金と銀の街 さーしーえー
エレクトラム・シティ
どこかで、感覚が、マヒしていたんだ。
『────これは──:すごいですね☼』
「……、── 」
「……、── 」
『────:……アンティ?☼』
どうも、最近の私たちは。
ふたりだけの世界に、籠ってしまってて。
しかも、それで、
ぜんぜん、良いとさえ、思ってた。
だから、驚いた。
不思議な、変な、言い方だけど──……、
これは、意識の、"外の世界"からの、
大きな、刺激だった。
私たちは、無意識に、
いつの間にか──……手を、つないだ。
「 ・・・、 」
「 ・・・、 」
音は、聞こえなかった。
わすれて、いたんだと、思う。
光景が、衝撃的すぎて、
ぶっ飛んじゃったのかも。
コマ送りの、場面が、
フワリ、フワリと、
スローモーションで、すすむ。
これは、先輩の仮面のチカラじゃなくて。
ただ、ただ、私たち。
連動する、脳の、効果だった。
見渡すは、黄金と、白銀の 街。
まだ、音と、時は、にぶく。
時おり、きらめく紙吹雪は、
止まって、見えた。
目に見える。視界の、
すべてが、そうだった。
今の、私たちは、きっと、
たよんない、立ち方を、してる。
ふたりで、ポツンと。
取り残される。
このカッコウで。
たしかに、少しだけ、
有名に、なっちゃって。
でも、どこかで──……!
それでも、あの、
生まれ育った、食堂の──……、
"みんなと仲良し、看板娘"と、
そんなには、
変わらない、はず、だって────。
「アンティ、あれ……」
「うん……」
小さな、ふたりの子供が、
クルルカンと、オクセンフェルトの、
格好をして、立っている。
男の子と……女の子だ。
3歳、くらいだろうか……。
私たちと、鏡合わせのように。
手を、つないで、
こっちを、見てる。
私たちは、出会う。
「「……、── 」」
「「 ──…… 」」
じっと、素朴な、キラキラとした、
よっつの目で、見つめられて。
でも、今の私たちには、ちょっと、
そういう余裕が、なかった。
どう反応して いーのか、
わからないまま──見る。
「「 ── 」」
「「 ── 」」
しばらく、見つめ合って。
やがて、かれらは、行ってしまう。
とた、とたた、とたたたたた────。
いってしまう、前に、ふたり が、
「「 ──にへへっ♪♪ 」」
ふり返って、
──ニカリ、と、笑った。
その瞬間。
────音と、時が、戻った気がした。
「はぁーい!! よっといでぇー!!!
よっといでぇーー!!!
王都・新ッッ名物っ!!
クルルカン・ハニートーストだよぉー!!?」
「おっと、そこの、オトーサンっっ!!
まだ、お子さんは、仮面を、
つけちゃーぁ、いないねっ!!
いやーっ!! そいつぁー、ダメだぁ♪
時代の流れに、取り残されちまうっ!
俺らぁ、仮面売りぁ、ただのぉ屋台じゃねえ!
この王都を、英雄まみれに
しなきゃあ、今日のお祭りに、
しまりが、こねぇってワケさぁ☆」
「っっっらっっしゃっっせぇぇえええいいい!!
つめてぇ、つめてぇ、
オクセンフェルト・スカッシュだよぁ!!!
こいつ、ひとつ、ありゃあ、
おくちの中がァ、あっというまに、
あんまぁい、ぁんまぃ、銀世界だぁ!!
どうだい、どうだい!! ほらっ、ほらぁ♪
おひとつ、どうだいいい──っっ!!!」
「おかーさん、あの、かめん、ほしぃ!!
ぼく、クルルカン、なりたぃ!!」
「ぁた、あたし、ぎんいろ、の、
かめん、が、いい! あの、ぞう、の、
どれす の、おひめさま!!」
「ぁあ~~~~♪♪ わかった、わかった!
まったく、しょうがないやつだなぁ!」
「あら♪ ねぇ、あなた!
どうせなら、あっちの屋台の仮面が、
いいんじゃない!?
銀の仮面は、この店よりも、
オデコの飾りが、カッコいいわ♪」
「あはっは! ビックリした、アンタかぁ!
ちょっと、仮装、気合い、
入り過ぎなんじゃあないのぉぉ!?」
「いやいやいやいやいや・・・!!
こんな日に、出し惜しみしちゃあ、
精霊王サマに、申し訳が たたねえよ!!!
それに、お前だって、上から下まで、
ギンギラ銀じゃあねえか!!」
絶え間なく、色んな所から、木霊すように。
太鼓や、ラッパなど、めでたい楽器の音が、
重なるように、聞こえる。
市場の、麻袋の中の、豆のように、
しっちゃか めっちゃかになった、
たくさんの人々の流れと、にぎやかな喧噪は、
不思議と、いやな感じが、ない。
さっきから、たぶん、
ピーマンや、キャベツや、豚肉などの焼ける匂いが、
煙で、遠慮なく周りにバラ撒かれ、
なんとも、場に合った、香ばしさ──。
知らない間に、私たちは、歩き出していた。
となりの、愛しの怨敵の手は、
けっして。はなさずに──。
「 ────、── 」
「 ────、── 」
左右の建物の間の、あらゆる所から、
ロープで、橋渡しが、されていて。
明らかに、
"黄金の義賊"と、
"白華の狂銀"の、意匠を あしらった、
趣のある旗が、
楽しい風に、何重にも、ゆれている。
私たちの仮面の、左右、半分ずつが、
デザインされた、旗、貼紙、物品──。
そして、誰もが。
わたしたちの、マネをしている、
くるった、街──。
いたる、ところだ。
いたる、ところに、
わたしたちが、いる。
「・・・・・、・・・」
「・・・・・、・・・」
わたしたちは、ポツンと──。
圧倒、され、
街は、輝いていた。
「ぇ、と……アンティ。手、つなご……」
「ぅ、うん……、、、そぅだね……」
もぅ、手をつないでいたことに、
この時、気づく。
「「 ぁや……。 」」
それから、私たちは。
たくさんの輝きの中、
しばし、無言で、歩いた。
ひとが、居すぎて、
しゃべれなかったのも、ある、けど……。
いやぁ・・・不思議な、感覚だわ──。
私たちは、しっかりと、
金と、銀の手を、
恋人つなぎ、しながら、
アホみたいに、ポカンと、
辺りを、キョロキョロとしながら、
祭り、真っ最中の、王都の道を、あるく。
光の、音の川を、
さかのぼっているような、
そんな、感覚。
たまに、天から舞う、
紙吹雪は、青空の下、
光と、まざる。
オート、パイロットだ。
しばらく、
ほんとうに、
あやつり人形のように。
キン、、、キン、、、──、
ギン、、、ギン、、、──、
──、私たちは歩く。
規模が……デカすぎるって。
この、バカでかい王都が、
ぜんぶ・・・こうなってんの!?
「 ひ、ひぇぇぇぇ~~…… 」
「 す、すごぃね……~~ 」
私たちは、あんぐりしながら、
ちょっと、お腹が すいてるのも、
忘れている。
ここは、メインストリートからは、
少し、外れた道だ。
無意識に、ふたりで、
人の流れが、少なめのトコロを、
選んで、進んだのだろうか。
ただ、それでも。
メインよりはマシだと、言っても。
充分、ヤバい数の人と、屋台だった。
いや、むしろ──……、
少しだけ、混雑が和らいだ分、
アホみたいに放心しながら、
手を繋いで歩く、
" 二代目クルルカン " と、
" 二代目オクセンフェルト " の姿は、
周囲の人から、
とっても、よく、見てとれた、はずだ──。
わたしたちは、あるく。
こわれた、おもちゃの、ように。
まるで、結婚式の、ように。
絵本の、姿で────。
キン。 キン。 キン。
ギン。 ギン。 ギン。
────あてられて、いる。
「ねぇ、見てー・・・!?」
「うッわ、すごいや!!!」
「おおっ! あの子ら……!! パネぇな・・!!」
「ぅおッふォぉお・・・!! すげぇ、すげぇ!!」
「あれってさ、なんで、ひかってるの!?!?」
「まわってる! まわってるぞ!! 金色!!」
「あれは・・・光の、花、か……?」
「──ねぇ!! あの子たち、すごくない……!?」
「うおーッ!? あの仮面、売ってんのかなぁ!?」
「おもった・・!! 部屋の壁に、飾りてーっ♪♪」
「あの子たちの雰囲気、カンペキすぎでしょ」
「ええっっ!? つーか、あの像に似てね・・・!?!?」
「ひゅ〜〜〜〜っ♪♪ こいつぁ、
イイもん見たぜぇ~~~~♪♪♪♪」
「あれは負けたわ。ガチじゃん!! きっれ・・・」
「うわ、すっご!!! 絵本の二人じゃん!!」
「どっちも女の子か・・・!?
いーねっ!!! あの像と、一緒じゃん!!」
「つか・・・似てね!?」
「た、たしかに!? まさか・・・本人か・・・!?」
「あれはヤバいでしょ・・・!
なんか私、目覚めたわ・・・」
「あれ、なに、ぱぱーっ? ほんものーっ??」
「あの、ジグザグ・マフラー!!!
いかすぅうううううううーーーーーー!!!!!」
「むちゃくちゃキレイやんけ・・・。
ベスト。カップルでしょ」
「ままー!!!!! きょうぎん、
ドレスきてるおおおおおお!!!」
「私、一生に一度でいいから、
あんなドレス、着てみたい・・・♡」
「ははは! なによソレ♪♪
義賊と狂銀の、新郎新婦ぅ~~?」
「あ! クルルカンも、女の子なのか・・・!!」
「あの再現度、ぶっ飛んでんなぁ・・・!!!」
「手ぇ、つないでんじゃん!! エッモ!!!」
「これさぁ、足音なんかな!? 鳴ってんじゃん??」
「なぁ、それより、あの子らの、目さぁ──」
「おぉ!! ソレソレ!! "金"と、"銀"!!」
「ヤバくね? "髪"も、だろ……!?
100点じゃん」
「似合いすぎてんなァ・・・!!!
あせるぜ・・・!!!」
「ぜんぶ、"金"で、ぜんぶ、"銀"じゃん・・・!!!」
「あら、最高じゃない♪♪
ふわふわ、歩いて──まるで」
「は、はは・・・♪ まるで、
おとぎばなし──だな・・・♪」
『────ンティ……:アンティ……!!☼
────聞こえてますかっ……!?☼』
〘------こらぁあああああ──っ!!☆
------マイちゃぁぁああああんんんっ!!☆
------聞いてる;のんかぁあああああ──っ☆☆☆〙
「──へっ……!? ぁ"、、、な、なに……!?」
「──どっ……!? どったの、ローザ、、、……!」
しばらく、クラウンとローザに、
呼びかけられ、続けていたのを、
気づかなかった、みたいだ。
『────なに:では……ありませんよ☼』
〘------さっきから……;
------ホワホワのんよぉ~~?☆☆〙
「ご、ごめん。ボーッと、してたヮ……」
「なんも、かんがえて、なかった・・・」
『────あの:アンティ……☼
────気づいていますか☼
────さっきから:全身の:
────歯車が:きゅんきゅん:
────まわっていますよ?☼』
「──え"えっ!? う"そぉ……!」
『────ウソな:ものですか……!☼
────ちなみに:私も:
────いつもより:余計に:
────まわっています☼』
──きゅぅぅうう〜〜ぃんぃいんぃん……♪♪
──きゅるるるるる、ぃいい〜〜〜っん!!
ほっ……ほ、ホンマや!!?
なによ、コレ・・・っ!?
新しい仕様の、クルルカン・スーツは、
所々、歯車の露出が激しい所が、
あるんだけど・・・こ、
こんなに、不規則に、回ってたら・・・!!
ひ、陽の光が、乱反射して、
まぶしいったら・・・!?
〘------マイちゃんもぉ~~……☆☆
------さっきから;"カラダのお花"ぁ☆
------咲きまくってる;のんよぉ~~?☆☆〙
「え"っ・・・!? ──あ"っ・・・!?」
あっ、ほ、、、ホントだわ・・・!
マイスナの、おニューの銀のヨロイも、
ローザの体液由来の、聖なる液体が、
まるで、咲き誇る精霊花のように、
形状変化して、さ、咲き乱れてる・・・!!
これじゃあ、まるで、ウェディングドレスだわ・・・!!
ん・・・?
そ、そういえば、まごう ことなく、
ウェディングドレス、だったわ・・・!!!!!
「──こっ、こげな、目立ちまくる状態で、
ねり歩いてたの!?
わたしたちぃいい・・・!?/////////」
「──わっ・・・///// こんな、所まで、
おはな、咲いてた・・・/////////」
『────だから:言ったのに……!☼』
〘------今回のぉぉ~~;
------バージョンのヨロイはぁ~~……☆☆
------キモチの変化がぁぁ~~☆
------ダイレクトに;
------伝わるのんなぁぁ~~?☆☆〙
や、やっぱり、そーなのか・・・!?/////
やっば、かんぜん、油断してたわ・・・///
バチバチに、ヨロイ越しに、ココロの表情、
ダダ漏れやんけぇ・・・!!/////////
つ、つーか!?
こんな状態で、ずっと、歩いてたら──、、、?
「──ぉぉおおおーーーいいいっっ!!!
──きみ達ぃぃいいいいい~~~~♪♪♪♪」
「──王都・出版ギルドでぇぇえす~~~~!!!!!
──ちょっと、お話、聞かせてぇぇええええ♪♪♪」
「やっば・・・!」
「まっず・・・!」
お、王都、出版ギルド、だとぉぉおおおおお・・・!?!?
こっ、こん前、カフェでの、救出劇、
すっぱ抜きやがった、
やつら、やんけぇぇぇええええええ!!!!??
「に、逃げろおおぉぉーーーー・・・!!!」
「ま、まだ、捕まらないぞぉぉおおおおーーーー!!!!!」
「──えっ・・・!? ちょ、ちょとぉ・・・!?」
「──ま、待てぇぇーっ!!! 特ダネぇぇぇえーー!!!」
誰が、特ダネじゃぁああああああああああいいいい。
『────アンティ……!!☼
────今は:あえて:
────混雑する人々の方に:
────逃げましょう……!!☼
────簡単には:追ってこれなく:
────なるでしょうし:
────ここまで:大規模な仮装祭りです☼
────混ざってしまえば:
────こちらの:ものです……!!☼』
「な、なるほど、たしかに・・・!!?」
「そ、その案で、いこぉ・・・っ!!」
「待ってーーーー!!!!!
ツインテールのぉぉ!!!
クルルカン、ちゃああああんんん!!!」
「ステキな、狂銀さぁぁああああんんん!!!
その衣装、自作ぅぅぅうううーーーー!?!?!?!?」
「「 ぎゃあああああああくぁあああああああ 」」
うるせええええええええええええええええ。
記者、しつけえええええええええええええ。
こりゃ、変態製だ、バカやろおおおおおお。
「ま、まいた、か、な・・・」
「た・・・たぶ、ゅん・・・」
ハァ、ハァ、はぁ・・・。
なんとか、メイン・ストリートまで、
もどって、きたわ。
「すっげえ、ヒトだわ・・・。
これなら、見つからんやろ」
「そだねぇ! で、でも、
ヒトの流れに、さからえないね・・・」
た、たしかに・・・。
これだけ、"流れ"が、できちゃってると、
逆走するのは、キビしいわ……!
ぁ、あっちの屋台とか、見てみたいのに……!!
さっきの、少し、すいてたストリートで、
なんか、買っとくんだったわっ……!!
「ど、どっする、アンティ? ・・・っわ・・・!」
「と! とりあえす、王都ギルドの、
マリーさんに、会いたい、けどっ・・・!?」
ーーどぉぉわああああああああーーーー!!???
人の流れ、やばぁ・・・!!!
これは、コワイ・・・!!!
食堂娘が、体験したことの無い、
人の波だわぁ・・・!!!
ドニオスの お祭りも、
こっ、ここまででは、
なかったハズよ・・・!!?
素で、あわてる。
どぉせぇ、ゆーんじゃ・・・!?
「手、てぇ、はなしちゃダメよぉ!!
マイスナぁあ・・・!!」
「が、がってんだぁああ・・・!!」
ーーギュウウウウゥゥゥ・・・!!!
ドラゴンと、天空クジラの、
ヨロイの筋力を使って、
たがいの、お手々を、にぎる・・・!
ーーすると。
勝手に、ヨロイが反応して、
私たちの手が、
歯車と鎖で連結され、
ガチガチに、固まってしまった。
・・・がキギィぃぃいいいんんん・・・!!!
「「 ──!! ……。ぉ、おわぁぁ・・・ 」」
び、ビックリ、したぁ……。
……や、やり過ぎ、じゃね・・・?
……。
ま、まぁ、この手を、
振りほどくことは、
そんじょそこらの怪力自慢でも、
まず、不可能でしょぉーや。
「……。ちょっと、グロいわね……」
「ぅ、うん。でも、迷子には、ならなそう?」
「いや、てゅーか、ふたりで、
迷子に、なるんじゃ……?」
「ぁ……そっかも……?」
お手々が、機械連結されとんので、
はなれ離れになるこたぁ、ないケド……。
この、大量の金ピカ銀ピカ仮装集団の流れに、
逆らうことは、得策じゃあ、ないわね……。
「ま、出版ギルドの記者は、
完全に撒いたわね?」
「んだね……♪ しばらく、
このまま進むしか、ないよ」
マイスナの、言う通りだ。
まぁ、クラウンなら、王都の地図を、
マッピングして、視界に映すなんて、
お手の物、だろうし?
本質的に、私たちが迷子に なることは、
ほぼ、無いと言っていい。
「……せっかくなら、お祭り、
楽しめると、いいわね♪」
「……えへへ、そうだねっ♪」
多忙・受付嬢の、
マリーさんには、悪いけど。
ちょっとだけ、祭りの雰囲気を、
ふたりで、楽しませて、もらおっ。
クルルカンを隠すなら、クルルカンの中。
オクセンフェルトを隠すなら、
オクセンフェルトの中、だ──……!
「……きひひ♪ ホントに、みんな、
義賊と、狂銀、だねっ……♪♪♪」
「えへへ……っ♪ そっだね……♪♪
意外と、おんなの人、おおいなぁ」
き、ひ。
まさか、こんだけ居る、周りの人たちも。
私たちが 着けている仮面が、
ホンモノだとは、思うまい・・・!
『>>>酔狂な、こったねぇー……』
お! センパイじゃん!
『────あら……ふふ♪☼
────" 野暮用 "は:
────もう:いいんですか……♪☼』
『>>>ああ……ふ、少し、
>>>きみの旧友に、挨拶 カマしてきたよ』
相変わらず、私の王冠と仮面は、
仲が、良さそうだなぁー。
『>>>こいつぁ、すごい人だねぇー。
>>>どこかで脇道に それて、
>>>目的地に、向かいたいが──…… 』
「そう、したいのは──…… 」
「やまやま、なんですが──…… 」
さっきから、メインストリートの中央から、
逃れることが、できにゃい。
あ、でも、この方向なら、
そのまま行っちゃっても、大丈夫かなあぁ……?
「すごいね。街が、ぜんぶ、
飾り、つけられてる」
「……! そだねっ」
「昔は、こんな、所を歩くなんて、
思って、なかったなぁー……!!」
「……ん?」
マイスナの横顔を見ると、
仮面の上からでも わかるくらい、
頬が、紅く、楽しそうだ。
……。
ふふ……。
よ か っ た 。
「──ぁっ」
「ん?」
「アンティ、あれ」
そして、私たちは、
" それ " を、みた。
クルルフェルト祭は、はじまったばかり!










