カクカク・アンマイ!!!
さいしょは「ドニオスからの使者たち」
というタイトルでした。
それはそれは、賑やかな騒ぎとなった。
西の果ての田舎街とも言えるカーディフで、
ここまで大型の守護従獣が、
2体も、そろう事など、
まず、普段は有り得ぬ、
ビッグ・イベント だからである!
兎の王は、でっかい人参を食べ!
花の狼は、大人しく座っていた!
『『『 にょんむ、にょんむ、にょんむ、
バリバリ、ゴキゴキ、ゴリリバ 』』』
『『『 クル、クアァぁ〜〜〜〜っ……♪ 』』』
「「「「「 うおおおおおおおお……!!! 」」」」」
「「「「「 すげえええええええ……!!! 」」」」」
カーディフの街は、数年前、
フォレスト・ウルフの少コミューンに、
侵入されたことが あるため、
最初は、カンクルの聖獣体は、
怖がられたものだが。
それは、本当に、わずかな時間であった。
理由は、いくつかある。
まず、この街で、
誰もが知っている! と、言っても、
まったく過言では無い、
"食堂娘"、アンティ・キティラの、
連れ合った、者だという点!
そして、大人びた カンクルの、
美麗な、風貌である。
トレニアイズ・カーバンクルとなった、
カンクルの光る毛並みには、
結晶のような、ライトグリーンの流路、
わずかな、銀と、鎖の装飾、
そして、聖なる花が、咲き誇り──。
瞳は大きく、優しく、知的であり。
逆に、大きいはずの口元は、
豊かな毛並みに隠れ、あまり見えない。
『『『 クユクュ、クルクルクルルル……♪ 』』』
どっしり座り、
口で、毛繕いを したかと思うと、
どうやら、自分の身体から生えた、
光る花を、食べるようである。
と、思えば、民家の鉢植えを、
口で、つついているようで、
よく見れば、どうやら、
花を植えている!
「ぉ、お、お……! でっ、
でかいが……大人しい、し……。
確かに、草食のやつの、
歯並びのようだなぁ……!!」
『『『 クユクユゥ〜〜♪♪ 』』』
「おいっ、わっ、やめろ!
くすぐったいぜッ♪♪♪」
街の守護者たる、
門番、トルネ・クリーガーも、
" お墨付き " を出し。
興味本位で、
近づいてきた、小さな女の子の髪に、
カンクルが、コショリと、
花を飾ったので、
それはもう、微笑ましいものである……!
あと、隣にいる、
ウサマルオーは、可愛い。
控えめに言っても、
でかくなった、"巨大ぬいぐるみ"風──・・・!!
泣け無しの、警戒心さえ、消し飛べば!
それは それは、大人気!!
間違いなし、であろう──!!!!!
『『『 にょんゃー、にょきっとなぁーっ♪♪ 』』』
「うわあああああああ──っ!!!♪♪♪
でっかい、ラビットだぁあ──っ♪♪♪」
「すわって、ニンジンを、食べてるぞ!!」
「うっげぇ!? なんだぁ!
あの、でっかいキャロットは……!?」
「街の外には、あんなに、
おっきなラビットと、
人参が、あるのね……!!」
「なんて、つぶらな瞳なんだ……」
「ふっと!! あれは……耳なのか???」
『『『 クルクルクル……クワァ〜〜っ♪ 』』』
「あっ! でっかいキツネが、
あくびしてるぞ!」
「なんて、優雅な文様なんでしょう……!」
「このように、自らの体で花を育てる、
魔物が、いるんだなぁ……!!」
「ずいぶんと、美しい尻尾だ。
あの、光る結晶は、なんだろう……?」
「ママぁー! あの、頭の花、
引っこ抜いていぃ〜〜??」
「だめに、決まってるでしょ!」
どえらい、人だかりである。
アンティの作戦は、つまりは、成功した。
名付けて、
『 モフモフツインズ☆おとり大作戦 』
で あ る !!!
「アンティー。すっごい、
客よせ、にょきっとだねぇー」
「く、くっくっくっきっきっき……!!!
予想、どォぉおおおっっっりッ──……!!!
きひ、きひひっ……!
こ、これで……! 私たちより、
あの、にょきくゆ☆ペアーがっ、
注目の、マトよ・・・!!!」
ガッツポーズ・アンティ。
でっかい、ウサマルオー・ブレイズの耳に、
子供が、ぶら下がっている。
『『『 に"ょわ──っ!! 』』』
「うわっ、ふわふわだーっ!!!」
アンティは、ほくそ笑んでいたが、
今、少し離れた所で、
アンティとマイスナと話している、
トルネ・クリーガーを始めとした、
護衛組のメンツは、
彼女たちが、もたらした積荷に、
感嘆の声を、漏らしていた・・・!
「こいつァ、すげぇ……!!!
ぁ、アンちゃん!!
こ、これっ、ホントーに、
貰って、いいのかぃ……!?!?」
「──えぇ、本当にです。
ドニオスのギルドマスターは、
例の山火事のことも……知っているの。
バーグベアの件も、あまり、
手助けが出来なかったから──って、
そういう意味合いも、
含まれてる感じです」
「そんな……! 西のギルドマスターは、
慈愛深ぇんだなぁあ……!!」
「ありがてぇ……! さ、300本だぞ……!?
この恩は、デケぇぜ……」
「街の周りの結界柵から、
何本か、やり繰り、するしかねぇかなって、
話していた、所だからな……!!!」
街の未来を守る者たちは、
たいへん、嬉しそうである。
内心、複雑なアンティだったが、
故郷の、よく知った人達が、
目の前で、嬉しそうにしている。
こんなに、配達冥利に、
尽きることも ない──。
「しっかし、おどろいたぜ……!!」
「……きひひ、そうですよね。
ごめんなさい、あんな、
でっかい魔物、連れてきたら、
ビックリしちゃうよね?」
「ちげぇよ、アンちゃん……!!
その格好は、反則だぜ……!!」
「へっ?」
門番の おっちゃんを始め、
周囲の若い、見習い門番たちも、
全員、腕を組んで、ウンウンと、頷く。
「その服ぁ……どっかの、
お偉いさんの、ご息女サマにしか、
見えねぇぜ・・・!!!」
「ごそっ!? えっ!?///
ぃや、そ、そうかなぁ……!?///」
「──そうだろ!!
今日の当直のヤツら、
しゃべるまで、わかんなかった、って、
言っててよ!! それ見たら、
納得だわ、ガハハ・・・!!!」
「は、はァ・・・///」
「えへへ♪ アンティ、よかったねっ」
今日のアンティとマイスナは、
ストレートに、髪を下ろしている。
それが、秋冬の暖かな服装に合い、
何とも、神秘的な美しさである。
" 金さじの、
でっかいラビットが、
来てるらしいぜ! "
という、噂を聞きつけ、
学院の生徒たちの、何人かが、
魔法の自主訓練を抜け出して、
ウサマルオーを、見に来たのだが、
その内の、数十人が、
凛と着飾った、
アンティと、マイスナに、
一定距離を保ちながら、
目が、釘付け に なっているのは、
ご愛嬌である──。
「ぁ……あれが……"金さじ"……な、
ワケ、ねぇよ……!?///」
「えぇ……うそでしょお……。かっ、かわよ……♡」
「ぐぎぎぎぎぎぎぎ……ウツクシ・スギル……///」
「あれさァ……/// 話しかけられて、
前みたいに返す自信、ないんだけど……」
「化けすぎでしょ、金さじ……//////」
「・・・・・・・・・・(ポッ)」
「・・・? んっ?
・・・あっ」
アンティは、少し悩み、
遠くの追いかけっこ仲間たちに、
無表情で、手を振った。
肌寒いからか、服が、あたたかいからか、
少し、頬は、紅かった。
男女ふくめ、何人かの同年代が、
硬直した。
「……ぁんだァ、アイツら……??
ヒトが手ぇ、振ってんに、
ガン無視 組が、いるんだけど……。
やっぱ、あいつら分からん」
「服の せいで、
アンティだって、分かんないのかな?」
「それはないやろ。こんな金ピカ、
私しか おらんで」
「せやったなぁー♪」
マイスナも、茶化して、
なまりで返す。
門番の おっちゃんが、
やはり、どうしたものか、と、
アンティたちに、声をかける。
「これを、無償で、
もらうってのも、なぁ……?
なぁ、アンちゃん。なにか、
お礼をしなくて、いいモンなのか……?」
「ん? きひひ、聞いて♪
ドニオスのギルドマスターは、
" 先行投資 "って言ってたよ♪」
うまく、明るく、伝える。
レター・ライダーの、言葉だ。
「・・・! なる、ほど……!
街が、ひろがって、
畑や牧場が、うまく行ってから、
"未来"に、返せるモンが、
あるかも、しんねぇって事か!」
「きひひ、そゆこと♪」
「ただ、ドニオスのマスターは、
仮に、何も返さなくとも、
それを咎めるような方では、
ありません。
まずは、街の発展を、
焦らず、進めればいいと、
私は、思います」
「・・・! はは、ありがとよ♪
しっかりした、友だちが出来たな、
アンちゃん!!」
「「っ!」」
「ん? なんだ、ちがうのか……?」
「トモダチ……」
「トモダチ……」
目合わせ、アンマイ。
「ん? なんだ?
……あ! 友だちっていうか……、
──" 親友 "、ってか!?」
「「 ッ、・・・ソ、ソウダネ・・・!////// 」」
アンティとマイスナは、
恥ずかしそうである。
「──はっはっは!!
いいじゃあ、ねぇかぁ♪♪♪
デレクも、ソーラちゃんも、喜ぶぜ!!!
前も、言ってたよ、
" 娘が2人に、増えたみたいだわぁ〜〜♪♪ "
ってな!!! その綺麗な"おべべ"と、
仲の良さ、存分に、
見せつけてやんなっ♪♪」
「「 ゥ・ウンっ・・・・・///////// 」」
ぜんぶの、"仲の良さ"を、
見せつける訳には、
いかない、アンマイである(笑)。
「じゃー、わかった!
ありがたく、いただくか!!
おいっ、おまえら!
これ、あっちの保管 矢倉に、
運んじまうぞっ!!」
「「「「「 お う っ !!! 」」」」」
「あ"っ!! まって!!
おっちゃん!!
サイン、いる、さいんっっ!!」
「──んっ!? サイン?」
「ぁ、あの……私たち、
だっ、"代理"!
代理で……荷物、
あずかっ……てるから……!」
マイスナが、とっさに、
カバーストーリーを、口にする。
「おぉ! 代理か! そうだよなぁー!
こんな、でっかい従獣が、いりゃあ、
二人して、頼られるよなぁー♪♪
しかし、すげぇよ、
ギルドマスター、直々に、
指名されてるって、こったろ?
……さすがだなっ?」
「え"っ? いや、マァ……///」
「ソ、そデスネ……///」
「照れなくても、いいだろう?」
「い、いぃから……/// おっちゃん!」
「あの、この書類に、
はやく、サインを……///」
「ん? おぉ、わーった、これか……」
「ふ、ふぅ……」
「あ、ペン、これです……!」
マイスナが、懐から、
出したように見せたペンを、
トルネ・クリーガーに、わたす。
「おお、立派な書式の、
書類だなぁー!!
……ん? これ、誤字が あるな」
「「 へっ? 」」
この書式は、
アンティとマイスナが、
いつも使っている、配達伝票である。
「誤字があるはず、ないんだけど……」
「けっこう、重要な書類なんです」
「いや、でも ほら、見ろよ!
名前がさ・・・」
「「 ・・なまえ??? 」」
==================
" この荷物は、
アンティ・クルルと、
マイスナ・オクセン が、
確かに、貴方に届けました! "
受取サイン ________
==================
「ほら! アンちゃんの名前、
まちがってらあ!」
「ホッ、ホントダネーッ!!!///
マチガ・テルッネ──ッッ……!!?」
「マイスナちゃん! 君の、
ファミリーネームって、
" オクセン "って、いうのかぃ!?」
「ソッ、ソデスネ──ッッ。
ソダヌ────ッッッッッ」
あっっっ、ふぉ。
「……? な、なんだ……、
ふたりとも、しゃべり方が、
ヘンだぜ……?
いいんだけどよ……???
・・・あっ」
察し。
「「 ──……ッッ!? 」」
「い、いや! なんでもねぇ!!
ほ、ほら、サインだよな!!」
サラサラサラ──。
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受取サイン "トルネ・クリーガー"
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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「な? これでいいだろう?」
「ド・・・・・ドモ・・・//////」
「アリガト・ゴザルマス・・・//////」
やっちまったなぁ、アンマイ!!!!!
「……なぁ、前から、思ってたんだけどよ」
「「……?」」
「マイスナちゃんって……、
前に、どっかで、会ったこと、
ねぇかなぁ?」
「シランデス・シランデスゥ」
「オッチャン、キノセイダョー」
カクカク・アンマイ!!!!!!!
紫 電 の 魔 法 使 い !!!
きりっ( •̀ω•́ )✧