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クルルカンの部屋と受付嬢

 

 マイルームに、キッティがやってきた!



「ええ……なにこれ」

「あによ……なんか変なとこある……?」


 人の家具のチョイスにケチつける気か貴様。


「いや……! 変っていうか……」


 キッティが、私の部屋の中心で、ぐるっとまわる。


 あ、靴は脱いでもらいました。


 部屋で裸足で過ごすの、夢だったのよ。


 え? さっき、私が全裸だったって?


 あんた、夢でも見てたんじゃないの?



「こっ! この本棚とか……」

「すごいでしょ。二つとも、ちゃんと壁に固定してるから大丈夫よ」

「いや、どうやって運びこんだんですか!?」

「はい?」

「……ここ、地上から40メルですよ?」

「あ……」

「ベッドまであるじゃないですか……」

「そ、そりゃ、部屋だから……」

「いやいや、アンティさん……この横長の机とか、いつの間に……まさか、夜間?」

「ははは……」


 やっべ。

 バッグ歯車の威力、忘れてました。


「あ! まさか、その魔法のマフラー……?」

「え!? あ、ああ! そ、そうね……」

「んん────……?」


 そ、そんな探るような目で見ないでよぅ……。


「……まぁいいです。アンティさんは超常現象ですし……いい部屋ですね!」

「……ありがと」


 部屋の感想の前に、さらっと言ったわね、この受付嬢……。


「んで? なんの用?」

「あ、ひどいですね。あの地獄絵図から、人が住める環境になったかどうか、見にきてあげたんですよ?」

「…………」


 とたとたとた……がちゃ。


「うっわ! 何このシャワールーム! きっれ!」

「おい……」


 地獄探検にも、遠慮は必要じゃない……?


「す、すごい、景色はもちろんいいし……階段さえ無ければ、天国みたいな場所ですね!」


 おお、キッティのテンションが上がっている……。

 ところで、私の部屋は、天国と地獄なの?


「あ……なんか落ちてますよ、ハンカチ」

「え、あ!!」


 ──ピラッ。


「「あ……」」


 うん。

 昨日、履いてた、"ごーるでんぱんてぃ" だね。


「……アンティさん、下着も金色なんですね……」

「…………」

「あ……デザイン可愛い……」


 おい、やめれ。

 ひろげんな。




「ここまで環境が回復しているとは、驚きました」

「あの汚れの中、放り込んだ側の人間が何言ってんの……」

「いやいや、それに関しては……ギルマスのアレですし」

「はぁ……ヒゲイドさんにも、部屋は綺麗に使うからって、言っておいて」

「はい、確かに伝えます!」

「……あんた、お昼ご飯食べていく?」

「え、いいんですか?」

「えぇ、えぇ、いいですとも」


 ──プシュ、プシュ!


「んっ!? な、なぜ両手から、湯気がでたんです!?」

「…………」


 クラウン……

 自室なんだから、普通に手ェ洗えばよくなぃ?


『────謝。少々、焦りました。』




「お、おいひぃ……!」

「なーによ、ただの野菜炒めじゃないの」

「いいへ……! 私がするのと、味付けがぜんぜん違う……! それにこの豚肉……美味しすぎませんか……!?」


 あ……そうだった。

 これ、ハイオーク肉だわ。

 ハイオーク肉>オーク肉>豚肉。


 うん。

 そりゃあ、めっちゃんこ美味しいはずだよね!


 ──はぐっ。

 

 ──────うんんんめぇぇええええ!!


「お皿にライスとドカ盛りで出てきた時は、どうしようかと思いましたが、けっこうヘルシーで、私は嬉しいです!」

「盛り付けがザツで、さーせんしたね……」

「いいえ! 私は嬉しいです!!」


 お、おぅ……キッティ、テンションやばいわね……

 ハイオーク肉、キマッてんな……。


「ケーキあるけど、食べる?」

「たべう!!」

「いや、フライパンで焼いた、そんな大きくないやつよ……?」

「たべう!!」


 はいはい……。


「コガネリンゴがのってた……おいしかった……」

「そーねー、のってたわねー、お粗末様ァー」


 カチャカチャ……ピチャチャ。


 あ、バッグ歯車あるから、洗わなくていいじゃん……。


 …………。

 いいや。

 このままやめるのも、なんか気持ちわるいし。

 普通に洗っちゃえ。


「フライパンでケーキも作れちゃうなんて、アンティさんは何者なんですか?」

「あんたね……誰でもやり方さえ分かれば、こんくらいできるって」

「いえ、ていうかさっきの食材の鮮度とか……アイテムバッグに入れていたにしては、良すぎませんか?」

「ぐっ……!」


 キッティには、バヌヌエルの手紙を出した時に、手紙を出すのを見られているからなぁ……。

 ていうか、マントマフラーごしに物を出す所は、けっこうな人に見られてる……。

 もう、この劇場幕が、伝説のアイテムってことにしようかな……。


「あやし〜〜な〜〜?」


 ……!

 キッティ、あんたね……。

 いくら、ケーキかおいしかったからって、調子にのりすぎよ!


 ──くるっと!

 お皿を拭きながら、水の魔石から振り返る!


「──もう、キッティにはご飯つくってやんない!!」

「えっ! えっ!? そ、そんなっ!! そりゃないですよぅ! 悲しいですぅぅ!!」

「知らんっ! 私のチカラっ!! 詮索しないっ!!」

「あっ! あっ隠してるって! で、でも、そんな食材で……」

「つくらんっ!!」

「うわぁ!! しませんしません! すみませんでしたっ! あやしくなんてありません! もう質問しませんっ! 今どき、クルルカンの格好した女の子ぐらい、どこでもいますよ!」


 ちょっと、キッティ……

 あんた焦って、何、人の外見にまでケチつけてんの……。


「うううん! ごめんなさい! アンティさんぅ! 私、またアンティさんのケーキ、食べたいですぅう!」

「…………はぁ」


 ───コトン。


 お皿を置き、キッティの前にしゃがむ。


「……2人だけの時は、別にいい……けど、今みたいなのは、周りに人がいる時は、絶対にやめて」

「あ……アンティさん……」

「人前で、私の力に疑問を投げかけるのは、絶対ダメ」

「……はい」

「私が何故、この格好をしてまで隠してるのか、察して」

「……すみませんでした」


 ……ふぅ。

 こんだけ脅しとけば、大丈夫だろう。

 ちょっと、可哀想だ。

 全部、私の都合だからな。

 キッティは、ある意味、まきこまれた、だけ。


 だから、ワイロは必要かな?



「……さっきのリンゴのケーキ。まだあるけど、食べる?」


「わぁ────いぃぃ!! いただきますぅ!!」


 あーん。


 これでゆるしてね。



 ……女友達って、こんな、なのかな?





アンティの"ごーるでんぱんてぃ"の挿し絵を、描こうか迷って、やめたで。


⋯⋯そんな顔しても描かんぞ!((;゜Д゜))

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『今回の目次絵』

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『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
乙女の下着は......セクスィーシークレットである!!!✨( ´∀`)b
(´;ω;`)
[一言] ええ!?無いの!?
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