ゆびさしレディのさすさきへ
「よし……」
一夜明け、いよいよ調査を再開する。
昨日は、私のお話だけで、終わってしまった。
「アンティ、大丈夫だよ」
「ん……///」
マイスナが、大きく見える。
私も……負けないようにせねば。
色々あって、
プレミオムズの皆とは、
顔が合わせづらい……。
と、おもったら、
オシ姉にアタマを、
パシっ、と、ハタかれた。
「「 いてっ 」」
な……なんふか。
「キレイなお姉さんに助けを求めるのは、
悪いことじゃないのよ?」
「「 は、はぁ……? 」」
なんだなんだ。
「必ず、困ったら呼びなさい♪
じゃないと、ぶっとばすわよッッ!!!」
「「 ……、──ッ!? 」」
「 い い わ ね !? 」
「「 ……( コ、コクコク ) 」」
「ん〜〜ふふ〜〜♪♪」
わ、わろとるで……。
にゃ、にゃんで、ゴキゲンなんだぁ……?
言ってるこたぁ、中々ブッソウだけども。
オシ姉は、大剣をふたつ背負いながら、
スタスタと前を歩いてった。
後ろから来たヒキ姉に、
「よかったですわね♪」
と、言われる。
な、なんなんじゃぁ……い///。
「ぁ……あと、クラウンさんには、
謝っておいてくださいま──ふぐんっ!?」
────────きゅぅうううんん……!!
──ぶよぽぉおおんっっ──……ッ!?
小さな歯車が、
おっぺぇに、突貫した。
「わたしじゃないよ……。
わたし、ワルイはぐるま使いジャナイヨ……」
『────:ぴゅー(*´з`)~♪☼』
「よ、よこちちが……」
とうとう、クラウンまでも、
きょぬーくらっしゃーと、
なったのだろうか。
ダメージを食らいつつも、
悠然と震える妹乳に、
マイスナが、親のカタキを見るような、
殺気を放った。
ばるんぼるんぼるんっ・・・!!
バルンぼるんバルンっっ・・・!!
「シャ──ッ!!」
トウゼンロー様とプウカちゃん達には、
大聖堂に残ってもらうことにした。
「食料と水……けっこう多めに、
置いていきます!
メイドも残させますんで、
なんでも好きに、申し付けてください」
「……すまぬな。流石に、
娘をすべて、虚無の空間に、
浸すのは、
心、穏やかにあらず……」
「と、父様……! 何と、まぁ……!
今からアンティ様方は、
兄様と共に、ソコへと、
出向かれるというのに……!」
いや、それは、
お父さんのほーが、正しいって……!
大聖堂の下は、だだっぴろく。
まっくらで、何があるかなんて、
誰にも分からないのだ。
いや……何も、無さ過ぎるのカモ……。
まさに……"虚無"って感じ。
ナトリの、七人のお姫様を、
留守番にするのは、
当然の判断だろーと思うわ。
むしろ、街に帰っちゃってくれても、
いいと思うんだけんども……???
ヒナワくんが、
どうやら同じ考えだったらしく、
お父さんに物申したった。
「父上……某たちの帰りを待たずとも、
プウカ達と共に、すぐ、
ナトリへと引き返されては……?」
「いや──待つぞッッ!!
なぁに、使いの鳥は、
そろそろ、着く頃合いであろうて!
ワシらが帰路を急ごうとも──……。
それに、この妹たちを見よ!!
其方を放って帰るなどと、
とても、やるような、
面持ちではなかろう。
──のぅ?」
「──そうでございますっっ、あにさま!!」
「この先の調べが……、
私たちでは力不足なのは、
百も承知、ですが……!
せめて! この不思議な大聖堂にて!
兄様の、お帰りを!
お待ち申し上げております故……!!」
「お、おろろぉ……」
ポニキ、完敗。
……ふふ。
妹ちゃんたちの決意は、
かたいみたいだ。
少し微笑んでしまった。
「おっ。マジ元気でた?」
「──!」
すぐ横に、マジカちゃんが居ると気づいた。
「へへへ……マジ寝すっと、
マジちっとは、スッキリするよな?」
「そ、、、そうです、ねっ……///」
なんとも、顔を合わせづらい……。
私は昨日、どんな顔をして、
あの話をして、いたのだろうな……。
すると、おしりを、
──ポンポンっ☆ とされる!
「きゃ……!?///」
「──ま! この空間だとよ!
マジ、ウチは役立たずっぺーけどよ?
いざと言う時は、マジ体内の魔力、
マジブッパしてやっからよっ!」
「そ、それ、だいじょーぶなんスか……?」
そ……そっか。
"ラグエル領域"だと、魔力って、
分散、しまくっちゃうんだったっけ……?
てか、おしり触らないでくださいよ……///
ふくれていると、
不安そうなクマさんと、
ライオンさんが来た。
「あ、あのよォ……おま、いちおー、
確認なンだけどよぉ……」
「? は、はぃ?」
「今日は、その……、
この大聖堂の外の……"下"に、
調査に行くんだよなぁ……?」
「ガオオオオオオオォ……!?」
「そ、そうですね。
今も、空間接続した歯車を、
下に先行させて、
毒を吸い取ってるんです」
「げんきょーが分からないから、
見に行くしかないねー」
と、マイスナも説明。
くもる、くまくまフェイス。
「あのよォ……分かるたァ、
思うけどよぉ……。
オレたち、けっこう、
重量系、、、なんだわァ……」
「ガ、ガゴォオアアアア……!?!?」
めっちゃ不安そうやんけ。
「高いところ……クマ、こえぇ……」
「ガオガオォォ……!!」
「だ、大丈夫ですよ……!
なんか、考えますから!」
「で、でもよォォ……!
やっぱり、油断したら、
落下するようなフィールドってのは、
オレみてェな戦闘スタイルで、
しかも、カラダがデッケェ、
タイプからしたら、
めっちゃ不安なんだががが……!!」
「ガオ、ガォ、ガァアアア……!?!?」
ベアさん、ヨロイで全身おおって、
バーグベアみたいに、
地面を回転しながら攻撃、
するタイプだもんなぁ……。
ゴウガさんは……がんばったら、
風の魔素、蹴って、
しばらくは空中、走れそうだけど……。
「ま、フツーなら、いつか落ちるわな……」
「だいじょうぶだよ。
アンティと私から見たら、
クマもおっぱいも、
同じようなニクのオモシだから」
「ねぇ、聞いた? ヒキハちゃん?
アンタ、重し付きだってよ☆」
「あら、奇遇ですね、姉さま☆
貴女さまも、
下が見えないのではなくて?☆」
はああああああああああ!!!???
チチで、したがッ、
見えないだああああああああ???????
憎悪の空よりナニかが来そうになったが、
ニコニコエルフくんの、
光り出した、特殊な武装に、
目を奪われる。
ぴ──、かぁぁ────────ッ。
「「 ……!! 」」
ユーくんの、あのヘッドホンは……、
いったい、どーなってんだか。
光がおさまると、
ヘッドホンは消え、
代わりに、ゴツイ宝石が、
たっっっくさん、垂れ下がった、
エルフ特有の、トンガリ耳が姿を現す。
そして、体の両サイドには、
浮遊する、巨大な、
羽根つきの、ゴーレム・ハンド──……!
────ふわぁ──。
「ボクのコレ、
実は、空飛べるんですよー!!!
ま、めっちゃ疲れるんですけどねぇ──!!!
ははははははははは──っ!!!」
おっ。
今朝は、うるせぇな。
ちゃんと。
「だからですねえええ──!!!
できれば、ボクもおおお、
そこのオモシ共と同じく、
下降手段は、
アンティさん方に、
おんぶにだっこ、
したいんですよぉおおお──!!!」
怒られろ、エルフ。
「……ユーくんって、
仲良くなると毒吐いてくるタイプですか?(金)」
「ああ……ヒデぇもんだぞ。
オレらんナカで、
アイツが一番、クチわりぃからな……(熊)」
「ごるあああああああ!!!
誰がオモシ共じゃ、
ひとまとまりにすんな、
駄エルフがあああああああああ!!!(怒乳)」
「ホホホ♪♪ おもしろい曲芸師ですわ♪
撃ち落として差し上げましょうか?(怒乳)」
「マジレスすると、
ウチも魔力マジ温存したいんで、
下行くの、マジたよってえーか……?」
ええよ。
「いいって言ってるじゃないですか……」
「おーぶねに乗った気でいろ」
「アンティ殿たちが言うと……、
本当に、船でも作ってしまいそうで、
ござるなぁ……からから♪」
い、いや、そこまで、するかぁ。
え? 箱庭だす?
いやいやいやいや……。
『 ひなわよー われも、
ついてって、よいかのー 』
「ガンゼル殿が、よろしければ、是非に。
某の腕の近くに、
居って貰わねば、
困りまするし──。
何より、"火の武神"と言い伝えらるる、
ガンゼルレイン殿が御一緒となれば、
百人力でござるよっ!」
『 てめー/// おだてるのばっか
うまく なりやがってー/// 』
天然☆火ノ神ガンゼルちゃんは、
ヒナワくんの肩に、よじ登っている。
かたぐるまかな?
お休みの日の、
公園での、お父さんと、子供かな?
『 うおお、たっけー! 』
「が、がんぜる殿……、
あんまり、動かないで、でござる」
大丈夫っ、かなぁ……。
生暖かい目線の中。
装備フル解放中、
準備万端って感じのユユユ君に、
質問される。
「──ま、ぶっちゃけた話だけど。
ボクは、攻撃を受けてからじゃないと、
反撃できないスタイルなんだよね。
だから、前方から来た攻撃を、
ベアさんと受けたいワケさ。
せっかく、前衛をできる回復職、
ってので、この立場に居るんだよ。
移動は任せてしまうけれど、
それが、代わりに君たち二人を、
守る事になる。そうだろ???」
「……急にフツーに、しゃべんないで。
お芝居ってのは、最後まで、
貫きとおすモンよ?」
「あの反射ビームって、
その、耳についたイヤリングの効果なの?」
マイスナの質問に、
ユーくんは、にっこにこ無言である。
っ……ホンットに、いー性格してらぁ。
すぐ後ろに、オシ姉が戻ってきていた。
「……移動手段、信頼はしてる。
でも、やり方は先に聞いておきたいわ?」
そりゃ、そーよなぁ。
底なしの闇に行くんだ。
命に関わってくる。
マイスナと、いっしょに答える。
「──ん。ブロック降下型か、
飛行ユニット型か、で迷ってる」
「光源も確保するつもりです。
私の雷もあります」
「そうか……厳密には、
アンタたちの能力は、
魔力依存じゃないのよね……」
「おま、ちょ、飛行ユニット型、
つったか……?
ハハ……クマさんの背中に、
翼でも生やすつもりかよ?」
「「 っ! 」」
マイスナと、目を見開き、
すぐに視線をカチ合わせ、
にかっと笑った。
ま、イタズラ心ってヤツだわ。
────ばさぁあっっ!!!
「えっ!? ウオォ──!?」
ベアさんの背中に、
純白の翼が顕現している。
「な、なんじゃこりゃあああ──!!??」
「ガ、ガオォオオオオ──・・・ッ!?!?!?」
すぐ横にいたゴウガさんが、
メチャクチャびっくりしてるわ。
「マジウケる」
「アンティ殿って、
あんなこともできるのでござるか……」
『 あれ、くまかー? 』
──ばっさぁ!!
──ばっさばっさぁ!!!
「うおおおおおおおおお!?!?!?
勝手に、はばたくぞぉおおオオオ!?」
となりのオシ姉に、話しかけた。
「いちおー、ブースターを複数つけた、
推進機を搭載した、
各・個人用バックパックを、
設計してもらってる」
「……あの、天使になりそうなクマは何?」
「くまがみさまよ?」
スライムの羽根でも、
精霊王になれるクマ。
「おや……♪♪♪
意外とアリかもしれませんよぉ……♪♪♪
操作性さえ何とか出来れば、
滑空と急旋回も、
できるかもしれませんし♪♪♪」
ぃ、いや……? あの翼は、
かんなり、冗談のつもりで、
やったんだけども。
クマさん、最初はビックリしてたけど、
なんだか、目が……キラキラしてきた。
「男って……」
──ぎゅんむ。
オシ姉が、腕を組みながら、
ため息をついて、いらっさる。
そン腕に乗っているオモシをやめろ、
見せつけんじゃねぇ、強調されている……。
「ま、まぁ……一度、外を見てみて、
それから、どんな方法で降りるか、
決めてみようって、思ってる」
「──そ。じゃ、行きましょ。
頼りにしてるわよ? レター・ライダぁー☆」
「えうっ」
オシ姉のウインクは、
なかなかチャーミングで、
すこしハラ立つ。
「おっぱい姉は、
オトコのヒトに、モテそうだなぁ(銀)」
「いえ……あれでも怒ると、
めちゃくちゃコワイ部類、
ですからねぇ……。
ホホホ……♪♪」
「では、父上、皆、行って参ります故」
「ぬかるなよ、せがれよ」
「「「「「「「 お気をつけて!!! 」」」」」」」
「「「「「「 いってらっしゃいませ 」」」」」」
外に、出る。
「あの、大聖堂……ほんと、
不思議な、空間ですわね……」
「こぉーら、ヒキハちゃん?
今から、大事な大事な調査ぁ。
たしかにキレーだったけど、
気を、引き締めなさぁい?」
「……! そうですわね。
姉さまの、言う通りですわ」
オシ姉、ふわふわしてるけど、
そゆー指摘、
さらっと言うっぽいよなぁ〜〜。
解釈一致だわ……。
「ま……マジ、なんだ」
「「 ? 」」
「マジ、たよってばっかだけどよ。
かわりに、マジな時は、たよれよ?」
「「 ……/// 」」
「な、なんだよ……」
マジカちゃん、マジ神コケシ。
「ありがとうございます、萌え神さま……!」
「ありがたや、ありがたや……!」
「やっ、マジ、やめぇ……!
てか、おまえらマジけっこう、
余裕あんな……!?///」
う!? ぇ、いやぁ……、
昨日は、しゃべりまくっちまったが、
それは、それで……けっこう、
スッキリしてるトコロも、
あんのよね……。
情けなさ、
半分こ、なトコロも、あんだけんども。
つーか、ヒゲイドさんとリビにも、
筒抜けっぽいんだよね……。
てか、トウゼンロー様も、
ぜんぶ、聞いとるワケだし……ぅうーん。
まーた、ウヨウヨしそうになったが、
前を歩く、クマさんの声で、
我に返る。
「──おま……、おぃ、見ろよ──」
大聖堂の入口の外には、
立礼する、
14体の、女性の立像があったはずだ。
ユーくんが言う。
「ポーズが、変わっているね」
そうだ。
動いている。
十四の、姉妹、すべて。
「……マジかよ。
みんな、同じほーを、
──指、さしてるぜ」
──────" 下 "、だ。
したを、ゆびさしている。
のっぺらぼうみてーな顔も、
しかし、視線を、感じる。
「下を……みんな、見てんわね……」
「驚きました……やはり、
ゴーレムなんですの……?」
おっぱい姉妹さんらは、
この14体のレディが、
敵ではないか、少し警戒しているぽい。
でも──そうじゃない。
今は、この人たちは──。
「──クラウン。14体、全員の、
指先と、視線の向きを概算しろ。
少しずつ……角度が違う。
指し示している、
正確な位置と深度を割り出せ」
『────レディ☼
────分析完了☼』
「……!! おま……、
そんなことも、できるのか……」
「は……!神さまを、
小間使いできる、食堂娘ってか?」
げっ……。
そう言えば、そこら辺も、
話しちゃったんだったぁ……!
『────演算結果:
────視覚野に投影します☼
────やはり:かなり下のようです☼』
「……! よ、よし……。
じゃ、行こっか……!」
「なによ、急にドギマギするわね」
オシ姉?
そゆーの、声に出さないのが、
優しさなのよ?
「ねぇねぇ♪ この仕事、終わったらさ?」
はい?
「このメンツで、カーディフの食堂いかね?☆」
「マジさんせぇえ〜〜い」
あかるい、みらい(バカ騒ぎ)。
「………………あぁ………、
なんで、言っちまったんだ、わたしぁ……」
『────そ……:
────そんな日も:ありますよ☼』
相棒の太陽神に慰められ、
ゆびさしシスターズの道を通り抜け、
プールの飛びこみ台?
みたいになっている、先から、
真下を見下ろす。
闇。
闇。
闇。
めたんこ、くらい。
「おま……さすがに、ブルっちまうゼ。
ホントに……降りんのかよ?」
「きひひ……♪ そのハネ、
消さないでいて、あげよっか?」
ぎゅぅうおおあいいいんんんンンン──・・・!!!
ヴうぉぉおおおんんンンン・・・──!!
『────降下用:移動デバイスの構成を:
────開始しました☼』
さぁ、冒険の、はじまりだ。










