故郷への依頼
※少し修正しました(笑)
マイスナと一緒に、
ヒゲイドさんの後を、付いていく。
さて……どう、切り出そうかな?
とか、思ったり。
私たちが死ねば、
世界が滅びるかも、なんざ、
改めて聞くと、はは……わるい冗談だ。
なんて、思ってたら、
ヒゲイドさんから、
いつも通りに、話しかけてきた。
ヒ:「ああ、今日は執務室じゃない。
第二倉庫のほうだ」
双:「「 ……! 」」
お……っと! いっけね……。
ヒゲイドさんが、角を曲がったのを、
ふたりして、スルーしてたわ。
は、なんだかなぁー……。
ヒ:「ひとつ、聞きたいんだが」
双:「「 ! 」」
ヒ:「うさ丸が、追いかけっこしている、
あの、プカプカと浮く、
三つの歯車は、なんだ」
そこですか。
ヒ:「追いかけっこというか、
追いかけられている、というか……」
丸:「にょ、にょ、にょきっとなぁぁ〜〜……!!」
ぴゅーん。
ひぴゅーん。
ふわふわふわふわふー。
第二倉庫までは、
少しだけ、通路の……距離がある。
ヒ:「お前たちの、チカラ由来なのは、
分かるが」
金:「まぁ、成り行きで……、
気に入られた、って、
感じっす」
銀:「ぅん、そんな感じ」
ヒ:「気に入られた?
やはり、意思のような、
モノがあるのか……?
ふぅむ……」
ドスン、ドスンと、
ヒゲイドさんは、歩く。
ヒ:「ここ数日、うさ丸と、
カンクルを借りてたのは、
キッティの資料のためだ」
金:「借、りてた?」
銀:「資料?」
ヒ:「なんだ、知らなかったのか。
今月、王都で、学術会がある。
年に一度の、新種の魔物の、
情報共有の場、だからな。
今年は、キッティが担当する」
金:「っ! うさ丸たち、
調べられた……感じ、です?」
銀:「カンクル、分析された??」
ヒ:「はっはっは。安心しろ、
血なまぐさいことは、
やらせて おらん。
せいぜい、大きく口を、
開けさせたくらいだ。
すまん、少し、
葉巻をやって、いいか?」
ギルドの通路の途中が、
簡易な部屋のように なってる。
小さな窓が、上の方に、
四方に空いた、変な場所だな。
せまいが、天井が、高い。
どうも、職員さん用の、
簡易 休憩室のようだ。
はまき? どぞぉ。
是非も無い。
ヒ:「すまんな。やれやれ……、
その、魔物系列の学術会の、
資料の準備で……ここ数日、
やたらと、忙しかったのだ。
書類としても、かなぁり、
細々とした物でな……。
俺の図体には、ちと、
きちぃもんがある……」
ヒゲイドさんが、
仕事のグチを言うのは、
珍しいわね……。
葉巻の先を、ザスリ、と、
変なナイフで、切っている。
金:「魔物の生態系を、一年間分、
まとめた書類って、ことですよね。
確かに、大変そうだなぁ……」
銀:「そんな、王都に出す、
セキニン重大な書類を、
キッティが任されるなんて、
すごいですね」
ヒ:「ふぅ……。提出する、というか、
キッティが直接、王都へ行く。
去年は、業務が回らんから、
ゴネたんだが……。
ほれ、今年は、
ユゥビィが、いるだろう。
あれ、かなり、筋がいいぞ」
金:「へぇ……!!
キッティが、王都……!!
きひひ、末っ子ちゃん、
コキ使われてんだなぁ……」
銀:「妹ちゃん、そんなに、
優秀な受付嬢さんに、
育ってるんです?」
ヒ:「ほぅ? やはり……あいつ、
"銅の刑死者"の、血縁か?」
双:「「 ぁ"ッ…… 」」
やぅべぇ……。
そそそ、そういえばぁ……!
ヒ:「くっく、聞かなかった事にしてやる。
今、アイツに辞められては、
困るからな?」
どんだけ有能、ユゥビィちゃん!
ヒ:「もう少ししたら、しばらくの間、
キッティを王都に、
送り出す訳だが……お前ら。
" 王都の祭り "の件、、、
そろそろ、耳に、入っているだろう?」
金:「……! ははは……」
銀:「少し、聞いてます……」
ヒキ姉とオシ姉から、
ちょこちょこ、チャットで、
煽られているのだ。
小さなタテ長の休憩室の壁に、
もたれながら、愉悦と煙の混じった、
ダンディな声を聞く。
ヒ:「くっくっくっくっく……。
やはり、アマロンの奴……、
"この街用"の、祭りの計画書を、
王都で落としたのは、間違い無いようだ。
しかも、物好きな聖教皇が、
GOサインを、出しちまったらしい」
金:「いやー、神官ねえちゃんには、
今度、にょきっとバスターだなぁー……」
銀:「そんなに、どエラいことに、
なっているんですか」
ヒ:「ここ最近、王都に、
金属系の配達が多かったのは、
どうも、屋台の仮面用だそうだぞ?」
かめん??
双:「「 ……まさか……… 」」
ヒ:「はっ、はっ、は……!!
今月は、あの街は、
おまえたちで、いっぱいだ!」
ヒゲイドさんめぇ……!!
楽しそうに、
笑いやがってえええええ〜〜!!!
銀:「そ、そんな、ことに……」
金:「カンベン、してよねぇ〜〜……!」
ヒ:「王都の有名なカフェの前に、
これまた有名な、店主の、
アダマンタイト製の、
俺の三倍ある立像が、
あったんだが……それが、
面白ぇカタチに、
削り直されてるらしい」
金:「……ソイツも、へそ、出てんすかね?」
銀:「ちょっと、見たいかも」
ヒ:「"火事になったカフェから、
颯爽と子供を助けだした、
女クルルカン……!"
確か、そんな記事が、ふふふ……、
出版ギルドから、出ていたな?」
金:「あ、あれは……!!」
銀:「そ、そっか、それで……!!」
ヒ:「ヤツらのゴシップの影響力を、
ナメない方が、賢明だ。
アイツらは、街を行き来する、
商人たちと、つうかあ だからな……!
数日後の、新しい祭りに向け、
先日のドニオス祭の、
比にならない程の人間が、
王都に、集結してるって話だ」
金:「あああぁぁ……」
ヒ:「あきらめろ、英雄は目立つ」
銀:「み、みんな!
アンティの、でっかい、像、
見に、いくのかな……!!」
ヒ:「他人事では無い」
銀:「へっ」
ヒ:「とある少年のデッサンのせいで、
像は、"ふたり"になってるそうだぞ?」
銀:「へっ?」
ヒ:「良かったな?」
銀:「ウソダ……」
やっぱり……おっぱい姉妹から、
ちびちび もたらされている、
リーク情報は、
ホンモノだったのかあああああああ。
しっ、信じたくない。
金:「しばらくは……、
王都には、近づかないっす……」
銀:「私、しめいてはいはん、なんだけど……」
ヒ:「うーむ、それが良いかもしれん。
指名手配、云々は兎も角……、
王都の人ゴミを舐めると、
揉みくちゃに されるぞ。
まぁ、ヨロイも変わったのだろう?
バレんとは思うが……」
バレたら、吊し上げられるんじゃね?
金:「ぶるるるるるるるぅ……」
銀:「あばばばばばばばぁ……」
ヒ:「はっはっは……!
ま、ほとぼりが冷めたら、
コッソリ、見に行くんだな」
王都の、祭り、なぁ……。
いち、街娘としては、
そりゃ、楽しそーとかは、
浅はかに、思うもんだが。
つまり……今月は、
王都中で、わたしたち、
" しめいてはい "・・・、
みたいな、もんじゃろ?
ほんま、ブッ飛ばすぞ、神官ねぇちゃん……。
めだった、あかんーゅうねんな……。
ヒ:「おっと、スマン!
随分と、ゆっくりした、
一服に、なっちまった……。
ま、祭りの土産話は、
キッティに、聞くといい」
金:「──! そっか……!
キッティ、ちょうど、行くんだ……」
銀:「えへ、なんか、すっごい、
楽しんで、きそうだね……?」
きひ、たしかに。
歩き出す。
ヒ:「そういえば、お前たち、
もう、十の月になっちまったが、
その、いいのか?」
双:「「 ? 」」
ヒ:「その……いつもは、早めだろう?
" 里帰り "。
月末で無くて、良かったのか?」
あぁ……そゅことか。
金:「んっと……その、学校の、
行事の関係で、先生らが、
いそがしい、みたいなんスよ。
それで、月イチの試験が、
毎年、十二の月までは、
ちょっと、遅くなるんです」
銀:「いいなぁ、ガッコウの、行事!」
ヒ:「そぅ、か……。……フッ」
金:「な、なんスか」
銀:「?」
ヒ:「いや……お前たちの口から、
"学校"、なんて聞くのが、
新鮮だと思っただけだ」
金:「……! そ、そりゃァ……///」
銀:「ぁ、ははっ……///」
しょっぱな は、
出身地も、正体も、
隠してた、かんなぁ……///////。
銀:「えへへ……/// なんだか、
照れるね……?//////」
金:「あぅ……/// ぁ、あの……///
ノコノコ、付いてってますケド……、
やっぱり、"配達"……ですか??///」
ヒ:「ああ、そうだ。着いたぞ」
ヒゲイドさんが、
でっかい手で、でっかい扉を、
ひらく────。
双:「「 わ── 」」
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
木箱だ。
多ッ。
まぁまぁ、あるぞ。
ヒ:「
──" エルフの村 " と、
" カーディフの街 " に、
配達を、頼みたい
」
双:「「 」」
マ ジ か ぁ ー 。
萌殺:「いまウチ呼んだ?」
銃侍:「この近距離でか?」