よいの、かね?」
「……?? も、もちろん」
「あなた様が、しきってください」
ふたりの、輝かしい少女たちから、
歩み寄りが あったのは、
アバンテにとって、不思議な感覚であった。
アバンテ自身も、この、おぞましいリストの、
全ての仕事が、今日中に終わるなど、
思っていない。
祭りと学術会に、
まさしく、すっかり人員の工数とを盗られ、
この娘たちが優秀だと言うならば、
わがままな年下に、誠実に仕えつつも、
必要最低限の仕事の項目だけ、
死守しようと覚悟していた、アバンテである。
だが、目の前の"主人公"たちは、
"貴き凡人"が、"二人の超人"を使え、と言う。
時間もない昼過ぎに、
アバンテは、考えこんでしまった。
「う~~~~~~む・・・」
「えーっと・・・」
「・・・どう、しました?」
予想していた ワガママさなど、
どうやら、皆無のようである。
この二人の少女の応対には、
相手に敬意を払う類の、柔らかさを感じる。
アバンテ自身から見れば、
双方とも、ずいぶんと小柄だ。
「・・・・・」
アバンテは、少し悩み考えた後、
黄金と白銀の人柄を信じ、
──素直に、述べることに した。
「……"仕事の詳細が分からない"、
という点であれば、このアバンテ、
いくらでも仰せ つかえよう。
気兼ねなく、聞いていただきたい。
ただ……君たちに仕事を振る、というのは、
つまり……"君たちが、なにが出来るのか"を、
私が、正確に把握する必要がある」
「……ごもっとも、です」
「うんうん」
アバンテは、失礼な物言いかも、と、
内心ヒヤリとしていたが、
アンティとマイスナが、
そのような事を思うはずが無い。
その様子を見て、アバンテは、
言葉を、まとめる。
「つまり……どのように、
仕事を、任せれば……?」
熱血司書官の、アバンテにしては、
ずいぶんと、抽象的な、
問いかけで あった。
それを聞き、
ふたりの輝きは、考える。
「ぅ~~~~~~ん・・・・・」
「え~~~~っ、と・・・・・」
ほんの少しして、
金と銀は、声をそろえて、
重なるように、言った。
「「 ── " 無茶ぶり "、してください! 」」
「な、なに・・・!?」
意外な回答に、アバンテ、混乱・・・!
「これを終わらさなければ、今日中に、
このリストが終わらない! という、
仕事の内容を、
優先の順位が高いモノから、
どんどん、言っていってください!」
「わたし達の作業を、待つ必要は、ないです。
とにかく、ドンドン、言ってください。
遠慮は、いっさい、いりません」
「な、なんと・・・!
き、きみ達は、このリストを、
すべて、今日中に終わらす気なのかね・・・!?」
「キッティの発表会があるので、
夕方までには終わらせたいですね」
「だいじなのは、あなたが、
ガンガン、素早く" 無茶ぶり "を、
することです」
「そんな事、初めて、言われたぞ・・・」
戸惑うアバンテに、
アンティとマイスナは、言う。
「だ、大丈夫です!
これでも……"至高"ですから!
わたし達のナカに……に、
20人くらい、居ると思って!
仕事、ふってください! ははは……」
「がんばって、鬼上司になってください」
「ォ、オニ上司……」
ゴブリンに成れと言われたのは、
アバンテとて、初めてである。
……しかし、" 20人 "分の力量とは、
よく、言ったものである。
アバンテは、今の所、
この少女たちに、不信感は無く、
妙な、笑みを自身に感じ──、
" ふるまう "ことにした。
「──ふ……。では、お手並み、拝見といこうか」
もちろん、この後、アバンテは、
ド肝を抜かれることに、なるのだが。
「──こっち、集め終わりました!!」
「な、なぜだ・・・!?」
「な、何故って、集まってるでしょう!」
「ひゃ、137冊、あっただろう・・・!?」
「進化論の項目別に、ABC順にしてます!!」
「なんだと!? どうやって!?
よく持ち上げられたな!?」
「はいはい! 次の仕事、急いで!
何をすれば!?」
「こ、この書類の定数メンテを頼む・・・!!!
まだ、完全には、終わっていないんだ・・・!!
この、使用回数、より下回っている発注量を、
必ず、この欄の数の倍数で、
超えるように、書き直してくれ・・・!!」
「りょーかい!!」
「アバンテさん、検算、おわったよー」
「なにぃ・・・!?
なッ、なぜだッッ・・・!?!?」
「何故って、おわったからだよ。
34か所、まちがえてた。赤でマルしてる。
ココが合計数。ぜったい、合ってるよ」
「・・・し、信じられん!
5分、経ってないぞ!?!?」
「そんな日もあるよ」
「300枚の検算が、5分で終わる日など無いが・・・!?」
「つぎ、はよぅ」
「ま、祭りのポスターの、
カットを頼む、200枚だ・・・!!
た、ただ、まだ刃物は用意していなく・・・」
「マイスナ、ミスリルで斬りや」
「よしきた」
「み、ミスり・・・なんだって!?」
「アバンテさん!!
こっちの劣化してる書籍、
修復、こんなモンで いすか!?」
「な、なぜ、終わっているんだ・・・!?
こ、こんなに丁寧に・・・どうやった!?」
「おりゃー!!(ずぱー)」
「・・・!? ま、マイスナ君・・・!?
いま、どうやって、ポスターを、
200枚 同時に切り落としたのかね・・・!?」
「アバンテさん!! 次!! 次、次!!」
「こっ、この書類の、上、75枚のD欄と、
下、84枚のE欄の数を、
それぞれ合計してくれ!!」
「それ、3分かかんないんで、
次の指示、お願いしますね!!」
「な、なんでだ・・・!?!?」
「アバンテさん、ポスター斬った。
新刊の書籍、13箱は差し込んだけど、
残りの2箱の、本棚の場所が
わからない。これ、リスト」
「このリスト、何処から出したのだ・・・!?
こ、これは、こちらから見て、
左の本棚列の、手前の3番目から、
すべて並べてくれ・・・!!
5列目の、4段目を、
新規の学術書の場所にする!!!」
「りょ」
「アバンテさん、軽食と紅茶、
置いておきます!
シンプルな サンドイッチですが。
万が一、こぼすとアレなので、
こっちの椅子の上に、失礼しますね!」
「な、なに? おぉ、ありがたい・・・。
ぁ、あむ────ぅむ、美味いっっ!!!!!」
「お祭りの書類分け、おわったよー。
この2枚だけ、不備がある。
急ぐなら、届けるよ」
「んぐんぐっ、なにっ、見せてくれ・・・。
おぉ、よく見つけてくれた・・・!!!
大切な数字だが、これの関係各所への伝達は、
明日で良い・・・!!」
「検算、おっけーす!!
テックノピッツァ―関連書籍? の、
木箱の入れ込み、終わってます!!
それぞれの木箱のリストです!!
各、木箱にも、同じもの、
封入してます!! ぜんぶで、138冊!!」
「ま、まて!? さ、最高だが、この短時間で、
どうやって、こんな詳細なリストを・・・!?」
「それより、この書類の、処理方法、
教えてください!!」
「こっ、これは、三枚の書類が、
ワンセットになったものの、連続だ!!!
1枚目の左上の赤いインクの数字と、
3枚目の右下の合計金額とが、一致しているか、
確認してくれ!!!」
「新刊、おわったー。イド博士の関連書籍、
けっこーあるけど、全部あつめる?」
「それ、私も思った。名前だけ、引き合いに、
出されてる書籍も含めたら、
1027冊も、あるんですけど……」
「ん、ん? うむ、ん!?
せ、せん・・・なぜ、冊数が・・・???
・・・が! 学術論文の、
参考資料用で あるからして、
博士の論文が、最低5ページ以上、
あるものだけが、理想なのだが・・・・・」
「あ! ほんなら、45冊だけですね!
余裕じゃん」
「なんだぁー、心配して、そんしたぁー。
でも4ページで、論文のってるのも、
13冊、あるよ」
「あつめます? それも」
「・・・・・えぇ・・・?
・・・ぅ、うむ、たのむ!!」
「ちなみに、この、屋外使用塗料の
安全確認の書籍、って、コレ、
ナニするんすか」
「こ、この2冊の書籍の、
塗料の項目を抜粋して、
イル規格の用紙2枚以内に
まとめて、山折りにしてくれ。
後ほど、中型の露店商の組合に、
300部、持っていく」
「あのベラ紙、使っていいなら、
こっちで複製しますよ!
ベースできたら、持ってきますから、
確認してください!!」
「う!? うん、たのむ・・・うん?」
「おっちゃん、この、手書きのメモの、
訂正資料、の本は、ぜんぶ集めたよ」
「た、助かる。こっちは、
イド博士の書籍かね?」
「さっきの塗料の冊子、
ざっくり、できましたよー!
資料冊子の まとめ は、
500部、終わりましたから!
これでOKなら、300作ります!」
「わ、わかった!! おぉ、
ぅ……うむ! これで良い!!!」
「あっちの本棚の、棚替えの要点、おしえてー」
「資料館の書類の、決算報告の検算項目を、
教えてください!」
「うむ。それはだな──── 」
~~~ 3時間後 ~~~
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* 死守リスト * (18時まで!)
☑ お祭り関連の備品書類、種類分け
☑ 学会書籍・検品
☑ 公文図書、ジャンル分け
☑ 生物学術書リストの作成、定数メンテ
☑ 上記の発注、手配
☑ 台車15箱の新巻、差し込み(後回し!)
★☑ 職員用・会場案内ガイド、30部(最優先!)
☑ 学術会、訂正資料 すべて探す
★☑ 魔物生態学術会・資料冊子まとめ、500部
☑ 第38期 資料館、決算報告 検算
☑ お祭り用ポスター、追加トリム、200枚
☑ 料理ギルド決済待ち書類、検算
☑ 出版ギルド決済待ち書類、検算
☑ アバンテ男爵と訂正資料 打ち合せ
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☑ 魔物進化論書籍 137冊、初版本あつめる
☑ 重要術学書籍、37冊分、誤字、劣化調査
☑ 委託商人に該当書籍の運搬 引き継ぎ
☑ 公文書棚の前後改善報告 二ヶ所
☒ 補充要員の再打診、むりむりむりむりむり
☑ テックノピッツァー関連書籍、木箱へ
☑ 上記該当、ぜんぶ見つける むりむりむり
☑ 屋台使用塗料、安全確認用の書籍 (〇ね)
☒ 物品補充、足出たらケイン君に頼む
☑ 王家提出用、分館書類・軽略まとめ
☑ 運商赤リスト、出入庫検算書類、確認
☒休職願い、出す
☑ イド博士関連書籍、すべて見つけるむりむり
むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむ
りむりむりむりむりむりむりむりむりむりむ
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「────きさまらあああああああああ!!!!!!
なぜぇ、冒険者などおお、
や っ て い る う う う う う う う う う う う !!!!!!!!!!!!」
「ぁの・・・アバンテさん・・・・・??
ぉ、おちついて、くださぁい・・・・・?」
「おっちゃん、かお、こわいよ・・・・・?
ジャムパン、たべる・・・・・??」
「──わぁああぁああぁあ・・・!!!☆☆☆
ま、マリーっ、感激・・・!!☆☆☆
かみっ、神! 神!!!
ぜんぶっ、終わってる・・・!!!
わぁああ~~~~いいい!!!!!
神ぃぃいいいいいいいいいい☆☆☆☆☆☆」
「マリーさん・・・キャラ、崩壊しないで・・・」
「ねおきのテンションたかいね・・・」
寝起きの、王都の受付嬢が、
狂喜乱舞する中、
アバンテ男爵は、咆哮するのだ。
なるほど、たしかに彼女たちは、"超人"である。
"至高"と呼ばれるに、相応しかろう。
だが、今のアバンテに、
けったいな、遠慮や、畏怖など、無い。
ふざけるな。
こんなヤツらに、冒険者なんざ、させるなど・・・!!!
ただただ────" 至高への冒涜 "である・・・ッッ!!!!!!!
「
──バァカぁもぉのおおぅぉおおおおおお!!!!!!!
おまえたちぃぃぃいいい!!!
ヨロイなど着てぇぇ、ナニを、
やっておるのどぅぅぅぅううううあああああああ!!!!!!!
冒険者なんざ、さっさと、やめてぇぇえ!!!!!!!!!!!
── 王 城 に 、
就 職 し ろ おおおぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
「・・・・・ぉ、ぉおう・・・」
「ぁ・・・、圧、ヤバいね・・・」
「神!! かみ☆ かみぃぃい~~~~☆☆☆
ひゃっほ~~~~ぃい♪♪♪♪♪☆☆☆☆☆☆☆
( ぴょんぴょん☆ )」
この2分後に、
ヒキハと、キュイーヴルが、
アバンテに、斬りかかるのである。
ねつれつううううううううううううう!!!(●´ω`●)










