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物騒なエスコート/アバンテ危機一髪 さーしーえー

おまたんたんたんたんっ♪

\(●´ω`●)ノ





挿絵(By みてみん)


オシ:「──本当に、本当……なのね?」

ヒキ:「── 」


右使:「……は、ハぃ」

左使:「……(こくこくこくこく)」




 羊雲(ツイン)姉妹(フェルト)が王城を(おとず)れたのは、

 午後3時のスナック・タイムを、

 優に、まわった頃合いであり、

 まぁ、王都は今や、祭り一色なのだから、

 今は、()()も かしこも、

 おやつの時間のような ものなのだろうが。


 その(けん)(そう)から切り(はな)された、

 陽光の城内で、

 問い詰められた、若い神官の姉弟は、


 至高の剣士からの、

 何やら謎めいた威圧に、

 多少、(あわ)て、ふためいていた。



右使:「御二方は……正午前に、

    "分館"の、方へと──……、

    (のぼ)られました」

左使:「──(こくこくこくこく)……」



 突然の、小さな追及ながら、

 その、斬撃を、良く知る二人は、

 じんわりと、汗を、(にじ)ます──。



オシ:「……」

ヒキ:「……事実の、ようですわね」


右使:「……? ……、、??」

左使:「…………、、、?」


オシ:「……そう、ありがとね」



 ──コツ……──。

 ──コツ、コツ、こ────…………。




 王の剣の(おさ)と、その生き写しの妹は、

 神官に背を向け、歩いていった。


 ()せる、二つの背中の、

 ()()りの(だい)(ちょっ)(けん)は、

 おおよそ、人間の()れる、ものでは無い。


 常人が、背負うただけで、

 ひしゃげる、シロモノだろう──。




右使:「……大きいな」

左使:「セクハラよ?」




 さて、弟は、姉に弁明する ものである。










 数時間前に、

 郵双配達職(レター・ライダーズ)が通ったであろう道を、

 なぞるように歩き進む、


 オシハ・シナインズ と、

 ヒキハ・シナインズ である。



 オシハなど、珍しく、

 無意識に口元を触り、

 考え込みながら──。





オシ:「……まさか、本当に、

    "分館"、の方、だとはねぇー?」

ヒキ:「はい……」

オシ:「ぶっちゃけ……どぉー、思う?」




 姉の問い。

 妹の答え。




ヒキ:「"王"が、知らないはずが、

    ありません……」

オシ:「いや、それだけじゃ、ないでしょ」

ヒキ:「──ぇ……?」



 姉が、同意しつつ、付け加えた。



オシ:「()(まん)じゃないですけどねぇ、

    普段から、本を読まない、

    私だって────……、

    "分館"の、機密情報の"ヤバさ"は、

    ずいぶんと、聞き(およ)ぶのよ?」

ヒキ:「……!! わたくし、は──……」




 姉は、"至高"、であり、

 妹は──、、、。


 ソックリな、ふたり。

 その(ちが)いから()る、

 わずかな、知識の、()




ヒキ:「(わたくし)は……ウワサ程度にしか、

    知り得ませんわ……。

    "分館"とは、そんなに──、

    "あぶない"んですの?」

オシ:「ぅーん。カンタンに言うと、

    あそこは、"王を育てる説明書(マニュアル)"、

    なのよ」

ヒキ:「"キングス・マニュアル"……?」




 姉の言葉に、妹は、

 パチクリと、目を、丸くする。




オシ:「"本の城"、"王の教科書"、

    "真実の封印"──。

    あの部屋には、いろんな、

    呼ばれ方が、あるわ。

    それだけ、"皆さん"が、

    興味を、惹かれていた、

    ということ。昔っから、ね?」

ヒキ:「……」

オシ:「……ま? 私の"()()"は、

    マザーや、クマからの、

    受け売り、って、だけで、

    私は……アレだけど。

    クマは、親父さんから、

    聞いたって、言ってたわ」

ヒキ:「タテミチ殿(どの)から……!

    それなら──……!」

オシ:「──っそ。あのオッサンは、

    王の直属の、護衛(ガード)でも、あったから。

    "友人"として、"立ち会っていた"、

    ことは、多いはず──。

    少なくとも、私たち、

    "若造"、よりかは、ね──?」

ヒキ:「……」




 先代の"至高の(プレミオム)重盾職(シールダー)"、

 タテミチ・ライオルトは、

 王と共に、数々の武功を称えた、

 誠、真に覇道を歩んだ者の一人である。


 今でこそ、

 (ひろ)ったクマを後継者にした、

 ひょうきんな男だと、知られているが。


 若かりし頃、王と歩んだ道の()(なか)で、

 "真実"に触れる機会は、

 今の、年若き"至高"などより、

 ずっと、多かったはずである。


 それは、"国"と共に歩んだ、

 (かざ)るヒマの無い、

 数々の、"事実"、だったろう──。


 あの部屋に、隠される前の、

 "出来事"だ。





オシ:「"包み隠さぬ、真実"。

    "栄光への記録"。

    あそこの蔵書にはね、

    "ウソ"が、無いのよ。

    それが、どんな、残酷な、

    ことで、あっても──」

ヒキ:「……"国"の、教育の、ために?」

オシ:「イエス。昔、忍び込もうと、

    思ったでしょう?

    マザーにバレて、

    説教、されたわよね?」

ヒキ:「……そんな事も、ありましたね」




 まだ、彼女たちが。

 (いつわ)りの神官服を、

 着ていた、時代に──。




オシ:「()(とく)されている情報が、

    必ず、ある場所よ。

    属性魔法の、

    "魔導書"の オリジナルも、

    何冊か、保管されているって、

    もっぱらの、ウワサだわ」

ヒキ:「……"原典"も、ですか……!?

    そんなの──」

オシ:「──そ。もし、本当なら、

    "戦略兵器庫"だわ。

    国の機密文書と合わせたら、

    たくさんの、ごちそうよ」

ヒキ:「……」

オシ:「私が今、戸惑ってんのはね……ヒキハ」

ヒキ:「はい」

オシ:「んなトコへの、入室許可が、

    私たちにも……サラッと、

    通っているって、ことよ」




 彼女たちは、進む。

 大きな、剣を持って、

 かろやかに。


 それは、不思議な感覚であり、

 妙な、子供心と、

 復讐心を、刺激していた──。




オシ:「……母さんを殺したヤツの、

    記録──……あると、思う……?」

ヒキ:「……なにか、カケラが、

    あると、信じて」




イヴ:「──お嬢様方に、お聞きになっては、

    いかがですか?」








 まさに、飛び上がるように驚いた、

 姉妹であった。


 王都、最強の剣士と(うた)われる、

 ふたりのハーフ・ヴァンパイアが、

 ここまで、度肝を抜かれたのは、

 久しぶりのことである。




オシ&ヒキ:

   「「     」」


イヴ:「──フフ♪ 可愛らしい、

    驚き様で、ございましね♪」



オシ:「ブ──、、、ロンズ……、、!」

ヒキ:「ワークスっっ・・・!!!」






 ──"(どう)(けい)()(しゃ)"と呼ばれる、

 王都で、最も警戒されている、

 暗殺職(アサシン)が、ページをめくるように、

 突如、現れるのだから、

 それなりの、跳ね上がりであった。



 ──ダっ・・・!!!!!

 ──ヒュお・・・・・!!!!!




オシ:「──きさま……!」

ヒキ:「なぜ──……!」


イヴ:「お嬢様方の、()られる所に、

    私どもが居るのは、

    (ことわり)で、ございましょう」


オシ:「ここが……どこか、分かっているの」


イヴ:「我が君より贈られた"剣"から、

    手を、(はな)されては、いかがか」




 まるで、そこらの領主のような口ぶりで、

 その暗殺者は、言うものだから、

 剣士の二人は、たまったものでは無い。


 彼女たちの、かつての任務は、

 まさに──"この者ら"を、

 "城"に、入れない ことで、あったのだ。


 そうだ、6人、いる。

 フル・メンバーだ。

 剣士は、囲まれている。



       〇

  〇    △

  △

      ●    〇

     ●▲    △

 〇   ▲

 △        〇

          △

      〇

      △




オシ:「──……"ジェム"、だけで、

    そこまで、気配を、

    消せる、ものか……」

ヒキ:「バレたら……どうなるか、

    わかってらして?」


イヴ:「"使用人"など、このような場所には、

    (あふ)れかえっております♪」


オシ:「アンタねぇ……」





 "王を根絶やしに出来る"と、

  言われていた、暗殺者(アサシン)たちは、

  (そろ)いも(そろ)って、

  物の見事に、王のお膝元に、

  侵入している。




ヒキ:「まったく、気づきませんでした……。

    ここまでの、ものとは……」

オシ:「……」


イヴ:「ご案内、いたしましょう♪」




 ……"至高の暗殺職"、とでも言われそうな、

 6人のメイドは、ポーズだけなら、

 目の前で手を重ね、

 使用人のように、かしこまっている。




ヒキ:「……どーします?」

オシ:「アンタら、ねぇ……。

    前も、言ったけど、

    いちおーっ、私たち、

    "天敵同士"、なんだけど?」


イヴ:「──"数ヶ月前までは"、で、

    ございましょう?」




 キュイーヴルは、

 人を喰ったような笑みで、

 女剣士に、答える。


 軽々しい言葉だが、事実である。

 彼女たちは、数ヶ月前に出逢えば、


 殺し合う、運命だった。




オシ:「……くそ」

ヒキ:「……"王"には、もう、

    "敵意"は、ないのですか」


イヴ:「何かを、勘違い、していらっしゃる」


オシ:「あ?」

ヒキ:「(とん)()の、つもりですか?」


イヴ:「私たちは、敵などと、

    思っていませんでした。ただ、

    (うら)んでいただけです♪」


オシ&ヒキ:

   「「 ………… 」」


イヴ:「いちばん、お金になって、

    私たちに、利益が発生する。

    そのタイミングを、

    うかがっていた、だけですよ──♪」


ヒキ:「言葉を、控えなさい……!」

オシ:「……」




 オシハが、剣の(つか)から、

 手を、緩める──。




ヒキ:「ねぇさま……!」

オシ:「……今は、ちがうのね?」


イヴ:「世界の、真理で、ございます」



 銅の従者は、高らかに、

 ご高説、たまわれますよう──。





挿絵(By みてみん)



イヴ:「"王族"が死ぬのは、

    我らが、"金"と"銀"に、

    弓を引いた日のみ──。

    それだけですよ」



ヒキ:「…………」

オシ:「……ヒキハ、よせ。

    時間の、ムダよ」

ヒキ:「…………はぁ」




 とうとう、妹も、剣を離し。

 銅のメイドたちは、

 にっこにこー♪ である。




イヴ:「こちらです♪」

五人:「「「「「 です♪ 」」」」」




オシ:「……くたばりやがれ、運命め」

ヒキ:「……王に、会わす、顔が……」




 剣士の姉妹は、

 六角形に陣取った、

 暗殺者たちに、守られるように、


 彼女たちの元へ、向かった。









ヒキ:「おちつきませんわぁー……」

オシ:「……」


イヴ:「こちらの"道"は、

    あまり、お詳しく、

    ないようですね?」


 平然と、しゃべりかけてくる、

 出で立ちだけは、お(しと)やかな、

 かつての宿敵である。



ヒキ:「私たちは、

   "体を動かす方"、ですから……。

    このような、資料塔の直轄区画には、

    立ち入った事など、数えるほどです。

    ……と、いうか!

    あなた方、暗殺職の方が、

    まるで、(わたくし)より、

    お城の道に詳しい! ような、

    言い回しは、お止めくださいまし!」


イヴ:「──ほほほ♪

    地図は ほぼ、かき終わっております♪」


ヒキ:「こ、このおんな……!」

オシ:「……ねぇ、アンタたち」


イヴ:「──?」




 とろとろと、

 青銅色の六角形の中を、

 歩く、姉の剣士から、

 旧敵への、問いかけが飛ぶ。



オシ:「──"お嬢様方に聞け"、というのは、

    どういう意味?」


イヴ:「言葉の通りで、ございますが」





 銅のメイド長は、間髪入れず、答える。





オシ:「……"吸血鬼"の記録について、

    あの子らは、何か、知ってるの?」


イヴ:「あの方々は、すべてを、

    知っていますよ?」


ヒキ:「……? どういう意味です?」


イヴ:「だって、あの方たちは──おそらく 」





 一流の暗殺者というのは、

 ──"観察眼"に、(ひい)でるものだ。






イヴ:「あの図書館の蔵書の、すべてを、

    脳内に──"記録"して、

    いらっしゃいますから」


ヒキ:「はい……?」

オシ:「……」


イヴ:「にこにこ♪」




 歩きながらの、不思議な、沈黙。





オシ:「……"可能"、なのね?」


イヴ:「あの方々は、"神"に、

    愛されて、おりますから」






 その時だけ、かつての暗殺者は、

 ずいぶん、遠くを見るような目で、

 言った。





オシ:「……」

ヒキ:「……1字1句、覚えていると、いうの……!?」


イヴ:「正確には、全てのインクの形状などを、

    完全に把握しているはずです」


ヒキ:「ぁ、あの……"福音"は、

    それほど、までの……!!」


イヴ:「私めも、学びました。

    "整理整頓"に、物のカタチを、

    測るのは、基礎の基礎だと」


オシ:「……あの二人は、どんな場所にいても、

    王城の機密文書を、

    いつでも、読めるのね?」

ヒキ:「アンティ……!! また……!

    あなたって、人は……!」



 事の大きさに、

 狼狽するヒキハの そばで、

 姉は、じっと、考えた。


 妹の反応も、分かる。

 狙われるには、充分だった。


 例えば、『わたし』の、ような──。





オシ:「 "死ぬ気"で、まもれよ? 」


イヴ:「 言われるまでもない 」





 はたして。

 その掛け合う、ふたりの目は、

 どちらが、暗殺者、だったか。





オシ:「くそ……ねぇ。

    私たちの、"お願い"は、

    アンタたちの"粛清対象"に、

    入るワケ?」

ヒキ:「な"っ……!?」


イヴ:「あなた方は、幸運なことに、

    あの御方々から、

    信頼を得ているようです」


オシ:「ええ……まったく、その通りね。

    まったく……ツイてるわ、くそ。

    こたえは? 直接、言って」


イヴ:「……ふふふ♪ 正直に言うと、

    少し、興味は あります。

    "吸血鬼の血"が、どのように、

    あなた方に、まじって、

    そうなったのか──……♪」


ヒキ:「フザケルナよ──」




 ヒキハが、殺気立つ。




ヒキ:「ワたしたちが、どんな、

    めに、アってきたか──」


イヴ:「お前たちだけが、

    不幸だったと、思うなよ。

    それこそ、そこらじゅうに、

    転がっている。

    お前が今、怒っているのは、

    私たちが、以前、

    すべてを(うら)み殺そうとしていた事と、

    なにも、変わらない」


オシ:「アンタたちが、どれだけ、

    不幸だったろうと、

    私たちが不幸だったことに、

    変わりは無い。

    他の引き合いなど、

    知ったことか。

    私たちが博愛主義者に見えるなら、

    アンタたちは、ずいぶんと、

    お優しくなれたんでしょうね」


イヴ:「……ほぅ?」


オシ:「アンタたちは、ツイてて、

    アタシたちは……ツイてない。

    そういう、ことだったでしょ?」


イヴ:「……」



 これには、銅が黙った。



イヴ:「……そう、ですわね」




 彼女の、七人目の妹は、生きている。

 銅は、解放されている。




イヴ:「……問えば、無下には、

    されないでしょう」


オシ:「……ハーフ・ヴァンパイアを、

    怒らせるんじゃ、ないわ。

    私より、ヒキハの方が、

    腕力は、上なんだからね?

    ……こら、ヒキハぁ。

    そろそろ、(おさ)えなさい……」

ヒキ:「ぐ、ぐぎぎぎぎぎ……!」



 姉に、(たしな)められ、

 だが、久しぶりに冷めにくい、

 ヒキハである。




ヒキ:「く、くちょぅ……!」


イヴ:「……謝罪は、したほうが?」


オシ:「焼け石に、水」

ヒキ:「そうっ、ですわっ、よッッ・・・!!!!!」




 流石に、これには銅も反省し、

 少し、しおらしい雰囲気が、香った。





オシ:「……こっちだって、ね」


イヴ:「……?」


オシ:「辞書みたいに使うのは、

    気が、引けんのよ」




 舌打ちしながら、オシハが、言う。





オシ:「あの子らと食う飯が、

    マズくなるのだけは、

    生涯、ゴメンだわ」


イヴ:「──…… 」





 6人の暗殺者は、

 止まり、深く、一礼した。





オシ:「……謝ってるけど?」

ヒキ:「……ふ、フんッ……!

    ゆるす……もんですか……、!」




 ヒキハは、ドカドカと、

 でかい、おっぱいを揺らしながら、

 先に、歩いていく。




オシ:「時間のモンダイだわぁ」

イヴ:「……そうでしょうか?」

オシ:「をーぃ、妹よぉー。

    道、わかんのかァー」




 ゆっくりと、乳は、失速した。






イヴ:「……"マリー・マトマット"と、

    "アバンテ・シューティングスター"、

    という男が、同席しているようです」


オシ:「……!」

ヒキ:「あの方が……」


イヴ:「どのような、方……でしょうか」




 キュイーヴルの言葉には、

 少し、申し訳なさが、染み出ていた。


 なんだかんだ、ヒキハは、

 そこら辺を感知するのが上手いので、

 あまり、波紋は落ちず、

 素直に、端的に、答えた。




ヒキ:「……善人ですが、壁が、ありますね」


イヴ:「……壁、ですか」




 銅は、今さら、

 気遣う言葉など選べないので、

 率直に、問いかけた。



イヴ:「……"ハーフ・ヴァンパイア"として、

    差別、されていると、

    いうことでしょうか……?」


ヒキ:「ぁ、いや……そうではなく」

オシ:「──"()(じん)"として、

    差別されてんのよ」


イヴ:「……──あぁ! そういぅ──」




 すぐに、()()は、(さっ)せられる。




オシ:「私たち、めちゃくちゃ、

    スゴいヤツらだと、

    思われてっかんねー!」

ヒキ:「あまり、"血"のことは、

    気にされない方だと、

    思います。実力主義で、

    ものさしを作る方です」

オシ:「あいつ、いっつも、

    ビビりすぎなのよぉー。

    ちょっと、ムカつくわ。

    そんな、会ったこと、ないけど」

ヒキ:「こ、こら、おねぇちゃん……」


イヴ:「……"()(ぎょう)"に対して、

    "()()"と、"(そん)(けい)"が、

    あると、いう事ですね?」


オシ:「そーゅーことぉー……」

ヒキ:「ビクビクは……されますね」




 ぷぇー、と、

 オシハが、奇声を(はさ)む。




オシ:「あんな筋肉質の男が、

    視界に入るたびに、

    微振動、してみなさいな?

    飯が、変な味になること、

    ちがいなし、よ?」

ヒキ:「か、可哀想だとも、

    思うのですが、ね?

    悪意がない分、尚更」


イヴ:「それを聞いて、ホッとしました」


オシ:「ビビり散らかしてるだけで、

    悪い貴族では、無いわ」

ヒキ:「ええ。マザーが、生かしておく、

    価値があると、判断した人です」


イヴ:「……」


オシ:「物騒ねぇ〜〜」

ヒキ:「ぇ"っ……だ、だって、

    事実ですし……」


イヴ:「さっき、心より謝罪したのが、

    勿体なくなってきました」




 (クレ)(リア)時代には、

 けっこうヤンチャしてた、

 マザー・レイズと、シナインズ姉妹である。




オシ:「自分でもね、ビビりって、

    わかってんでしょーね。

    自己紹介だけは、

    デッカい声で、やんのよ。

    ありゃー、ダメだわ。

    で、他の職場仲間には、

    ふっつーに、しゃべってっし。

    アレが、気に食わないのよぉー。

    別に、ふつーに、してろってぇー」


ヒキ:「ねぇ様……ぜったいそれ、

    ご本人の前で、言わないで、

    くださいましね……??」


オシ:「だぁいじょうぶ、よぉー☆

    私たちが行ったら、

    なんも、しゃべんねーって!」


イヴ:「気が弱い、善人……ふむ、

    それなら、ともかく、

    害は、無い、か……」





 事前に情報を得て、

 少し、警戒が解ける、銅の従者たちである。


 もちろん、剣の姉妹を(むか)えるまでに、

 数時間は、観察し、

 おそらく、この男爵は、

 善人であろうと、

 あたりは付けていた、

 キュイーヴルである。




オシ:「あーぁ。あの男爵なんて、

    別に、居なくて良かったのになぁー」

ヒキ:「こ、こらっ、おねぇちゃんっ!

    そんなこと言ったら、ダメですっ!」

オシ:「だって、アンタ、また、

    あんな、モジモジ、

    しゃべられでもしたら──」








アバ:「──おまえたちはああああああ!!!!!

   ──なぁああああにおおおおをを!!!!!

   ──やっているんだああああああ!!!!!」





オシ&ヒキ:

   「「 ──ッ──っ!? 」」


銅六:「「「「「「 !?!?!? 」」」」」」






 その声は、

 剣と、銅の、姉妹たちに、

 分け(わけ)てなく、届いた。



 8人は、

 すべからく、ダッシュする。




 ──ダダダダダダダダダダダダ・・・!!!



 ──ドタぁあん・・・!!!!!






挿絵(By みてみん)



アバ:「〜〜ふしゅぅううるるるるるるる……!」


アン:「あ、あにょ、ちょちょ……、

    だんしゃく、しゃん……?」

マイ:「ぉ、おちゅちゅいて、

    くださぁ──ぃ……」


マリ:「──か、神!!! 神っ!!

    かみぃぃいいい〜〜〜〜……☆☆☆」





 王室図書館・分室に、

 踊り入った8人は、

 状況を、把握できない。





アバ:「おまえたちがぁぁぁぁ・・・、、、

    冒険者、だとぉおおお・・・?????」





 だが、その、腹から響く、声は。







アバ:「

    ──冒険者なんか、

    すぅぅぅううぅぅ──〜〜……、



    やめちまえええええええええええ

    えええええええええええええええ

    えええええええええええええええ

    えええええええええええええええ

    えええええええええええええええ

    えええええええええええええええ

    ええええええええ!!!!!!!

    !!!!!!!!!!!!!!!

    !!!!!!!!!!!!!!!

                    」





ヒキ&イヴ:

   「

      ── あ"・・ ?

                」




 ──スラぁ・・──!

 ──デュ、オォ・・──!





オシ:「えっ、あッ、バっ、、こらっ──・・!? 」




 ──シュらぉん・・──!!









 ──()しくも。


 いき、ピッタリ。

 同時に、斬りかかった、


 ヒキハ・シナインズと、

 キュイーヴル・クレフティスの、凶刃を、



 オシハ・シナインズは、

 巨大な、二振りの双剣で、


 見事に、受けとめるので、あった。





アバ:「──ぐぉおおおおああああああ!?!?!?」

オシ:「──バカたれ、がああああああ!?!?!?」


ヒキ&イヴ:

   「「 チねえええええええええええ!!!!!! 」」





アン&マイ:

   「「 あわわわわわわわわわわわっ…… 」」


マリ:「なーむー.*・゜( 人˘ω˘ )」


 




 

どあぁ……(((;゜Д゜))).*・゜

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[一言] そりゃあ冒険者やめて司書やれってなるわな…
[良い点] 書類系統のお仕事なら、無敵な能力やしなぁ… [一言] 適材適所 ※マリはんの台詞から
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