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サイかいノイズみ さーしーえー

※少しだけ、丁寧に加筆しました。





 じゅう、じゅう と。


 ポタ、ポタ、と。




 神秘しんぴぎんが、とける──。





( だって、さ……? )





 手の中の、ミスリルを、見る。


 金属を、急に、ねじ曲げると、

 

 涙を流すように、()けだすのだ。



 ポタ、ポタ、と落ちる、


 神に愛されたはずの、光る(しずく)が、


 湖面を、通り過ぎ、


 生命の水の中、


 正球の銀となって、


 湖の底へ、底へと、オちていく────。





 つまり、ドラゴンの、チカラだった。


 もちろん、これは、


 わたしの、チカラの、ワケが ない。




 ( アイツ……あれっきり、出てこないな )




 私のヨロイは、一度だけ、


 龍のカタチに、なった。



 あの……雪山で。




 ──そう。


 すぐ、そばにあるはずの、


 大きな、大きな、山の上を、


 わたしの龍は、飛んだ。





 " おためし きかん "。




( この龍が……生きていた時は、

  誰かに、名前を……呼んで、

  もらえたのかな──……? )




 まだ、私は、


 本当の、黄金龍のチカラを。


 この龍の、" ほんとうのなまえ "を、


 知らない。





「──アンティ……だいじょうぶ?」

「ん……」





 マイスナが、


 ボーっとしている、わたしを見て、


 心配してくれる。


 ……。


 マイスナの ヨロイに使われている、


 "天空鯨(ホーリーホエイル)"の名前は、


 どうやら、"ナユタ"、と、いうらしい。




 マイスナは、ゆめで、一度だけ、


 "かれ"に、会ったそうだ。



 ……ぅーん。




 ──もし。



 "ヨロイのまこと名前なまえ"で、


 この、ヨロイの"本来のチカラ"が、


 はじめて、引き出されるのなら──。




 マイスナのヨロイは、


 (すで)に、もっと、すごいチカラを、


 使える、はずなのに──。




 つまり……アレだ。


 わたしと、マイスナは、


 つながって、いるから。




 わたしの、ヨロイの真の名が、


 わからないと。




 マイスナのヨロイのチカラも、


 いっしょに……封印、


 されちゃってるのかも、しんない。

 



 ぎんは、沸騰ふっとうし続けている。







 つーかさ?


 本当ホントウの、チカラ、つったってさ……?





 今でさえ、ミスリル銀を、


 まるで、箱庭で使ってる、


 アルミホイルのように、


 クチャリ……、と、できるのだ。




 この、ヨロイが、


 ふたつとも、目覚めたのなら。


 " ホントウのチカラ " 、といぅのが、


 使えるように、なったら──。




( いったい、どうなって、


  しまうんだろぅ──……? )





 私は、少し、


 冷静に、なりすぎていたのかも、


 しれなかった。





「──ふんっ……やれやれ。

 どうしたことだ」


「「 ……? 」」




 ブレイクさんは、

 スーツのズボンのポケットに、

 手を、つっこむのが、

 好きなようだ。


 少し、ヒゲイドさんと、

 似ていると思った。



「ふん……さっきから。

 (はら)の紋章が、

 光っているぞ?」


「「 ……! 」」






 ブレイクさんに言われて、


 初めて、気づいた。



 おへその下にある、


 "郵送配達職"の隷紋れいもんが、


 あたたかく、しろく、光っている……!



 あいも、かわらず、


 すこし、こっぱずかしい、場所だ……///


 だって、この、シルシの、下には──……。




 わたしたちの、あかし が。


 チカチカと、チカチカと、ひかる。





「何も、していないのに……?

 浮き、出てる……」

「こんなに、きざみに、

 点滅(テンメツ)するのは、初めてだね?」



 マイスナの、言うとおりだった。

 クラウンと先輩たちが、

 私たちの身体の異常を、

 調査しだす──。




「ふんっ……さきほど、お前たちを、

 遠くから見た時。背後に、

 たくさんの、光の輪が見えた」


「マジっすか……」

「あれ、気のせいじゃ、なかったんだ……」




 かんべん、しちくり。

 たくさんの、光の、輪っか、て。


 輪っかは、歯車で、

 間に合ってマスから・・・!




『────うむむ……なぜ:光って:

 ────いるのでしょうか?☼』


『>>>健康被害は、ないけど……な。

 >>>以前と、違う箇所が、

 >>>見つけられない……。

 >>>ぼくらの分析結果では、

 >>>異常は、無いんだよ。

 >>>不思議だな……』




 神々の健康診断では、

 問題が、ないとの ことだった。


 クラウンと先輩も、

 首を、(かし)げているみたい。



 今も少し、

 おなかの紋章は、点滅している……。


 くァぉン、くォぉン、と、光る。




「ふんっ……大丈夫か?

 全身も、光りだしているぞ?

 見ている分には、美しいがな── 」


「「 ぁ…… 」」






 おへその紋章と。


 それから伸びる、全身への流路は、


 (はかな)げに光って、


 (あわ)く、静かに、きれい。




『────"聖女化"……の:

 ────影響やも:しれませんね☼』


『>>>ぅーん……なにか、

 >>>"未知の属性"が、付与されたのかな……?

 >>>……。でも、きみ達は、

 >>>"魔無し"の体質、だからなぁ……?』


『────魔無しで:あるからこそ:

 ────身体しんたい的な変化は:

 ────おさえられて:

 ────いるのでしょうか☼』


『>>>考えられるね。

 >>>誰か……知り合いの神官さんにでも、

 >>>"鑑定かんてい"、してもらうかぃ?』




 し、知り合いの神官さんって、

 かず、限られて、くるんだけど……?


 私たちの身体は、

 まだ、(あわ)く光っているけど、

 やっぱり、ステータス的な変化は、

 ないようだった。


 私とマイスナは、目を、合わせる。



 瞳の、銀の奥に、

 光の輪っか が、

 見えた、気がした。




「……ふんっ、しっかりしろ!

 どうしたのだ。

 急に、(だま)ってしまいおって」


「ぁ……いゃ……」

「すこし……つかれました」


「……ふ。それは、そうだろう。

 くっくっく……。

 ミスリル銀の剣を、

 ぺちゃんこに、

 したのだからな?」




 私たちの身体の光は、

 くしゃくしゃになった、

 ミスリルの銀色に、反射している。


 こんなランプが部屋にあれば、

 きれいだな、と、思った。




 ポタ、ポタ、ジュゥ──……ぽちゃん。


 いけない。


 手の中の銀を、

 はやく、格納しないと──── 。






「ふんっ……──む? まて、

 なんだ、それは── 」


「「   ……?  」」







 ての、なかの、ぎん。




 みょうな、ことが、おきた。






   ……コ。


     ……コ。






 ポコポコと、ふっとう……している?



 ぃや……それは、さっき、までは……。






 まる。



 しずく。



 おおきな。






 ミスリルは、トロトロに、とけている。





 おかしい。




 そろそろ……ひえて、




 かたまる、はずだ。




 そして、




 それは、






 " まる "、で、なければ────。






        *.+゜

      □

        □ *.+゜

     □ *.+゜







「  し……  」

「   か、く …… ? 」








 おかし、かった。

 



 無重力のように、まるく、ういた……、



 はず、だった、



 おおきすぎる、



 銀の、しずく、は、




 いま、





 しかくく、



   しかく、、く、





       なるので、ある。






 それは、




 くるくると、まわり。




 まるで。




 みっつの、サイコロの、ようだ。






「 ぅわ── 」

「 どうして── 」





 ポコ、ポコン──……。






 とける水銀から、



 しかくい、立方体たちが、



 発生し続けている。





 この事象を、


 私たちは、


 知らない。。






 今、生まれた、水神が、


 無表情に、言った。







〘*

  " いのち " は

    うけたま わりました

     わたし は いのち を

      たすけて いけます


     わたしは みず

    わたしは いのち

   それを ささえ

  つづける もの

            *〙






 それは、詩のようで、


 歌のようだ。



 



〘* わたし は 生命(いのち)


   そちら がわ です


   ですから──── *〙






 その時、なぜか、


 改めて、マイスナの瞳を、


 しっかりと、見た。





 鎖で、繋がれているように、


 たがいを、見る──。









〘* ── "()" の ほう は

   おねがい しますね *〙









   ◀□▶ ◀□▶




     ◀□▶ ◀□▶









 みまちがい、だった ろうか。









「 ……──どうしたっっ!! 」


「「 ……!! 」」







 ブレイクさんの声と共に、


 手元で浮遊していた、


 四角いミスリルは、


 すべて、丸くなり、


 みずうみの底へと、滑落(かつらく)していく。






 ──ポちゃん・・・!


 ────とポンっ、チャん・・・!






「「 ・・・ 」」






 私とマイスナは、


 いやな、冷や汗を感じる。





「「 ……、…… 」」





 いまの、目は、、、


 なん、だったの、だろう・・・?





「……ふんっ。確かに、

 疲れて、いるようだな」


「「 ……、…… 」」





 今、(なが)め合っている瞳は。


 私の、大好きな、


 夜明けのような、銀だった。




 わたしは、きんいろ。


 きんいろの、はずだ。






〘------マイちゃ──ん☆

 ------なぁ──んで;

 ------とけた銀;四角くしたのん??☆〙


〘#……何を、(ほう)けている……?

 #……"聖女化"、とやらの影響は、

 #……ひとまずは、問題ない、ようだが……〙



「「 …… 」」






 大丈夫だ。




 わたしたちは。


 あの、"しろ"に、言われたことを、


 まだ、だれにも……。










〘* たのみますね *〙


「「 ……! っ…… 」」






 異水神は、見上げている。


 それは、



 ──── " 忠告 "、だったのだろうか?






〘* その かみが なくなると

   とても まずい ですから! *〙


「「 …… 」」






 わかって、いる。






〘* きまって いるから

   ただしい んです

   だから うれしさ が

   いとおしい の だから *〙





 もう、言うなよ。






「……ふんっ。コイツは、さっきから、

 何を、言っているのだ?」





 ブレイクさんは、

 まゆを上げて、怪訝(けげん)そうだ。


 しかし、生まれたばかりの、

 生命は、言う──。






〘* きまった ながさ は

   まもらねば ならない

   そこに かんどう が

   うまれる のだから *〙


『>>>…………』


〘* だと いいですよね? *〙






 わたしとマイスナは、

 知らない、フリをした。






 太陽の神が、聞き返す。





『────そ:それは:

 ────どういう──?☼』




〘* ──── ほら きたよ! *〙






 ──何人かの、足音が聞こえた。








「──おぅっ……ととと……!?」


「ひいぇぇえぇ〜〜……!

 ぉ、お手柔らかにぃ〜〜……!!」






 ウチのメイドたちが、

 ヒロガーさんと、エミリーさんを、

 お姫様だっこ、してきたらしい。




 あっ、あのヤロ……!?


 湖面こめんに向かって、

 大ジャンプ、しよってからに──。




「──お嬢様方!

 申し訳ありません、足場を!」


「……ったく!」

「ジャンプしてから、言っちゃダメ!」




 ──まったくだわ!


 マイスナと、

 瞬時(すぐ)に、つくってあげる。


 イヴさん達は、

 金属音を(ひび)かせながら、


 ズドンっっっ、キキキ──!

 と、あざやかに、着地する。




「──お手数を。

 お待たせ(いた)しました。

 ──……?」



 ブロンズのメイドさんが、

 首を、(かし)げる。



「お嬢様方……?

 どうか、なされましたか?」




 ……ぉい、やめろって。

 妙に、するどいんだから。




「……いいえ?」

「なんでも、ないです」


「……? そうで、ございますか?」




 イヴさんは、不思議そうだ。





 ────ボチャン……!!




 という、音がして。


 それは、コガネリンゴの芯が、


 湖に、おちた音だった。






『『『  キ ュ ッ ・・・!!?  』』』




「 ぉ・・・、ぉお・・・!! 」





「「 ぁ…… 」」


「──ふんっ……♪

 感動の、再会、だな?」








 リンゴのヘタが、落ちる。



 それは、種を含む、生命。



 それは、食いつぶされた、死骸。





 くるくる、まわる。まわる。


 おちていく。



 水の、ナカへ────。








 再会は、湖面の上で、行われた。









「はは……おぼえて、いやがっ、か……?」




『『『 きゅ、きゅ、、、きゅう・・・ッ! 』』』








 ()(つぶ)して、


 しまうんじゃないかと、


 すこし、思ったけれど────。




 しかし、それは、


 いらない、心配だったみたい……!








 抱擁(ほうよう)は、たいへん優しく、行われた──。








挿絵(By みてみん)

『『『 きゅぅぅうううう・・・っ……! 』』』

「 はははっ……! こんなに、デブに、

  なっちまい、やがって……!! 」





「ふふんっ……!

 なかなか、微笑ほほえましいことだ」


「……えぇ」

「そうだね……」







 手元に残った、


 しかくい、ミスリルの結晶を、



 ────にぎり、(つぶ)す。








 かれらの、再会を見て。






 わたしたちは、とても。


 ホッと、していた。








 

よかったね、デブ助……!

.˚‧º·(°இωஇ`°)‧º·˚.

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― 新着の感想 ―
[良い点]  再会、にょきっとやいな(●´ω`●) [気になる点]  ゼウガさんといい、デスといい、ミシュテルの座といい、今後は“死”の概念がテーマになりそうね。 [一言]  黄金龍の解放には、■■■…
2022/08/21 03:05 退会済み
管理
[良い点] 3つのサイコロ… 前にどこかで… アンティのサイコロ… 7しか出ない… うっ頭が [一言] ぼくもモフモフしたいなぁ ✧٩(ˊωˋ*)و✧
[一言] お、思ったより、デカかった(;´・ω・)
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