代償は、マジ・たけェぞ。さーしーえー
え? シーニャちゃんが服着て、
黄金のネギ持ってるって?
ちょっと かばさん良くわかんない
コォォオオオ────!!!
銃神:『みえた』
萌神:『マジかよ……けっ、
マジで、オオマガツブリ、
じゃねぇかあぁぁ……!!』
天空を、文字通り、翔け飛ぶ若の腰には、
火を噴き貫く、炎の神具有り。
異火:『ひなわよ! いまの ぬしでは
あまり もたぬぞ!』
銃神:『わかって、おる……!
──か。アレが居らぬなら、
手に花、空の旅、まっこと
良き眺めにござったろうに!』
萌神:『マジ、軽口、叩いてる、
場合じゃねっぞ、ヒナワぁぁ……!!』
ヒナワが装備している"飛行の神具"は、
代々、種貸の城に、
眠っていたものである。
誰も使い方が分からぬソレを、
銃を失った、ガンゼルレインが見初め、
『 これ、すざくおうれん
では ないかー!! 』
と、ヒナワに装備させたのである。
仮初の炎翼を得たヒナワは、
マジカを抱え、空を翔けるに至った。
マジカは、カラクリ仕掛けの、
深紅の腕の中、思う。
伝説のような怪異を目下にするも、
それより──近くの幼馴染みの、
顔色が、優れぬ事を──。
萌神:『ヒナワ……やっぱり、
ウチも、飛ぶわ。
このフトンタタキ、
マジ、スピード出っから。
マジすぐ、おろしやがれ?』
異火:『たしかに のー!
さぁふ・ぼぉど の ように
のれば よい はやがけと
なる だろうてー』
響く、炎神の声も、
魔女に、同意するが。
銃神:『ならぬ』
若は、やがて近づく化け物を見つめ、
否定した。
銃神:『マジカ殿……情けなきことだが、
某には……わかる。
この、新しき身体、
まだ……馴染んでおらぬ。
翠眼の通り、
今は……もう、真面に、
戦えまい……。
力が、入らぬのでござる……』
萌神:『ヒナワ……』
マジカを支える二本の銃腕が、
時折、ガクンと力、抜けるのは、
飛行する振動とは、
別の由来のものであると、
もちろん、わかっている。
銃神:『なれば……少しでも……其方が、
力を……温存する、
べきで、ござろう。
移動だけなら、、、
今の、某でも──』
萌神:『マジ、バっカやろ……///』
ギュッ、、、と、
ヒナワの胸の中で飛ぶマジカにも、
当然、不安があった。
自分の魔力を、
少しでも温存しようという、
ヒナワの心遣いは有難いが。
相手は……"攻魔殺し"とまで言われる、
"オオマガツブリ"である。
魔法は曲げられ、
攻撃は弾かれる。
"なすすべなし"と古き記録に記載される、
正真正銘の、厄災なのだ。
萌神:『ハードルが、マジ、たかいぜ……』
銃神:『倒せとは、言わぬ……。
追い払うが、吉』
萌神:『マジ、それでもだよ、
ばっかやろぉー……!』
空から見ると、
金と銀の、光る弾道が、
肉塊へと矢のように飛び、
動きを、牽制している。
見事なものでは、ある。
しかし────……!
銃神:『……避けられ、はじめている』
萌神:『浮遊タイプで、マジ、
あんなに、瞬時に、
移動、できるモンなのかよォ……!』
ヒナワたちの言う通り、
アンティとマイスナが、
惜しげも無く投擲しまくる、
恐らく、伝説級の武具は、
だが、あまり、
当たらなくなってきている。
金娘:「ちく、しょう・・・ッッ!!
なんで、空間接続まで、
予見、されんのよ・・・ッッ!?」
銀娘:「見えない糸で……、
ひっぱられてるみたいに、
よけられる・・・ッッ!!」
オオマガツブリの回避は、
まさに、"早送り"──。
"瞬間移動"、
一歩手前のものである。
アンティ達の思考を、
前もって読んでいるかのような、
そんな、軌道──。
萌神:『昔の、記録でよぉ……?
ドラゴンでさえ、
オオマガツブリに会ったら、
マジ、逃げるんだってな……』
銃神:『……マジ、納得でござる、な……』
──厄介、すぎる。
アンティたちは、
豪快な投擲の合間に、
時折、炎や、氷、雷など、
様々な攻撃を、
あの、浮く肉塊に、浴びせてはいるが。
異火:『たいふうの めの ようじゃの・・・!
あれほど たいひょう ちかくで
うまく まげよる とは・・・ 』
まるで、うず。
みえない、りきば。
時空の歪みのような障壁は、
全ての魔素を、退け、
違う向きへと、
霧散させる。
銃神:『触手が……はやいっ』
萌神:『マジで、"盃の魔女"を、
狙って、やがんのかよ……!』
本体の肉塊の、
優に、2、30倍までに伸びる、
6本の触手は。
明確な目的意識をもって、
アンティと、マイスナの後方に位置する、
聖獣の上の、小さな魔女を目がけ、
攻撃している。
萌神:『マジ、あれだけ、
執着する、モンなのか……。
あんなのに……気に入られた、
キッズ魔女っ子にぁ……!
マジ、ゴシュウショーさま、
だってーのなァ……』
銃神:『食われる訳にはいかぬ』
萌神:『マジ、ったりめーだぁ……!
"人"の味なんか、覚えられてみろ!
ぜってー、"街"が、
襲われンだぞっ──……!』
銃神:『……──っ! ……マジカ、どの?』
ヒナワの腕の中で、
萌の神となった魔女は、震えていた。
萌神:『ヒナワ、ウチは、
マジ……こえーよ……!』
銃神:『……うむ』
萌神:『なぁーんで、マジ、あんなっ、
魔女の天敵みたいなヤツに、
ウチが、今から、
いどまなきゃ、ならねーンだ……っ!』
もっとも過ぎて、
流石のヒナワも、言葉に出来ぬ。
萌神:『神さまってのは、
マジ、いじわるだよなァ……!!』
銃神:『……ふ。今は、
直接、言えようて』
萌神:『バーカ……!
マジじゃ、ねーよ……っ!
言葉の、アヤだってのォ……!』
異火:『……まじょっこ、よ。
きもちは、わかるが
はよう せねば……。
あの にくだんご……
おそろしき はやさ で
つよう なっておる ぞ……!!』
萌神:『マジ、わかってんだよお、
んな、ことは、よおーっ……!!』
トドメ・テングノーズが、
今も無事なのは、
間違いなく、アンティとマイスナが、
守っているからでは、ある。
ゆっくりと、ゆっくりと、
それは、南へと、
確実に……誘導されている。
しかし。
伸びる、恐ろしく丈夫な触手は、
先ほどから、ヒヤリとさせる場面を、
何度か、生み出している──。
アンティの黄金の装甲が、
怪異の鞭と、火花を散らす──……!!
異火:『むむ……! みこ どの たちも
なかなか きつ そうじゃ……!
あまり、よゆうは ないぞ……!』
萌神:『なァ……倒さなくったって、
マジ、いーんだ、よなぁ……?』
銃神:『……うむ。せいいっぱい、やれば良い』
萌神:『"至高の冒険者"だからって……、
後で、倒せなかった文句、、、
マジ、言われたり、
しねーよなぁ……?』
銃神:『ふ……♪ そんな輩は、
某が、黙らせるで、ござるから♪』
絶対に倒せないであろう相手に、
立場上、挑まなければ いけない、魔女。
ヒナワは、少しだけ、
甘やかし、待った。
待って、あげた。
なぜなら、その幼馴染みは、
とても──" 強き乙女 "だと、
知っていたからである。
銃神:『かんがえるでない……。
今は、思いっきり、
ブチこめば、良い』
萌神:『うん』
天空からの、
マジカの連魔法は、
地上の、アンティとマイスナが、
驚くほどの、ものだった。
金娘:「すっご……ッ!?」
銀娘:「ハートの……じゅうりんだー……!」
横幅が、30メルトルテほどもある、
肉厚の大陸のようなピンクのハートが、
空から、ドカンドカンと降ってきたら、
どう思うだろうか。
それらは、曲げられず、直撃した。
『 マ ガ ァ ァ ァ ァ 』
マジな弱気とは、裏腹に。
マジカの連撃は、凄まじかった。
金娘:「わっ……私ぃ……、
マジカちゃんのこと、
しょうみ、ナメてたわ……」
銀娘:「今度、フルコース、
ごちそうしよぅ……」
あまりの、ハートの蹂躙に、
アンマイも、爆心地から、
数十メルトルテほどは離れ、
唖然と、傍観するほどである。
森に、ハート型のスタンプが、
地上絵のように、
クッキー生地に押し付けられた、
型のように、
描かれていく──。
銃神:『──……!』
萌神:『ハァ……ッ、ハァ……ッ!
ハァ・・・!!』
無心に、己の腕の中で、
どう見ても、フトンタタキには見えない、
巨大化した神聖なステッキを振る、
マジカの目には。
くるしみ の 涙が……──浮かんでいた。
ムリをしているのは、
明らかである。
だが、やめない。
銃神:『ま、マジカ殿っ……』
萌神:『ゃっ……やめるわけには、
いかねぇ……!
マジ、"至高"のひとりとして、
マジっ、あきらめるっ、、
ワケには……っ……!!』
降り注ぎ続ける、ハートの地響きの中、
ヒナワは、彼女の責任感を見た。
その行動は──正しい。
あるべき、"至高"の、姿だ。
だが──……。
萌神:『──ぐッ、びゅっ・・・!』
銃神:『 マ ジ カ 殿 っ !!! 』
気持ちの暴走が招くのは、
即ち──己の限界への、到達である。
彼女の肩は、痙攣していた。
萌神:『まっ、マジ……っ、
や、った、か……? ヒュっ……』
銃神:『ぃ、息を、吸えっ!!
マジカ殿……っ!!』
涙目で、よだれを垂らし、
ガクガクと震える、
高潔な魔女に、
ヒナワも、苦い表情が浮かぶ。
50にも及ぶハートの落壊は、
砂煙の中、静けさを戻す。
秋口の空気が、
煙を、地面へと、
引き寄せる──。
異火:『 ちっ……そくさい じゃ 』
『 マ ガ ア ア ア ア ア ア ッ ♪ 』
──元気。
萌神:『そん、なぁ……』
ガクガクと震える、
萌の魔女の肩から、
本当に、力が、抜けた。
銃神:『よく……やった』
萌神:『も、もう……チカラが、
マジぃ……でねーんだ……』
マジカの、オーラのような角が、
消えかけて、いる。
萌神:『なんだ、アレ……。
マジ、なんで、
あんな生きモンが、いんだぁ……』
銃神:『……』
心が、折れかけている。
通信が、入る。
金娘:「……休んでて、ください。
こっちには、
うさ丸とカンクルもいるし、
なんとか……上手く、
南に、連れていけては、いるから」
銀娘:「これ以上の出力で、
格納魔法を使ったら、
陸地が……無くなるかもしれません。
だから、限界までは、
このまま、誘い出してみます」
アンティとマイスナが、
触手との格闘を、再開する。
萌神:『は……けっきょく、
絵本の主人公らに……、
おんぶに、だっこじゃ、ねっか……』
銃神:『マジカ殿……、……』
マジカを、空中お姫様だっこする、
ヒナワの手にも、
疲労から起こる震えが、発生している。
もう、この二人は、限界なのである。
異火:『……ようやったと、おもう ぞー』
萌神:『過去形じゃ、
マジ、ダメなんだよ……!
プレミオムズは、そんなんじゃ、
ダメ、なんだって……!』
銃神:『……』
いつも、減らず口で、
悪態をついている魔女の、
だが、真面目な、プライドが あった。
ただの、クチの悪いコケシ娘が、
"至高の冒険者"など、名乗れるものか。
彼女は、選ばれるべくして、
選ばれたのである。
誰かを守ろうとする、
マジな──高潔な、
精神を持った、"至高の魔女"──。
萌神:『はは……マジ、チカラが、出ねぇ。
こんな、姿に、なって……。
パワーあっぷも、した、のに、
マジ、なっさけ、ねぇよなぁ……』
銃神:『……』
魔力が、消えていく。
ヒナワは、悲しく思った。
想いは、報われる、べきである。
そんな夢事は、まかり通らぬ世界だと、
知ってはいようとも──、
若は、そう願ったのである。
萌神:『はは、ヒナワ……。
魔力のない魔人なんて、
マジ、役立たず、よな──……?』
銃神:『 』
若は──、
────行動に、でることにした。
萌神&銃神:『…っ『』 』
そのキスは。
まぁまぁ、長かった。
異火:『 おおぅ♡ 』
炎の翼から、炎神の、冷やかしが炙る。
銃神:『 これで、どうか 』
萌神:『 ごっ・・・!!!???////// 』
マジカは、赤面した。
目は、まんまるく。
コケシの面影は、とうに、消し飛ぶ。
銃神:『淫魔の血と言うなら、愛を尽くすまで』
萌神:『〜〜〜〜ッッッっっ!?//////』
口を、手で押さえるマジカは、
へその下から────、
猛る、激流のような、
魔力の疼きを感じる。
──いや、そんな、可愛らしい、
チカラな、ものか。
それは、"爆発"。
"萌"の── バ ク ハ ツ だ 。
マジカのカラダが、発光し出す。
うすい、ピンクに、光りはじめる。
オーラの角は、若葉のように伸び!
尻尾は、艶と色気を、取り戻す────!!
萌神:『む、む、む・・・っっ!!//////』
銃神:『まっ……、マジカ、殿……?』
さすがに、ブチ切れられたかな、と、
若は、ヒヤヒヤ すゅ。
そりゃ、ヒナワン、アンタ、、、。
いきなり交換は、
ダメで、しょうよぉ、、、。
萌神:『う、ウチ、だって、
な"あぁぁぁああああ……ッッ///』
銃神:『 う 、 う む っ ・・・!? 』
萌神:『 マジ、コケシ、kokesi、
言われてきても、
だなぁああああ・・・//////
いちおー、おとめの、
はしくれ、として、、、
マジ・"りそう"ってモンが、
あったん、だよォおおおお・・・/// 』
銃神:『…………ぅ、…………うむぅッ?』
どゆこと?
萌神:『なっ、なっ、なぁーんで・・・!!///
マジッ・ウチの、
ふぁーすと・きす がっ・・・!!!///』
『 マ ガ ァ ァ ァ ァ ア" ア" ア" ♡ 』
萌神:『マヂっっ、あぁぁぁああンなぁ、
ウネウネ・触手ヤロォォーのッッ、
上空でっっっ、ヤられなきゃあ、
なんねぇェェエエ工んだああああ
あぁぁぁああああ!!!//////』
…………あ、そっち?
銃神:『ぇ、えーっと、で……ござる……?///』
金娘:「ミ・ミチャッタ……!///」
銀娘:「ミ・ミチャッタ……!///」
こらアンマイ、
照れてるバヤイじゃねーぞ。
萌神:『マジ、認めねぇ……!//////』
銃神:『えっ』
萌神:『こンなのはァ、後で、
マジ、やりなおしだァァ・・・!!』
銃神:『────・・・ッッ!!!』
──ゴッ・・・!!!
先ほどの、魔力の枯渇など、
何処ぞの嘘か──。
迸るは、鮮烈なる、魔力!
まっことの────、
── " 愛 " の 、
チ カ ラ よ 。
萌神:『──ウチの、はじめてを、
こんな、トコロでさせた──、、、』
光り輝く フトンタタキは──、
──もはや、夜明けの星である。
空──。
萌神:『 ──代償は、
マ ジ ・
た け ェ ぞ っ !!!////// 』
ビッグなハートは、埋め尽くされた。
爆薬が足りねぇ(^言^)










