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おしろのうけつけ。さーしーえーまーつーりー

造語も いっぱい。

さしえも いっぱい。




 エルシエルド城の(おう)

 雄大な広間の手前に、

 ()(おさ)なき神官が、ふたり、立つ。





挿絵(By みてみん)





 ヒューダとミグリの仕事と言えば、

 ここまで、誰かが(おとず)れたならば、

 それは、王兵の目に(かな)う という、事なのだから。


 つまり、武体ではなく、

 内面、ゆえに心の悪を見抜くための、

 門番に、(ほか)ならない。


 この姉弟は、

 かつての審議局から、

 救い出された、王への(けい)(はい)を、

 忘れたことは無い。



 やはり、珍しく、遠い門が()き。

 いつもは目を閉じるも、

 その、甲高い音が、

 どうやら、足音だと(わか)ると、

 (いく)(ぶん)か、()かれるのだった。





 挿絵(By みてみん)




 王下の、ふたりの神官が、

 目を開けたのは、

 姿が点と見えた(ころ)(あい)である。


 足音は、まるで、(かな)()ち。

 祝音。

 祝音。

 祝音。



 彼方より、


 ふたり分の□は、

 こちらに、歩き、()る────。




 城内が故、美しく、

 計算され尽くした壁吹穴は、

 (きら)びやかな陽光を、

 彫刻まじりの柱に宿し、

 その者たちを、照らし浮かせる。




 反射とは、(すなわ)ち、(たい)(こう)である。



 ヒューダとミグリは、

 不思議な恐怖を、味わった。


 使命上、ここより一歩を引くなど、

 選択肢に皆無であるが、

 (まえ)(もっ)て、聞いていたとはいえ、

 あれは、まさしく、()(とぎ)である。


 彼女たちが、国の姫に(おく)られた、

 あの三連の杖は、()の宝であった。


 ふたりが、並び来る という、(りん)()


 考え知れぬ、

 まるで、物語のドラゴンのような、

 そんな、伝説が、

 (なな)めに()(そそ)ぐ、城の、

 室内の陽光のカーテンの中、 

 ひとのカタチをして、ふたり、

 歩いてくる、という、

 そんな、不思議。




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     ❍ ❍

     △ △







「「 ────……、 」」




 ヒューダとミグリは、

 それが、"(きん)(ちょう)"であると、

 目の前まで、それらを感じ、

 やっと、気づいた。



 キぃん、ぎィんと、

 その、少女のカタチふたつは、

 目の前で、止まる。


 堂々と、ふたりの幼き神官を、

 しかし、馬鹿にせず、見下ろす。


 黄金は、そっと、見つめた──。





挿絵(By みてみん)


「ご多忙の受付嬢殿を、助けるようにと、

 (ことづ)かり、()(さん)じました。

 手前が、アンティ・クルル。

 向かう右が、マイスナ・オクセンです」




 銀が、しゃらん、と鳴り────、

 悪が、美しく、(ヒト)(ガタ)のように、礼をする。

 カーテシーと共に、花嫁の、仮面の、二本角が、

 やけに、心に、残る。


 (ゆう)()(はな)()れが終わった頃、

 ヒューダとミグリは、(きょう)(がく)した。




( この、ふたり……!? )

( なにも、みえない……!! )




 聖属性の神官である、

 姉弟の"鑑定(ステータス)"を、(はじ)くという事は。

 しかも、二人ともである。


 動かない頭で考え、

 つまり、目前の()(とぎ)の見開きは、

 自分たちより……"聖"属性値が、高いのだ、と、

 消された選択肢から、推察する。




(あり得ぬ、、、こんな事は……)

(東の、聖女殿くらい、しか……)




「「 ? 」」




 ヒューダとミグリの神服の内は、

 見事に、冷や汗に、濡れていた。

 この、黄金と白銀の仮面には、

 おそらく、自分たちなど、

 触れてはいけないような、

 今世の未知が、隠されている。


 "聖"属性の祝福が、

 邪悪な者に宿(やど)らないことを、

 ふたりの神官は、その性質より、

 よく、理解している。


 神の目を、上回る、"双聖"。


 なにも見せないことで、

 アンティとマイスナは、

 魂の(けっ)(ぱく)を、証明する。




「マリー様が居られるのは、

 王室図書館の、分館でしょうか」




 この頃に なると、

 仮面に(のぞ)く、黄金の瞳が、美しい。

 髪など、光のようだ。


 あろうことか、

 ふたりの若き神官は、

 王に(はい)(えつ)するよりも、

 深い(しび)れを感じた。


 姉弟は、何とか、(こた)えた。




「──はい、()(およ)んでおります」

「──まさに、そちらで、多忙にて」


「ふふ、()(よう)ですか」

「こちらを、通っても?」




 狂い銀の声は、まるで、悪を裂くようである。

 義の賊の声は、堂々とした、温かさがあった。




「お、お通りください」

「案内は、必要でしょうか」


「道は、解ると思いますが──」

「わたし達だけで、奥に、あがっても?」




 姉弟は、そのまま通すようにと、

 (ことづ)けられている。

 最初は、(いぶか)しむ思いがあった。

 実際に、会うまでは──。




「"至高"の方々なら、問題ありません」

「どうぞ、お通りください」


「はは、とんだ新参者ですが……」

「えらくは、ないよ」




 きひひ、えへへ、と、

 突如と、街娘のように笑うので、

 それは卑怯だな、と、姉弟は思った。


 何にせよ、この時点で もはや、

 この御仁たちが、邪悪とは かけ離れた者だと、

 ヒューダとミグリは、悟った。




「……何気に、"真下"から行くのは、初めて、かな?」

「そうだねーっ。前は、"横"から、だったから」


「「 ?? 」」




 義賊と狂銀は、何やら、

 姉弟に、理解できぬ話をする。

 はて──……?

 王室図書館の分館に、

 王家執事用の入口以外の、

 経路が、あっただろうか──……?


 謎は さておき、

 城の内の門番として、

 気遣いは、必要だろう。



「お食事など、頃合いで お持ちしましょうか?」

「本日は、恐らく、お泊りになられる事に、

 なると、思いますが……」


「げ」

「そんなに、ですか」




 姉弟の神官は、頷く。




「……まぁ、宿が見つかった、

 って、ことか」

「あの部屋に、ベッド、あったもんね?」




 その通りである。

 やはり、あの部屋に通った事が、

 あるのだと、姉弟は確信を持つ。




「食事なのですが、

 職業柄、持ち歩いている量が、

 けっこう、あるのですが……」

「身体を清める道具も持ち歩いているので、

 最悪、放置でも、大丈夫です」


「「 そ、そうですか…… 」」




 何故か、姉弟は、残念に思う。




「何か、困った事があれば、お願いしますね♪」

「急に、何か、頼むかもしれません」


「「 わ、わかりました/// 」」




 どうやら、逆に気遣われたと見えて、

 ふたりは、わずかに、紅潮した。




「他の"至高"の方も、続々と、

 集まってこられます」

「オシハ様は、後で、ヒキハ様と、

 顔を出す、と、(おっしゃ)られておりました」


「え"、ヒキ姉と、オシ姉、来るのか……」

「ぜったい、ご飯、たかられるよ」




 この御伽(おとぎ)たちは、

 随分と、かの姉妹剣士と、

 仲が、良さそうである。


 食事を(ゆう)(ずう)するのは、

 どちらかといえば、

 (せん)(だつ)なのでは ないか、と、

 姉弟は、思うが──……。




「早速、ひとつ、頼みが できました」

「お仕事おわるまで、あの二人、止めといて」


「「 は、はぁ…… 」」


「大丈夫、来たらメシ抜き! って伝えたら、

 たぶん、ふたりとも、止まるから」

「んだんだ」




 ……そんな事が、あるだろうか。

 と、ヒューダとミグリは、思わなくも ない。

 目の前の御二人は、不思議な御仁だ。

 この短時間で、随分、親しんだように思う。

 性格に触れると、見栄えの美しさが(なだ)められるのは、

 あまり、体験したことの無い事象であった。


 溶け込むような、美麗である。

 しゃべれば、ここが、絵本と成るのだ──。




「マリー嬢には、多大な負担を

 おかけしています。どうか、

 お力添えを、お願い致します」

「念のため、"至高"各位様の ご来訪が

 ございましたら、お伝えにあがります」


「「 ありがとう 」」




 ヒューダとミグリが道を開けると、

 また、祝音のような足音を打ち、

 ふたりは、歩いて行く。




挿絵(By みてみん)




 王の神官たちは、しばし、

 義賊たちの、後ろ姿に、(うば)われていた──。




「……すごい人、たちだったね、ヒューダ」

「……ええ、本当にね、ミグリ」





 (きらめ)く姿に、向けられる瞳は、

 背から、だけでは ない。


 そう、それは、

 例えば、"上"から────。





挿絵(By みてみん)


「 ── あれは…… ── 」







 やんごとなき、御身しか、

見下ろせない、ような────。







挿絵(By みてみん)


「 ── やっぱり……! 」








 ────かくて、(うん)(めい)は、動き出す。











「いやーっ、なんか、緊張したわね~~」

「前、あんな子ら、いたっけ」

「わからん……やっぱ、あの、透明な階段ってさぁ……」

「正規ルートじゃ、ないんだろーねー」

「そうだよなぁ……つーか、また、泊まりかって」

「ヒゲイドさんに、連絡、しとく?」

「そーねぇ……ぁ、"聖女化"に ついても……」

「ぁー……、言っとかないと、ねー……」

「毎ッ回、王都に入る(たび)に、感知されてみなよ……」

「今日は、人が多くて、助かったんだね」

「そおねぇ。あ! リビに、相談してみっか」

「そうだね! なにか、誤魔化し方が、あるかも」

「きひひ♪ あいつなら、知ってるかもしんないわね♪」

「秘密で、お出かけとか、してそうだもんね~~♪」

「本屋さんとかな」

「本屋さんとかね」

「んぁ~~~~、しっかし、まだ、

 けっこう、日が高いわよ?

 これから、キッティ発表会まで、

 みっちり、書類整理かぁ・・・?」

「さっさと終わらせて、あの、豪華なベッドで、

 エッチしようよぉ……♡♡」

「ごっ……/// ま、マイスナさん?

 ぜったい、マリーさんとか、いるから……///」

「え~~~~っ!!?」





 ふたりが、王室図書館・分館の前に行くと、

 飴色の、神樹の大扉が、ひとりでに、(ひら)く。

 よく見ると、首環の、"レターライダー"の紋章が、

 双方、光っていることに、ふたりは、気づいた。



「・・・とうとう、自動ドア、なんだけど」

「木のドアのなのに、彫刻のトコとか、

 (すじ)で、光ってたよ」

「プレミオム。アーツ、めっちゃ、点滅してない?」

「うん、光ってるね・・・あ、おさまった」




 ふたりが、"正式な入口"より(まね)かれると、

 " welcome(よ う こ そ) "、の光文字が、

 首元のアーツより、表示され。


 アンティとマイスナの入室と合わせて、

 天井の、装飾された、光の魔石たちの光量が、

 明らかに、あがっていく。


 まるで、この歴史ある、秘密の部屋に、

 (あるじ)として、(むか)えられているようである。




「……部屋に入る時、

 あんたの目と髪、ひかった?」

「思った……アンティもだよ」




 やれやれ、これ以上の神秘・不可思議は、

 カンベンだ、と、絵本のふたりは、思いたい。


 兎も角、今日は、書類仕事の、バイトだ。

 さっそく、マリーさんを、探さない、と────。







 ────ドサッっ・・・・・。







「「 ──……ッ! 」」






 その音を、聞いた時。

 ふたりは、いやな、予感がした。




 ────どしゃ、バサ、ばさ・・・ッっ・・・!!!

 ──ぺら、バララ────。




「──マイスナっ!!」

「────うんっ!!」




 ふたりの足音は、

 豪華な深い赤の絨毯に、

 吸収される。


 時たま、露出した床は、

 けたたましい音を、祝音のように、鳴らした。




 いやな音のした、ほうへ、行く────……!






 

挿絵(By みてみん)

「きゅぴぅう~~~~~~~~っ・・・?」


「──マリーさんっっ・・・!?」

「──だいじょうぶですかっっ!」







 受付嬢が、倒れていた。










 

どあああああああああっ!!!???

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『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] ふと思ったんやけど ステータス鑑定のこと、箱庭勢含めみんな忘れてるよね…?
[気になる点] ああ多分コレあれだ。 マスターであるアンマイ部屋だった場所に他の人が前に入ってると防衛機能が発動する奴だ。 まぁいい、気絶してる今が好機! やる事は決まってるな? そうだ、 えっち…
2023/04/13 23:09 名探偵明日で誕生日迎える逆コナ○ 犯人はこのなかにっぷる。  
[良い点] 挿し絵多くて、嬉しい トップ絵?、うさ丸USACHANGE 五変化イカスw [気になる点] 〉受付嬢が、倒れていた。 のは、 ご飯なんざ後回しだ!→とりあえず、コレだけ→ココだけ→繰り返し…
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