偽り(1)
店員にアイスコーヒーを 2つ注文する優香。
「何?勝手に注文して…」
「そんな事、どうでもいいの!
それより…紗香、駿と会ったって本当なの?」
凄い剣幕で話す優香。
「あぁ…ウン…会ったけど…」
「連絡…取り合ってるの?」
「取り合ってない…って言うか、
もう…駿とは今後 連絡は取らないから…
何?駿の事で そんな剣幕になって…
母ちゃんが何か 言ってるの?」
「紗香、それで良いの?
駿に話してないんでしょ?」
優香が どうしてそんな風に言ってるのか
意味がわからなく
私は困惑していた。
「全て話す?話せる訳ないじゃない…
何をどう話すの?」
「桜子の事や 紗香がどんな思いだったか…
このまま 駿だけが知らないなんて…」
優香の話に私は呆れていた。
「優香、今さら…
私は駿の子を産みましたとか…
言えると思う?
言って 困るのは駿だし…
何も知らない 桜子の耳にでも 入ったら
どうするの?
それに…母ちゃんの事も………」
「だから…本当にそれで良いの?
周りの事ばっかり気にかけて
紗香…あなたが
今まで どんな思いで過ごしてきたか…
中学生で 子供を産んで
駿と別れさせられて
桜子を実の子にもさせてもらえず…
結婚しても
子供が出来ないのは
あなたが原因みたいな言われ方されて…
何で、紗香…
あなただけが
そんな思いしなきゃならないの?
私は双子の姉として…
あなたの心ん中だって分かる!
私があなただったら
自分の気持ち 偽らない!
紗香、我慢や辛抱する事ないんだよ!
あなたの人生じゃない………
私がもっと早くに知ってたら………
でも、知ったからには
私、紗香に幸せになってもらいたい…
うぅん…幸せにさせる!」
こんなにも 優香が
私の事を真剣に考えてくれてる事に
胸が打たれていた。




