かぞくのちかい
ひっこし近い(:3_ヽ)_
それは、思いがけず、
"ふいうち "、だった、
のかも……しれない。
誰が、傷つく、訳でもなく────。
金娘:「──んだからねぇ?
私が赤ちゃんの時は、
カーディフでも、
ナマたまごは、
気持ち悪がられててさぁ?
でもね? そこで、母さんが、
おばあちゃんのアドバイスで、
デミグラスソースのハンバーグに、
チーズとナマたまごの黄身、
かき混ぜて、ぶっ込んで、さ?
ちょーど、たまごが、
半熟になるように、オーブンで、
あっためちゃうワケよ!」
銀娘:「ええぇ……そんなの……、
ぜったい美味しいヤツじゃん……。
じゅるぅう……っ」
金娘:「もぅ、ハンザイよ、ハンザイっ!
もはや、ハンバーグじゃなくて、
シチューとか、グラタンに、
近いのよ! アレはさぁー!
そんで、さ? やらかい黄身って、
うまいじゃん! って、
みんなが、なったトコロで、
トドメの、スキ焼きよぉう!」
アンティとマイスナは、
うさ丸たちの位置を感知し、
種貸城の天守閣へ、
上へ、上へと、登っていた。
つやつやの、木で、
できた階段を。
たわいも無い話をしながら、
きん、ぎん、きん、ぎん、と、
あがっていく──。
銀娘:「牛肉を、なま卵につけて、
食べるの、衝撃だったなー」
金娘:「美味しいわよねぇ。
おかげで、私が物心ついた頃には、
カーディフの街じゃ、
ナマたまご食べるの、当たり前」
銀娘:「カーディフ食堂、やりおる」
金娘:「えっへん!」
銀娘:「でも、アンティの、
おばあちゃんって、
なま卵を食べるの、
抵抗、なかったんだね?」
金娘:「ぁー、なんか、母さんからの、
マタ聞きなんだけんど、
おじいちゃんの故郷の料理を、
何とか、再現しようと、
してたんだってさ」
銀娘:「そうなの?」
金娘:「うん。おじいちゃんが、
居なかったら、おばあちゃん、
お弁当屋さんなんて、
始めなかったんだって!」
銀娘:「そう考えると、すごいねー!」
金娘:「そりゃあ、そうよぉ……!
おじいちゃんが居なかったら、
カーディフの食堂、
なかったワケだかんね!」
銀娘:「……アンティの、おじいちゃんと、
おばあちゃん、会って、
みたかったなぁ……」
金娘:「……! そう、ねぇ……。
母さん方のほうは、
今……どうしてるかも、
分かんない、し……。
父さんは、親とケンカして、
家出してきたって、
言ってるくらいだかんなぁー」
銀娘:「……会って、みたい?」
金娘:「……ま、そりゃあ……ね?
ま、黄金の義賊のカッコのままじゃ、
ちょっと、アレだけど☆」
銀娘:「……」
金娘:「……マイスナ?」
銀娘:「ちょっと、うらやましいな」
金娘:「……! ……ごめん……」
銀娘:「……! そうじゃない!
ただ……わたし、は、
どこから、来たか、
よく、分からない、から……」
金娘:「……、……」
銀娘:「……。でも……」
金娘:「 ? 」
銀娘:「あの人は……何か、知ってる」
金娘:「……──! ……。
……" マザー・レイズ "」
銀娘:「うん」
金娘:「……お母さんだと、思う?」
銀娘:「そうであったらいいなって、
思う」
金娘:「……確かに、ね?」
銀娘:「え?」
金娘:「髪の色、似てた」
銀娘:「っ!」
金娘:「でも、私……あの人、きらい」
銀娘:「っ!! な、なんで……」
金娘:「だって、あの人……。
私にも、何だか、優しい、もん……」
銀娘:「ぇっ……?」
金娘:「仮面で顔、隠してるけど、
たぶん、40歳は、
いってないでしょ?
あの人……。だから、
マイスナのお母さんの可能性は、
あると、思う。でも……、
それだったら、私なんか、
ほっといて……あなたを、
抱きしめて、あげて欲しかった」
銀娘:「……!! アンティ……」
金娘:「すごく、ね……? ソレが、
気に、食わないの……。
言うのが、難しい、んだけど……。
……"平等"、なのよ。あの人は。
わたしと、あなたへの、気持ちが」
銀娘:「ぁ……」
金娘:「すごくね、わかるの。よく……。
あの人、たぶん、
私たち、どっちも、
まもる気なのよ。
それが……。
マイスナだけを、
まもりゃあ、いい……。
もし、あなたと家族なら、
なぜ、私も、巻き込むの……」
銀娘:「……」
金娘:「そこが、イヤなの。
わか、る? ごめんね……」
銀娘:「えへへ……優しいね、アンティは」
金娘:「あ、アンタ、何、きいてたの///
アンタの、お母さんかもしれない人、
キライっつってんの、
あたしはァーっ!///」
銀娘:「わたしから……、ちょっとでも、
お母さんの愛を盗るのは、
イヤ、なんだよね?」
金娘:「グッ……!///」
銀娘:「ありがと……嬉しい。
わたし、しあわせだ」
金娘:「そ、そんな、ん……じゃ。
……ぃや、そぉ、だけ、ど……」
銀娘:「家族がいないのは、さみしい」
金娘:「 ! 」
銀娘:「雪山で、のこったのは、
あなた……だけだったの」
金娘:「……!! ……、……」
銀娘:「でも、すくって、くれたでしょ?
" 金さじ "?」
金娘:「んっ、ん……?///」
銀娘:「金色のスプーンは、
どんな物でも、すくいだす。
それが……たとえ、
生涯の、テキだとしても」
金娘:「……、何度でも、ね?」
銀娘:「ええ、何度でも」
金娘:「そして、おいしく、
いただこっかな……?///」
銀娘:「あ、えっちだ」
金娘:「ぁ……やっぱ、いまのナシ///」
銀娘:「もう、フルコース、
食べちゃったのに?///」
金娘:「カンベン……///」
銀娘:「えへへ……///」
ふたりは、のぼる。
おおきな、おしろの、
かいだん、を──。
金娘:「……私の、おばあちゃんも、
おじいちゃんも……。
生きているかどうかなんて、
わからないの」
銀娘:「……!」
金娘:「でも、逆に言えば……それは。
あなたの、おじいちゃんと、
おばあちゃんが、
生きているかも、
しれないって、こと」
銀娘:「そ、ぅ……だね」
金娘:「すべてに、可能性は、ある。
今は────。
だから──」
銀娘:「……だから?」
金娘:「もし、色々……落ち着いたら。
さがしに、いこっか」
銀娘:「!」
金娘:「わたしたちの、家族」
銀娘:「 ……、── 」
金娘:「……ぃや、かな……」
銀娘:「──ぅーうん、そんなことないっ♪
ちょっと、楽しみ」
金娘:「そっ、か……。ぅん。
それで、もし……ぁ」
銀娘:「ん?」
金娘:「なんでも、なぃ」
銀娘:「……」
金娘:「……」
銀娘:「わたしの家族が、
死に絶えていたら、
あなたが、せきにん、とって」
金娘:「 」
銀娘:「ぜんぶ、とって。
おねがい、クルルカン」
金娘:「わかった。約束するよ。
オクセンフェルト」
銀娘:「……」
金娘:「……ん?」
銀娘:「……っ///」
金娘:「照れるん、かーぃ!」
銀娘:「いまの……アンティ、
イケアンだった///」
金娘:「あたしゃー女だ、お姫様っ☆」
けらけらと、笑いながら、
ちかいあった、
金と、銀は、おどりでる。
目の前の、ふすま。
そら、ついた。
彼女たちは、" おむかえ "、なのだ──。
銀娘:「カンクルと、うさ丸、この中?」
金娘:「ん♪ まちがいなっし。
ぇーっと……、入るか……。
す、すみませぇ~~ん……!!
ウチのウサギ、いますかぁー……??」
そろぉ────・・・!
それは、"ふいうち "、
だったのかも、しれない。
だれが、きずつく、わけでもなく──。
─── ─ ─ た だ 、
幼火:「 ぁ 、 あ …… 」
アンティと、マイスナを見た、
ヒナメ・タネガシは、
嘔吐した。
((((;゜Д゜))))










