嘘つきは義賊の始まり
ひぇええええええええええええ〜〜〜〜!!!!!
う、う、
嘘でぇぇぇええええええええす!!!!!
私、内心、ガクブルで、ごわす。
嘘って、ポタタづる式に、どんどん出るんだね……。
やばいわ……収集つかないわ……
うえぇ……。
いや、理由を言えば、色々、隠してくれるって言うから……。
あと、護衛って言っとけば、シャンティちゃんが安心するかな、って思って……。
うう、何か、秘密の組織の一員みたいになっちゃってるじゃないの……。
どうして、こうなったの……。
「────もし、それが事実だとしたら、それは、とても喜ばしいことです」
「! ……大奥様!」
あ、やべ、一瞬、聞いてなかった。
なに。
なんの話?
「……私達は、いつも民のことを考えなければいけません。どうすれば、民が豊かになるのか、どうすれば、民が笑顔になるのか。……それが国が豊かになる事への、小さな積み重ねとなっていきます」
……?
なんか語りだしたな、おばあちゃま……
貴族って、けっこう国の管理とか、大変なんだろうか。
なるほど。
お金持ちも、いろんな苦労があるのね。
「その民が、私達を守るために、人をつけてくれたと言う……"恩返しだ" とでも、言うように……」
なんの話じゃ。
「……これまで、苦心して、人並みには、努力はしてきました……それが、報われたような気分です。まるで、ご褒美だわ……。この子の命も、守る事ができた……!」
「おばあちゃま……? 泣いているの?」
う……なんか、感激してらっしゃるわね……。
話の内容は、まったく、わからないわ。
でも、そこはだんまりよ。
看板娘は、空気を読むわ。
「……あなたはもちろん、私達のこと、気付いているのでしょう?」
「……!」
いきなり、おばあちゃまに話を振られた。
しょうがないので、両手を少し上げ、正直に話す。
「……何の事? 私は、通りすがりの馬車を、助けただけだわ」
「まぁ……」
「あなた……」
「へへ……かっこいいじゃねぇか……」
「はは……イカすぜ……!」
いや、何を感動してるかわかんないけど、
ホントに知らないからねっ!?
「あ、えと……一応、確認させてほしいの」
「? 何でしょうか」
「あなた、私のコトは、王都に報告しない、のよね……?」
おそるおそる、聞いてみる。
「……ふふ、この流れで、ぺらぺら報告してしまうほど、人の心を失っておりませんわ」
なんか、ヒキハさんに微笑まれた。
う? うん、隠してくれるならいい。
「……頼む。言われてしまうと、色々と問題が起きるから……」
私の身の周りの安全とか、
私の身の周りの安全とか、
私の身の周りの安全とか。
「……"問題"、とは?」
げっ、そこ突っ込むなよ……。
どしよか。
適当に理由つけとけ。
「……簡単に言うと、"次回"、あなた達を守りにくくなるのよ」
「──っ!!」
「……私、ドニオスでは、別に姿を隠しているわけじゃないの。あそこでは、"変な格好をした、ランク"G"の郵送配達職の女" というふうに、認識されているわ」
「なんて……不名誉な……」
いや、望んでなったんですよ。
装備は色々、成り行きだけど……。
「いや、それでいいのよ。……あなた、こんな格好をしていて、しかも、郵送配達職の女の子が、強いと思う?」
「あ……」
「そ。そういう事よ」
……ふぅ、こんな感じかな?
清々しいほどの、言い訳ざんまいだわ!
「……あなたを、雇った方は……」
「ごめん、それは言えない」
──いない人のことは、いえませんっ!!
「──当然、ですわね。もし、居場所がバレれば、あなたのような逸材は、徴集される恐れがある……。それでは、あなたの能力は、個人の権力となってしまうかもしれない……」
お──……。
いい感じに羊ちゃんが暴走しているわ。
いいぞ、もっとやれ。
「最悪、私に会った事は、言ってもいい。でも、それは"変な格好の郵送配達職に会った" と報告して。私の力、運搬力、裏の仕事のことは、ひと言も喋っちゃだめ。いい?」
ヒキハさんが、胸にそっと、ガントレットをそえる。
「……騎士の誇りに誓って!」
「俺も、絶対、言わねぇぜ!!」
「ああ! 墓まで持ってってやる!!」
護衛3人は、快く了承してくれた。
「……ありがと!」
ひゃっほ〜〜〜〜い!
何とかなりそうね!
しめしめ……。
「と、言うわけだから、おばあちゃまも、シャンティちゃんも、私の事は、人に言っちゃダメよ?」
「……ふふ、承りました」
「え〜〜? そうなの?」
おっと、まさかのシャンティちゃんが、強敵だわ……。
「──そうよ。ほら、私、こんなカッコウしてるから……わかるでしょ?」
「ん〜〜?」
ありゃ。
もしかして、シャンティちゃん、クルルカンを知らない?
嬉しいような、悲しいような……。