双奻起動 なか
金娘:「……!」
銀娘:「アンティ……?」
アンティは、ソレを見て、思う。
金娘:「ゆらめいて、いる……」
当然:「その通りじゃ」
アンティが黒い短刀だと思ったものは、
しかし、よく見ると、
刃に、"反り" が、ない。
つまり、これは短剣なのである。
それが──歪んで見えるほどの、
──まがまがしい、なにか。
銃侍:「父上がな……。
かの、黒ウサギが散る前、
中の央より、
地に落ちるを見たでござる」
ヒナワによると、
優れた動体視力を持つ、
トウゼンローは。
爆散した、黒き怪異の最中、
コレが、地面に飛ばされるのを、
見捕らえ、探したのだという。
当然:「それだけが……残っておった。
見ると、空間を歪ますような、
邪気を、放っておる……。
直接は触れず、聖骸布にて包み、
ここへ、持ち帰っておる」
アンティとマイスナは、
せいがいふ、という物については、
知らなかったが、
この、ゆらめく黒の短剣を、
直に触ることの危険さは、
よく、感じられた。
金神:『>>>聖骸布、だと……』
水神:〘#……かつての帝国では、
#……高貴な聖職者の遺骸を、
#……浄め、包むための布地、
#……だったはずだ。
#……大変、高価な物だと聞く〙
当然:「む、貴公ら、やはり──……」
トウゼンローは、何かを察するが、
それに、横乳を挟むは剣士。
姉乳:「ヤバそうなのは、
それだけじゃないのよ」
金娘&銀娘:
「「 ?? 」」
妹乳:「──"経験の値"が、
みな……まるで、
感じられないのです」
オシハ、ヒキハの姉妹の言葉に、
周りの至高が、頷く。
熊神:「あんだけデカい、ヤッコさんを、
倒したんだ。流石に……、
レベルアップしてなきゃ、
おかしいんだゼ」
白童:「アンティさん達が、
眠っている間に、数人で、
ナトリの教会で、
鑑定してきたんですよ!!!」
金娘:「……"経験値"、が……」
銀娘:「入って、いない……?」
アンティとマイスナは、
顔を見合わせる。
熊神:「ほぅ? 最近の若いヤツらは、
"けいけんち"、って言うのか?
くまさん、勉強になったぜ」
萌殺:「マジ、不可解だろ。
マジ肩透かし、
食らった気分だってな?」
金娘:「……なんでだろう」
銀娘:「わからないね」
妹乳:「大きな魔物を倒しても、
……"経験値"、が、
入らない理由は、
ひとつ、考えられますのよ」
金娘:「……! というと?」
銀娘:「そうなんですか?」
その疑問に、姉が返す。
姉乳:「……カンタンよ。
" まだ、完全に、倒せていない "」
金娘&銀娘:
「「 ……ッ!! 」」
アンティと、それに連なるマイスナも、
勘は、良い方である。
金娘:「じゃあ、まさか……。
この、剣、が……?」
銀娘:「あの、ウサギさんの、
……"本体"……?」
当然:「……"鑑定"を、お願いしたい」
金娘&銀娘:
「「 ……っ! 」」
トウゼンローは、静かに、言う。
当然:「ナトリの巫女も……、
教会由来の者も……、
何も、見えなかったのじゃ……」
金娘:「……、……」
銀娘:「……、……」
当然:「頼りきりで、
情けなく思う。
じゃが──……」
アンマイは、ここに来て、
また顔を合わせ、
断ることは無いと、思い合う。
どうも、人情にアツい トノサマだとは、
とうに理解していたし、
ギルドマスターとしては、
このような不安の種は、
調べておきたいはずである。
銃侍:「父上が、たたっ斬ろうとしたら、
"ゆがみ"に弾かれたのでござる」
萌殺:「マジ、"呪物"かもしれねーのに、
アッホだよなぁー。
それで呪われたら、
マジどうすんだっての。
せっかくの手がかりだってのに」
当然:「 そ、それはっ……/// 」
金娘&銀娘:
「「 ……、…… 」」
少々、短絡的な、
ギルドマスターでは あるが。
当然:「お、おっほんっ……!
誰が……仕組んだか、
わかるの、ならば──是非に」
──そうだ。
もしかしたら。
この、剣が……。
すべてを。
金娘:「……わかりました、調べてみます。
──クラウン?」
陽神:『────レディ☼』
クラウンが、
スタンバイモードに移行する。
陽神:『────アンティ☼』
金娘:「わかった。少しだけ、近づくのね?」
銃侍:「阿吽の呼吸なり」
萌殺:「マジ仲良し」
その察知は、
二人のキズナと信頼を、
香らせる、やり取りである。
銀娘:「あっ、つーん!」
月神:〘------あっ;すねたのん☆
------ふくれっ面してないで;
------マイちゃんも近づくのんっ☆
------こっちでも;
------調べてみるのん☆〙
マイスナも、ひざで、トコトコと歩き、
いまわしき短剣に、接近する。
太陽が、黒を照らす。
陽神:『────分析完了☼』
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対象名【 ツギハ オマエダ 】
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── バ ツ ン 、
という音が、し。
剣から、何かが出た。
それは、
はやく、
ふたつ、あった。
当然:「── い か ん っっ !! 」
くろと、あかの、
ヘドロのようなモノが、
アンティと、マイスナの、
おへそに、ぶつかる。
──── べ ジ ョ リ ッ ・・・!!?
それは。
根を張るように、ひろがった。
銃侍:「ちちうえっ!!」
当然:「──ぐおっ・・・!!?」
短剣が、盆より持ち上がり、
宙に浮いて、
強力な力場が、周囲の者を、押しのける。
邪悪な、バリアだ。
アンティと、マイスナだけが、
なかに、取り残される。
萌殺:「な、なんだぁぁあ──!?!?
マジかあああああ──ッッ??!!」
当然:「ふ、ふれられ、ぬ……!?」
灰姫:「……!! あれは……ッッ!!」
静観していたハイ姫が、
細き目を広げ、
それに、炎が、説を成す。
異火:『
まっ まずい ぞーっ!!
あ れ は っ
" れいぞく もんしょう "
じゃーっ!
』
バキキ・・・! ビキキッッ・・・!!
金娘&銀娘:
「「 ─っ、 、ぶ、、 」」
へそから伸びる、
黒い根のような イレズミは。
ふたりを、のっとろうとしていた。










