ブレイクの神への懇願
ちょっと長くなっちゃった(ノ≧ڡ≦)☆
次回はヒロガーさんとデブ助の
回にしたいですね!
──────トォン──……!
北爺:「──ふんっ。
何を、やっておるのだ……。
あやつらは──」
金聖:「な、なっ・・・!」
銀聖:「ふ、ふぇ・・・?」
ブレイク・ルーラーが、
ひと息も乱さずに、
地下の聖域へと、到達する。
まだ、少し離れた所にいる、
アンティとマイスナは、
背後の彼には、
気づいていないようだった。
北爺:「──む……?」
パァァ──……・・!
アンティとマイスナの背後に、
今……いくつかの、
天使の光輪のようなものが、
現れては、消えていった、ようだが──。
きゅおぅぅううぉうんん・・・!
きィィ……ン、ぎィィ……ン────……!
やがて、その聖なるエフェクトは、
魔素の中へと、溶け込んでいく──。
北爺:「……ふんっ、なんだ──……?
いや……。それよりも── 」
それよりも、遥かに。
興味を、惹くものが、
そこには、あった。
大きな大きな塔が、
地底湖を、貫通していのだ。
──そう、貫通だ。
なぁにが、ヤバいかって、言うと。
眼前の、
明らかにレアメタルで出来た、
ミスリル銀のインゴットたちは、
この、清き水の、湖底から、
積み上がっているのである。
あと、デカい。
単純に、一つの、インゴットが、
常識的な大きさを、
はるかに、超越していた。
銀の塔は、巨大な地下空間の天井にまで、
達そうとしている……。
ブレイクは、回り込んだ、
大樹のある小島の上から、
彼女たちの様子を、うかがっている。
異水:〘* たりませんかー *〙
初見の、少女がいた。
体の向こうの景色が……透過している。
どう見たって、ヒトでは無い。
金聖:「なんじゃ・・・こやぁ・・・!?」
銀聖:「ぅ、うおおぉぉぉ・・・!!」
北爺:「ふんっ、やれやれ──……」
────ヴ ぉ ォん……、!
ブレイクが、まゆ毛を上げながら、
ギルド球を起動すると、
世界の神々の声が、
光の物語となって、反映された。
陽神:『────これは:儲けましたね……☼』
金神:『>>>いやぁー、太っ腹だねぇー!』
月神:〘------おっさっけ♪☆
------おっさっけ♪♪☆☆
------かいほうだーぁい♪♪♪☆☆☆〙
水神:〘#……くっくっく。これは良い〙
北爺:「 …… 」
vol.[■■□□□□□□□□□□□□□]
月の精霊王は、酒好きのようだ。
ここまで接近すると、
実際に、声が聞こえそうなほどである。
というか、聞こえていた。
この前まで、
調子の悪いポケベルのようだった、
手元の水晶球が、
いまや、底の見えぬ、
未知の道具と化し、
ブレイクは、呆れを得る。
金聖:「み、ミスリルって・・・!?
ぃ、いくらくらい、
するんだっけ……!?」
銀聖:「わ、わからんっ・・・」
金聖:「そっ、そうだわな……!
食堂娘に、分かるもんかぃやっ……!
銀聖:「カラアゲ、1個、50イェル……!」
北爺:「──っ、ふんっ。
"食堂"、か──…… 」
ブレイクは、聞き逃さない。
裂けるような微笑で、思考を回す。
こんな英傑どもが働いてたら、
その食堂、
たいへん人気が出るであろうな、と──。
異水:〘* いまの おう に
みせれば よいのではー
ねだん つけて
くれますよぉー *〙
金聖:「──できるかぁぁああああああ!!!」
アンティのツッコミが、
聖なる地下空間に響いた。
このような、バケモンじみた量の、
レアメタルを王都に持ち込めば、
「どこで手に入れたのか」という問いが
何処かには、発生する……。
増してや、今は……、
少し、あの街の上流階級は、
キナ臭い……。
ブレイクも、うーむ、、、と、
内心、どうしたものか、と思う。
銀聖:「これ、、、バレたら、色々、
問い詰められる、よね……?」
金聖:「そ、そうだわよぉお……!?
つ、つまりコレ、おたから、
とんでもないっ、
おタカラ、なのよぉお……!!
まっ、まいぞうきん、並だわ……!
うわあぁぁぁ……!?
やっべっぞ、隠さなきゃああ……!!
誰かに見られたら、
とんでもない事件に、
発展しかねにゃーぜ、
コりぁぁあああ!!!」
北の街を救った黄金の義賊は、
早くも、頭を抱え始めている。
銀聖:「くそ、大金持ち、って……、
コト……だよね?」
金聖:「えぇ……しかも、
くそ、目立つ、感じの、ね……?」
北爺:「──ふんっ。さばければ、な……」
ポツリと、ひとり、呟く、ブレイク。
この神秘の塔の金額を知るには、
専門の知識人に相談をするべきである。
だが、それをすれば、
この者たちの財力と、
この者たちの、運搬能力が、
露呈しかねない。
欲望を、制御できない種類は、存在する。
この2人が死ねば、
世界が無くなるかもしれぬ事を、
考えれば……あまり、良い結果は、
想像できない選択である。
金聖:「ぁ、むしろ、身内に見せるか……?
いや……。キッティに見せたら、
カクジツに、胃袋、溶けるな……」
銀聖:「あばばばばば……。
これ以上、ヒゲさんに、
あの顔を、させるワケには……」
北爺:「──ふんっ……♪」
ブレイクは思う。
どうやら、弟子も、
苦労しているようだな、と。
金聖:「──をいっ! ヴェル田っ!?
この最高級・銀塊っ!!
湖の底に、隠せんのかっ……!?」
銀聖:「そうだぞ!! ヴェル田っ」
異水:〘* わたしの ことで
ござぃまさかー *〙
金聖:「いーから、ぁーく、
答えやがれえええええ!!!」
異水:〘* こんだけ あるんですよー
すぐには ちょっとー *〙
金聖:「おまえが ヤったんだろぐぁああああ──!!!」
銀聖:「ぁ、アンティ……崩すより、
自分たちで、格納したほうが、
いいよ……」
金聖:「そ、そうよねっ……!?
たしかにね!?
ああぁ……なんで、こんな事に……!」
──さて、そろそろか、
と、ブレイクは。
アンマイが乗っている、
神に愛されたスキルで組まれた、
輝く足場に、降り立った。
羽根のような、跳躍である。
──タァ──────ぁあん……!
北爺:「──ふんっ、見事な、塔だな」
金聖&銀聖:
「「 あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" 」」
ギルマス☆ドッキリは、
見事に、成功した。
金聖:「ぶっ──ブレイクさぁんっ!!
ちがうんですっ!!
これは、ワタシたちぢゃ、
なくてぇええ……!!」
銀聖:「ぶるぶるぶるぶるぶるぶるっ──」
北爺:「──ふんっ。いいから、
もっと近くの水面に、
足場を出せ。よく見たい」
金聖:「ひいぇぇええええええ」
銀聖:「話、きいてぇぁぁぁぁ」
北爺:「はやくしなさい」
有無を言わさぬ流れで、
アンマイは、足場を作るしかない。
水面に、召喚される、
黄金と白銀の、
歯車と鎖の意匠は、美しい──。
北爺:「──ふんっ。雅なものだ」
金聖&銀聖:
「「 っえ……? 」」
ステップするような、
ブレイクの革靴の足音は、
実に、軽やかだ。
とちゅうで、塔を不思議そうに見つめる、
巨体の魔物と、目が合った。
デブ:『『『 きゅ……きゅっきゅ〜〜??? 』』』
北爺:「ほぉぅ……! 大きく育ったな。
ふっ……♪ 元気だったか」
デブ:『『『 きゅっ、きゅっ 』』』
金聖:「……いや、今のデブ助を見て、
それだけなんスか……」
銀聖:「ばっかデカいのになー……」
デブ助は、可愛らしく、
首を、ひねっている。
ブレイクは、
ミスリルの塔を構成するブロックを、
手で触り、観察している。
北爺:「──さて。説明しなさい」
金聖:「だっ……!? いや、だからっ、
あのっ、こ、コイツが……」
銀聖:「ぇと、ちょっとした、
冗談、だったんだよ……?」
異水:〘* カツアゲ されたーっ♪ *〙
金聖:「ヴェル田、きさま……」
銀聖:「あとで、おぼえとけよ……」
北爺:「ふんっ……♪ それは、
穏やかでは、ないな── 」
小さな、謎の透明なレディは、
どうやら、ある程度は、
話が出来そうである。
北爺:「ふんっ。なんなのだね?
君は……見たところ、
アクア・スライムの、
変異体のようだが……」
ブレイクの、アンマイを見る視線は、
それなりの重さがある。
ブレイクに、仮に、その気が、
無かったと、しても──。
北爺:「最低限の単語だけで、説明したまえ」
金聖&銀聖:
「「 ごっ……、…… 」」
一番、厄介な存在に、
見られたかも、しんにゃい……。
アンマイは、観念して、
しどろもどろに、説明した。
北爺:「なにっ……? 中級神を?
今、発生させた?
この、水面に浮く、
"じかん箱"、もかね……?
ふんっ……お前たちは、アレかね?
この世界が、絵本の中身だと、
勘違いしているのかね?」
アンマイの無茶苦茶さに、
多少、発言が お茶目になる、
ブレイクである。
金聖:「わっ、わたしら、だってぇ〜〜……!」
銀聖:「こんにゃのが、いるとはぁ〜〜……!」
北爺:「……やれやれ。
これが全て、純度十割の、
ミスリルだと言うのか……」
ブレイクは、
ミスリルのブロックで出来た、
アホみたいなタワーを、
スーツのズボンのポケットに、
両手を突っ込みながら、見上げている。
金聖:「ブレイクさぁん……、コレ、
よかったら、パートリッジで、
もらって、やってくださいよぉ……」
銀聖:「……んだんだ。
わたしたち、けっこう、
ミスリル、持ってるので……」
北爺:「……ほぉう?
マイスナの装備の、
修繕用に、かね?」
金聖:「 ぁ、はぃ…… 」
銀聖:「 そのとおり、です…… 」
北爺:「 …… 」
マイスナの鎧が、
ミスリルで出来ている事は、
ブレイクは、初見で看破している。
知り合いに、腕の良い職人が、
いるのであろう。
しかし……本当に、"修繕"用と、
言い切る、とは。
この二人は……まったく、
ミスリルを、"売る"という選択肢を、
持っていない。
北爺:「ふーむ……」
金聖&銀聖:
「「 ……?? 」」
安全のための、消耗品だと、
考えて、いるな……。
そう、確信したブレイクは、
少し、アンマイたちの感覚のズレを、
不思議で、面白くも、思う。
金聖:「その、パートリッジで、
パーッと、売っぱらっちゃって、
もらって、いいですから……」
銀聖:「街の人たちが、
助かるように、してください」
北爺:「……ふんっ──♪
やれやれ、バカ者っ。
このような量のミスリルを、
一気に流通など させたら、
間違いなく、価格崩壊が起きる。
盗掘目的などで、
場所を探られるのも、
面倒だしな……。
お前たちのせいで、
最高級の価値のレアメタルが、
アップル1個程度の値段になったら、
どうするのだ?
いくつか……市場が崩壊しかねんぞ?」
金聖:「だっ、だからぁ〜〜〜〜……!?
わたし達のせいじゃ、
ないで、すってぇ〜〜……!」
銀聖:「 ぬ れ ぎ ぬ だ ぁ ーっ !!」
北爺:「くっくっく……!!
ふんっ──それに、
これは、ダメだ。
これは……" 百光 "だろう」
金聖&銀聖:
「「 ──っ! 」」
北爺:「こいつの加工は、
非常に、難しい。
硬すぎるのだ……。
まず、柔らかい他のミスリルで、
ヤスリを造り──、
削り、粉にして、
さらにそれを、
仕分けねばならん」
ブレイクは、銀の塔の壁を、
指の関節で、コンコンと、小突いた。
金聖:「変形させましょうか?」
銀聖:「私のヨロイも、"百光"だよ?」
北爺:「…………今、なんと?」
ブレイクは、耳を疑った。
……。
マイスナのドレスのような鎧は、
大変、流麗な曲線を描いており。
もし……このミスリルが"百光"なら、
その美しさは……人間業では、
再現、不可能なシロモノである。
銀聖:「わたしのチカラ、
金属を、再構成できますから」
金聖:「わたしのチカラで、
研磨も、できますよ〜〜♪」
北爺:「……見せて、もらっても?」
ブレイクは、驚くことに、なるだろう。
──当然だ。
いきなり、ミスリルの塔の一部が、
球体状に、えぐり飛んだように、
何箇所も、消滅し──。
マイスナの周りに、
20ほどの、銀の剣が、
突如として、顕現したのだから。
銀のドレスと相まって、
それは、天使の翼のようでもあった。
ギィィィイ────・・・ぃいん・・・!!!
北爺:「 ……、…… 」
銀聖:「わたしのチカラだけだと、
まだ、切れ味が甘いから、
アンティに、研いでもらうんです」
金聖:「ちょっと、うるさくなりますよ?」
──ぎゅうううううううういいいんんん!!!
──きゅぅおおおおおおおお──・・・!!
北爺:「 ……、…… 」
ここで、ブレイクは、
初めて、アンティの歯車の回転切創が、
世界一の硬度のミスリルを、
遥かに上回ることを知る。
金聖:「ふうーっ。こんな感じっすね。
これ、あげます」
北爺:「……、……」
────クォン。
空気の、裂け避ける、音。
シンプルながら、
卓越した重心である。
ブレイクが受け取った剣は、
冒険者なら、皆、
喉から手が出るほど、
欲しいシロモノだろう。
神話の中に出たとしても、
違和感が無い、ひと振りである。
ただ、ブレイクは、
その勇者の剣よりも、
先ほどまで、ソレを研磨していた、
アンティ・クルルの腕に組まれた、
黄金の歯車に、
まったく刃こぼれが無いことのほうに、
戦慄、していたのだが。
金聖:「こんな、感じでねぇー」
異水:〘* はぇ〜〜っ。
すごいですー *〙
デブ:『『『 きゅっきゅー 』』』
金聖:「──うわっ!?
お、押すなよ、デブ助!
あぶねぇだろ!!」
──パァンん!!
黄金の回転がメリ込んだ、
ミスリルの破片が、
紙くずのように、吹っ飛んだ。
……ミスリル、とは。
北爺:「 ………… 」
金聖:「ぁーん……失敗したじゃーん!
こぉら、デブ助……!!
アンタ、食いさしのリンゴのヘタ、
髪に押し付けてんじゃないわよ!」
銀聖:「やっちったねー」
金聖:「んもーっ。
──おっっるぅうあああああ!!!」
──ぐしゃあぁぁああ。
アンティが、失敗したミスリル剣を、
両手で押し潰したので、
ブレイクは、ズドン!! と、
アンティの肩に、手を、置いた。
金聖:「──う"っ!?
なっ、なんスか……!?」
北爺:「……なにを、している」
じゅぅぅぅううううっううぅ……!!
潰れたミスリルの塊は、
アンティの腕の中で、沸騰している。
銀色の、パン生地のようである。
ミスリル、とは……。
金聖:「ぁ、あぁー。
刃の、研ぎに失敗したヤツは、
成功品と混ざると危ないから、
いっつも、ツブすんですよ」
銀聖:「とっさに使うときに、
あると、危ないからなーっ」
北爺:「……」
コイツらには、再教育が必要だと、
ブレイクは、思う。
黄金の肩に乗る、初老のギルマスの手から、
すごい音が、鳴る。
ギギギギギギギ。
北爺:「…………いいか…………。
アンティ・クルルよ……。
その、チカラ技の……、
"楽しい手品"は、
絶対に、人前では、するな……。
ある意味……この、
大量のミスリルよりも……、
その"マジック"は、
世界を、崩壊させる。」
金聖:「ひゅっ……、……。
わ…………わかりま、した……」
ギルマスに、釘を刺される、
アンティである。
やっべ……今まで、人前で……、
ミスリル、曲げたこと、
あったっけかな……と、
記憶がアヤシイ、食堂娘であった。
銀聖:「でも、そんなこと言ったら、
わたし、金属製の武器なら、
すぐ、粉に できるよ?」
北爺:「神々よ……。
もう少し、この2人に、
常識を叩き込んでくれ……」
ブレイクは、神に懇願した。
アンティは、ぶっ潰すぜ!!( •̀∀•́ )✧










