陽の研究者たち。さーしーえー
お──またんたんたんたんたん(セミ)
(●´ω`●)*.+゜
アンティです。
いま……私の目の前では、
北部ギルドの皆さんが、
ノートを開いて、着席しています──。
「えーっと……つまり、ですね。
タマゴの調理の失敗の理由は、
ぶっちゃけ、9割がた、
火加減が強すぎるのが、
もっぱらの原因でして……」
((((( カキカキカキ…… )))))
──以下、回想。
「──ふんっ。
大量のアイシクル・コッコ鳥が、
ヴェルダー山から、
この街に降りてきている」
「美味しいんスか?」
「うまそう?」
「……ふんっ、やれやれ。
全てを食べ尽くしたら、
絶滅しそうな総数なのだ……。
今回は、街で一定期間、
保護することにした」
「あ、これ、図鑑すか?
どれどれ……、
わあっ、トサカが凍ってる!」
「ハラたつ顔だなー」
「ふんっ、どうやら、
ヴェルダー山の山頂で、
ホワイト・バーグベアたちが、
派手に雪合戦をしているらしい」
「「 楽しそぉー 」」
「ふんっ……雪玉一球で、
家を倒壊させるほどの威力が、
無ければ、だがな──」
「「 」」
ホワイト・バーグベア。
肉熊の、頂点に立つ種。
平均身長、28メルトルテ。
「普通ならば……数年間は、
大人しく、冬眠しっぱなし、
だというのに……ふんっ。
まるで、
どこかの義賊と狂銀が、
ハデにケンカを やらかしたせいで、
全てのクマが、
叩き起こされたかのような騒ぎだ……。
やれやれ」
「「 ……(((゜人゜;)))……。 」」
「大量のニワトリ共を発見したのは、
チロンでな。
一番立派なトサカの
アイシクル・コッコ鳥は、
チロンに掴みかかって、
まるで悲痛な叫びのように、
助けを求めたそうだ」
「シクッ、シクルゥオオオオオ!!!???
シクルオオオオオオオオコッコッコ!!!!!
M
。゜(゜⊃Д⊂゜)゜。 」
「わ……わかったです。
スカートを、つかむなです。
と、トサカ、こわっ。
ギルマスに、相談しますから……」
「大量の卵が手に入っているのだが、
調理法を知らぬ者も、
この街には多い。
ギルドで、エッグ調理の紹介記事を、
作成するのだが──ふんっ。
ところで、クルルカン。
きみ……料理は、得意かね?」
──回想、終わり。
「フライパンのフタが無いのは、
タマゴ・ビギナーにとっては、
致命的かもしれません……。
バターで蒸し焼きにするのも、
いいですけど、なんなら、
お水さして、フタしちゃった方が、
子どもさんでも、カンタンです。
ぁ……先ほども言いましたが、
火の魔石は、やさしめで──。
火の先が、フライパンの底に、
あたるか、あたらないか、
くらいがベターです」
((((( カキカキカキ…… )))))
真剣で、こえぇ……。
「たっ……タマゴの割り方も、
さっき、言ったとおりですが……!
結局、黄身が潰れるのは、
割れたカラの断面に擦れるからです。
平らな所で割る方が良いですが、
チカラ加減次第では……、
カドでも全然、オッケーです。
どちらかと言うと、
カラに触れない角度とかの方が、
大事ですんで……。
住民の皆さんに教えてあげてください」
「さ、さすがだ……!」
「わかりやすすぎる……!」
「やはり、パートリッジの恩人だわ……!」
大袈裟すぎじゃね……?
たっ、タマゴの割り方やぞ……??
「で……では、きょおは、ここまで……///」
「ありがとう! ありがとう!!」
「「 すばらしい!! 」」
「「「 ハラショー!!! 」」」
「どっ、ドモドモ……//////」
感涙は、やめてもろて。
目玉焼き講座ごときで、
拍手喝采され、
たいへん恥ずかしい思いをしながら、
ギルドの講和室を、後にした。
『────ふふ:良い講義でした☼』
『>>>はは、好評だったじゃないか』
「るっしぇいわ……///」
タマゴ講座は、私ひとりで行った。
もちろん、髪の ひと房は、
空間接続で、マイスナと繋がっている。
今の所、体調に不調は出ていない。
ま、20メルトルテも、
離れては、いないんだけど──……。
「──ヒロガーさん。
マイスナと少し、
話してても、いいか、って、
言っていたけど──。
やっぱ、健康診断でも、
してるのかなぁ」
『────それは……☼』
『>>>13年、だよ、後輩ちゃん』
──……!
『>>>"父親"……みたいなもんだ』
「──!!」
……そうか。
マイスナが、赤ちゃんの、
時から──。
「……その通りだわ」
失念していた。
育ての……親でも、あるんだわ。
自分のポワポワ加減に、ドキリとする。
「……」
『>>>……いや、仕方ない。
>>>きみの親御さんは、すばらしい。
>>>幸せだからこそ……、
>>>鈍感になることは、あるさ』
先輩のフォローに、
少し……ショボンと、してしまう。
なんでかって、
先輩は……決して、
"鈍感"には、ならなかった方の、
人だからだ。
少なくとも……"生きている"、うちは。
「前も……聞いたかも、だけどさ」
『────え?☼』
『>>>──ん?』
「先輩もさ……親とか友達に、
会いたいって……思う日、ある……よね?」
『────!☼』
『>>>……! ふふ、覚えときな』
「……?」
『>>>男の子ってのは、
>>>けっこう、薄情だ。
>>>大人になるにつれ、色々と、
>>>忘れて、いくもんさ……── 』
……ウソ、つくなよ。
薄情なヤツが、
初恋のハーフエルフを、
命がけで、守らんでしょって。
──はぁー、やだやだ。
平和ボケで、大事なトコロ、
みのがしたく、なぁ──い……!
「……もうしばらく、
時間、あげたほーが、いっかな……」
『>>>いや、頃合いだよ。
>>>あんまり、長くても、な。
>>>気に すんなって!』
『────……☼
────……!☼
────アンティ:報告です☼』
「……ん!?」
『────マイスナのいる部屋に:
────ブレイク・ルーラーと:
────ヒロガー・ティーフレンド:
────以外の:生体反応があります☼』
「──っ!!」
『>>>む……そのようだね。
>>>誰かな?』
……。
──キンキンキン・・・!
わずかな距離なのに、
急ぎ足になる。
……。
ブレイクさんのことは、信用している。
でも、ぶっちゃけ、
あんまり……私たちの秘密に、
触れる人を……増やしたくは、
ないのだが。
もしかして、チロンちゃん?
でも、コッコ鳥の対策で、
忙しいはずじゃ──。
──扉の前に、つく。
ガチャ────。
「よかったわ……/// ほんとうに……///」
「う、うん……っ」
メガネを掛けた女の人が、
マイスナを、抱きしめていた。
「お、ぉお……?」
キョドる。
「ふんっ……すまないな。
タマゴ講座は、終わったかね?」
ブレイクさんは、そばの椅子に、
座っていた。
「──! え、えぇ……。
つつがなく……そんで……?」
この人は……誰じゃな?
「──エミリー・ニーズ。
俺の、元・同僚さ♪」
「……!」
ヒロガーさんは、
窓際の壁に、背を、あずけていた。
エミリーさんと呼ばれた女性は、
ぁ……!
箱庭で、
先生が着ているような、
白衣を、着込んでいる──……!
ゆっくりと、エミリーさんは、
マイスナへの抱擁を、
ほどいていく。
なつかしむような、
奇跡を、感謝するような。
そんな──眼差しだった。
「……その髪の色も、ステキよ♪」
「うんっ……ありがとう!」
そう、か……。
この人も、マイスナの──。
「あら……ふふっ♪ 本当に、
もうひとりは、クルルカンなのねっ♪」
「 ── 」
──キンっ。
私は、軽く、一礼した。
なんか、変なクセが ついていて。
お芝居の時のように、
片足を、後ろに引いてしまった。
マイスナの育ての親の一人に、
無礼なことは、できない。
彼女の命を、文字通り、
支え続けた人たちの、ひとりだ──。
「ふふふ♪ "エミリー・ニーズ"」
「……! ……"アンティ・クルル"」
名乗られ、握手を求められたので、
返礼しておく。
「私は──。
あなたが思っている以上に、
あなたに感謝していることを、
忘れないで」
「……! は、はぃ……///」
真っ直ぐに、見て、言われた。
反応に、こまってしまう。
「ふんっ──」
ブレイクさんの、咳払い。
「──秘密を守りたいのは、
承知している。だが……。
私が、信用に足ると判断した、
旧・教会地下の研究チームには、
声を、かけさせてもらった」
「……!」
「すまんな」
「……構いません」
「ほう……? ふんっ、よいのかね?」
「蔑ろに、してはいけないものを、
私でも、理解しているつもりです」
義理って──モンが、あるよな。
"私まで"──会わせてくれた、
でっけぇ、気合いの入った"恩"がよ。
「マイスナの──"家族"だ。
そうよね? マイスナ 」
「……! アンティ──/// 」
そこらへん、シカトして。
隠し通すなんざ、
反吐が出らァな──。
"義賊"の"義"の念、ナメんなって。
「・・・ふんっ・・・♪」
ブレイクさんは、
少し怖く見えるくらい、
ニヤリ・・・と、笑う。
「ふ、ふ、ふんっ……♪
ずいぶんと──、
思い切りも、良いようだ。
ヒゲイドのヤツが、
惚れ込むのも、良く、わかる」
「む、ぅえ"ッ……!?///」
「えへへ……アンティ、ほめられた!」
「ひえぇーっ。アンタさんが、
人を褒める所を、
初めて見たぜ!」
ヨロヨロのシャツのまま、
ヒロガーさんが、おチャラける。
「──ふんっ! それは、
お前が、引きこもっていたからだ」
「──でも、それも終わるわ。
そうでしょう?」
エミリーさんが、言う。
「審議局が、無くなり。
マイスナは、生きていた。
王都の貴族も、
精査されようと、している──。
私たちの、やったことは、
全て……ムダなんかじゃ、なかった」
……その通りだわ。
エミリーさんは、
優しそうな声の中に、
凛としたモノを、秘めている。
「──私、うれしいわ……♪
そして──"あの子たち"も、
生きて、いるんでしょう……!?」
華やぐ、白衣のスマイル。
「へへっ……俺だって、楽しみだよ……!」
ヒロガーさんの顔には……、
──ははっ。
" ワクワク " って文字が、
貼り付いている、みたいだ……!
「──ふんっ。
アンティ、マイスナ!」
「──! はいっ」
「なんでしょうか」
白髪まじりの髪が、
黒いスーツの上を、流れる。
「教会地下の旧・研究施設での、
私たち、3人の護衛を、頼みたい」
「「 ! 」」
「どうやら……最近は、
水系の魔物が、
発生している、ようなのだ」
そう、なの……!?
この前、行った時は……、
不気味なくらい、
静かだったけれど──。
──まぁ、なんだ。
是非も無い。
マイスナと、一瞬、
意思疎通のために、
目線を合わし──。
「「 承ります 」」
快諾する。
ヒロガーさんが、
戸惑い笑いと共に、言う。
「はは……。なぁ……??
信用してねーワケじゃーないが……。
マイスナと……アンティちゃんで、
ホントに、いけんのかぃ……?」
おっとぉお──?
「ふんっ──ヒロガー。
口に、気をつけたまえよ……?♪」
ブレイクさんは、
終始、楽しそうである。
「この二人──やろうと思えば、
裏の山ごとき、吹き飛ばせるぞ?」
「えっ……? ハハハ……。
ご、ご冗談を……??」
「くっくっくっくっくっく……!」
うっわぁ……。
ワッルい笑顔してますヮ。
ブレイクの、ジィちゃまったらぁ……♪
「──ちょっと! ヒロガー!!
あなた、いつまで、
そんな、ヨレヨレのシャツを、
着ているつもり……!?
これでも羽織って、
少しは、シャッキリしなさいっ!」
エミリーさんが、
ヒロガーさんに向かって、
バサリ・・・! と、
白い、何かを投げる。
──きゃっち!
「・・・お"っ!?
おっ!? おまえ、
これ!? わざわざ、
持ってきたのかよ……!?」
「──そうよ!!
きたない おっさんすぎて、
デブ助たちが、
あなただって、分からないかも、
しれないでしょう♪」
「はっは……♪
ひっでえ、言われようだぁなァ──……!」
ヒロガーさんは、
懐かしそうに、うれしそーに。
ソレに、そでを、通す────。
「──ほーんじゃまっ♪
準備──万端って、ことで──、
ヨロシク、どーぞぉー! 」
「施設内の道案内は、
任せてくださいっ!
護衛、お願いしますねっ。
絵本の おふたりさんっ♪」
白衣を着たヒロガーさんは、
にしし……! と、笑っている!
「きひひ……♪ じゃあ、
おデブさん、探しにいこっか!」
「やろうども、ケチャップを持てーぃッ!」
「「 うおおおおおおおおおお!!! 」」
「ふんっ……やれやれ」
ちょ……マイスナさん?
調味料は、武器では、
ございませんことよ?
「……だめ?」
「だぁめ」
だしませんよ。
だしませんって。
\\\\٩( 'ω' )و ////
エミリーさんは、
モルモットひざに
のせてた人っすねぃ










