ゴミ箱
1959年春、モンゴメリーの町は一見静かだったが、ジョー・ウィルソンの殺害事件は全米に波紋を広げていた。ニューヨークから来た白人記者、ベン・カーター(34歳)は、地元の警察の汚職とホワイトフューリアスの関与を暴くべく、ボロボロのスーツケースを手に町に降り立った。ベンはリベラルな新聞社「ニューヨーク・クロニクル」の記者で、南部の差別問題を追うことに情熱を燃やしていた。彼はホワイトフューリアスや地元警察に敬意など持たず、黒人コミュニティの声を記事にすることにこだわった。
ベンは町に着くなり、黒人居住区の教会を訪れ、ジョーの妻マリアや公民権運動の活動家たちから話を聞いた。「ジョーは英雄だった。警察は見て見ず振りをした」とマリアは涙ながらに語った。ベンはノートに書き込み、写真を撮り、警察署長ハロルド・ケインの過去の不正やホワイトフューリアスとの繋がりを調べ始めた。彼の動きはすぐに町の白人社会に知れ渡った。酒場でトミー・レイは仲間のサムから報告を受けた。「あのニューヨークの野郎、黒人どもとつるんで俺たちを嗅ぎ回ってる。ほっとけねえぞ」
トミーの怒りは頂点に達した。ベンの態度は、ホワイトフューリアスの信念に対する冒涜だった。「白人でありながら黒人の味方をする裏切り者」とトミーはベンを罵った。ホワイトフューリアスの集会で、リーダーのビリー・クロウが叫んだ。「この町は俺たちのものだ。よそ者が土足で踏みにじるのは許さねえ!」 トミーは若年層のジェイクを呼び、計画を立てた。「あの記者を黙らせろ。俺たちの正義を見せてやれ」
ベンは危険を承知で調査を続けたが、ホワイトフューリアスの目は彼を逃さなかった。ある夜、ベンが黒人居住区からモーテルに戻る途中、トミーとジェイクが率いる一団が彼を待ち伏せした。ピックアップトラックのヘッドライトがベンを照らし、ジェイクが猟銃を構えた。「お前、黒人どもの手先だろ? この町で余計な詮索は命取りだ」とトミーが唸った。ベンは冷静に答えた。「真実を暴くのが俺の仕事だ。隠し事は長く続かない」 その言葉がトミーの逆鱗をさらに刺激した。
ジェイクが銃の台尻でベンの頭を殴り、彼は地面に崩れ落ちた。トミーは冷たく命じた。「連れてけ。片付ける」 ベンは意識朦朧のままトラックに放り込まれ、町外れのホワイトフューリアスメンバーの一人、クラレンスが経営するトウモロコシ農園へ運ばれた。そこは、クラレンスが「問題」を処理する場所として知られていた。トミーはジェイクにナイフを渡し、言った。「一人前になるには血が必要だ。やれ」 ジェイクは一瞬躊躇したが、トミーの視線に押され、ベンの胸にナイフを突き立てた。ベンの息が止まり、夜の静寂が農園を包んだ。
トミーとジェイクはスコップで土を掘り、ベンの遺体をトウモロコシ畑の奥深くに埋めた。クラレンスは黙って見守り、警察には「よそ者が忽然と消えた」と報告された。署長ハロルドはいつものように黙認し、ベンのモーテルの部屋は片付けられた。ニューヨークの新聞社は記者失踪を報じたが、南部の壁は厚く、真相は闇に葬られた。
ホワイトフューリアスの集会で、トミーはジェイクを称えた。「これで町は守られた」と彼は宣言した。




