(3)
子供が出来ない事が
私 1人の責任のように
義母から度々咎められ
私は何度か慎太郎に
一緒に不妊検査をしようと話したが
全く聞く耳を持たず
慎太郎との関係も
段々、距離が空くような感じになっていた。
慎太郎の父親が1年前 病に倒れ
入院生活をするようになってから
マンションはそのままの状態で
慎太郎と私は慎太郎の実家で生活を始めた。
慎太郎には妹がいたが
妹も嫁ぎ 母親1人の生活は不安だろうと
慎太郎の義母への思いやりに
私も嫁姑の関係を
一緒に暮らす事で修復できるかもと
安易な気持ちが 逆に
嫁姑の関係を悪化させていた。
一緒に暮らしてから
より一層 子供が出来ない事に対して
責められ
慎太郎もそんな嫁姑の関係を見てるのが
嫌なのか
半年ほど前から
夜は何処かへ行くようになり
たまに外泊もする事もあった。
窮屈な毎日の生活
梅の花は一瞬でも
心を癒してくれていた。
私は店内へ戻り
鬼のような顔をした義母の視線を浴びながら
お客様へは笑顔で対応していた。
夜になり 久しぶりに義母が
出かけた為
慎太郎と二人だけの
夕飯を食べていた。
ほとんど会話もせず
静まりかえった食卓。
私は慎太郎にゆっくり話し始めた。
「慎太郎さん…
あの…子供の事…
今日もお義母さまに...言われて...
慎太郎さん、やっぱり一緒に検査してもらえませんか…」
「また、その話かっ!断っただろ!」
慎太郎は眉をしかめながら
強い口調で言った。
「でも…このままでは…もし、病院へ行くのが嫌なら…
その…調べたんですけど…
慎太郎さんの精子だけを持って行ってもいいような事…書いてあったので…」
私が言いにくそうに話すと
慎太郎は呆れた顔で
私に言った。




