血迷い羊
前の話、めちゃくちゃ書き足しました……。
ごめぬ。本当にごめぬ。
お詫びに、後書きで、"アンティ特製ポタージュもどき"のレシピをば……。
「…………」
あまりに予想だにしない事を言われたので、思わず、硬直してしまった。
「……ここまでされれば、わかります……。あなたは、私達だけでは力不足だと思った誰かが、秘密裏に雇った、護衛の方なのでしょう……?」
…………。
………………。
……………………んん?
「……なんの、こと?」
「お隠しにならないで」
いや……
隠すもなにも……。
どうした、羊。
変なモン、食ったか?
「……言っている意味が、よくわからないわ」
「まだ、とぼけられるのですか!」
うぉい、何じゃい。
何故に私が、叱咤されねばならんのだ。
あっ、ほら……あんた大きい声だすから。
みんなこっち、見てるじゃないの。
「あなたが、ただの郵送配達職だと言うには、おかしい事がありすぎますわ!」
な、何だと、この羊ぃ……!
私のこの、黄金の格好の!
どこ……が……おか、しい、ん、だ…………ぃ。
「まず、あなたの戦闘力! なんですか、あの腕力!! 手紙を運ぶのに、まっったく! いらないでしょう!!」
「ぐふっ!」
いきなり致命傷じゃないの!!
「次に! あなたの手持ちの資材! 手紙を運ぶだけで、そんな大容量のアイテムバッグを携帯する必要は、ないはずですわ!」
……ぇえ?
いや、そんな事、ないでしょ。
今、1万2千通くらい、手紙、持ってんのよ?
「それにっ! 緊急用のベッドや、数人分の食材を常に確保していますっ! 完ッ全に、救護活動用の資材ではないですかっ!!」
「あれは……」
いやあれ……私のベッド、だってば……。
野菜は、ウチの両親が、ちょっとやんちゃでして……。
「それに、極めつけは……」
な、なんなのよ……。
「あなたの……"人となり"、ですわ」
はぃ?
「あなたの考えや行動の仕方は常に、相手の命と、心を大切にする事が、念頭に置かれています……」
「……それくらい、当然でしょう」
「……あなたのような若い少女が、その強さを持って、その考えにいたるでしょうか……?」
うわぁ、どんどん収拾がつかなくなるぞ、この人……。
「……私にはわかります。私とて、強さを求め、修練を重ねた者……力と心を、磨いてきたつもりです」
はぁ。
そすか。
さいで。
「──いつも思います。大きな力を扱うためには、強い心が、必要だと。力に振り回されてはいけない、と」
う、うん。
言ってる事自体はわかるんだけど……
強い心を鍛えたいのなら、
刃物をナデナデするの、やめなさいよ。
デレッデレだったわよ、あんたの心。
「不思議です……あなたのチカラは、強大です……危険すぎる、力です」
ぐっ……!
や、やばい!
問題、さきおくりにしてた……!
このひとたち、
どうやって、くちどめしよう……。
「……なのに、あなたを見ていると、安心感がある。何故なのでしょう。……あなたは、自分の力が怖くないのですか?」
「こわいって……」
そりゃ、こわいわよ……
こわいけど……。
「────"包丁と一緒"、でしょ?」
「えっ?」
ヒキハさんが、とても意外そうに、目を見開く。
「包丁。先が尖ってて、こわいでしょ?」
「えっ? は、はい?」
「料理に使うけれど、これで、人を殺す事も、できるわ」
シュパッ!
私の手に、包丁が握られる。
わざと、ヒキハさんに、包丁の切っ先を向けてみる。
……不本意だけどね。ちょっとだけゴメン、マイ包丁。
「うっ……!」
いや、そんなビビらなくても……。
すぐに、切っ先を引っ込める。
「ポタージュ、美味しかったでしょ?」
「……え?」
「だから、ポタージュ」
「……はい。とても……」
「ん……」
ま、嬉しいわね……。
「私はね……この包丁で、"絶対に料理しかしない"。だから、あのポタージュは、美味しくなるの」
「…………!」
「"力"は、この包丁と、同じ。小さくても、大きくても、どんなモノでも……ぜんぶ、同じなのよ」
「あ……」
だから、ただの包丁だって……。
使う人によって、凶器にも、美味しいポタージュを作る道具にも、なるでしょう?
……まぁ、魔刀だけど。
あ、やべ、忘れよ……。
……まったく。
何でこんな当たり前の事を、この中で1番年下の私が……
あ……シャンティちゃん、いたわ。
あ、すぐ側いるわ。
あぶなっ。
包丁しまおう。
「不思議です……」
なんなのよ、もぅ、なんなのよ。
「……あなたは、とても大きなチカラを持っている」
ぐぅっ!
「でも、多分。あなたの心は、それより大きく、強いのだわ……それが、あなたの側にいると、よく感じられます」
「……何を言っているの」
「ふふっ、変な人です。そんな変な格好をしていて、とても危険な力を持っているはずなのに……喋れば喋るほど、それらは、人柄の前にかすんでいく。あなたの心の前で、どうでもいいものになっていく……」
な……にを……
「────その心の強さ、いくつもの修羅場を潜ってきたからこそ、持ち得るものでしょう。教えて欲しいのです。あなたは、とても腕利きの護衛の方のはず……」
なに、を、さっき、から……
「あなたは、何故、私たちの護衛を、してくださったのですか?」
さっきから、なぁぁぁぁああああに言ってんの、この羊さんはぁぁあああ────────────!!!!!
〜アンティ特製ポタージュもどき〜
①フタがある鍋を用意する。
②水を5分の3ほどはる
③火ぃつけな!!
④ノリで野菜を入れる。
例:キャベツ、ニンジン、ピーマン、玉ねぎ、かぼちゃ、トマトが好きな人はプチトマト(大量)
溢れるくらいいれてもいい。でも、後で水が吹き出しやすいので②で調節。
邪魔くさかったら鍋用とか、バーベキュー用の野菜セットで可。でも、しいたけは入れないようにする。好みだけど。
⑤あらびきソーセージを1cmくらいにカットして入れまくる。最低5本。(財力に余裕がある人は、厚切りベーコンでもよい)
⑥フタをして、適当に煮込む。
⑦粉末のコーンポタージュの元を入れまくる。最低5袋は入れる。とろみがつくまで。ちょっと入れすぎたかな? くらいのとろみで可。
ここでかき混ぜておくと、後で焦げない。
⑧中火でトロトロ煮込む。
⑨胡椒をノリで入れる。混ぜなくていい。
⑩弱火で、気の済むまで煮込む。
⑪高カロリーなので、数回にわけ、朝食として食す。でも夜に食べたい。
(●´ω`●)+
お腹を壊したら、それは布団をかぶりなさい。