とある未来の対話
※前話、ちょい書き直しました。
※タイトル久しぶりに変えました(笑)
おばあさん:
「 ……──今でこそ。
そう呼ばれて、いるんだけれどね?
あの像は、もちろん最初は、
ステキな、お祭りのシンボルとして、
作られたものなの」
記者:
「──だ、そうですねっ!
私も文献を調べて、驚きました。
てっきり、あの事件の後に、
できた、ものかと──」
おばあさん:
「ふふふ♪ そう勘違いしてる、
若い子は、けっこう、多いわね。
もっと言えばね──……?
あの像の、ファースト・ストーリーは、
当時、あの有名な カフェの、
オーナーさんが、自分の お店で
火事を起こしてしまった時、
お客さんの子供を、
助けてくれた、あの方を、
像に しようと 組合に、
かけあったのが、きっかけなの♪」
記者:
「そうなんですか! じゃあ……っ、
お祭りの前から、
あの像は、できる予定だったんだ……!!」
おばあさん:
「ふふふ、そういう事に、なるわね……♪
それでね? あの お二人は、
たまたま、王都に来ていて、
火事の後のカフェに、
顔を出した事が、あったんですって」
記者:
「あっ! その話は、私も、
知ってます! たしか──、
たまたま、その お二人の お姿を、
デッサンしていた子供が、
いたんですよね!?」
おばあさん:
「ふふふ、そうなの……♪
その時の、小さな絵描きさんは、
直接、お二人に、声を、
かけられたそうよ?
けっこう、普通の、
お姉さん、ふたり組、って、
感じ だったらしいわ♪」
記者:
「へぇ……!! 羨ましぃなぁ……!」
おばあさん:
「それでね? それに気づいた、
カフェのオーナーさんが、
声を かけたら、ふたりとも、
逃げちゃったんですって!」
記者:
「あらら……!
な、なんでなんでしょう??」
おばあさん:
「ふ、ふふ……! よっぽど凄い、
形相だったんじゃ、ないかしら。
でもね……? そこで、オーナーさんは、
ふたりの、かなり精巧な、
姿の"写し"、"形"のデッサンを、
その目で、見ることが できた」
記者:
「いつも……何処でだって、
小さな才能は、光っているんですねぇー♪」
おばあさん:
「ふふふっ、そうね……?
さぁ、そして──かの、アマロン様が、
あの、お祭りを、
お考え、遊ばされた」
記者:
「そっか……! よく考えれば、
すごい、タイミングだ……!!」
おばあさん:
「──えぇ。当時の、人たちも、
そう、思ったでしょうね。
"恩人"たちの、像を造ろう!
と、思ったら──、
なんと、その、"恩人"たちが テーマ の、
お祭りが、できてしまったんだから──!」
記者:
「──あはは! なんだか、
大盛り上がり、
しちゃいそうですよねっ♪」
おばあさん:
「そうでしょう、ねぇ──。
" なんて、素敵な偶然なんだろう……! "
そう、思って、しまうわよね……♪」
記者:
「それで──……!
カフェのオーナーさんが、
製作を依頼した、錬金ギルドと、
組合の職人さんの、ひとりが──」
おばあさん:
「──ええ。私の、曾お爺ちゃん だった。
あの日の事は、よく、覚えてる──……!
"あの、堅ッ苦しいカフェの、
トッポイ野郎が、
やーっと、面白そうな仕事を、
はじめやがった!"──って……♪
ふふふ♪ あの日の じいちゃま は、
キラキラと、楽しそうに、
そう、笑っててね……っ♪」
記者:
「──たしか、最初は、
アダマンタイト製の、
カフェの、オーナーさんの、
像だったんですよね!?」
おばあさん:
「──そうなのよっ♪
私も、実物を見たことが あるの♪
ふふふ……♪ じいちゃま は、
けっこう、ひどいことを、言ってたけどね?
"これで、王都の汚点が、
ひとつ、減りやがるぜっ!"
とか言って! ふふふふふ……♪」
記者:
「ぁははは……。私は、
カフェのオーナーさんの像も、
見てみたかった気もしますよ♪」
おばあさん:
「あらま、残念……♪ ふふ、なんにせよ、
たくさんの人手が、集められたわ。
なにせ、
"アダマンタイト製の、削り出し"、
ですもの……!
錬金ギルドの皆と、
組合の魔術師たちが、力を合わせて、
ゆっくり、ゆっくり、形に してったわ──」
記者:
「アダマンタイトの加工魔術は、
すごく、時間が かかる そうですねっ!」
おばあさん:
「ええ……1度だけ、じいちゃま に、
見せてもらった事が あるの。
──本当に、少しずつしか、
変形しないわ。
とっても、根気のいる、作業だった」
記者:
「ぁ──……。実は、私、
ひとつ……どうしても、
お聞きしたい事が、あるんです」
おばあさん:
「ぁら、なんでしょう」
記者:
「あの、素晴らしい像は──、
なんで、あんなに情熱を こめられて、
造られたと、思いますか?」
おばあさん:
「あら……! ずいぶんと、
むずかしい事を聞くのね……♪」
記者:
「あの、私……。
あの像を初めて見たのは、
5年前ですから……、
まだ、12歳、だったんです。
でも……子供ながら──、
とても……とっても、感動しました!
言い表せないぐらい、
素晴らしいと、思った」
おばあさん:
「私も──……、心から、そう思うわ」
記者:
「──何故、なんでしょうか……?
なんで…… あの事件 の前に、
あんな、素晴らしいモノが、
生まれたんでしょう?
何故か──私は。
当時の雰囲気を知る、貴女だからこそ。
それを、わかっているような──。
そんな気が、するんです」
おばあさん:
「──、──……。
…………ねぇ。
これは、年寄りの、、、。
──変な話に、
なって、しまうのだけれど」
記者:
「なんでも、言ってください」
おばあさん:
「──あの時代はね、
"勇気"の、時代だったのよ」
記者:
「──!
……"勇気"、ですか」
おばあさん:
「──ええ。そう、"勇気"。
今でこそ、この世界は、
たくさんの、友好的な種族で、
あふれているわね?」
記者:
「えっ。は、はい……!」
おばあさん:
「ふふ──……でも、ね?
あの当時は……まだ、
たくさんの種族が、
手を取り合おうとしてから、
そんなに時間が、
経っていない時代だった」
記者:
「──あぁ。
"異種友連"の、始まりの時代、と、
言う方も、多いですよね!」
おばあさん:
「その通りだと思うわ。
エルフや巨人族などの"先駆け"は、
あったんでしょうけれど。
あの時は……まだ、ね?
たくさんの種族の、"変わり者"たちが、
" よし、いっちょ、行ってやろう! "
って、他の種族と、
交流を始めた、ばかり だったのよ」
記者:
「そういえば、有名な、
"キッティ・ワークス"の記載にも、
あったような……。
この頃の前後から、魔物の"亜人化"が、
顕著に なっていった、って──」
おばあさん:
「そうね……。ねぇ。
あなた からしたら、
普通の事、なんだろうけど……。
今でも私──"トマト園の観光ツアー"、
なんて聞いたら、少し、
ドキリと、してしまうわ……!
その……こんな事、言っては、
ダメなんでしょうけれど」
記者:
「ぁ、はは……!
当時の印象が知れて、興味深いです!
実際、私たちの世代でも、
あそこは、肝試し半分、
みたいな所は、ありますし♪
トマト園のパスタの、
取材も行きましたけど、
ホントウに、絶品ですよ!!
お化け屋敷は、拍子抜けでしたが……」
おばあさん:
「はぁ〜〜……、すごい時代に、
なったものねぇ……ふふふ♪
そうよ。ちょうど、私たちの、
世代くらい から──。
"亜人たちと暮らす違和感"が、
ゆっくりと、無くなっていったの」
記者:
「な、なるほどぉ……。それで、
"勇気の時代"、と、言うのは?」
おばあさん:
「今、こんな素敵な時代が、
訪れているのは、あの時……。
あの時代の、"勇敢な変わり者たち"、が、
誰かと、仲良くなろうと。
一歩、また一歩を。
踏み出し続けてくれた、おかげだわ」
記者:
「 そう、ですね……!! 」
おばあさん:
「私なんか──当時は、
こまっしゃくれた、尻の青い、
おチビちゃんだったから!
ぁらっ、少し品が無かったわね?
ふふ、失礼……♪」
記者:
「ぁ、はぁ、いえいぇ……!」
おばあさん:
「当時は、あんまり、
気づかなかったけれど──。
あの時の、"異種間同士の交流"、
っていうのは、
とっても、デリケートで、
たくさんの問題を、
孕んでいたはずだわ」
記者:
「……、"お試し期間"って、
感じ、だったんでしょうか」
おばあさん:
「──えぇ。
そうに……ちがいなかったわ。
今でこそ、皆──種族の違いや、
その、付き合い方の、機微が、
わかるの だけれど。
あの時は……みんな、手探りで。
お互いが、どこかで、
なにかを、不安に、思っていた」
記者:
「……うまく、想像が、つきません」
おばあさん:
「今、あなたが、そう思えるのは、
彼らの、"勇気"の、賜物よ」
記者:
「そう、なんです?」
おばあさん:
「ええ──。素晴らしい事よ」
記者:
「つまり……"彼ら"は、努力、したんですね?」
おばあさん:
「ええ。その通りだわ。
歩み寄ることを──、
彼らは、諦めなかったわ。
"変わり者"だと。
同族からも、ちがう種族からも、
思われ続けた人々が、必ず、いたの。
でも──それでも、
決して、止まらずに。
彼らは、笑顔で、踏み出した」
記者:
「えっと……あの、知ってますか?
"リザードマンの商う、
コッコ鶏の屋台は、美味いに決まっている"」
おばあさん:
「──! ふふふ♪ もちろん♪♪
そんな"格言"が生まれるくらいには、
みんな──仲良く、なれたんだわ── 」
記者:
「すてきな、1歩を踏み出せた、
変化の時代だったんですね?」
おばあさん:
「今、思い起こすと──ね……?
──あの時、こそが。
いちばん、たくさんの人たちの、
"勇気"が、届き合って、
"心"が、あふれ出た、時代だったのよ」
記者:
「あぁ、そっか! その時代は、
たしか、王族も──……!」
おばあさん:
「えぇ……。ね、私は、ね?
あの、ふたつの像には。
そんな──みんなの、
あたたかい"勇気"が。
こめられて、いるように
思えて──ならないのよ」
記者:
「ぁ──…… 」
おばあさん:
「もちろん、恩人を、
忘れないため、とか、
初めての お祭りが、始まるわ!
っていう──きっかけは、
あったのでしょう。
でも……"あの英雄たち"は、ね?
なんの数奇か……!
はじめて、
たくさんの、ちがう種族たちの──、
──だれもが、知っている、
有名な、"旗印"、だった……!」
記者:
「そりゃあ、みんな、知ってますよ……!!
そっか……えーっと……?
そうだ! つまり──みんなの、
──"目印"! に、
なり得たんだ……!」
おばあさん:
「それを、ね?
だれもが、無意識に、感じていた。
そんな、時代だったと、
──私は、思う。
あの像を見た……たくさんの、人の、心が。
だれだって、華やぐようにと、
だれもが、願ったのよ」
記者:
「……そっか……、
だから──……」
おばあさん:
「──ぇえ。
その、誰かを思いやる、、、"心"が。
誰かと 手を取り合いたい、っていう、
誰かを 笑顔に したい、という、
一歩を、踏み出さんとする、
"勇気"が────。
時代の "チカラ" となって、
あの像に、届き、
そして──篭められたのだわ」
記者:
「 ──……それが、 " 勇気の時代 " ── 」
おばあさん:
「 ──だから、あの像は、
" 双勇の像 " と、呼ばれるのよ 」
あの事件?(っ'ヮ')?










