触手って、ホントきらい!!
サクサクはムリ、
たれたれだもの。
か
ば
た
れ
思い出したわ。
この、よけまくる感覚。
「ローザの──意識なかった時のアイツの、
スライムミサイル、アレだわ」
『────きます☼
────二時:三時方向☼
────回避を☼』
────ギャリリリリッッ・・・!!
────ブォオオン・・・!!
空中で、ハデにエイムしてくる触手を、
ひとつを腕で いなし、
ひとつを、すんでで、さける──。
「いいい・・・!」
空飛ぶ、シンカンセンが、
真横を、通った、カンジ。
『>>>"カタいウネウネ"って、
>>>厄介だな……』
まったく、その通りだと思ったわ。
もはや、"射撃"なんよ。
丸太で殴りかかられ続けてるもんだわ。
「アンティ……アレ、困ったね」
「マイスナ……!」
「うぅ……」
……!
トドメちゃん、目ぇ、まわっとるわ。
当然か。
〘------休憩するなら;
------十分;距離を取るのんっ!☆
------二人;一緒に狙われたら;
------シャレにならんのんよっ──☆〙
間違い茄子。
トドメちゃんを抱えたマイスナと、
滞空ブーストしながら、
かなり後ろに飛び、
アレとの間隔を、あける。
『 』
森の上を、フヨフヨと飛ぶ、
球体の、肉塊。
それから、質量を無視して伸びる、
鋼鉄のような、
なっがい触手、六基。
「くそ……熱烈、ラブコール、ってか」
「どんどん、ナトリの街から、
離れちゃうね……」
「そ、それで、いいのです」
ふにゃふにゃの、トドメちゃんを、
マイスナと、見る。
「あの……おっきい、おくちさんが、
トドメを……食べたいのなら、
トドメは、おとりに、なれます」
「「……!」」
「トドメのせいなら……トドメは、
あいつを、街から、遠ざけるのです」
あん、た……。
「……アレ、とっても、強いよ?
かなり、危ないよ?」
マイスナが言う。
「わかって、ます……。
でも、まもって、くれます、よね?」
「「 ! 」」
「わたし、わかりました。
黄金の義賊と、白華の狂銀は、
ふたりで──最強なのです」
「「……──、 」」
「あの、絵本の続きは、
なかよし、こよしなのです」
「──きひ……」
不敵な、笑みが、もれた。
鏡のように、マイスナも笑う。
この子は、バカだが、
臆病じゃあ、ない。
きひひ……根性、胆力、勇気……!
なかなかどうして、きらいになれん。
「そこまで言われちゃあ、
絵本のカッコしてる女として──」
「期待に応えないワケには、
いかなく、なったね──」
あの、浮遊スマイルは、
いまも、ゆっくり、近づいている。
──……ふぅ。
ダメだ。
私と、マイスナの、どちらかが、
"子守り歌"を、やっていては──。
「──うさまッッ、るぅぅうウウウ──!!!」
「──カンクルッッ!! いつまで寝てるの!!
──はやく、クるっ──!!!」
──ドォン・・・!!
──と、森の何処かで煙が爆発し、
そのジャンプは、
すぐさま、こっちの球体サマを、
私たちの、そばまで運ぶ・・・!!
『『『 に"ょきっと、な"ああああ・・・!!! 』』』
はっ・・・!
景気よく、吹っ飛んだわね、うさ丸ぅ!!
いーわね、元気そうだわ。
まったく、外傷は見られない。
間もなく、でっかいカンクルも、
たくさんの尻尾を携えながら、
地上から、見えない足場を作りつつ、
駆け上がってくる──。
『『『 クルルルルルルぅぅぅう・・・!! 』』』
こっちも、相当キレているが、
目立ったケガは、まるで見えない。
たくさんの尻尾が、
ナトリ扇のように開き、
額には、宝石のような、
アナライズ・カードが、
輝いている──。
うなる、聖獣と化した、くゆくゆに、
マイスナが、ドスンと、
トドメちゃんを、おく。
「わっ、と・・・」
『『『 クルルゥ・・・! 』』』
でっかい、空飛ぶキツネさん?
に乗って、まだ混乱してるだろうけど、
私たちは、トドメちゃんに、
確認を、とる。
「──いーぃ?
私たちは──今から、
アンタを、"おとり"にするわ」
「……!」
「あの肉塊を倒すには、
私と……アンティが、
チカラを、合わせないといけない」
トドメちゃんは、
私とマイスナを、交互に見ている。
「うさ丸……! ぶっ飛ばされて、
ムカついてる、だろーけど──。
トドメちゃんを乗してる、
カンクルを、まもってあげて」
『『『 にょき・・・!? 』』』
「私とマイスナで、やってみる」
うさ丸も、少し、考えていたけど──。
『『『 ──にょきっと・なっ♪♪♪ 』』』
よぉし・・・!!
気合いが入った所で、
先生から、ベストなアドバイスがくる。
〘#……カンクルよ。酷な事を言うが、
#……急激には、離れるな。
#……あの怪異が刺激され、
#……急加速する恐れがある〙
「「 ……!! 」」
〘#……時間を……稼がねば、ならぬ。
#……"倒す"、時間を。
#……ほどよい、距離で逃げ、
#……ゆっくりと──追わせるのだ〙
なるほど……! と、思った。
一気に、レエン湖くらいまで、
連れてってもらおうと思ってたけど、
それだと、私とマイスナを無視して、
あの肉だんごは、
トドメちゃんを追うかもしんない。
ゆっくりと、ジリジリ、追わせて、
その間に──私たちで、ヤる。
それしか、ない。
先生の的確な指導に、
誰も、反論はない。
これは、超たすかる助言だった。
〘#……まさに、"おとり"だ……。
#……、少女に、
#……させるべき事では、ないが──〙
「──やりましょう。
この子は、なりゆきの覚悟で、
言ってんじゃないわ」
「──そうだね」
「……??」
きひ、先生の声が聞こえない、
トドメちゃんが、キョトンとしてらぁ。
「カンクルも、頼む。
万が一、私たちが触手を撃ち漏らしたら、
アナライズ・カードの足場と障壁で、
守って、あげんのよ」
『『『 ・・・!!
クルルっっっ!! 』』』
ふ、任せとけ、ってか。
──よォし。
あとは、キバる、だけですか・・・!!
おっと。
ひとつ、気になる、ことがある。
「うさ丸──あの、ミートボール、
さっきから、なんて、言ってる?」
『 』
『『『 ──……にょきっと、な── 』』』
──ポンっ♪
うさ丸の翻訳結果が、表示される。
" マ ッ テ "
" マ ッ テ "
こんわっ。
マイスナが、言う。
「ストーカー、よくない」
「他のもん、食べろよな」
キャベツでも一生くってろ、
チクショウが。
「いくわよ、マイスナ」
「あぃ」
私とマイスナの各ブースターが、
強烈な光を、孕み始める。
「──うさ丸、カンクル!
頼んだわよっ!!」
「いくぞ、スマイル」
──視界は、かくして、加速する。
ぶきみな笑顔が近づく中で、
私は、考えて、いる。
脚部を構成している、
大きな、飛行ユニット。
ニンゲン離れした、
大出力、特化の構造。
ゴウガさんの言葉を、思い出す。
──"ヒトのカタチの強さを、忘れるな"。
これじゃあ、ダメだ。
しぼれ。
もっとだ。
『────軽量モード:オン☼
────ライト・スタンディング:
────フレア・ユニット☼』
ガチャ、キュルっっ──。
ガ・コ・・・!!
きぃぃ・ぃいいいんん・・・!!!
半機械のカラダから、
人体ベースの、シンプルなユニットへと、
換装していく──黄金のヨロイ。
隣では、
同じく、飛行機から、
"花嫁"になった、キレイなマイスナの、
姿が並ぶ。
『 マ ガ ガ ・・・ ♡ 』
おわっ、気持ちワリぃ。
すんません、私たちの劇、
ドニオス以外は有料なんで。
「クラウン、サブマシンガン」
「ローザ、コイルソード射出」
──お代は、
"ナトリの平和"で、よろしく。
──ダダダダダダダダダダダダダダ。
──ビビビビビビビビビビビビビビ。
私の弾丸と、マイスナのクナイは、
見事に、触手に叩き落とされた。
『>>>アレに対応するか!?』
〘#……面倒な! くそ、やむをえん!
#……カネトキ! "剣"を出せ!!〙
え? と、
けっこう皆が思った。
〘#……早くしろ!! "時の剣"だ!!〙
『>>>……ああっ!!』
──きゅううん・・・ガチャ、ん!!
私の腰あたりに、
マウントされる、
"黄金の双剣"。
マイスナの背中に現れる。
"七振りの姉妹刀"。
「"時の長針剣・短針剣"・・・っ!!」
「"時の結晶刀"・・・!」
〘#……────なげろ〙
マジすか。
マイスナが、一応、きく。
「いいの? せんせぇ、
刀、投げるの、反対だった」
〘#……あんな空の化け物に、
#……居合もクソもあるか。
#……強度破壊が無く、
#……空間接続で回収できる。
#……チカラ加減も、せずに済むだろう?〙
ま、そりゃ、そうだけど。
この剣たちは、
とある例外を除いては、
壊れることがない。
【 ぐか、かか、か──。
実はな──"黄金の双剣"のほうも、
少し、研いどいたぇ──? 】
『>>>ええっ・・・!?
>>>サキさん、マジっすか!!』
──きぃ・ぃいん・・・!!
そ、そういえば、
心なしか、前より、
刃の光り方が、
キョーレツな、ような。
【 ふだん、俺っちは、
あんまし、戦いには出んからのぉ。
俺っち特製の刃ぁさ、
食らわしてやらんかいやぁ!! 】
はは、は……。
なんか、サキって、
もはや、鍛冶屋さんポジションよねぇ?
「んじゃ……やりますか!」
「わくわく」
〘#……ワクワクするなっ〙
──ガシュン・すらぁ──。
黄金の双剣を、両手に、とる。
マフラーと呼応して、
それは、キラキラと、光り出す。
『────投擲に合わせて:
────両肩のブースターを:
────噴射します☼
────お任せください☼』
────かまえる。
「ねらいは」
『────しょくしゅ☼』
──第一射。
────>>>きゅぅううんんんん・・・!!!
『 マガ・・・? 』
──────バツンッッ!!!
『────命中!!☼』
『>>> い っ た ぞ !!! 』
──ブシャアアアアアア・・・!!
「……裂けたっ!!!」
六本ある、ぶっとい触手の一本が、
吹き飛びはしないにしても、
3分の1くらい、切れかかってる!!
──しゃんら、
──しゃんら、
─しゃんらぁ*.+゜
【 ぐかかかかかっ──♪♪♪
ほれ、見ぃさぁぁあァ♪♪♪ 】
サキの、ご機嫌な、声!!
「私もいくよ」
────ずぎュゥウウウンンン・・・!!
空気を、裂く音・・・!!!
──ズパ・ァァァァァンンン・・・!!!
いっ、たあああああああああああああ。
『────触手:切断されました☼
────残り:5☼』
「──やったじゃん!!
──斬れる、斬れる!!」
「……もしかして、ヒトガタのほうが、
ふんばれるのかな??」
……! そういえば、たしか、に……?
なんと言えばいいのか……。
"投球フォーム"? って、
やっぱり、昔っから、
ガキンチョたちの相手して、
やってたキャッチボールは、
そりゃ、"ヒトのカタチ"で、
やってる、ワケで。
『────ギアデバイスは:
────内部のゴールド・フレームに:
────補助機構の形で組み込みました☼』
『>>>ドラゴンのチカラを、
>>>歯車でサポートするほうが、
>>>瞬間的な筋力は、増すのか……?』
「なんにせよ──、幸先は、いいわねっ♪」
──きゅううんんん・・・パシっ♪
──ぎゅぃいんんん・・・シャン♪
ぶん投げた、黄金と白銀の剣は、
すでに空間転移し、
私とマイスナの手に、戻っている・・・!
「弾丸無限だ、耐えられる?」
「こっちは、七本、あるぞ」
投げる気、マンマンでしょや。
伝説の剣が、火?をふくぜっ。
〘#……ふぅぅ……。致し方なし〙
『>>>はは……まぁまぁまぁ』
先生の、ため息は、
まぁ、後でフォローしよっ。
問題は、目の前の、スマイルだ。
……うわっ、なんだ、
この果物みたいな、におい。
アイツの、血……?
し、白っ。
んでも、触手、いっぽん。
ちぎって、やったったんだ。
さすがに、そろそろ、
あの笑顔は────。
『 マ 、 ガ 、 ガ ♪ 』
──ずぽっ、にょきっ。
「「 え っ 」」
は え た 。
「「 ・・・・・ 」」
『 マガァァァア♡ 』
「「
──触 手 っ て !!!
ホ ッ ッ ン ト !!!!
き ら い っ ッ !!!!!
」」
( ᗜ )マガァァァァ♡










