"悪"の、叱り方。さーしーえー
おまたんたん(●´ω`●)*.+゜
究極の正義とやらが、
目の前にいたとして、
どう思うのだろうか。
発光。
黄昏。
英雄。
砂霧より居出しは、
どんなものより有名な、
正義の、賊である──。
ひゅうおおおおおおっ────……!
「 ──…… 」
その、輝ける姿に。
まるで……対峙した者は、
自分が、"悪"であるかのように、
さえ、錯覚する。
彼女は──。
私を──。
倒しに──きたのではないか。
トドメが、目を丸くして、思ったのは、
そんな、ことだった。
「ちっ──……」
逆に、アンティが激昂せず、
舌打ちに留まったのは。
一瞬、盃の魔女が、
血まみれに見えたからである。
あせりが、走る。
が……よくよく、見れば。
( においが……甘い )
なんの、こたぁ、ない。
血のりだと思えたのは、
ただの……"果汁"だ。
目の前の、小さな魔女は、
野生した果物の畑に、へたり込み、
大きな、皿が付いたような杖を、
何とか、持ちながら。
背中に背負った、
"栗拾い"、のようなカゴに。
アホみたいに、果実を、
投げ入れていたのである。
( ……においが、甘すぎる…… )
食堂娘は、腐りかけたモノが、
時に──強烈な甘味臭を放つことを、
よく、知っている。
( たぶん……ほとんど、が…… )
……。
心やさしい、アンティが。
目の前の魔女の蛮行を、察する。
「 ……、……、…… 」
トドメは、あまりの事に、
言葉が出ない。
統一された、黄金。
完成された、"クルルカン"。
"金英の芸術"に、
魔女は、驚いているのだ──。
「 …… 」
( はぁ。やれやれ、だわ──…… )
「 ね ぇ 」
怒りを優しさで挫かれ、
アンティは、この言葉に、留めた。
「 ──わ た し が 、 な ぜ 、
こ こ に 来 た か 。
わ か る な ? 」
「 ──っ、、、! 」
トドメは、
己が失敗を、悟った。
「……っ、う、ぅ、……✹」
このクルルカンが──……、
何者かは、わからない。
でも、間違いない。
"黄金の義賊"は、
こどもの、みかた だ。
たすけに、きた。
たすけ、られなければ、ならない。
自分は、失敗したのだ──。
「ジャムを」
トドメは、言う。
「ジャムを……みんなに、
とどけて、あげたかった、です……」
杖は、震えた。
「あの、やさしい、神官さん、が……、
くれた、ような……。
おいしい、ジャム、パン、を……」
「……」
目の前の、黄金が、
その神官だとは、思うまい。
マイスナは、後ろに引いて、見ていた。
改めて、思う。
アンティは、キレイだと。
だからこそ、目の前の、
小さな失敗者が。
自分を……"悪"だと思い込んでしまう心を、
マイスナは、よく……理解していた。
かつて、自分が、そうだったように。
正義の前に立つ自分が、
悪を、貫いたように──。
「みんな……心配、して……いた、ですか」
「 っ た り め ー だ 」
そして、やはりアンティは、
マイルド・ヤンキーであり、
しかし、それは、
やさしさの、裏返しである。
「でも……いっぱい、
とれた……ですよ」
「……」
アンティは、少しだけ、言葉に詰まり。
キィん……! と、
足音を擦らせながら、
トドメの、そばに、しゃがんだ。
「ガッツはな……認めるわ」
「!」
「こんなデッカいカゴの、
3分の1まで溜まってるとは、
思わなかった」
「ぇ、えへへ……」
「……。よく、聞きなさい」
それは、母親の、真似事のような。
「それは、ジャムには、できない」
「な、なん……!?」
「後ろを見ずに……前だけ見て、
背中のカゴに、ほうりこんだな?」
「ぇ……」
「腐りかけのモノが……、
全て、潰れている。
背中が……真っ赤よ。
ケガをしていると、恐れたぐらい」
「そ、そんな……!
でも、ジャム、は……、
元から、潰れて……!」
「……カゴを、降ろしなさい」
トドメは、放心していて、
いつ、自分が背負いカゴを置いたか、
わからない。
「これと……これ、これも。
完全に、ダメだ。
潰れたモノが……下のものと、
混ざってる。
これは、食べられない。
お腹を壊してしまう」
「そん……」
涙は、トドまらない。
「トドメがしたことは……、
ぜんぶ、無意味、ですか……」
「……」
「みんな、ムダ、だった……ですか」
さすがのアンティも、
言葉を、出せなかった。
「いっつも……こうなの、です」
トドメは、目を まぁるく、、、
ひらいたまま、下を見る。
「なにも、うまく……いきません。
わたしは……なんなんでしょう」
「……」
「いっしょうけんめい、
がんばるんです。
とまっては、いけないと。
でも……おわると、
ぜんぶ、ダメに、なっているんです」
「……」
「わたしは、もっと──、
がんばりたいのに。
ぜんぶが、ぜんぶ、が……」
「……そうだね」
「よく、わからないんです。
がんばって……ダメだったときの。
じぶんの……つぎの、
がんばりかた、が──……」
「 ──とまらなきゃ 」
アンティと、トドメが。
もっとも有名な、
悪の言葉に、ふりむく。
「なんで、失敗してるのに、
前に進むの」
「ちょ、ちょっと……」
「ダメな時に、ダメなまま、
進んじゃ、ダメなんだよ」
マイスナの言葉に、
アンティは、ヒヤリとする。
二本の、銀色のツノが、
ギランと、光る──。
「あなたが、やらなきゃ、
いけない事は、
進むことの前に、止まること」
「と、とまる……?」
「そうだよ。"おかしいな"って、
思った時に、ちゃんと、
トドメる、チカラ」
「とど、める……」
「──……」
アンティは、久しぶりに、
"マイスナやめとけ"とか、
言いそうになったが、
その言葉を、ゴクンと、押し止めた。
白銀の言うことは──……、
まちがっては……いない。
アンティは、信じてみなきゃ、と、
思ったのだ。
「背中に、じわりと、
するのを、感じたはず」
「──っ、……」
「何かが、まちがっていると、
わかったはず」
「ぅ"……」
「──なんで、そのときに、やめないの!
──なんで、とどまって、かんがえないの!
──しっぱいを、見ないふりして、
──しらないフリをして……、
──前に、すすんで!!
──いったい、何になるの!!」
冷や汗を浮かべたのは、
アンティの方だった。
今のマイスナは、苛烈だった。
「あなたを、好きな人まで、
心配させて・・・!!
あなたは、どうしたいの!!」
「とっ、トドメは──……!」
「それでも、前に」
「っ!」
「進み、続けるの?」
「っ、う"……」
( ひ、ひえぇぇ〜〜〜…… )
『────言います:ね……☼』
『>>>こんなことに、なるとはなぁ……』
白銀の、まくしたてに、
黄金チームも、タジタジである。
まさに、お説教。
アンティは、ビビりながらも。
すっげぇ──とさえ、思っている。
( 私には、できない、"叱り方"だわ── )
「──見なさい」
「……!」
マイスナは、言う。
トドメは、見上げる。
「もしね……?」
「……ぅ"?」
「しっぱい、したまま。
おかしいと、おもったまま……。
すすみ、続ける、とね?」
マイスナの言葉には、
しろがねの輝きが、宿っている──。
「わたしみたいに、なるよ」
「……!!」
「いつも……どこでも。
わたしみたいに。
とまれなかった人が、
だれかを、にくんでる」
「にく、む……」
アンティこそ、言葉が、でない。
「だから……」
「っ」
「わたし、みたいに……なっちゃ、ダメ」
「!」
「必ず、止まりなさい」
「とま、る……」
「うん。とまって、考えなさい」
マイスナにしか、できない、
"悪"の、叱り方。
でも、それは──、
確かに、"想い"が、あって────。
「いつもね……私みたいに、
クルルカンが、居てくれるとは、
限らないの」
「……!」
トドメと、一緒に、
アンティも、マイスナの、目を見た。
明るい銀河のような──その、白を。
「ぜったいに……おかしいのに、
進み、つづけないで。
じゃないと、私みたいに──」
──銀の花嫁は、述べよ。
「──大好きな人を、殺しそうになる」
「 ……っ・・・! 」
トドメに、
ぜんぶが、理解ったワケでは無いが。
何かが──ソコで、変わった。
「すす、み……」
いつも、進み、続けることが、
ぜったいに、良い事だとは、
限らないと。
「よわい自分を見るのは、こわいよね?」
「……!」
「でもね……みんな、助けて、くれるから」
狂い銀の、瞳にも。
食堂娘由来の、
やさしさが、篭っている──。
「弱い自分から──前に、逃げずに。
トドメて、認めてあげて」
「……っ」
「じぶんの、やってること──……。
" おかしい "って、
わかって、たよね──……?」
「ぅ"……」
──トドメは。
なんとか、ボロボロのまま、
立ち上がり、
「 う" ん" ・・・ 」
と、涙を落としながら、
うなずいた。
「ずっと、がんばらなくても、
いいから、ね?」
マイスナは、手を、さしのべる。
「やくそく」
「っ!」
銀の指は、トドメに届く。
「は、はぃ……//////」
『────やりますね☼』
『>>>今回は、完全に、持ってかれたねぃ♪』
( ──うるせぇい! )
アンティは、となりで腕を組み──、
──ほこらしかった。
( やっぱり…… )
彼女も、思う。
( あの、泣いてた夜に……、
いっしょに、いたかったな )
素直に、想う。
トドメは、さめざめと、
泣いている。
彼女は、止まっても、よいことを、
学んだ。
それが、未来に。
どのような結果を招くか、
まだ、だれも、わからない。
それが──とても、おもしろく、
────ステキな、ことだ。
「しっかし、、、やっちまってんわねぇ!」
アンティは、とりあえず、
おおまかな服の砂埃を、
手の平の歯車掃除機で、
吸い取ってあげる。
『『『 ──にょきっと……?? 』』』
『『『 クルオォオオン♪♪ 』』』
「 ──うわぁ!? 」
でっかい、木の影に隠れていた、
巨大うさ丸と、巨大カンクルを見て、
トドメが、腰を抜かす。
──ベチャア!!
「──っぷァ……!? ぉ、おいっ!!
うさ丸、きさまァ……っ!?
あたしが、せっかく!!
服、キレイに、してやってんのに!?
あきらかに ヤベぇ果物汁がッ、
爆散しただろうがあああああああ」
『『『 に"ょっ・・・っっ!?
に"ょ、にょきっとやん…… 』』』
勇者は、申し訳なさそうである。
「ラ……!? ラビットの、
おやぶん、です……っ!?」
まだ、遠いところにいるが、
トドメは、震えあがっている。
マイスナが、稀有なモノ見る目。
「めずらしい、反応だ」
「まぁ……あらためて、デカいかんなぁ」
まるくて、でかい。
表面積が、圧。
『『『 にょきっと、なぁぁ…… 』』』
『『『 クルォオンッ・・・?? 』』』
「どーする?」
「とりま……ヒナワくんらに、
無事な連絡、入れたわ。
オケ。駐屯地に、伝えてくれるって!」
「あっ、あの、ラビットとオオカミは、
トドメを、食べないのです……!?」
トドメが、ベチャベチャのまま、
しがみつく。
──べぷゅぅあァ。
「だ──っ!!」
「あっはっは。アンティの"だーっ"、
おもしろいっ♪♪」
「きっ、きさ、まぁあああ……!!
たまに、めちゃ感心したと、
思ったらああああああ」
うさ丸は……こどもを怖がらすのは、
イヤなようだ。
さっきより遠い木に、隠れている。
『『『 』』』
『『『 クルックル??? 』』』
「おまえなぁ……。
孤児院のシスターさん、
泣いてたんだぞぉー?」
「バンバン前すすんじゃダメだよ。
ちゃんと、あやまるんだよ」
「ご、ごめんなさい、です……。
──こっ、コレ!」
「「 んっ? 」」
「ほ、ほんとう、に……、
ジャムには、なりません、か……」
アンティは、困った顔をするが、
無下には、するつもりは無い。
「ぅ、ぅ〜〜ん……。これは、
完全に、ヤバい色なのよ。
ザンネン、だけど……」
『────アンティ☼』
クラウンが、カゴの甘いヘドロの、
スキャン結果を、表示する。
「……!」
アンティは、トドメが前に抱える、
カゴの中の……ひとつだけを、
ぷちゅりと、抜いた。
「……ん! これ、だけは……、
なんとか、大丈夫、かなっ?」
「……!!///」
──りんご。
真っ赤な。ピンクのような。
ココロのような、リンゴだ。
「少し、空間格納で、キレイに、して……。
おおっ♪ これは……食べられそう!」
「ホントですか!!」
「今回の、成果だねー」
トドメは、喜んでいる。
アンティは、やれやれ=3、と、
嬉しそうに、ため息する。
「やれやれ……♪」
「アンティ、笑ってる」
「わたしは、いつでも、笑ってるわ!」
「えへへ……うそつき♪」
アンティは、きひひ、と笑って、
少しだけ、照れて──ごまかした!
「──はぁっ♪ まぁ、よかったわよ。
あとは、無事に、街まで、
送り、届けて────」
────眼魔が、発動する。
「 、 」
それは、輝ける、直感だった。
アンティが、第七感ほどに、気づき、
クラウンが、流路を、つなげ、
カネトキが、止めたのだ。
時は────加速する。
止まったような、世界で。
甘い、ヘドロの、カゴ。
そばに、立つ、小さな、魔女。
盃の杖と、ひとつの、林檎。
────そして。
(
く そ っ た れ 、
が ────
)
歯 だ。
歯 だ。
歯 だ っ 。
■
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■ ■ ■
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■ ◣ ■
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◥◤
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■■ ■■
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地面から、現れている、
------巨大な、"歯"は──
トドメを──
------ 喰 お う と し て い る。
▽▽
□ ཫ ཫ□
▽ ཫ ▽
□ ཫ□
□ཫ /\/\ □
●●●● ཫ
□ ■◥◤■ □
△ ■ ■ △
□ ■■ □
□ □
△△
O - O - O - O - O - O - - - -・・・!
「
うわああああああ"ア"ア"──っっ!!!
」
アンティは、
絶 叫 と 共 に、
手 を 、 の ば し 。
ど ぶ ん ぅ 。
✹ ▽▽
□□□□□▽▽□□□□□
□■□□□△△■□▼■□
▼ཫ △△ ཫ▲ ཫ
ཫ● ●
. ✹
✹
✹
緊張が、はしった。
うわああああああああああああああっっ!!!










