表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1134/1216

とある未来の対話

※前話、ちょい書き直しました。

※タイトル久しぶりに変えました(笑)





おばあさん:

「 ……──今でこそ。

 そう呼ばれて、いるんだけれどね?

 あの像は、もちろん最初は、

 ステキな、お祭りのシンボルとして、

 作られたものなの」


記者:

「──だ、そうですねっ!

 私も文献を調べて、驚きました。

 てっきり、あの事件の後に、

 できた、ものかと──」


おばあさん:

「ふふふ♪ そう勘違いしてる、

 若い子は、けっこう、多いわね。

 もっと言えばね──……?

 あの像の、ファースト・ストーリーは、

 当時、あの有名な カフェの、

 オーナーさんが、自分の お店で

 火事を起こしてしまった時、

 お客さんの子供を、

 助けてくれた、あの方を、

 像に しようと 組合に、

 かけあったのが、きっかけなの♪」


記者:

「そうなんですか! じゃあ……っ、

 お祭りの前から、

 あの像は、できる予定だったんだ……!!」


おばあさん:

「ふふふ、そういう事に、なるわね……♪

 それでね? あの お二人は、

 たまたま、王都に来ていて、

 火事の後のカフェに、

 顔を出した事が、あったんですって」


記者:

「あっ! その話は、私も、

 知ってます! たしか──、

 たまたま、その お二人の お姿を、

 デッサンしていた子供が、

 いたんですよね!?」


おばあさん:

「ふふふ、そうなの……♪

 その時の、小さな絵描きさんは、

 直接、お二人に、声を、

 かけられたそうよ?

 けっこう、普通の、

 お姉さん、ふたり(ぐみ)、って、

 感じ だったらしいわ♪」


記者:

「へぇ……!! (うらや)ましぃなぁ……!」


おばあさん:

「それでね? それに気づいた、

 カフェのオーナーさんが、

 声を かけたら、ふたりとも、

 逃げちゃったんですって!」


記者:

「あらら……!

 な、なんでなんでしょう??」


おばあさん:

「ふ、ふふ……! よっぽど凄い、

 (ぎょう)(そう)だったんじゃ、ないかしら。

 でもね……? そこで、オーナーさんは、

 ふたりの、かなり精巧な、

 姿の"(うつ)し"、"(かたち)"のデッサンを、

 その目で、見ることが できた」


記者:

「いつも……()()でだって、

 小さな才能は、光っているんですねぇー♪」


おばあさん:

「ふふふっ、そうね……?

 さぁ、そして──かの、アマロン様が、

 あの、お祭りを、

 お考え、遊ばされた」


記者:

「そっか……! よく考えれば、

 すごい、タイミングだ……!!」


おばあさん:

「──えぇ。当時の、人たちも、

 そう、思ったでしょうね。

 "恩人"たちの、像を造ろう!

 と、思ったら──、

 なんと、その、"恩人"たちが テーマ の、

 お祭りが、できてしまったんだから──!」


記者:

「──あはは! なんだか、

 大盛り上がり、

 しちゃいそうですよねっ♪」


おばあさん:

「そうでしょう、ねぇ──。

 " なんて、素敵な偶然なんだろう……! "

 そう、思って、しまうわよね……♪」


記者:

「それで──……!

 カフェのオーナーさんが、

 製作を依頼した、錬金ギルドと、

 組合の職人さんの、ひとりが──」


おばあさん:

「──ええ。私の、(ひい)(じい)ちゃん だった。

 あの日の事は、よく、覚えてる──……!

 "あの、(かた)(くる)しいカフェの、

  トッポイ()(ロウ)が、

  やーっと、(オモ)(シロ)そうな()(ごと)を、

  はじめやがった!"──って……♪

  ふふふ♪ あの日の じいちゃま は、

  キラキラと、楽しそうに、

  そう、笑っててね……っ♪」


記者:

「──たしか、最初は、

 アダマンタイト製の、

 カフェの、オーナーさんの、

 像だったんですよね!?」


おばあさん:

「──そうなのよっ♪

 私も、実物を見たことが あるの♪

 ふふふ……♪ じいちゃま は、

 けっこう、ひどいことを、言ってたけどね?

 "これで、王都の汚点が、

  ひとつ、減りやがるぜっ!"

 とか言って! ふふふふふ……♪」


記者:

「ぁははは……。私は、

 カフェのオーナーさんの像も、

 見てみたかった気もしますよ♪」


おばあさん:

「あらま、残念……♪ ふふ、なんにせよ、

 たくさんの人手が、集められたわ。

 なにせ、

 "アダマンタイト製の、(けず)()し"、

 ですもの……!

 錬金ギルドの皆と、

 組合の魔術師たちが、力を合わせて、

 ゆっくり、ゆっくり、形に してったわ──」


記者:

「アダマンタイトの加工魔術は、

 すごく、時間が かかる そうですねっ!」


おばあさん:

「ええ……1度だけ、じいちゃま に、

 見せてもらった事が あるの。

 ──本当に、少しずつしか、

 変形しないわ。

 とっても、根気のいる、作業だった」


記者:

「ぁ──……。実は、私、

 ひとつ……どうしても、

 お聞きしたい事が、あるんです」


おばあさん:

「ぁら、なんでしょう」


記者:

「あの、素晴らしい像は──、

 なんで、あんなに情熱を こめられて、

 造られたと、思いますか?」


おばあさん:

「あら……! ずいぶんと、

 むずかしい事を聞くのね……♪」


記者:

「あの、私……。

 あの像を初めて見たのは、

 5年前ですから……、

 まだ、12歳、だったんです。

 でも……子供ながら──、

 とても……とっても、感動しました!

 ()(あらわ)せないぐらい、

 素晴らしいと、思った」


おばあさん:

「私も──……、心から、そう思うわ」


記者:

「──何故、なんでしょうか……?

 なんで…… あの事件 の前に、

 あんな、素晴らしいモノが、

 生まれたんでしょう?

 何故か──私は。

 当時の雰囲気(シンエル)を知る、貴女だからこそ。

 それを、わかっているような──。

 そんな気が、するんです」


おばあさん:

「──、──……。

 …………ねぇ。

 これは、年寄りの、、、。

 ──変な話に、

 なって、しまうのだけれど」


記者:

「なんでも、言ってください」


おばあさん:

「──あの時代はね、

 "勇気"の、時代だったのよ」


記者:

「──!

 ……"(ゆう)()"、ですか」


おばあさん:

「──ええ。そう、"勇気"。

 今でこそ、この世界は、

 たくさんの、友好的な種族で、

 あふれているわね?」


記者:

「えっ。は、はい……!」


おばあさん:

「ふふ──……でも、ね?

 あの当時は……まだ、

 たくさんの種族が、

 手を取り合おうとしてから、

 そんなに時間が、

 経っていない時代だった」


記者:

「──あぁ。

 "異種友連"の、始まりの時代、と、

 言う(かた)も、多いですよね!」


おばあさん:

「その通りだと思うわ。

 エルフや巨人族などの"先駆け"は、

 あったんでしょうけれど。

 あの時は……まだ、ね?

 たくさんの種族の、"変わり者"たちが、

 " よし、いっちょ、行ってやろう! "

 って、他の種族と、

 交流を始めた、ばかり だったのよ」


記者:

「そういえば、有名な、

 "キッティ・ワークス"の記載にも、

 あったような……。

 この頃の前後から、魔物の"亜人化"が、

 (けん)(ちょ)に なっていった、って──」


おばあさん:

「そうね……。ねぇ。

 あなた からしたら、

 普通の事、なんだろうけど……。

 今でも私──"トマト園の観光ツアー"、

 なんて聞いたら、少し、

 ドキリと、してしまうわ……!

 その……こんな事、言っては、

 ダメなんでしょうけれど」


記者:

「ぁ、はは……!

 当時の印象が知れて、興味深いです!

 実際、私たちの世代でも、

 あそこは、(キモ)(だめ)し半分、

 みたいな所は、ありますし♪

 トマト園のパスタの、

 取材も行きましたけど、

 ホントウに、絶品ですよ!!

 お化け屋敷は、(ひょう)()()けでしたが……」


おばあさん:

「はぁ〜〜……、すごい時代に、

 なったものねぇ……ふふふ♪

 そうよ。ちょうど、私たちの、

 世代くらい から──。

 "亜人たちと暮らす違和感"が、

 ゆっくりと、無くなっていったの」


記者:

「な、なるほどぉ……。それで、

 "勇気の時代"、と、言うのは?」

 

おばあさん:

「今、こんな素敵(ステキ)な時代が、

 (おとず)れているのは、あの時……。

 あの時代の、"(ゆう)(かん)()わり(もの)たち"、が、

 誰かと、仲良くなろうと。

 一歩、また一歩を。

 ()()(つづ)けてくれた、おかげだわ」


記者:

「 そう、ですね……!! 」


おばあさん:

「私なんか──当時は、

 こまっしゃくれた、(しり)(あお)い、

 おチビちゃんだったから!

 ぁらっ、少し(ひん)()かったわね?

 ふふ、失礼……♪」


記者:

「ぁ、はぁ、いえいぇ……!」


おばあさん:

「当時は、あんまり、

 気づかなかったけれど──。

 あの時の、"異種間同士の交流"、

 っていうのは、

 とっても、デリケートで、

 たくさんの問題を、

 (はら)んでいたはずだわ」


記者:

「……、"お試し期間"って、

 感じ、だったんでしょうか」


おばあさん:

「──えぇ。

 そうに……ちがいなかったわ。

 今でこそ、皆──種族の(ちが)いや、

 その、付き合い方の、()()が、

 わかるの だけれど。

 あの時は……みんな、手探りで。

 お(たが)いが、どこかで、

 なにかを、不安に、思っていた」


記者:

「……うまく、想像が、つきません」


おばあさん:

「今、あなたが、そう思えるのは、

 彼らの、"(ゆう)()"の、(たま)(もの)よ」


記者:

「そう、なんです?」


おばあさん:

「ええ──。素晴らしい事よ」


記者:

「つまり……"彼ら"は、努力、したんですね?」


おばあさん:

「ええ。その通りだわ。

 歩み寄ることを──、

 彼らは、(あきら)めなかったわ。

 "()わり(もの)"だと。

 同族からも、ちがう種族からも、

 思われ続けた人々が、必ず、いたの。

 でも──それでも、

 決して、止まらずに。

 彼らは、笑顔で、()み出した」


記者:

「えっと……あの、知ってますか?

 "リザードマンの(あきな)う、

 コッコ(どり)の屋台は、美味いに決まっている"」


おばあさん:

「──! ふふふ♪ もちろん♪♪

 そんな"(かく)(げん)"が生まれるくらいには、

 みんな──仲良く、なれたんだわ── 」


記者:

「すてきな、1歩を踏み出せた、

 変化の時代だったんですね?」


おばあさん:

「今、思い起こすと──ね……?

 ──あの(とき)、こそが。

 いちばん、たくさんの人たちの、

 "勇気"が、(とど)()って、

 "心"が、あふれ出た、時代だったのよ」


記者:

「あぁ、そっか! その時代は、

 たしか、王族も──……!」


おばあさん:

「えぇ……。ね、私は、ね?

 あの、ふたつの像には。

 そんな──みんなの、

 あたたかい"勇気"が。

 こめられて、いるように

 思えて──ならないのよ」


記者:

「ぁ──…… 」


おばあさん:

「もちろん、恩人を、

 忘れないため、とか、

 初めての お祭りが、始まるわ!

 っていう──きっかけは、

 あったのでしょう。

 でも……"あの英雄たち"は、ね?

 なんの(すう)()か……!

 はじめて、

 たくさんの、ちがう種族たちの──、

 ──だれもが、知っている、

 有名な、"旗印(シンボル)"、だった……!」


記者:

「そりゃあ、みんな、知ってますよ……!!

 そっか……えーっと……?

 そうだ! つまり──みんなの、

 ──"()(じるし)"! に、

 なり()たんだ……!」


おばあさん:

「それを、ね?

 だれもが、無意識に、感じていた。

 そんな、時代だったと、

 ──私は、思う。

 あの像を見た……たくさんの、人の、心が。

 だれだって、(はな)やぐようにと、

 だれもが、(ねが)ったのよ」


記者:

「……そっか……、

 だから──……」


おばあさん:

「──ぇえ。

 その、誰かを思いやる、、、"心"が。

 誰かと 手を取り合いたい、っていう、

 誰かを 笑顔に したい、という、

 一歩を、()()さんとする、

 "勇気"が────。

 時代の "チカラ" となって、

 あの像に、(とど)き、

 そして──()められたのだわ」



記者:

「 ──……それが、 " (ゆう)()()(だい) " ── 」




おばあさん:


「 ──だから、あの像は、

  " (そう)(ゆう)(ぞう) " と、呼ばれるのよ 」









あの事件?(っ'ヮ')?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] アンマイ何やらかすんだ…
[気になる点] この未来のいつ頃なんだろう。 ひょっとしてかばさんクライマックス書きたい症候群発症してる?
[一言] 異種族の交流……クマとおっぱい、結婚できる?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ