発動しちゃってません?
姉乳:「どっちにしろ、何故、
こんなモノの存在を知っていて、
王都にも、王凱都市にすら、
報告していないのかは、
理解が出来ないわ」
白童:「まさか運用可能なものが、
すでに構築されているとは
思っていませんでした」
妹乳:「答えになっていませんわよ?
まあ、もう私たちが知って
おりますし、この会話は、
ギルドマスター3人には、
筒抜けでしょう。ご愁傷さまです」
白童:「……本音を言いましょう。
もし発動していたら、
対応できるのは、一部の者だけです。
余計な注目を避けたかった
のもあります」
姉乳:「アンタねぇ……何いってんの」
白童:「南フィールドを、
まるごと覆うような毒に、
誰か、対応できる人など、
他に、いましたか?
千人分の自分自身に、
勝てる冒険者が、
そうそう、いるでしょうか?」
妹乳:「そ、それはッ──」
熊神:「おま、それは、ちょっと、
なんか、違うんじゃねーのォ?」
白童:「王都の、頭が よろしくない、
一部の貴族連中が、
私兵を送るような機会も、
できれば作りたくありませんでした。
ボクはバカは救わない主義ですが、
人命は国の宝ですから」
熊神:「ヲィヲィ……穏やかなモノ言ぃを、
たのむゼ、回復職サンよォー……」
白童:「にっくき審議局の"汚れ"が、
キレイに無くなって──。
マザー・レイズの悩みも、
残るは、そこいらだけかと、
思いましたが?」
姉乳:「……!!」
妹乳:「なぜ、知って……」
熊神:「……そうなのか?」
姉乳:「……。最近、今の王族体制を、
快く思っていない
ゴロツキのウワサが、
チラホラ浮かんでるのよ。
王都は来月のお祭りの準備で
浮かれているけど……」
妹乳:「マザーは……少しだけ、
一部の貴族階級を、
警戒しているようです」
銃神:「そのような、不穏が……?
某は、まるで
初耳に ござるなぁーっ」
萌神:「へんっ……マジどうせ、
王女サマの誕生日にでも、
呼ばれなかった、
マジでアホな奴ら連中どもが、
マジ、血迷い出した、
だけじゃねっのぉー?」
異火:『 どの じだい にも
めんどう な やつら は
おるの じゃな ー ! 』
白童:「現王のバルドアックス陛下は、
権威などには、あまり
こだわらない御方のようですが……。
古い常識で、恩を無理に
売ろうとする俗物たちも、
確かに、生き残っていますから」
熊神:「おま……。っ、つまり……?
ナトリの街のトラブルが、
あんまり公になると、
それをムリヤリ解決しようとして、
王都のバカ貴族たちが、
兵隊を連れてくる──と、でも……?」
白童:「正直、このメンバーで、
"コレ"を、早期に発見できたことは、
とても幸いでした」
姉乳:「引っぱたくわよ、チビっこエルフ?」
妹乳:「早くなど、ありませんわ。
もう……たくさんの命が、
惨たらしく、死んでいます」
白童:「……失言でした。
今の表現は、謝罪します。
ですが、ボクは、
これらの事象を、
王都全体に伝達するのは、
まだ、早いと考えています」
熊神:「そんなに、伝わると、
面倒な奴らが、居るのかァ……?
王だけには、伝えるべき、
レベルだと思うぜ?
なんせ、王凱都市がひとつ、
毒でオシャカに
なるトコロだったんだ」
白童:「……少し、時間を、
いただきたいのです」
銃神:「調べる気で、ござるな?」
姉乳:「アンタ、どんだけ
悠長なコト、
言ってるか、わかってる?」
白童:「アオカさんと、
一度、資料を付け合わせ、
対策を練りたいんですよ」
姉乳:「あの子、その、" 共鳴術式 "、
ってヤツのことに、詳しいの?」
白童:「彼女のネットワークは、
あながちバカにはできません。
恐らく、マザーも把握していない、
何人かの、"お知り合い"が、
いるはずです」
姉乳:「よりにもよって……」
妹乳:「それを、あの人に育てられた、
私たちの前でいいますか」
金娘:「……、" アオカ "……さん、って?」
銀娘:「こういうコトに……、
詳しい、ヒト、なんですか?」
熊神:「ん? ァあ……!
えーっとな。今のご時世だとよォ、
何人かは……ニンゲンに協力的な、
"吸血鬼"が、いるンだよ。
"アオカ・ミラ・ブルーレッド"
つー名前でョ──。
吸血鬼の、学者サンでな?
オシハとヒキハの、
専属の医者でもある」
金娘:「……!」
銀娘:「そんなヒトがいるんだ」
白童:「ふふ……。アンティさんと、
マイスナさんは、確か、彼女と、
会っていましたね?」
金娘&銀娘:
「「 へ……? 」」
姉乳:「──! そっ、か……」
妹乳:「会って……いたんでしたわね」
金娘&銀娘:
「「 ??? 」」
白童:「ふふ……。
西の森に出来つつある、
エルフの村の、そばの森で──、
髪の、青い女の子に、
──トマトを、
貰いませんでしたか?」
金娘:「──ッ!! ぁあッ……!?
あの……っ!?
執事っぽいヒトと、
一緒に、いた……!?」
銀娘:「精霊花を、あげた、
青い、フリルドレスの子だ!!」
熊神:「なんだ、面識が あるのかよ!」
金娘:「き、吸血鬼、だったのかっ……!
ケムリみたいに、フッ、と、
目の前で消えたんですよ……!!」
銀娘:「エルダートレントから、
助けてあげたんだよ。
いーやつなの……?」
熊神:「あ、あァ……善人なのは、
確かだぜ? オシハとヒキハが、
陽の光の下を歩けるのは、
あの人の、おかげだしなァ。
"裏切り者の吸血鬼"、ってことで、
"穢れし血族"……なんて、
ウラで、呼ぶヤツも、いるが……。
まッ、不憫なハナシさ。
クマながらに、同情するゼ」
姉乳:「──アンティ! もし、また、
アオカに会っても、
"花守の村"のこと、
教えちゃダメよ?」
妹乳:「ふぅ……。ユユユ殿には、
プレミオム・アーツの地図機能で、
もう、バレバレでしょうが……」
金娘:「──え!? ぅ、うん?
……な、……なんでぇ??」
銀娘:「名前呼び、めずらしい」
姉乳:「ま♪ "招かれない"限りは、
そこのエルフくん も、
入れないカモ、だけどねぇ〜〜?」
熊神:「──! おま、それ……」
白童:「……」
金娘:「 ??? 」
銀娘:「 ??? 」
妹乳:「……やれやれ。
話を、戻しましょう。
本当に……"コレ"を、
しばらく、王に伏せるのですか?」
白童:「……まだ、城の全ての者が、
信用できる状態では、
ありません。王凱都市までに、
留めてほしいのです」
姉乳:「……アオカは、有益な情報を、
"ひみつのお友達会"で、
仕入れられるの?」
白童:「モチはモチ屋、という言葉、
ボクは、好きですよ」
妹乳:「……大勢に情報を与えておき、
似た施設があれば、
即座に報告させるべき、かと、
愚考しますが?」
白童:「……初代・真血三大家と、
エルダーエルフが試作した、
"オリジナル"の、
"ミュステルの座"は、
大きな、枯れ果てた大樹を、
利用し、作られたといいます」
妹乳:「……!」
白童:「"コレ"は、こんな地下に
ありましたが……。
場合によっては、
"地上露出型"も、ありえる。
そんな所に、欲に眩んだ者が、
大隊レベルの私兵など、
送ったと、しましょう」
妹乳:「ま、まさか……」
白童:「次は、ウサギさんでは済まなくなる。
無知は、知らないままがいい」
妹乳:「……」
姉乳:「はっ……。
どこかの吸血鬼の女医さんより、
よっぽどアンタの方が、
詳しそうねぇ……?」
白童:「ボクのは……ほんの、
うすっぺらい、表面だけの、
お話ですよ」
姉乳:「コッチには人生をかけて、
ぶっ殺したいヤツが、
い る ん だ が ?」
妹乳:「可能性は……すべて、
潰し斬るように、
私たちは、教わりました」
白童:「……元・神兵の方々には、
頭が下がります」
姉乳:「ヒキハ、私いま、
チカラ出ないから、
代わりに、ブン殴っといて」
妹乳:「引き受けました」
熊神:「まッ、待て待てまてェ……ッ!
まだ、おまえらのカタキが、
コレを作ったかどうかまで、
分かんねェーだろ……!?
わ、わかるが……アタマ、冷やせ」
姉乳:「とめんなクマ」
熊神:「──聞けよ。
もし、本当に"三大家"が、
生き残ってたとしても……、
3つのウチ、どこの派閥が、
コイツを仕組んだかは、
今の、おれたちには、
わからねェだろ……!」
姉乳:「それは──……」
熊神:「それに……ョ。ホントーに、
" ナイロン卿 "が、
噛んでいたと、しても……だ。
" どの代 "が、
おまえらのカタキかも、
分かっちゃいねェ。
そォだろォー……?」
妹乳:「そ……ぅ、です、けれど……」
金娘:「 ──"代"……? 」
銀娘:「 どの、だい、って、なに? 」
銃神:「──ぅむ。
高貴を気取った吸血鬼の家は、
子孫に、自らと、
まったく同じ名前を継がすと聞く」
萌神:「な、マジキモイよな。
例えばよ……。
" 純血卿エインゼル "に、
ガキができれば、
息子でも、娘でも、
マジで、そのマンマ、名前が
" エインゼル "に、なんだヮ」
金娘:「……! そんな、しきたりが、
あるんだ……!!」
銀娘:「名前を、ひきつぐんだね。
でも、それだと、
男か、女かも、よく分かんないねー」
銃神:「──然り。その通りでござる。
故に、"三大家"は、
謎に包まれておる」
萌神:「──へっ、マジ、古くせぇ、
マジ意味のネぇー、
世襲制だけンどなっ。
確かに、マジな情報は、ねーか……」
熊神:「このヘラヘラエルフは、
たまーに、メチャ腹立つヤツだが……、
"敵"では、ねェさ……そォーだろ?」
姉乳:「……」
妹乳:「……」
熊神:「少しでも、確かな情報が、
今は、必要だ。──な……?」
姉乳:「……」
妹乳:「……」
白童:「──……」
金娘:「……」
銀娘:「……」
姉乳:「……オーラィ。いちど、
飲み込んであげる」
妹乳:「……しょうがありませんわね」
白童:「感謝します」
姉乳:「"とても年下"のクマさんに、
存分に感謝することね?」
白童:「……」
金娘:「……??」
銀娘:「……??」
熊神:「……やれやれ。
クマさんの胃、
強くて良かったゼ」
銃神:「からから♪」
萌神:「マジおつクマ」
妹乳:「ですが……私たちの私情は、
いったん、置くとしても……。
ひとつ、どうしても、
言及したい事は、
ありますわよ──……?」
白童:「──はいッ!!!
なんでしょう???」
妹乳:「
────もう、
この、" ミュステルの座 "とやら……、
" 発動 "、しちゃってません?
」
獣王:「 ガォ、ウェッ、プ……! 」
ゴウカさん吐くんか!?∑((;゜Д゜))










