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真血と精霊の語り部

※前話、かなぁり書きなおしました(;^ω^)。






 あああ は まよった



 にんげん の まほう は


 いんしつ を きわめて いる


 なかま の なかみ を


 うばわれ つづける


 ことは もう


 ゆるされ ない






 あるひ


 ちの おう たち が


 かたり かけた









 じゃあく には


 じゃあく な もの で




 あ ら が わ ね ば




             と。













白童:「 ──" 真血(しんけつ)三大家(さんだいけ) " を、

        知っていますか?」



 オシハとヒキハが、顔をしかめる。

 それを(さっ)し、クマは返した。



熊神:「いま……必要な、話なのかよ?」



 ユユユは、剽軽(ひょうきん)な ジェスチャーで返す。

 オシハなど、(にら)みつける(いきお)いに近い。


 それに気を つかいつつも、

 クマは、どうせなら、と、

 自分が、返答した。




熊神:「はァ……。


    ──" トゥルークノデ() " 、

      " トゥルーバンブ() " 、

      " トゥルーブラッド() " 、の、みっつだ。


    もう、現存してるかも わからねェ、

    " 伝説の吸血鬼 "……ども。そうだろ? 」



 クマの言葉に、

 オシハが、食ってかかる。



姉乳:「あいつらは、

    生 き て い る わ 。

    少なくとも、ひとつだけはね」

妹乳:「ええ、そのとおりです」



 オシハの怒気を、今ばかりは、

 ヒキハは、まるで止めない。



熊神「はァーッ。コイツとはな、

   飲み屋で、この話題で、たまーに、

   ケンカになンだょ……。

   仲間内(なかまウチ)でも、

   " ダブー(taboo) " ってモンはあンだヮ。

   ソレを引っ張りだしてきただけの、

   価値は、あるンだろーなァ?

   えェ? 回復職の、エルフさンよォ」


金娘&銀娘:

  「「……! ……、」」



 (めずら)しく、ちょい険悪な雰囲気(シンエル)に、

 アンティとマイスナは(おどろ)くが、

 ユユユは、まったく意に(かい)さない。



白童:「かつて、ニンゲンの魔術の研究は、

    常軌(じょうき)(いっ)していました」



 淡々(たんたん)と話す、エルフの少年を、

 周囲は、静かに見つめる。



白童:「今でこそ、とある英雄のお(かげ)で、

    エルフと人間は、仲良しですが──。


    昔──、800年くらい前までは、

    人類魔術の研究に、

    平気で、エルフの内臓(ないぞう)など、

    使われていたり、しましたから」


金娘:「……っ、……」

銀娘:「ないぞう……?」



 顔をしかめる、アンティとマイスナ。



白童:「当時のエルフたちの、

    (うら)みつらみは──、

    相当な、ものだったでしょう」


熊神:「 ──ハン。

     見てきたように言うなァ? 27歳 」


白童:「 ──ふ。

     それは本当(ホントウ)ですからね? 」



 クマの(あお)りを、

 ユユユは、ニヤリと、

 笑顔で、返しやがる。


 クマは、食えねェヤロウだ、

 と、思いつつも。

 今までの仲もあり、

 ため息まじりで(うなが)した。



熊神:「ふゥ……やれやれだゼ。

    ──それで?」


白童:「仲間を殺され続け、

    怒りと悲しみに支配された、

    (ふる)き、エルフたちに声をかけたのが、

    ──" 吸血鬼 " たちでした」


姉乳:「──……!」

妹乳:「そんな……話!?」



 まったく聞いたことのない物語に、

 ヒキハは言葉を考えず(しゃべ)るが、

 ユユユを(だま)って(にら)みつけるオシハに、

 制止(せいし)される。



妹乳:「──……っ」

姉乳:「まぁ……聞いてやろうじゃないの」



 ユユユは、少しだけ気配りのような間を置き、

 そして、言う。



白童:「魔術系統は、どちらも独特で、

    全くといっていいほど、

    類似性はありませんでしたが、

    (たが)いに、長寿(ちょうじゅ)の種族です。

    とても研鑽(けんさん)され、その知識や知恵は、

    ()け合わせられるレベルに、

    (たっ)してしまっていた」


獣王:「ガ、ォ……」



 今日のエルフは、よくしゃべるが、

 それは、騒音で、あっただろうか────?



白童:「結論(けつろん)から言うと、

    エルダーエルフと吸血鬼は、

    共同で、とある魔術を開発しました」


銃神:「よもや……」

萌神:「マジかよ……?」



白童:「──そぅ。

    ()()ですよ 」




 ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・!!


 ユユユは、眼下に広がる、

 邪悪な建造物を、

 ちょいちょいと指さし、あっさりと()ぐ。





白童:「" 共鳴術式(ミュステル) " と呼ばれる、

     魔術結晶を構築、増幅する装置です。

     どうやって共鳴させ、増幅するかは、

     もう、お分かりだと思いますが」


姉乳:「……」

熊神:「そんな記録は、聞いたことが、ねェぞ・・・」


白童:「これには、命を使います。

    生命を、とある感情で" 共鳴 "させ、

    " 増幅 "し、ひとつのカタマリに、

    " 結晶化 "させる。

    その(うつわ)は、" ミュステルの座 "、と、

    名付けられました」



 ユユユは、遠くを見る目で、

 抑揚(よくよう)のない声で、" かつて "を、語る。



熊神:「……" 生きたい "という心を共鳴させて、

    いったい、何が……生まれるってンだ」


白童:「非人道的で、

    しかし画期的な" 共鳴術式(ミュステル) " は、

    エルフと、吸血鬼、

    双方の種族の、断絶へと(つな)がりました。

    " 実験 "が、失敗したからです」


熊神:「あたり前だ・・・こんなもの、

    何も、成功なんか、しねェ・・・」


白童:「エルフも、吸血鬼も、

    材料となった人間も、たくさん死にました。


    エルフの祖、アアアは、(なげ)きました。

    やはり……怨嗟(えんさ)のためとはいえ、

    こんなことは、するべきではなかった、と。

    復讐(ふくしゅう)は忘れ、どこかに、

    花の(あふ)れる、エルフだけの故郷を、作ろうと」


金娘:「……!」


白童:「吸血鬼の、(だれ)かが、言いました。

    まだ、" 実験 "が、足りない、と。

    " 生命(いのち) "を()え、" 規模(きぼ) "を()えば、

    コレは、必ず、成功する。

    " (おも)い "をチカラに()え、

     まるで新しいイノチのような、

     最強のチカラが、手に入る、と──」


姉乳:「イノチのような、チカラ、ですって──……?」



 オシハが向き直り、ユユユに言う。



姉乳:「()()が、成功すれば・・・、

    " 何か "が、()まれるというの?」


白童:「" 真血(しんけつ)三大家(さんだいけ) " の、

     誰かは、、、そう思っていたようですね 」


熊神:「バカげてるぜ・・・」

姉乳:「でも、ここには、ある」




 おおきな、くらやみの なかで、


 はなたれる、そんざいかん。




姉乳:「だれかが、いきのこって、いるんだわ」

妹乳:「 ─ 」

姉乳:「──そして、()()()()()。そうでしょう?」




 ユユユは、動かなかった。




熊神:「そんな、バカな・・・」

姉乳:「クマ、忘れたの。この子たちは、

    北東の森で、遭遇(そうぐう)してる」


金娘&銀娘:

  「「……!」」



 オシハの言葉に、クマは、ハッとする。



熊神:「──!!

    " アミ・ミュステルさま "、とか言ってた、

    目玉の、"魔人"か・・・!!」

姉乳:「ようやく、嚙み合ってきたじゃない」



 ふぅ、と、オシハは気怠(けだる)そうに、

 自分の乳の下で、腕を組んでいる。



姉乳:「アオカは知ってるの?」


白童:「もう、相談して、調べてもらっていますよ」


妹乳:「……」

姉乳:「意図的に、私たちに黙っていたと、(とら)えていい?」


白童:「あなた方は、この件に関しては、

    熱くなりすぎる。タイミングを、見ていました」


姉乳:「チッ・・・体調が万全なら、

    前蹴(まえげ)りくらい、

    食らわしてるレベルなんだけど?」

妹乳:「私は、元気なのですが?」



 怒気を増す羊雲姉妹(ツインフェルト)に、

 ユユユは、微笑(ほほえ)みで、返している。



白童:「勘弁してください。いま、言いました」


姉乳:「ぶっとばされてえのか」

妹乳:「最悪のタイミングだと、思わなくて?」



 それを見ていたアンティたちは、

 内心、(おだ)やかではない。

 特に、穏和(おんわ)なイメージしか知らない、

 剣士姉妹が、明らかに殺気立っているのは、

 アンマイには、ポッポ鳥に豆に違いない。



金娘:「ひ、ヒキ姉も、、、キレてる・・・?」

銀娘:「有名な、昔の吸血鬼が・・・生きて、いるんですか?」


熊神:「ハァァ……やっぱ、

    こういう感じに、なったかよ」


 ピリつく中、アンマイのそばに居たのは、

 へたり込む、ベアマックスであった。

 クマは、ゆっくりと、しゃべる。



熊神:「・・・なぁ。

    確かに、" アミ・ミュステル様 "って、

    言ってたのか?」


金娘&銀娘:

  「「 ──! 」」



 アンマイは、(うなず)く。



金娘:「はい……、言って、ました」

銀娘:「……ぅん」


熊神:「そっ、か……。

    だと、したら……、もしかすると、

    " 真血 "の吸血鬼の、

     誰かが・・・生き残っていて。

     ヤベェもんを、" 産み "だそうと、

     してンのかも、しれねェー……」


金娘:「えと……" 意志を持つ魔術 "、

    みたいな、もの……ですか?」

銀娘:「こんなので、うまれるのは、

    マトモな、ものじゃない」


熊神:「ああ。クマさんも、心の底から、同感だァ。

    やれやれ──……」



 オシヒキとユユユは、

 剣呑(けんのん)な雰囲気を(かも)してはいるが、

 手が出ない所は、まだ、仲間内か。



金娘:「" 真血の三大家 "・・・」


熊神:「──フッ。カーディフのガッコーでは、

    (なら)わなかったかィ?」


金娘:「──ぐっ!?///」



 いきなり、隠しているはずの故郷の名を言われ、

 アンティは動揺(どうよう)するが、

 そういえば、あの大聖堂で、

 ほとんど、話してしまったのだ……と、

 なんとか、ふんぎりを、つける。



金娘:「……っ/// そ、

    そんなに、詳しくは、習って、

    いませんが──・・・」





 なまえ、だけなら──と。


 ──彼女(アンティ)は、秀才であった。






金娘:「

     " 純血卿(じゅんけつきょう) "、

      エインゼル・トゥルークノデ。


     " 裁縫卿(さいほうきょう) "、

       ナイロン・トゥルーバンブ。


     " 建造卿(けんぞうきょう) "、

     レンフィルド・トゥルーブラッド。

                      

           ですよね……?  」


熊神:「ほォー・・・。

    おまえサン、試験(テスト)の点、いいだろぉ?」


金娘:「ぃ、いや・・・っ///」

銀娘:「アンティはね、百点満点なんだよー」



 照れるアンティの前で、

 オシハとヒキハは、やはり、

 ユユユに、メンチ切っている。


 アンティは、少し冷静になり、

 ポツリと、言った。



金娘:「なんで、あんなに・・・」


熊神:「怒っているか、か?」



 アンティとマイスナは、

 座り込むヨロイクマさんを見る。



熊神:「まァ……アイツらも、

    レイズさんに引き取られるまでは、

    けっこー、つれェー()にあいながら、

    (そだ)ってっからなァ……」


金娘:「 っ! …… 」

銀娘:「 そうなの……? 」


熊神:「まーな。おれも、

    バケモノ(あつか)いだった時期があるから、

    ソコは、わかンだヮ」


金娘&銀娘:

  「「 ……、 」」



 昔を思い出すような、

 クマの、瞳。




熊神:「さっきの、伝説の吸血鬼の、

    三人、だがな?」



 ベアマックスは、

 オシハたちを見て、静かに言う。



熊神:「生きているかなんて、わからねェー。

    ずっと昔に、北東へ逃げた、とか、

    死んだとか、行方不明とか、

    ウワサは、色々だ」


金娘&銀娘:

  「「 ……はぃ 」」


熊神:「でもな? おまえたちも、

    おれらの仲間なら、

    ──これは、(おぼ)えとけ」


金娘&銀娘:

  「「 ……? 」」



 すぅ、、、と、ベアマックスは、

 ひと息、深呼吸する。




熊神:「

     オシハとヒキハの母ちゃんの(かたき)は、

    

     " 裁縫卿(さいほうきょう) "、

     " ナイロン・トゥルーバンブ "  だ。

                        」


金娘&銀娘:

  「「 ──ッッツ!!! 」」


熊神:「教会に、ふたりの赤ん坊を持ってきた、

    アホな使い捨てのグールは、

    " トゥルーバンブ家 "の眷属だったんだ」


金娘:「 そっ…… 」

銀娘:「 ……だから 」




 アンマイは、剣士たちの、

 怒りの理由を、知る。


 そうか、、、もし、


 生きて、いるなら──……。






熊神:「アイツらを、産む前に、よ。

    親を、" ヤッちまった " のは──……、

    人生(ジンセー)(くる)わしたのは、

    ソイツ、なんだと 」


金娘&銀娘:

  「「 ……、…… 」」






 ふたりの主人公は、

 言葉を失くすしか、なかった。









ナイロン卿ゆるすまじ(ꐦ°᷄д°᷅)

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『今回の目次絵』

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミュステル座作った時点で邪悪な人間と同じラインに立ってしまったんやな…。顧みて平和を求めたエルフと更に進んだ真血の誰か、その犠牲がボゥルラビットに(T-T) 吸血鬼だけに血ミドロドロな復讐…
2022/02/07 04:59 ズブロッカ
[気になる点] 殺さずに教会に赤ん坊を連れてきたナイロン・トゥルーバンブが実は良い奴で、二人の母親を殺したのは別の奴説が頭に思い浮かんだんだが……
[良い点] 初感想にょきっとです!! いつも更新楽しみに待ってます! [気になる点] 前々から気になっていたんですが…どうやってこんな量の設定とか考えてるんですかね? 自分だったら準備だけに何年かかか…
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